Reiner Knizia

LUDO NOVA
アークライト

2〜4人用
60分

バビロニア


古代メソポタミアは、多くの民族の興亡の歴史である。
北部がアッシリア、南部がバビロニアで、バビロニアのうち北部バビロニアがアッカド、下流地域の南部バビロニアがシュメールとさらに分けられる。南部の下流域であるシュメールから、上流の北部に向かって文明が広がっていった。
シュメール、バビロニア(首都バビロン)、アッシリア、アッカド(ムロデ王国の四つの都市のひとつ)、ヒッタイト、ミタンニ、エラム、古代ペルシャ人の国々がその興亡を演じる。

プレイ感

くにちーの2020年新作で、チグリス・ユーフラテスの文明を扱うとあっては、買うしかない。ルールを読むと、ブルーラグーンとそっくりなルールやん。少しがっかりしながら、コタ9歳とmiaとの3人プレイにて。


準備として、ジグラット駒を指定の位置に置く。それと農民タイルと都市タイルをごちゃまぜにして、指定の位置にランダムに置いて表向けにする。人数によって使えるマップ範囲と、タイルを抜いたりするので、ルールを確認して行う。今回は3人プレイなので北部(ボード左端)の陸地は使わない。
各自、自分の色の3種類の貴族チップ6枚と、農民チップ12枚を混ぜて、5枚を手札とする。


3人プレイ時はボード左端(北)を使わない。ランダムにタイルを配置し、指定の位置にジグラットの木駒を置く。


作り込まれたチップ置き場。チップも置き場も木製という素晴らしさ。かなり寝てしまうので、もう少し溝は細い方が良かった気はする。

手番には、好きなチップを2枚置くか、農民チップのみを3枚以上置くかする。
置ける場所は、空白のマスならどこでもいい。繋げなくても良いが、繋げたほうが得する事が多い。
また川は裏向けに配置し、マークは関係なくなる。

農民タイルの場所は農民チップを置くことで取ることができるが、直接置くことは出来ず、一旦隣に何かのチップを置いてからそれと繋げるようにする必要がある。数字は勝利点ですぐにマーカーを進める。青色の■は、取った時点で全員が持っている都市タイルの数だけ勝利点を貰える。


薄い緑で囲われたマスに農民チップが置かれているが、ここには農民タイルがあったという事だ。青色の都市タイルは包囲しないと取ることはできない、とタイルによってとり方は違う。農民タイルは少し見にくいが、緑色の農地を人が耕している絵のタイルである。
ちなみに川か陸か判別しにくいように思うが、川にはきちんと川のマークが描かれているので細かなところもきちんとデザインされている。まさに川の字に見える。

ジグラットの隣にチップを置くと、その時点で自分が接しているジグラットの数に応じて点が貰える。同じジグラットなら何枚置いても1点しか入らない。

都市タイルとジグラットを包囲することが出来る。
包囲とは、川以外の陸地を取り囲むことだが、川に置いたチップもその勢力には含める。というのは包囲した時点で一番貢献しているプレイヤーが恩恵を受けるからだ。

都市タイルを包囲すると、そのマーク1枚につき2点入る。マークはその都市を包囲しているチップが接続しているチップをすべて辿って計算することができるので、なるべく繋げた方が有利であると書いたのはそのせいだ。この得点はかなりでかい。都市の包囲に参加しているプレイヤーそれぞれで得点できる。
それと全員が、持っている都市タイル毎に1点貰う。それから一番包囲に貢献しているプレイヤーがその都市タイルを貰う。トップタイは誰ももらえず、タイルを捨てる。

