上杉真人

I was game

2~4人
10分

ダンジョンオブマンダム

勇者1「このダンジョンにすむ竜を退治してやるぜ」
勇者2「おいおい、そんなフル装備で勝っても恥ずかしいだけだぜ。俺なんかドラゴンスレイヤーなしでひねってきてやる」
勇者3「ははは、冗談だろ。俺なんて盾もたいまつもいらねぇ。朝飯前よ」
勇者4「だっせぇ、そんなたくさんの装備しなくちゃびびって行けないのかい? 俺はさらに聖杯を置いていくぜ」
勇者1~3(ぐ、こいつまじか)
真の勇者「お遊びは終わりだ。俺が行こう」
勇者1~4「あなたは! 勇者ヴォーパルス様。我々ではさすがにその装備では無理です。さすがです」
そうして勇者ヴォーパルスはフルチンでダンジョンに向かい二度と皆の前に姿を現す事はなかった。

プレイ感

ゲームマーケット2013に遅れてやってきたわしにオビ湾が、「ここにこっそり昼からヴォーパルスの人が500円ゲームズ出してるんすよ」と教えてくれた。一緒に見に行くと、ドット絵がたまらなく良い感じで購入。ルールを読むとあまりにもおもろそうなのでmiaと2人でやってみた。


このゲームは一言でいえばチキンレースである。とあるダンジョンに向かうフル装備の勇者がいて、「俺ならドラゴンスレイヤーなんざ無しで攻略してやる」といえば「はぁぁ? ドラゴンスレイヤーなんか当たり前、さらに甲冑さらに聖杯抜きで攻略してやる」という風にフル装備状態から次々に装備を脱ぎ捨てていき、「ほな、その装備で行ってみろや」と言われて攻略できるかを試す設定だ。アホな勇者やなぁw

手番には、モンスターの描かれたダンジョンカードを引き、それをダンジョンに配置するか、自分が握りしめて無いものにするかを決める。無いものにした場合、真ん中に置かれている勇者の装備カードの一つを外さなければならない。次のプレイヤーも同じように、ダンジョンカードを引き、前のプレイヤーの出したダンジョンカードに重ねるか、握り潰して装備を外すかをする。
「こりゃ、到底帰ってこれんわい!」と思ったら、パスして今回のクエストから降りる。一人を残して全員が降りたら、その一人がまだ残っている装備を使ってそのダンジョンに挑戦する。


最初はこの通りフル装備である。手番には左にあるダンジョンカードを1枚見て、ダンジョンに裏向けに配置するか、自分で握りつぶすかする。右下にあるのが自分の状態カードで、ここにすべてのモンスターの情報が一覧表示されている。

裏向けに置かれたダンジョンカードを1枚ずつ表に向ける。モンスターには弱点があり、そのアイテムを持ってるとHPを削られることなくやっつける事が出来る。そういったモンスターはタップしておく。弱点を突けなかったモンスターは縦のまま置き、その攻撃力でもって勇者のHPを減らす。まだHPが残っていれば、次のカードをめくり同様にすすめていく。最後のモンスターまでHPが0にならずに行ければ、ダンジョンの攻略成功で、また最初からゲームを始める。最初に2回攻略成功したプレイヤーが勝ちである。
途中で、HPが0になったら攻略失敗。2回失敗したらゲームから脱落する。

わし「じゃ、配置」

mia「配置」

わし「配置」

mia「配置」

とこのようにほとんど無言で進行していく。

しかし頭の中では、「うわ、ドラゴンやんけ。まあ、ドラゴンスレイヤーがあれば大丈夫かな」なんて思いつつ置いてってる訳だ。

しかし、ある程度モンスターがたまってくると、どうしても握りつぶしたくなるモンスターか、装備を外したくなる時がある。

わし「ほな、ドラゴンスレイヤーを外す」

(とりあえずドラゴンおるけど、HP満タンやし大丈夫やろ)

※勇者のHPは3しかないが、甲冑で+5、盾で+3で、最大11もある。ドラゴンの攻撃力は最強の9だ。

mia「たいまつ外す」

(えーっと、どうやったっけ。弱い系はそんなにおらんかった筈)

※基本的に弱いモンスターはたいまつが弱点で、強めのモンスターは聖杯が弱点である。

わし「盾外す」

mia「降りた」


リッチは攻撃力が6と非常に強いが、聖杯で攻撃を無力化できる。これをダンジョンに配置すべきかどうかだ。今のところたいまつだけが外されている。握りつぶして、さらに聖杯を外すのが良さそう。

ここでわしが勇者決定。この装備でダンジョンに挑む訳だ。
最初にヴォーパルソードの宣言をせねばならない。この装備は、宣言したモンスターの弱点とする事が出来るオールマイティな勇者の剣なのだ。

