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Klaus Teuber
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KOSMOS
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3〜4人用
120分
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カタン 旅立ち
近代人類(ホモ・サピエンス)の発祥の地は、アフリカでした。
これは、学者たちによって、現在のケニヤで発見された頭蓋骨から推定されたものです。この頭蓋骨は、現在の人類の解剖学的な特徴を全て備えており、それは、およそ15万年前のものと推定されています。
強烈な気候変動によって食糧不足に陥ったことや、あるいは移動の本能によったりして、一部の人間の集団は、およそ10万年前にアフリカを去って現在の中近東から全世界に広がっていきました。
カタンのシステムを使って、人類発展の足取りを辿ります。
プレイ感
お蔵入りレビューにあるようにかなり前に一回やって、資源3枚で別の資源に交換できるというルールを失念して、やたらと時間がかかり印象が悪くてすぐに売ってしまった。ふともっかいやりたいなと思い買い直した。コタ14歳、そーじろ10歳、miaとの4人プレイにて。
基本的なルールはカタンをやってる人であれば、分かると思うが、意外と違いがある。
街道は存在せず、駒を移動させて部族の村を作る感じ。部族の村はどこにでも建てられるわけじゃなく初期配置でおいた民族チップの場所でのみ建てられる。
また各場所にイベントチップがあり、そこを超える時に色々な効果をもつチップをもらう事ができる。これがカタンの発展カードの代わりだ。
4つの発展レベルがあって、各場所によって発展レベルがそれに達していないと通過することができない。例えば、ユーラシアからアメリカにわたる時には衣服レベル3、建設レベル1が必要だ。また発展レベルを最大の5にした最初のプレイヤーは勝利点1を得る。
盗賊の代わりにネアンデルタール人と剣歯虎がいて、前者は7が出たらアフリカ、ユーラシアのみを移動する。剣歯虎は7では動かず、(騎士代わりの)狩りレベルをあげるとアメリカ、オーストラリアを移動する。能力は同じだ。

ボード四方に発展レベルがあり、左右の衣服と建設は条件があるエリアに進出できるようになり、上の狩りはネアンデルタール人、剣歯虎の移動、下の栄養は移動力に影響を与える。
また各所に4種の民族チップが置かれており、ここにしか部族の村を建てられない。
ローマ数字で書かれた四角いチップはイベントチップで、様々な効果を発揮する。
民族チップは勝利点1、その他にもイベントチップなどにより10勝利点を最初に集めたプレイヤーが勝ちだ。
カタンの最大騎士力や最長交易路に相当するイベントチップ最多や全種類民族チップ獲得などが勝利点2としてある。
これは2回目のプレイである。というのは1回目は皆がヘボすぎてわしが圧勝してしまったので、もっかいやってからとなった。
最初は、なんといっても火打石が欲しい。石は発展をレベル1にするのに必要なのだ。
そこらへんは作者もよく分かっているようで、石は全員が手に入れやすい初期配置となっている。
わし「石を使って、栄養アップ」
栄養の発展は移動力をあげる。移動は基本は2マスなのだが、栄養のレベルだけ移動力がプラスされるのだ。
コタ「僕も」
mia「わたしも」
そーじろ「そーじろも」
と、まるで昔のコマーシャルみたいな形となる。
ただしコタは石と象牙を使い一気に3段階まであげた。