ジグラットの包囲は、通常の得点をした後、貢献しているプレイヤーがジグラットタイルから好きなものを選んで貰える。これは特殊効果がある。

こうして誰かがチップを全て使い切るか、都市タイルが残り1枚以下になったら即座にゲーム終了。勝利点で勝敗を決める。

特別ルールとして手番の最初のプレイヤーは、チップ1枚しかおけず、2番手プレイヤーは2枚しか(つまり農民だけで3枚以上はおけない)置けない。

miaが先行。7点の農民タイルが欲しくて、その隣に置いた。

わしはいきなり横取りも出来るが、最初からはそれは可哀想なので、6点の農民タイルをゲットする。
ここから境界線を作っていけるはずだ。

コタは、全然違う中部(ゲーム盤左端)にあるジグラット付近の7点タイルを狙いにきた。


コタはここからジグラット包囲からスタート。もちろんどこに置いてもいいが、繋げたほうが有利なので、ある程度はこうなる。左下の薄い緑で囲われたマスが空白なのは、都市タイルを包囲することでコタが手に入れたということだ。ここは3つのマスを押さえれば包囲できた。

ここで基本的な3人の思惑がたった1手番で決定したのだ。

一人で悠々と中部北を落とせるが、狭いコタの領土に対して、わしとmiaは、中部南から南部という広大な土地を奪い合う図式となったのだ。

実のところ、この1手目でわしはTwixtを思い出した。最初の布石が戦略を決定する。

そこからわしは都市タイルに注意しながら、miaを取り囲むように東進する。
miaは北部に逃げていくことになる。

コタ「ジグラット囲んだ」

誰もいないジグラットをコタ帝国が包囲する。最終的に4枚配置したが、ジグラットは1種類しか接していないので4点しか手に入らない。
しかし、ジグラットのボーナスタイルを手に入れることができる。

コタ「うーん、なんかよくわからないので、10点にする」

単純に勝利点10のタイルを選んだ。

見たところ、手札を7枚にするタイルが強そうなので、わしはこれを貰うためにジグラットを包囲することにする。

miaが先に1個だけ触れていたジグラットにぐるりと包囲する。


ジグラットの包囲は、ボーナスタイルを手に入れられる。わしは手札を7枚にするのを選んだ。ジグラットは包囲されても取り除かない。
右にある都市タイルは包囲したときに、これに接続している壺と人のマークのチップの数×2点入る。この場合だとあと2マス埋めたらいい。たとえば、その2枚をわかりやすくするために農民で囲ったとしたら、12点入るのだ。川の向こうまで人チップがあり、それも計算されるためだ。

そして手札を7枚のタイルを選ぶ。これで大幅に選択肢が増えるはずだ。

特にやりたかったのは、農民チップの一気置きである。手札5枚だと3枚以上農民チップが手元にくることが少ない。

コタが飛び道具的に攻めた2つ目のジグラットにmiaが気づき、コタの他の勢力と合流させないようにブロックしすつジグラットを囲み始める。

わし「わしもいっちょかましてくれや」

と川を越えて、ジグラットに接触。1つでも良かったのだが、2つ置くことで誰もジグラットタイルを手に入れられないようにした。
コタもわしも2つめのジグラットなのでそれぞれ4点ずつ手に入る。

ん? これ他のジグラットとりあえず1個接触させてれば、後はめっちゃ点伸びるんちゃうん?
たとえば4箇所にジグラットに接触させてれば、1回につき4点ずつ入る。最低2枚おけるので、1手番8点だ。

とこれは後日のプレイでやることになった。名付けてジグラットいっちょがみ作戦。

わし「よし、これで都市タイルを囲む」

都市タイルの点数はこのゲーム随一の破壊力を持っている。
ルール間違いかと思うくらい点が伸びる。

わし「壺と太陽のマークの数は合計10枚なので、20点」

mia「なに、それ!」

なんせ繋げてさえいれば、すべてのマークを合算できるのでめちゃめちゃ点数が伸びる。

わし「お前も点入るで。3枚なんで6点やけど」

さらに「全貴族のマークの数なので(3つのマークが記されている都市タイルがある)、24点」

mia「ぐはぁ」

得点ボード、余裕で1周回る。


全景。miaが真ん中で挟まれているのが分かる。

苦しくなったのはmia。コタとわしの勢力に挟まれて行き場を失っている。

ただしコタが自前で包囲をしてたおかげで、点数の伸びはいまいちで、miaはその勢力をうまく使い包囲しまくってるわしの恩恵を一応は受けていた。

後半になると、農民の5点とか6点がしょぼい点数になってくるので、如何に多くの点数を手に入れるかの計算が始まる。
ほとんどの場合、都市タイルの包囲にすこしでも絡んだ方が点数が高いのだ。

