2010同人ゲームショートレビュー

OECくんが持ってたので、ちょっとだけやる機会を得たので同人ゲームを2つほどレビューしてみる。

クメル Khmer 賽苑



賽宴の二人用おしゃれカードゲーム。1〜5が各2枚ずつ、6が6枚のカードを4枚抜いてお互いに配って、ゲームする。手番には、手札から1枚出すか、場のカードを1枚自分の場に持ってくるか、6の手札をゲームから除外するかする。
場のカードはお互いに加算した値を宣言して、自分の手札がその値以内になったら「ノック」宣言。互いにカードを比べてより値に近い方が勝ちというもの。
OECがおもろいですよと持ってきた。


6だけは除外することも出来る。この場にある共通の和と自分の手札の和を近づければいい。

OECくんと推奨の6ポイント先取でやったが、ストレート負け。所要時間は5分程度。
これはあまりわしの好みじゃないな。覚えておく数字が2種類あるので、脳に記憶領域をずっと持ってないとあかん。場の合計値と、手札の合計値。脳の中で増減を計算してると、かなりめんどくさくなる。常に頭の中に計算式を持ってないといかんので、そういった素養のない人には辛いと思う。軽い割にめんどくさい。おそらくオリジナルはジンラミーやと思うが、人に無意味な暗記させずもっと高度に楽しめるジンラミーやその派生版のバンジーの方がわしは楽しい。
カードの品質はでかくて、がっちりとしており、文字デザインも美しくさすがと思わせるもんがある。


裏面はこれ。デザインセンスはさすが。

ストレイシーフ Stray Thieves オインクゲームズ



わしゃ全然知らんかったが、やたらとネットで話題の一品らしい。タナカマがOECくんが持ってきたのをみて、どうしてもやりたいというので、帰り際に5人でやることになった。
各自ノーブル4枚、シーフ2枚、ナイト1枚の手札を持つ。手番には裏向けにして順番に並べていく。その際「これはシーフです」とか好きな言葉を言う。最終的に手札がなくなったら、順番に1枚ずつ表向けていき、シーフが出たところでそのシーフを出したプレイヤー(色が違うので分かる)がそれまでのカードを全部もらえる。ただしその直後にナイトがいれば、そのナイトを出したプレイヤーがシーフごと全て貰う。こうして一番カードを取ったプレイヤーが勝ち。


手札は全員同じ。色で誰が出したか解る。手札に持つ場合、シーフだけは逆に持たないとばれる。

ポイントはシーフのカードだけひっくり返して印刷されており、「これはシーフです」と宣言したら分かるように、ひっくり返してカードを並べる。ただ、それは別に嘘でも本当でもいい。なんせシーフですと宣言したらひっくり返して置くだけ。


鎌の絵が上にきてるのが裏向き。つまりシーフといって出したカードである。このように中央に並べていく。

ルール説明を聞いててもなんかいまいちよう分からんかったが、要はそれがシーフであるかどうかのブラフゲームぽいということだけは分かった。ただしブラフがばれたからといってもリスクはない。単に、「ああ、ブラフだったのか」という感想戦だけ。


持ち主のOECが、自分の出した奴は自分でめくっていった方が盛り上がるというので順番にオープンしていった。シーフが正しければ正位置に出るのだが、他のカードだと逆位置にでる。なんでシーフだけが逆に印刷されてるのかやってみてもまったく意味解らん。シーフを出すときに「ノーブルです」と言うたら、正位置で出すことになり、シーフは逆位置で出るやん。

やってみると分かるが、罰則がないのでわざわざあれこれ考えて言うのが実にめんどくさい。ので、全部「シーフです」とか言うてしまう。で、途中、一度でも変えたら全部「ナイトです」とかなる。5人でやったもんやから、公開時にもなんか間延びして全然盛り上がらず。ダウトとかピノキオなんかはその場で公開し尚かつ罰則があるから盛り上がるんじゃないかな。OECの話によると二人やと公開が早いのでもうちょい盛り上がるらしい。

所要時間5分。


最後はこんなけ取りました。だから何? と印象を持った。勝っても負けてもどうでもいいような気がする。

おそらくカイジのEカードの多人数発展型と思われるが、Eカードは作者が負けた際の恐ろしいペナルティについて主人公の心理を一生懸命描くからおもろいのであって、あれに厳しいペナルティがなければ、まったく読めない漫画となったはずだ。
「これに負けたらうまい棒を1本頂戴する!」
(な、なにぃ。ここでうまい棒を取られては食後の楽しみがなくなる。いや、まて、あいつのあの顔は本気のはずだ…駄菓子屋のおばちゃんに合わせる顔がねえ)
とかなったら相当つまらん。読者もどーでもええやんと思うだろう。すなわちペナルティは、ゲームのシステム内に用意しておかなくてはならないのだ。残念ながら、このゲームではうまい棒1本すら賭けていないので、おもろい筈がなかろう。

