中村聡

遊宝洞

2〜5人
15分

妖精奇譚

子どもたちがせがむ。神聖帝国と魔界との攻防を。子どもたちが最も好きなのは空飛ぶ竜の物語だ。傷だらけのドラゴンの子どもが、伝説の竜になった話は大好きなのだ。女の子は妖精の森に住むエルフの女王の話を聞きたがる。神聖帝国と魔界、果たして勝ったのはどちらだろう? 妖精たちが織りなす変わったストーリー、それはあなたが紡いでいくのです。









このようにカードを公開していき得点の高い方が勝ちという簡単なゲーム。

プレイ感

もう見た瞬間、「うわっ」と思ったね。この絵、、、同人誌の絵以外の何者でもない。それだけで買う気100億パーセントダウン。いらんでしょうと思ってた。同人誌系の絵って大嫌いなのよ。まったく美しくない。もちろんそこから有名になった人はおるんやろうけど、全てが同じパターンの絵に見えてしょうがない。個性がまったく感じられんところが嫌なんかも。ちと脱線したが、それでほっといたのだが、日本製のゲームという事でひいき目に買わんとなあと思うところもあって、ネットの情報を待つことにしたのだった。

各地で賛否両論となった。おもろいという人とおもんないという人と。こりゃあ、いっぺんやらんといかんなと、東京へ行った時、ローさんにきいた。「俺は好きじゃあないけど、マジックザギャザリングやった事のある人は面白いっていうよ」との答え。

わし、テキスト系は好きやし、マジックもやってたし、これいけるんちゃうん? と思ったが、国産カードゲームごときに2100円も払うのはもったいないとせこびっちに、地雷踏むのが三度のアナルストッパーより大好きな人に聞いてみることにした。

オモシロ、との返事。

さすが俺、最先端のゲーム情報をまったく提供していないHPだけあるぜ!
つう訳で購入。前にナナキとやったのだが、今回ムン様大会の合間をぬって、TAM、ケッカクとの2人プレイやら、3人プレイをした。

このゲームのポイントはブースタードラフトというマジックザギャザリングのシステムを採用したところ。

※ マジックというのはTCG(トレーディングカードゲーム)の元祖である。これを真似して遊戯王カードゲームなどがでた。なんせ金かかる。

配られた5枚のカードから好きなのを1枚選んで隣に渡す。逆隣から同じように4枚となったカードがくるのだ。それをまた選んで隣に渡してぐるぐる回す。最後に選んだ5枚の手札となるって寸法。

これから3枚のカードを出せる。カードは特殊カードばかりで、同じ枚数集めれば集めるほど点数が高くなったり、特定のカードと併せる事で高得点が貰えるのもある。

出したときの効果は以下の順に解決する。
@ハント そのとき同時に使われた相手カードのうち条件にあうカードを裏向きにする。(上級のみ)
Aオープン これまでに自分の出したカードのうち条件にあうカードを表向きにする。
Bクローズ このカードを含めてこれまでに自分の出したカードのうち条件にあうカードを裏向きにする。
※カードは初めて置いた時にのみ効果を発揮する。一度裏向きに置いたカードを再び表向けても効果は発揮しない事に注意。

☆マークのカードは条件を満たした時のみ点数が貰える。(条件は厳密で龍が2と書いてたら2枚でないといけない)
Almightyカードは点数計算の時に好きなカードになる。


1枚ずつ出して3枚出す。出す時にカードに書いてある特殊効果を実行する。5枚のうち2枚は使わずに捨て札となる。ところどころアイコンが書かれており、文章が読めない人でもゲーム出来るという工夫がある。最初解りにくいが、とても使いやすくなった。

合計4回このブースタードラフトを繰り返して、出したカード12枚のうち表向きになってるカードの合計点数の高い人が勝ちである。


こんな感じに最終的に裏表合わせて12枚並ぶ。表向きの合計点の高い方が勝ち。裏向きのカードは色々な効果でひっくり返らされたりした結果こうなる。

とまあこんな感じなのだが、このゲームの最大のポイントはコンボと呼ばれる連携プレイである。ひたすら同じカードを取りまくって高得点を狙うのだが、そうはさせじと回ってきたブースターから引き抜かれたりするのだ。もちろん自分も欲しいカードがあるのでそこらへんは兼ね合いである。