ここで無効にしなければならないモンスターただのひとつだ。

わし「じゃ、ヴォーパルソードは、ドラゴン」

盾のなくなった今、HPは8しかなく、ドラゴンを無効化するドラゴンスレイヤーの装備を外してしまっているので、確実にダンジョン内に棲息しているドラゴンの一撃で死亡してしまう。ヴォーパルソードによって、竜殺しの剣となるのだ。

そしてそのチャレンジは見事に成功。

わし「やった!」

mia「ちぇ」


無力化したモンスターは横にしていけば、どれくらいダメージを受けたか一発で解る。この工夫が素晴らしい。

2回目も、同様に外していくとmiaがチキンぶりを発揮。

またしても虎の子のヴォーパルソードで今度はゴーレムを宣言。
ゴーレムは2体ほど入ってる。うっといのはゴーレムに弱点はなく、しかも攻撃力が5とかなり強いのだ。

聖杯を外したおかげで、リッチの攻撃をもろに受けて、残りHP1ながらもかろうじてクリア。

わし「やった!」

mia「意外と成功するんだねえ」

わし「まあ、ヴォーパルソードのおかげやけど。これ外されたら負けてた」

これはおもろいという事で、その後2回ほど連続でやるが、どちらもわしの勝利。
途中で、強力なゴーレムをダンジョンに配置したにもかかわらず、あえて関係のないドラゴンスレイヤーを外した。

mia「うーん、、じゃあ、ドラゴンは居るって事か。ヴォーパルソードの宣言はドラゴン」

とわしの作戦が見事にヒットして、死亡したりした。


モンスター一覧を裏返すとこのように死にかけ状態を表す。もう1度死ぬと脱落する。
デザインの気が利いている。ドラクエだ。

所要時間 10分

miaのコメント

最初は置かれているカードの意味が解らなかったが、解ってくるとなるほどよく出来てると思った。

ソマーリオ

ルールを読んで、あまりの阿呆な設定にかなりワクワクした。俺なら、片手でひねってやるぜ、みたいなシーンが思い浮かび、笑えてくる。しかもタイトルが、ダンジョンオブマンダムで、意訳すれば男前ダンジョンだ。男の中の男しかクリア出来ないダンジョンなのだ。

ゲーム自体は、オビ湾やタメラも書いてるが、ヴァッカリーノのガントレットオブフールズとはったりゲームの傑作髑髏と薔薇を足して2で割ったようなプレイ感となっている。前者についてはやったことがないので、なんとも言えないが、概要を読むと設定はなんとなく似ている。後者については、ハードルの引き上げを引き下げにした逆競りとなっており、はったりっぷりがよく似ている。

文章にして書くとかなり盛り上がるようなおもしろさがあるように見えるが、(メンバーによると思うが)実は割と淡々と進む。これはその装備を外すという行為が、どの程度の凄さやはったりであるかというのが、解りにくいせいだ。つまり競り値の相場が解りにくいという事だ。

相場が解りにくいという欠点は、テーマがそうだからしょうがないし、このゲームの設定のおかしさを考えるとこのままがベストだ。それどころかシステムはシンプルにまとまっており、ジレンマなどしっかりと作られよく出来ている。

コンポーネントは、500円でよくぞこれだけのものを揃えてくれたなあと思うと共に、勇者や装備カードが1枚ずつの工夫や、一度やられたプレイヤーのカードがRPGでおなじみの死にかけの黄色のゲージにしてたり、8ビットのドット絵キャラクターも非常にマニア心をくすぐってくる。もちろんゲームに必要な情報である、モンスターの数、強さ、弱点などが一別出来るようになっているところもユーザーフレンドリーに作り込まれている。

先週書いたキャットファーザーと同じく500円ゲームズという性質を見事に活かしたゲームとなっており、持っているだけで非常に満足度の高いゲームであるといえる。
プレイヤーに配慮されたカード構成とデザイン、そしてなんといっても阿呆な設定にメロメロで、これはをあげたい。このゲームと対極に位置するダンジョンオブマンダムもあり、この年の500円ゲームズがいかに豊富であったかを物語っている。

実はこのゲーム、こっそり発売されたせいで、名だたるゲーマーでも入手出来なかった人が多いようだ。ヤフオクなんかで転売すると、無茶苦茶高騰しそうな匂いがぷんぷんするが、ルールブックにこう書かれてある。「このゲームを500円を超える価格で転売することを禁じます」

いい。何から何まで男前のゲームである。男臭さが充満してやがる。

ヴォーパルスに続いて、良作を連発するI was gameは、今後はジョーコデルモンドでも注目の同人となった。

gioco del mondo