これはゲームじゃないよなあ。少なくともこれがゲームというなら今のボードゲームは誰にも見向きもされず、すでに廃れてなかった。だからこれはゲームじゃない。しかし、たかが同人、そこまで酷評されるものでもないんじゃないの? とタナカマに言うと「作者がコミニュケーションツールとして出したら駄目なんですかみたいに言いまして、そういうならこっちもこれはゲームとして買うたっていうよってうんぬんかんぬん」との答え。
そっか。でもな…、と言いかけて、値段を訊いたら1900円するという。

(|| ゜Д゜)ガーン!!

うっげえ、まじえぇ! そら、怒るわ。500円かと思った。これが500円なら、そこまで酷評されんかったやろに。ああ、500円ならしょうないかと思う。現に500円ゲームズはかなり酷いのがいっぱいあったとOECが言うてた。作る側も500円やったら適当でええやろと思ったんとちゃうかな? たくさん出まくったのでとりあえず全部スルーしたので助かった。あまりいいアイデアじゃなかったんかも。同人ゲームを買う時は玉石混合、注意して買わんとあかんな。

とはいっても、OECは、このゲームはそれなりに好きと言うてるので人の好みはそれぞれやな。カードの品質は悪くないので印刷に金はかかったかも知れんけど、仰る通りコミュニケーションツールの文言がありなら、つまらないゲームはその文言を使えばなんでもありになってまう。仮にもゲムマで売ってたことからここは厳しく評価したい。全然ダメ。システムがゲームになっていない。出すなら別の同人マーケットで。中には初心者向けというのは実はこういうのではないかなどと気を使ったコメントもあるようだが、ここはゲームを評価するサイトなんで、ぶった切らせてもらいます。ゲームに誘いたい初心者にやらせても、まったく無駄に終わる。このカードにはゲームが持っている楽しさが何一つ備わっていないからだ。これなら黒ひげ危機一発をやらせた方が10倍は楽しい。

プレイヤーが楽しむためにわざとらしい努力を相当しないとシステムが破綻するなんてゲームとしてどうなん? そういった意味でキャッシュアンドガンズが好きじゃないんよな。大体、ルールというのは、守っていれば誰が遊んでもそれなりに結果が出るのがルール。つまりこのカードにはルールがないのと同じ。コミュニケーションというなら居酒屋で野球やワールドカップの話をしている方がよっぽど盛り上がるし楽しい。そんなことすら出来ない引っ込み思案なら、おそらくTVゲームやるでしょ。ゲームやスポーツというのはルールがあるから必然的にそのルールに則った形でコミュニケーションが生まれる。コミュニケーションから必然的にルールが生まれるものではない。もしそうなら人との付き合いはすべてゲームになってしまう。自分が作ったルールの範囲内にて限定されたコミュニケーションを想像するのがゲームデザイナーの仕事じゃないかな。強制的にそういうコミュニケーションをせざるを得なくするのがゲームやスポーツのように思う。ボーナンザなんかいい例やな。なんで手札の順番替えたらあかんねんって話。そういった意味でこのデザイナーは本来、自分が手がけなくてはいけないコミュニケーションの制限部分をプレイヤーに丸投げにしてしまった。

調べてみるとあれこれルールをこうしたらいい、ああしたらいいと書いてあるが、ルールを決めるのがデザイナーの本筋なので周りの意見でルールを変えて面白くなってもしょうがないと思うわ。それではデザイナーはサボりすぎだ。なんとか1900円の価値を見出したいユーザーの悲痛な叫びのような気がするので、ならば、わしもひとつアイデアを(なんやねんな)。意味があるのは3枚目なので、3枚目を誰かが出すたびにめくっていってはどうやろ? 財宝カードは除く。財宝カードは最初から表向け。
例)1裏、2裏、ときて次にカードを出したら1裏をめくる。さらに次に出したら2裏をめくる。つまり最初と最後以外、常に2枚だけが裏向きでゲームが続く。カードは確定したらすぐに受け取って山積み(中身は見ちゃダメ)とする。それだけで駆け引きとブラフによる盛り上がりが生まれる筈。やってないのでなんとも言えんけど。
ところでなんでこんなのがゲムマ前に話題になったん??

軽くレビューするつもりが通常レビューのように長くなってもたな。。。

gioco del mondo