Sebastian Bleasdale

Richard Breese

R&D Games

2〜6人
90分

キーフラワー

駿河屋 駿河屋 駿河屋
このゲームでは、プレイヤーは新世界の入植者となり自分の村を繁栄させていくことになる。ゲームは4ラウンド (春夏秋冬) 行われ、最後の冬が終了した時点で最も得点の高いプレイヤーが勝者となる。
開始時は、本拠地となるタイルと8個の労働者コマしか持ち合わせていないが、これらのコマを使って石切り場などのタイルを競り落として自分の村を広げ、資源を生産し、技術を獲得し、勝利点を獲得するのである。
登場するタイルは毎回変わるため、ゲームの展開は常に違ったものとなり何度でも楽しめるように作られている。
手持ちの資源やタイルを把握し、適切な時に必要なものを得る判断力が必要な戦略性の高いゲームとなっている。

プレイ感

ウィ・ウィル・ウォック・ユーで、多くの人に新しいデザイナーの息吹を感じさせたブリースデールの作品で、ネット界隈ではあちこちでおもろいと大評判。今度こそやるという強い意志で、タナカマ夫妻、COQと4人プレイをした。なんとタナカマ、やるタイミングを逸してたらしくこれが初プレイ。


春夏秋冬ごとにタイルを用意する。で、まずは春タイルから。自分の手番には、このタイルを落札するように駒を配置するか、このタイルのアクションをするためにタイルの上に駒を配置するかする。
このとき、最も重要なルールが、駒の色をフォローしなければならないということ。最初に誰かが落札用にしろ、アクションにしろ赤色の駒を置いたら、今後はずっと赤色の駒を置かなければならないのだ。

全員がパスすると次の季節に移るが、その前に、タイルを落札したプレイヤーは、道が繋がるように自分の領土を広げていく。それから順番に駒を補充して、次の季節のタイルで同様の事をする。

あ、そうそう、このゲームでは駒はキープルと呼ばれる。駒はミープルとよく呼ばれているが、実はこれ、カルカソンヌでのみ使われる固有名詞っぽい。あまりにも有名になって人型の駒をミープルと自然に呼ぶようになった。で、この固有名詞がブリースデールがかなり気に入ったようで、ミープルをもじったキープルを使用したいとハンスに連絡したようだ。で、快諾されたと。というわけでそれに経緯を表して以下、駒をキープルと書く。


最初に貰うキープルだけ、自分以外は知らない。全ての情報はこの衝立に隠すのだが、これ以降はオープンな場から補充するので記憶力が飛び抜けてグンバツな人ならなんとかなるかも、知れない。

唯一冬タイルだけは最初に3枚ずつ配られ、秋が終わる時に、各自最低1枚を選んで裏向けに場に出し、シャッフルして使われる。冬が終わればゲーム終了で、勝利点が一番高いプレイヤーが勝ちである。

こうやって手順を書くと非常にシンプルだが、説明は結構時間が掛かる。というのはタイルの特殊効果が色々とあって説明しなくてはいけないからだ。

簡単に書くと、タイルにキープルを置くとアイテムが手に入ったり、資源を産出したりと様々な効果を生み出す。しかもそれは場に出ているタイルは上記のように、他プレイヤーが配置したタイルであっても良い。
裏返すと、効果が強化され勝利点もあがる。船のタイルは強化できないが、ずっと効果を持続する。

他人に自分のタイルを使われると落とした意味がないと思われるが、上に載ったキープルは、次回、自分のキープルになるのでかなり有利なのだ。もちろん自分のタイルに載せてアクションを実施しても戻ってくる。

タナカマ「じゃあ、ここに2個置いてアクションします」

わし「え? 1個でええんやで」

タナカマ「いいんです」

COQ「いきなり酔っぱらったプレイから始まった!」

アクションの実施は最初は1個から始める。で、同じアクションを誰かがしたい場合は2個、さらにやりたい場合は3個置く。これ以上、今ラウンドにアクションは実施出来ない。
だが、実のところ、このプレイがルール的に許されてるかどうかは調べるのも面倒でやってない。というのは二度とこんなプレイが起きなかったからだ。

そういったタナカマのプレイはほっといて、最初は自分のホームグラウンドをアップグレード出来る、鉄を産出するタイルにキープルを置く。
最初の方向性としてはこれしかない筈なんやけど、結構ばらけた。理由は

わし「あ! これホームグラウンドをアップグレードする資源が皆、ちゃうやん!」

COQ「そうですよ」

ほとんどのゲームでは資源に格付けがあるもんだが、このゲームでは鉄、石、木はほぼ同等の価値とみて良いようだ。唯一、1個=1勝利点となる金だけが別格である。


これが春の場。6角形の辺を自分側として、競りを行う。またアクションをしたければ、タイルの上に駒を置けば良い。
左の方にどっちゃりとキープルが載ってるのが、次ラウンドの補充キープルタイルだ。その隣にある3枚のタイル(4人プレイなので)がこの補充キープルタイルを選ぶ順番で、これも競り落とす必要がある。

