Alex Randolph

Ravensburger

2〜4人用
30分

ビッグショット

このシカゴには、4つのファミリーがシマ争いを繰り広げている。
シカゴは4つのファミリーが仲良くするには狭すぎるのだ。
あちこちで、抗争が勃発していた。
しかしマフィアにとって、シマを獲得する手段は暴力だけではなく、政治家への買収などお金の力の方が大きい。

プレイ感

ランドルフの佳作としてオークションなどでは高騰してる。ランドルフ関係を集めたくなって、入手することにした。タメラ、COQ、miaとの4人プレイにて。


周りに4個ずつ(4人なので)ランダムに駒を配置しておく。それから適当にスタート駒を置いて、サイコロを振った数だけ時計回りに進める。止まった場所の駒がまとめて競りになる。
競り落としたプレイヤーは、お金を支払い4個の駒を好きなようにシマに置く。まとめて1カ所に置いても構わない。

この駒が各プレイヤーの色と連動しているのだ。各シマの最大数は7個となっており、その中で一番数の多いプレイヤーがその地域を支配した事になり、エリアに書かれている数字の勝利点を得る訳だ。そしてここでも最多タイの場合は、はげたかルールにより次に数の多いプレイヤーが支配する。


周りに全員が共有する駒をおき、そのマスにある駒を競るのだ。落としたプレイヤーは好きにシマに配分できる。シマに書かれている数字が収入であり勝利点だ。

タメラ「駒の最大が7個ではげたかルールって、最近どこかで見た気が…」

わし「ほんまや。トロイの木馬のルールの使い回しや!」

公園エリアなどは隣の自分のシマの得点を倍にする。こうして全ての駒が置かれたら得点集計し、さらに手持ちのお金も足して合計点を競う。お金と得点は1対1なのでお金はとても重要だ。最終的に全ての駒が配置されたら合計して一番得点が高いプレイヤーが勝つ。

COQ「確か前にやった限りでは、お金が全然足りなくて、借金しまくりでしたよ」

初期のお金では、速攻足りなくなる。
それはこのゲームの内容物に大量の借金タイルがはいっていることからもよく解る。

また借金の利率がヤクザな利率で、1枚目なら10ゴールド借りると先に1ゴールド利息を引かれて9ゴールド貰える。2枚目は2ゴールド、3枚目は3ゴールドの利息、つまり9枚なんか借りたら1ゴールドした手に入れられないのだ。
まあテーマがマフィアのシマ争いなので、こんなもんかも知れん。

関西人のわしは非常に吝いので、この手のゲームはあかん。

COQ「じゃ、7ゴールド!」

タメラ「じゃ、13」

と言われると、もう無理。わしの中の適正価格は4とか5だったりするので、勝負にならない。

いきなり莫大な借金をして果敢に攻めるタメラに皆、びっくり。
ところが、それが非常に安い事に気づく。13ゴールドの出費で、21の土地を手に入れたのだ。


21のエリアにまたしても黄色タメラの配分が見事に決まる。こいつ、はげたかルールの申し子か! エリア支配が決まったら、このようにソールドアウトの札を置き、支配したプレイヤーの駒だけにしておく。

当初はこの値付けにびっくりしたが、値付けはどんどんと高騰していくばかり。

タメラ「5」

わし「6」

タメラ「7」

わし「あ、お前、これトロイと同じ展開やんけ。ここ取られたら、はげたかルールでお前が勝つやん!」

タメラ「ばあれたかあ!」

とこんな感じで、デジャブが甦る。

タメラ「今にして思えばあの価格は非常に安かったですね」


徐々にシマ支配が進んでいくが、白わしの支配はなし。見ての通り、皆は借金タイルが山積みになっている。

実はこのとき、借金は1ラウンドに1枚だけというルールが抜けてて、高騰したのもあるが、基本は借金しまくりである。
この1ラウンドに1枚しか出来ないというルールは超重要なので後述する。

わし「23!」

タメラ「あきおさんが、周りを手に入れてないのにここを頑張る意味が解らない」

わし「ここ落とせんかったら、わし自動的に負けやんけ」

このゲームのもうひとうのルールは、2カ所でもシマを落とせなかったプレイヤーは自動的にビリになる。
そこで周りに自分のシマがなくなんとか多数を確保できる公園というまったく意味のないところに勝負を賭けねばならない、しょぼしょぼプレイをせざるを得なくなる。

結局、うずたかく積まれた借金タイルの中で、はげたかルールの申し子が勝利。
この手のゲーム、やたらと強い。はげたかルールを熟知してやがるわ。

所要時間30分


借金は少ないが、マイナス点のわし。


借金は多いがプラス点のmia。

COQのコメント

シンプルイズベストというのが似合うゲームで楽しかった。

ソマーリオ

このゲーム、一言でいうと、トロイの木馬の実力版である。トロイの木馬はかなり運の割合が大きかった。それに不満を持つプレイヤーならば、このビッグショットがお勧めである。

競りは値付けの問題で何度かやらないと適正な価格が解らないが、ビッグショットはボードにはシマの収入が描かれており、さらにお金とシマの収入は1対1であることから、見通しはそれほど悪くない。唯一、価格で解りにくくしているのは公園の存在なので、ここには若干の慣れが必要だろう。

このゲームの負のイメージを持つところは、なんといっても手持ち金が少なく借金をしまくらないといけないところ。あのランドルフがなんでこんなデザインをしたのかと一瞬疑ってしまうが、実はこれがシステムの安全弁として機能しているのだ。借金を出来ない競りゲームだとすると、初心者などは競り値がわからず手持ち金をすべて使い切ってしまう可能性がある。そうなるとゲームから脱落してしまうだろう。
ところがビッグショットでは、元々の手持ち金が少ない+手番に借金1枚しか出来ない+利息が1ゴールドずつ膨れあがるので、あるラウンドに競り値が解らず一気にお金を使い切ったとしても、限界が決められているのでゲームから脱落することなく、次の手番には再び勝負が出来るのだ。借金というルールを使って上限を美しくシステムに盛り込み、競りゲームの欠点を補ってしまった。なんという凄いデザインだろう。やはりランドルフだった。

コンポーネントは、必要にして十分。シマの絵は可愛らしく、お金のコインも雰囲気がしっかりしている。
しかしボードの絵や雰囲気から、ファミリーゲームを想像させてしまった。ガチなゲームである事に間違いはなく、そのギャップのおかげで今ひとつ話題にならなかったのかも知れない。

シンプルな中に、プレイヤー同士の濃厚な駆け引きがあるのは、ランドルフの真骨頂といっていいだろう。
ルールは簡単だがたっぷりと考える要素があり初期のドイツゲームの良さってのを再認識出来る。アグリコラドミニオンなどで新しくドイツゲームにふれる層がこのゲームをどのように判断するだろうか? トロイの特殊な形状から再販は難しそうだが、ビッグショットなどは是非ともリメイクして欲しいところだ。

gioco del mondo