これがなかなかにおもろいのだ。マジックザギャザリングほど複雑でないし、1ゲーム20分ほどで終わるので何度でも楽しめる。プレイ感もかなり軽い。日本のゲームやとあなどっていたが、これはおもろいわ。

TAMと二人でやったが、ついつい何度でもやってしまう。さすがはマジック大好きのブルーノフェドゥッティが大絶賛しただけある。


TAMがビビり始めた*印集め。カードの枚数分得点となる。今は3点ずつである。

そう、このゲームにはマジック経験者という前提がつく。

今回、ケッカクという初心者のおかげで分かった事だが、面白味がさっぱり分からないらしい。当然である。何がどうなのか、全体の構造を理解していないと果たしてこのカードを取っていいのかなんて分かろう筈がない。これはマジック経験者なら勘で分かるところだが、知らない人はそうはいかないのだ。

俺もTAMもマジックは結構やったクチなのだ。

このゲームの駄目なところは他にもある。biscoさんが書かれている通り、説明書がどうしようもないところだ。ここまでへたくそなルールブックはなかなかお目にかかれない。


このゲーム最強の*マークを集めて完勝。*は同じカードの枚数だけ得点となる。この場合4枚あるので合計16点である。5枚集まると手が付けられないので相手が集めてる場合はブースター中に引き抜く事。

最初、この意味不明のアイコンに腹立ったが、慣れると非常に解りやすいアイコンである。要は文法なのだ。必要なカードの総枚数を書いてるのは親切でよいのだが、絵柄が小さくて何のカードかさっぱり分からないのはマイナスだ。

結局8ゲームくらいやって、2回TAMに負けた。所要時間15分。


時にはこんな事もある。1枚だけしか表向けにならない。

TAMのコメント

これおもろいですねえ。僕も買いますわ。ただ、この絵全然いけてないですねえ。。

数日後、TAMの嫁がこれにはまりまくったとの噂をきいた。なんせお手軽に出来るのがいいらしい。

ナナキのコメント

絵がなあ。アイコンがなあ。でもこの絵描いてる人、私の知り合いだわ。

ソマーリオ

マジックをきわめたデザイナーがマジックのブースタードラフトを活かしたカードゲームを作った。当時は敷居が高くて、合わないという人もいたようだ。

ただゲーム勘のある人やマジック経験者ならこれのおもろさはすぐに実感出来る。カードは追加セットをばんばん出せるタイプなので、わしなんかは心待ちにしているくらいである。その場合、是非絵のデザイナーを代えて欲しいのだが。

カードのコンボとして、1枚しか入ってないカードがあれば高得点となる上級カードがある。当時はこんな運に意味があるんかと書いたが、大きく反省している。これにはまさに妖精奇譚というべきロマンがあり、*印が強い初級ルールだけではこの妖精奇譚の真の楽しさを味わう事は出来ない。

他にも上級カードには様々な仕掛けが施されており、久々にやってみたら出来の良さに驚いた。○○の伝説第△章というへんてこなカード名も、非常にダサくて、そのダサさがこのゲームの妖精奇譚という雰囲気とマッチしてて誠に良い味となっている。当時、これを書くに当たって色んな意見を先に聞いてしまってそれを反映させたので、若干ネガティブに書いてた事を作者に申し訳なく思った。確かにマジックのブースタードラフトを採用しているが非常にオリジナリティにあふれプレイアビリティも高く、洗練された日本を代表するカードゲームといえる。またアイコンの解りやすさ(最初は解りにくいと思うねんけどねw)は特筆すべきものがある。追加カードを今更ながらでも出して欲しいなあ。

2011年世界の七不思議ドイツゲーム大賞エキスパート賞を受賞したところをみると、妖精奇譚は今こそ評価されるべきゲームだと思う。早すぎた故に、一般人に受けなかった。切れ味の鋭さなどは世界の七不思議を上回る。プレイするカードを3枚に絞る事で、相手のカードを握りつぶせる余裕があるところなど非常によく出来ている。再評価されていいゲームだ。おそらく今ならマジックを経験してない人でも十分楽しめる筈だ。まだ現在販売されているばかりか、Z-manから英語版も出たくらいなので、絵に惑わされず一度は絶対にやってみて欲しい。

gioco del mondo