そして春のメインはなんといっても黄色のキープルを緑に変更するタイルだ。

※今回のプレイで出現するタイルはランダムに決められる。今回は緑キープルはこの1枚しか出なかった。

緑になったら何がええかというと、単に緑になるだけなのだが。
そう、このゲームでは色をフォローしないといけない。緑を1発目においたら、緑を持ってる人がいない場合、一撃で落札できるという効果があるのだ。

よっしゃ、この緑を狙ったろとわしがキープルを2個置くと、あっきーもこれに意欲をしめして、ごんとキープルを配置。

うわ、腹立つなー。

喧嘩してもしょうがないので、ここを諦める。
このゲームでは、一旦、落札用に置いたキープルであっても、まとめてなら、他の場所に移動しても良いのだ。この無駄にならないところが心理的な圧迫をさげてとても良い。

アクション用に置いたキープルはもちろん、移動不可、というか既に誰のものでもなくなっているので、パターンとしては入札失敗した奴をアクションに置くってのが作戦的によさそうだ。

そうこうしているうちに、夏に向けての布石が重要となってくる。キープルの補充は、既に場に現れており、これを選択する順番を決めるタイルがあるのだ。ここにCOQが起き出した瞬間、わしも速攻置く。インケツひくのはご免である。

全員がパスしたので、それぞれ落札したタイルを自分の領土に配置。そして順番にタイルにのったキープルを選んで補充。


春に競り落としたタイルを道が繋がるように配置。これ以降、タイルのアクションを実行したければ、この上にキープルを置けばよい。自分のタイルに置かれたキープルは、ラウンドの最後に衝立の後ろに戻ってくる。アクションが2つ書かれているが、上がこのタイルのアクションで、下はアップグレードした場合の効果である。アップグレードする条件は矢印のアイコンだ。ホームタイルの上にあるのはアクションによって産出した資源駒。

あっきー「え、補充ってこれだけ?」

COQ「そうですよ。それと落札したタイルに載ってるアクションに使われたキープルもその人が貰えます」

あっきー「えー!! 黄色がない」

COQ「あっきーさんに黄色がないのは忘れましょうw」

夏タイルを場に配置。夏タイルは船が多い。


夏は船タイルが多い。割と強いタイルが多いように思う。

Mtg的にいえばEnchant場の船タイルは強いのが多いようだ。わしは季節の最後にキープルを2個貰えるってタイルに目を付けて、ここにキープルを置いていく。キープルの数は力だ。

黄色がないプレイヤーがいるので、全員、そのことはしっかりと忘れずに、プレイを行っていくw

このことが非常に不利に感じたあっきーは、早々に秋に補充される順番を選択する権利におく。そうなると皆、一斉に順番タイルのところに置き始める。というのは、春の終わりに4カ所ある補充タイルの1枚は裏返り、キープルの数がとても少なくなっているのだ。一人だけインケツなのである。これは季節が進むにつれて増えていく。

そして問題の緑のキープル。

COQ「じゃ、使いますね」

あっきーのタイルにキープルを載せるCOQ。

あっきー「あー!!」

そう、このゲームでは他人のタイルのアクションに使ってもいいのだ。もちろんラウンドの終わりにその人のものになるので、損はないのだが。

唯一のプレイ経験者というのを活かし、このように薄汚いプレイを繰り返すCOQ。

わし「よし、じゃあ、これをアップグレードして裏返す」

これで木と金が出るようになった。

タナカマ「じゃ、そのアクション選びます」

わし「むかつくー!」

別に選ばれてもいいのだが、次に自分がやるときにはキープル2個使わんとあかんのが腹立つのだ。

このようにテンデイズという店と同じくぼったくりプレイを繰り返すタナカマ。

そして秋である。
実りの秋では、主にアップグレードすることで勝利点が大きくなるタイルが多い。また金を産出するタイルも数多くある。

わしは自分の持ってるツールを活かして、金を3個産出するタイルに目をつける。これを使えば、わんさと金が出まくる筈である。

そしてその通りに金をどんどんと産出し始めた。

COQ「お金もち〜」


わんさかと金を産出してうはうは状態のわし。これでほぼ目標は決まった。

ここで冬タイルをどれにするかを決定する事になる。
わしの手持ちから見ると赤青黄のキープルセットは2個増える船効果から潤沢なので、これは採用。それから資源駒を5個で得点になるというのもわんさと金が出てるので採用。