こうして、すべての駒を連動させつつ、わしが最後のチップを置いてゲーム終了。

最終ボーナス点というのはないので、そのままの得点を見ればいい。

ぶっちぎりでわしの勝利。

所要時間60分


都市タイルはあまり取れなかったが、いっちょかみが効いて点数が伸びた。ジグラットのボーナスが1枚裏返しなのは、1回こっきりの効果を使ったからだ。追加手番1ってヤツ。

そうそう、次にやったジグラットプレイの結果はどうだったかというと、チップをきちんと繋げずあちこち飛び火させてジグラット1枚の得点をあげた結果、それも勝利することができた。なんという戦略の幅だろう。

miaのコメント

なんだか薄らぼんやりしてる。なんか勝てそうにない。

ソマーリオ

やばい。めちゃめちゃおもろい。レビュー途中にも書いたが、Twixtのような囲碁のような陣取りで、それに適度な運の要素が絡まって、たまらないプレイ感である。1手の布石が、その先の戦略を示してるとこなんか、たまらん。

こう書くと、どこにでも置けるしなんか難しそうと思うかも知れないが、都市タイルのマークのチップを多くして取り囲んでいくという見通しの良いプレイなので思った以上に簡単にプレイできる。例え失敗したとしても、繋げることでなんぼでも挽回できるので精神衛生上、非常によろしい。

またジグラットプレイは戦略の幅を確かめるために行ったが、さすがはくにちー、どうやっても勝てることが分かった。
ただし、点差は2回とも思いの外開いてしまったので、シビアに点数に現れるのかも知れない。
ただプレイ感は当初考えてたほど重くない。

非常に申し訳ない事だが、これと同じテーマでくにちーの代表作であるチグリス・ユーフラテスはすっかり忘れてしまったので、プレイ感の違いを書くことは出来ない。

ルールだけを読むと、ブルーラグーンと同じやんけ、と思ったが、やってみると圧倒的にこちらに面白さの軍配があがる。どうすれば点数を取れるかという見通しの良さが原因であろう。ブルーラグーンは、どうやってもとりあえず点数を得られるので、もっとたくさん点数を入れるにはどうしたらいいのかというのが分かりにくいのだ。点数のとり方がわかりやすいので、陣取りにより専念できる。点数も豪快で気持ちが良い。

コンポーネントは頑張りすぎるくらい頑張った素敵仕様。チップは木製に印刷されてる。ジグラットも木製で造形もまさにピラミッドだ。
都市タイル、農民タイルはしっかりと厚みがある。そしてここまで作り込む必要あったんかと思われる、チップ置き場も木製である。なんというこだわり。傾きが大きくてちょろっと人に手札を見られるかも知れないというのも全然許せてしまう。
チップ裏面がガン牌になってたりするのもあるが(わしのも1枚判断できてしまうのがある)、そこはもう許してしまう。必要であれば袋に入れてやればいい。

プレイ時間も長考プレイヤーがいなければ、余裕のよっちゃんで60分以内に収まる。

システム的に唯一ケチをつけることがあるならば、都市タイルを誰かが取った時、各プレイヤーが都市タイルの枚数分の得点を得るってのが、まったく意味がないような気がしてならない。忘れやすく面倒な割に非常に微々たる点数なのだ。都市タイルのマークの点数がでかすぎるので、わしのルール解釈が間違ってるのかも。その場合はすまん。

前から掲示板で言われているが、5大ゲームとするならば、こいつをまず入れておきたい。テーマ的にも非常に好みだ。

gioco del mondo