I was game

2〜5人
30分

ヴォーパルス


鉄と鋼によってこの地が統一されてから百余年。幼王が崩御し、厳寒の島に再び戦乱の兆しが訪れました。あなたは新たな覇を唱えようとする領主のひとりとして、己の軍兵と領民を配備し、数世代にわたる争いを指揮していきます。木を切り畑を耕して領土を整えることも、剣と弓の騎士団を組織することも、貴重な鉱石を蓄えて宝物庫を肥やすことも、豊富な食物と引き換えに小鬼たちと手を組むことも、不浄な秘儀で悪魔の力を借りることも、すべては星の流れとあなたの選択次第です。いかなる手段をもってでも民衆の崇敬を勝ちとり、この地の覇権を我がものとしてください。

プレイ感

タメラが強烈にプッシュし、同人ゲームとしてかなりの人気作だという事で言われるままにゲームマーケットにて買うて帰ってきた。ルールには出来れば3人以上で遊んでねと書いてあったが、2人からも出来るという事でmiaとやってみることにした。


各プレイヤーに5枚ずつ配る。そこから各自欲しいカードを1枚抜き出して、残りを隣のプレイヤーに渡す。廻ってきた4枚のカードからまた1枚抜き出して隣に廻す。これを繰り返して最終的に5枚のカードが手札となる。いわゆる妖精奇譚ノートルダム世界の七不思議で採用されているブースタードラフトだ。

手札のうち1枚は次回に手札にするカードとして置いておく。残りのカードで、今回使うカードを選び出す。使わなかったカードは全て捨て札となる。使うカードのコストを支払い、全員同時にカードを前衛2枚まで、後衛2枚までのユニットとして、自分の場に表向けにする。

※カードには特殊効果があり、それぞれ書いてあるタイミングで発動させる。


今回はこの4枚を配置する事にした。

次に前衛の兵力の合計を左右の隣プレイヤーと比べる。相手の兵力以上なら勝利点3を手に入れる。同点の場合はそれぞれ3点入るという事だ。

手持ちのお金、今回産出する材木、鉄鉱石、食料を元に建物カードを1枚手に入れるか、レベル2へあげる事が出来る。お金以外は、今回限りの使い切りである。建物カードは勝利点にもなる。

次にカードの上に経年マーカーが載っているカードを全て捨て札にして、残ったカード全てに経年マーカーを1個ずつ載せて1ラウンドは終了だ。これを4ラウンド繰り返し、勝利点が多いプレイヤーが勝利する。


老いはすべてのユニットに平等にやってくる。今回載せたカードは次回には取り除かれる。前衛2後衛2で配置。左下のユニットは画家で、経年により取り除かれたら3勝利点が得られる。

1ラウンド目は非常に簡単だ。手持ちのお金と相談して、4枚かそれ以下のカードを選びだし、1枚を次回のためにストックしておく。前衛と後衛に分けるが、当然兵力の高いカードを2枚前衛にする。後衛はテキスト効果を発揮するが兵力にはならない。後衛というよりも住民といったイメージである。


2ラウンド目以降の選択はかなり悩む。腐敗の王なんかは安くて強いのだが、出ると他のユニットに経年マーカーが載せられるしまう。しかしこれを逆手に取って民兵と組み合わせるのは良い。

わしは最初のブースタードラフト時にかなり強い兵力4の騎士団を手に入れていた為、これと兵力2の民兵を前衛に置き、後衛には画家と木材と食料を生み出す行商を入れた。

miaとの兵力比較で勝ったので勝利点3を得る。2人プレイの時は特別ルールがあり、相手の兵力の2倍以上あった場合、6勝利点が入る事になっている。

生産フェイズで、恒久的に効果を発揮する建物カードを手に入れたい。わしは木材1で手に入れられる城下町を、miaは宝物庫を手に入れた。このゲームでは基本的に勝利点を手に入れるには毎ラウンド行われる兵力比較と、建物カードが必要となっている。建物カードは毎ラウンド1枚しか手に入れる事が出来ないので、最大でも4枚までしか手にする事は出来ない。2枚目、3枚目を手に入れるには追加で2ゴールド、4ゴールドと支払わなければならない。