人類発祥の地アフリカからスタート。アフリカはさいの目もよく肥沃な大地だ。
わし白は早くに遊牧民を移動させてユーラシア大陸に進出する。下にちらっと見える栄養では、オレンジmiaは2段階、コタは3段階まであげて移動力をアップさせている。
序盤、これまじで重要。
そこからが勝負である。
わしは遊牧民を早めに動かしてユーラシア大陸に進出する。
目的はそこに新たな部族の村を起こして、そこを拠点にイベントチップ探索の旅にでるためだ。
コタもmiaもそれに追随した。
最初は石が需要が高いが、すぐに象牙需要が高くなる。また移動に必要な肉は抑えておきたい。そういったユーラシアで一番良い場所はコタの遊牧民に先に押さえられてしまったが、2番目はわしが抑えた。そーじろのネアンデルタール人の襲撃で象牙を取られて発展レベルをあげられなかったせいだ。
駒は追い越すことはできるが、同じ場所に留まれないので、先にその場所へ遊牧民を移動させて、あとでゆっくり部族の村にすれば良い。
ただし、新たな遊牧民を早めに作り探検をすぐ開始したので、早いもの勝ちのイベントチップはわしが先行する。これは最初にプレイした通りで圧勝したパターンだ。
先にイベントチップ最多の2勝利点カードを手に入れた。追い抜く必要があるので最初にゲットしておくのは有利だ。
そしてイベントチップの強さはアフリカを砂漠化する場所を選べるということだ。
わし「お、山岳を砂漠化か。じゃあ、ここ」
砂漠タイルを一番石が出やすい山岳に置く。ネアンデルタール人なんぞは移動させてしまえば再び資源が出るが、砂漠の恐ろしいところは、二度と出なくなるということだ。その場所をアフリカだけとはいえ、選べるのは大きい。

ユーラシア大陸では皆が部族の村を建てた。イベントチップにより、2つのエリアが既に砂漠化している。
砂漠化は土地の種類は指定されるが、どこを砂漠化するのはイベントチップを引いたプレイヤーが選べるのが大きい。
今回は森を引いたわしが、9の森を潰し、平原を引いたコタが6の平原を潰した。このせいでしばらくずっと象牙不足がおきた。
またこのカタンの特徴として砂漠化は肥沃なアフリカを出ていく強力な動機づけとなっている。
ところが、コタもそれを追随してイベントチップ獲得に必要な衣服と建設のレベルをあげて、イベントチップを次々に獲得していった。
コタ「あ、これは無理か」
わし「いや、こうしたらイベントチップ取れるで」
コタ「あ、ほんとだ」
mia「ちょっと、なんで教えるのよ。むかつく!」
miaが狙ってたイベントチップを、コタが横取りしたのだ。
そうこうしているうちにわしのイベントチップ最多がユーラシア大陸の攻防で取られてしまった。
コタ「前にこれでやられたから冒険は大事と思ってね」
そういって、自分に影響のない場所を砂漠化していく。
コタ「よっし、この平原の砂漠化を狙ってた。どーん」
わし「あ、くそ」
そーじろはユーラシアに部族の村を複数を置いたが、イベントチップ争いには加わらない。
コタは更に衣服レベルを3にして最初にアメリカへ進出した。
早い!
そしてとんでもない俊足をつかってアメリカのイベントチップを次々に取っていく。

とうとう、新大陸アメリカへコタ赤が進出。ここはネアンデルタール人の代わりに剣歯虎が襲ってくる。
わしも一足遅れてアメリカへ進出するが、イベントチップは少ない。
アメリカ大陸の良いところはネアンデルタール人がいないことだ。代わりに剣歯虎がいるが、7がでても剣歯虎は動かせないのだ。狩猟の発展をあげることと、イベントチップによってのみ動かせる。アフリカは資源産出に有利な目を持っているが、ここでもアフリカから出立する動機づけが出来ている。
わしが狙っているのは、移動するイベントチップ最多勝利点カードではなく、民族チップ全種類カードだ。これは最初に4種類の民族チップを集めたプレイヤーがもらえる。2番目は1点貰える。
というわけで、アメリカに進出したと同時に、海原を目指してサイババの地オーストラリアへ進出することにした。オーストラリアへの移動はアメリカとは逆で、建設の発展レベルを3つまりボートの製造を可能にした。
miaも流れ的にアメリカではなくオーストラリアに進出する。
その頃にはアフリカの砂漠化が進み、肥沃な大地も見る影がなくなっている。
ただしmiaは部族の村を作ることなく、ひたすらオーストラリア探検に励んだ。