タナカマ「これ、出したら、皆から非難囂々かなあ。いや、出そう」

このゲームの良くできているところは、出された冬タイルはシャッフルされ、誰がどれを出したか解らないようにするところだ。これで誰がどれを狙っているか隠す訳だ。よう出来てる。

金の得点が2倍になるというタイルがでた。

COQ&あっきー「ちょっと! こんなのタナカマさん出したら駄目ですよ。あきおさんが有利になるだけじゃないですか!」

ばれたw

タナカマ「それ俺が出したんじゃないって」

しかしタナカマも同じくひたすら金を産出しまくる。

おいおいw

さらに、その金2倍のタイルに赤駒を2個設置。

わしとタナカマで金産出合戦。

COQ「あ、ちなみに、このボーナスは、複数に渡らないですからね。たとえば資源5個で得点するのは、金の1点と重複はできないです」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

さっき言えよ。

しょうがないので、わしも金2倍のタイルを狙う事にした。これも素点加えて3倍になる訳ではないが、2倍はやはりでかい。
そしてわしは赤駒3個を配置。

タナカマ「うわ、これむっちゃうぜぇ」

※これはほんまに痛かったみたいで、何度もつぶやいてたw

やっぱりそうやんけ。


左上、タナカマ2個に対して3個おいたった。ザマァ

そして場が改まった最後の最後で

COQ「じゃ、赤駒5個、金2倍タイルに置きます」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

COQ「いやあ、様子見してたんですよ」

このボケ、わざわざ5個も出してきやがって。すげぇ、むかつく。


マジ、死ねって感じ!! しょうがないんでわしの赤キープルは別の場所に移動した。

結局、このまま、ゲームが終了して、得点計算

金2倍を封じられたわしが勝てる筈もなくCOQの勝利。

所要時間90分


最後はナスカの地上絵みたいな形になった。 左はCOQの村。右はあっきー、正面はタナカマ。
いずれも小さい村やなー

タナカマのコメント

いやあ、これ本当に良くできてて面白い。タイルを見事に活かしてる。

COQのコメント

実はまだやってないんですが、拡張の農夫を入れて初めてこのゲームは完成するそうですよ。

ソマーリオ

ゲーム中、タナカマが「これはシステムが非常によく機能しているやな」とか、「いや、少しシステマチック過ぎるところがあるので、やな」とか勝手にわしの真似をして評価してたw

タイルの配置系ゲームといえば、ミープル名称の生みの親カルカソンヌが有名だが、それ以降色んなタイプのゲームが発売されたが実のところどれもこれも似たり寄ったりなところがあった。もちろん、面白い面白くないは別にして。

ところがこのキーフラワーはタイルの配置という行為には主点をおかずに、タイルの競りとアクションがメインとなっている。タイルの配置はオマケみたいなもので、実際に写真を見て貰えば解るとおり、全然、町は発展していない。閑散とした港町くらいだ。

実のところアグリコラに代表されるワーカープレースメントシステムと、競りを融合させた形態となっている。ユニークなのはなんと言っても色をフォローしなくてはいけないところで、この元アイデアはアサラから来ているように思われる。これが実に悩ましい、メインとなりうるシステムを構成しているのだ。

少し残念だったのは、資源駒の移動ルール。オマケ程度のタイル配置ルールなのに、この移動ルールのおかげで、意外と重要な形になってしまい、焦点がぼけてしまっている。要素を詰め込み過ぎなのだ。

基本的なルールはとてもシンプルなのだが、特殊効果が意外に多く、説明には手間取る。好みという点でいえば、もっとシンプルな形にした方が解りやすい駆け引きが生まれて良かった。

運の要素を極力排除したところから、完全にゲーマー向けのゲームである。運の左右するところはキープルのランダム補充くらいなところで、普通は全て計算できる。
そういった意味で、アブストラクトゲームにプレイ感は近く、雰囲気よりもドライな印象を持った。

そのせいで、非常に良くできたゲームとは認めるものの、今回のプレイ感ではではない。これはわしの完全な好みの問題だ。確かにタナカマのいうた通りなのだ。

最近、複雑なゲームが増えたせいで、1回や2回程度ではゲームの真価を味わえないパターンが多い。昔のドイツゲームは単純だったので、1,2回やればデザイナーの意図するところが読めたのだが、このゲームもそれと同じく、回数をこなさないと意図するところが読めない。よって、このソマーリオはまったく的はずれなケースも多々あると思う。残念ながら、発売されるゲームは多いわ、なかなか集まる機会はないわで、同じゲームを何度もやれる環境にはないので、そこらへんは間引いて読んで貰いたい。こういった複雑なゲームはまたやる機会があれば再評価したい。

gioco del mondo