そしてこのゲームのシステムで最も特徴的な経年マーカーのチェックが入る。まず経年マーカーが載っているユニットがあれば取り除く。その後、残ったカードの経年マーカーを1個ずつ置く。これはどういう意味かというと、ユニットは通常であれば2ラウンドしか持たないという事だ。


強力なコンボとドラゴンの圧倒的破壊力で初めて兵力で負ける。

次のラウンドはカード選択が難しくなってくる。ユニットは合計で4枚しかおけず、今回手に入れたカードと交換するか、今回もそのまま残すかの選択を迫られるからだ。経年マーカーの載ったユニットは最後に取り除かれるが、この経年マーカーがくせ者で、載ってると強くなったりするカードがあるから面白い。

わしの民兵は経年マーカーごとに+1の修正が入り兵力3となりこれをそのまま残す事にした。後衛にいた画家を交換するかが悩んだ。こいつは経年により取り除かれると、勝利点3をもたらすユニットなのだ。ここでお払い箱にすると手に入らない。結局、絵は未完成のままお払い箱にした。

材木は城下町で1つ手に入る事ができる。これを使って城下町をレベル2(カードを裏面)にする事にした。レベル2の建物カードが1枚でもあれば、ユニットの配置を前衛3枚後衛2枚もしくは前衛2枚後衛3枚にまで拡張できるのだ。

3ラウンド目、これを活かしてmiaに倍する兵力で6勝利点を手に入れる。
ここでほぼ勝利は確定した。

mia「え、あと1ラウンドしかないの? 思ったより終わるの早い」

4ラウンド目、miaは虎の子のドラゴンカードを出して、わしは初めて兵力で負けるも、2枚目の建物カード聖堂を一気にレベル2で建ててそのまま勝利。
建物カードは資材さえあれば一気にレベル2を建てる事が出来るのだ。

所要時間30分


勝利点を記録するボード。結局、3つの建物を建てた。建物は確実に勝利点が入るので是非とも建てていきたい。

ソマーリオ

ブースタードラフト、兵力の勝ち負けなどの基幹システムはほぼ世界の七不思議なのだが、解りにくかった勝利点の獲得方法をシンプルにして見通しが非常に良い。どうすれば得をするかがよく分かるのだ。

このゲームを世界の七不思議のパクりと言わせない工夫が経年マーカーの存在である。このアイデアはシステム的には、様々なコンボを生み出せる可能性があり、TCGの大家マジックザギャザリングを彷彿とさせる。そして世界観的には、1ラウンドが25年という単位で国力の増減を見事に描いている。かつてこれほど短時間に100年間の国の盛衰を現したゲームがあっただろうか? これはまったく素晴らしいアイデアだ。

経年マーカーはマジックザギャザリングのアイスエイジにあった累加アップキープというのを思わせると教えて頂いた。様々な要素をミックスさせてはいるが、そのバランスが良いのだ。

出てくるユニットはドラゴンやトロール、騎士や民兵、画家などがあり、定番のファンタジー世界を堪能できる。ドラゴンと一緒に騎士が軍隊を編成するというだけでワクワクしてくるだろう。

このゲームが唯一同人らしさを残しているところといえば、カードのイラストだけだ。とはいってもカードのイラストはその同人臭さがヴォーパルスの世界観と非常にマッチしており、これはこのまま残して欲しい。進撃の巨人の絵は下手くそだが、あれがあの独特の世界観を醸し出しているのと同じ理屈である。

不満点をあげるならば、収入は実際に金貨チップがあるのに対して、材木、鉄鉱石、食料などの資材は概念だけで頭の中で合算しなくてはならず、使用時に解りにくい。保存が出来ないのはシステム上しょうがないとしても、表示トラックを同梱しマーカーを置くことで現在どれくらい産出できるかを一目で見れる工夫はとれたように思う。ここはちょっと自作して対応する。

不満点はそこだけ。プレイ時間は短いくせにしっかりとゲームしているし、箱、ルールブックなどのコンポーネントは商業ラインに載せても文句のつけようがない。追加カードセットも売っているし、それは既に手に入れた。今後も、ヴォーパルスの世界観が広がっていくことを楽しみしている。

gioco del mondo