アボリジニ化したわしに対してmiaはインドから派遣してオーストラリアの冒険を行ってきた。
冒険に遅れたそーじろはアジアへ進出しつつ、それを橋頭堡に北アメリカへ定住化した。
オーストラリアはわしとmiaでイベントチップの取り合いとなった結果、コタのイベントチップを上回ることはできないという結論に達した。
ただわしは民族チップ4種を集める、つまり分布の2勝利点カードをゲットした。もうこれ、世界征服ちゃうん?
コタもその美味しさにようやく気づき、オーストラリアに進出して、1勝利点(好きな民族チップを取る)をゲットした。
ただしオーストラリアのベストポイントは先にアボリジニ化したわしが抑えている。
イベントチップを取られまくったせいで、その余力を部族の村建設を行ったので、わしの部族の村はアフリカを全て離れて、各大陸に散らばった。

この頃になると、アフリカは見ての通り砂漠、砂漠、砂漠である。ここに残っても益は少ない。
そうこうしているうちにわしの勝利点は9点となった。コタは8点。
コタが勝ち勘定を始める。ただわしも次の手番に勝ちは見えた。部族の村を作っても良いし、発展レベルを5にしても勝てる状態だ。
発展レベル5も部族の村も同じだけの資源が必要なのでどちらでも良かった。
インディアン化したそーじろが最後、交易したいと粘ったが、誰も応ぜず。
そしてわしが最後は部族の村を建てて勝利した。
コタ「ええええ!! くっそー」
一足違いだったようだ。
所要時間2時間30分

最終。見ての通り、細々と暮らすアフリカの民、多くの民族を抱えるユーラシア、新天地アメリカとオーストラリアで定住化が始まっている。
コタのコメント
くっそー、悔しい。前にパパにイベントチップでやられたので、今回は上手くいった。砂漠は強い。
miaのコメント
さいころ運だよ、これ。
(砂漠化されたのが原因やと気づいてないな)
ソマーリオ
最終盤面をみると、実際の世界情勢になっていて非常に面白い。アフリカで細々、ユーラシアに多数、オーストラリア、アメリカで定住化といい感じで散らばってる。まさにトイバーが描いた最終局面といえるだろう。ドラえもんのたしか6巻で小型地球を作るアイテムってのがあったが、あの話が好きで、自然とこういう形に帰結するってのがわしのツボにハマった。
色々と工夫して人類はこのように広がったんだなという感じがとてもしていて、ゲームとしてもシミュレーターとしてもかなり良いシステムと思った。なんせワクワクするところがある。
ただいくつか欠点はある。
まずはプレイ時間が長すぎるところ。カタンやと長考プレイヤーが居なければ1時間程度で終わる。
プレイ時間に関してはシステムが複雑化されているので、ダレにくく出来ているが、それよりも問題なのは、置いていかれると挽回しにくいところだ。
そーじろもmiaも冒険で遅れをとったせいで、完全においていかれた。イベントチップは早いもの勝ちなので、逆転はかなり苦しくなるのだ。
そういった意味でドイツゲームとは思えないピーキーな仕上がりだ。初手のやり方を間違うと終わる。ここは何か救済措置があっても良かったように思う。イベントチップが強すぎるのでこれを取らずにも勝てるようなシステムにして欲しかった。
そういった問題点はあるが、世界地図が広がるだけでワクワクするし、それに個人的な発展、冒険というテーマの好みもあって、やっていて楽しかった。沈んでるプレイヤーは多分面白くなかったと思うが。
宇宙カタンと同じような男心をくすぐる冒険がこのゲームにはあり、後に発売されたヴレーデの火と石の時代と比べて人類の苦労が味わえてとても良い。火と石の時代はテンポを良くしたせいで、システムが内包する人類の発展という部分が薄くなってしまった。
カタンは結局のところ素カタンが一番バランスが取れてて面白いと思うが、こういった変わり種にもシステムが応用できるところがカタンの凄いところだと思う。
テーマ的にピンときた人は、宇宙カタンと併せてこちらの旅立ちカタンもお勧めしたいが、旅立ちカタンは日本ではもう流通してなかった。買える人はプレイ感が全然違うので、素カタンと併せて3つとも持っていていいと思う。
ただメビウス訳の旅立ちというのはインパクトにかけるし、パケ絵があんまり良くないな。おのさんが訳したアドベンチャー人類でも良いし、人類の旅立ちとかそんなんで良かったと思う。