世界の珍品・名品の大オークション。
開催の木槌が今、打ち降ろされる!!
エポック
プレイヤング -3-
2~6人
60分
大競り市ゲーム
世界に名だたる蒐集家・守山栄氏の死去に伴い、記念美術館が設立されることになった。
その建設資金として、数百点に及ぶコレクションの内から40点がオークションに出されることになった。
今、そのオークションが開催されようとしていた。
会場は世界各地の珍品・名品を集めている好事家経ちで賑わっていた。
誰の目にも鋭い光が宿しているのが感じられる。
いよいよ定刻。全員固唾を呑んで見守る中を、立会人・本間紋二郎博士が壇上にのぼり、おごそかに大競り市の開催を宣言した。
プレイ感
その昔、エポックはブックタイプのゲームをいくつかシリーズ化していた。大競り市は僅か6種類しか出さんかったプレイヤングシリーズであるが、このシリーズは、堅牢なボードに全てのカード類が美しく収納され、マグネットの駒が売りであった。わしの買うたのはダービー予想ゲーム、大競り市ゲーム、株式売買ゲームであるが、このうちダービー予想だけは従姉妹へのプレゼントだったので既に無い。
ネットで調べてみると解るが、実はこの3つは全て元ゲームが存在している。もうひとつ元ゲームが存在する探偵学入門ゲームは見た瞬間、クルードだと解ったので買わなかった記憶がある。
大阪におった時に改めてTAMと株式売買ゲームをやったことがあるが、なんかゲームにならなかった。ルール間違いやったのか??
というわけで、このシリーズで一番やりこんだ大競り市ゲームを紹介する。miaとコタとの3人プレイにて。
骨董品カードは価格カードと常にセットとなっており、価格は持ち主しか見てはいけない。骨董品カードには2枚もしくは3枚で出来る同じグループのセットがあり、セットで揃えた骨董品は分割できなくなる代わりに、価格が2枚セットなら2倍、3枚セットなら3倍になる。
価格カードは10万円〜100万円およびニセモノがある。ニセモノがつくと価格は0円である。セットにニセモノが混じるとそのセットの価格も0円となる。
手番にはサイコロを振って進むのだが、左右どちらに進んでも構わないので、選択肢は常に2つある。以下、マスの説明がルール説明そのものとなる。
競りは、手番プレイヤーから時計回り順に値段をつけていくラウンド形式である。
骨董品カードはこのように価格カードと必ずセットとなっている。価格カードは持ち主しか見ることができない。また価格カードを追加する事もできる。
マス目は左右どちらに進んでも良い。
公開オークション…山札から骨董品カードをめくり、競りを行う。
個人オークション…自分の骨董品(セットでもよい)を競りに掛ける。落札されたら自分が貰う。
指定オークション…相手の骨董品を指定して競りに掛ける。落札した金額はそのプレイヤーに払う。
一般買入…サイコロを振った目の10万倍円で、山札から骨董品を買う。
指定買入…相手の骨董品をサイコロを振った目の10万倍円で買う。
売却…自分の骨董品(セットでも良い)を、価格カード通りの値段で売る。
一般売却…自分の骨董品(偽物を売れる唯一の手段。セットは×)をサイコロを振った目の10万倍円で売る。
遺産相続…山札から骨董品カードを無料で貰う。
ラッキー…サイコロを振った目の10万倍円貰う。
プライス…指定した自分の骨董品(セットでもよい)に、価格カードを追加する。
最終的に、骨董品カードか価格カードがなくなったらゲーム終了で、手持ちの骨董品を売却して一番お金持ちが勝ちである。
ちなみにこれらのマスの説明を何度やっても覚えられないと、当時、姉がメモ書きしてまとめていた、今でいふリファレンスを作っていた。
このルールで、最も面白いのはセットはばらすことは出来ず、ニセモノは価格を0にするところである。つまり相手にセットが揃うようにニセモノを上手く売りつける事ができたら、0円にする事が出来るという事だ。
またプライスマスも、セット品につけると見返りは2倍3倍とでかいが、ニセモノをひく可能性があるというギャンブル要素もある。
1枚ずつ骨董品を貰いゲームスタート。駒は好きなマスに置いていいが、最強マスである遺産相続と指定買入は1マスずつしかなく、さらに反対側にある。最初は、遺産相続マス付近に配置するのが基本だ。
わしは清水次郎長の長火鉢で価格は40万円。コタは丹下左膳の着物、miaは水戸黄門の杖だ。価格を知っているのはもちろん自分だけである。
クレオパトラは2種類、清水次郎長は3種類でセットになる。下の絵がセットを表している。
わし「あー、水戸黄門か。それ高値つきやすいんよな」
mia「へ?」
コタは公開オークションに止まる。
あ、そういえば、これ思いっきりオークション要素あった。6歳児に出来るか?
公開オークションの場合、相場は40万〜50万程度である。
先に書いたように価格カードの幅は10万から100万円なので、儲けるためには出した金額以上の価格がついてないといけない。それにニセモノのリスクを考えるとこれくらいになる。
というのを説明した。
あまりよく切れていないのか、コタと持ち持ちになる。
このようにこっそりカードを見る。30万円は少々安い。
丹下左膳やクレオパトラなんかは2枚でセットなので、指定オークションすれば良い。
しかしマスに止まったのはコタ。
コタ「うーん、どうしたらいいのか解らない」
わし「パパの丹下左膳か、クレオパトラを指定したらええんやで」
mia「自分のをみて、高い方が良いよ」
コタ「じゃあ、クレオパトラのベッド」
2枚でセットになるという事は、価格も2倍に跳ね上がる。
つまり競りの相場が高くなるということだ。
コタ「80万」
わし「90万」
コタ「120万」
なぬー!!
指定オークションで辛いのは、持ち主のわしが落札すると銀行に支払うため、単にお金を失う事である。コタに譲れば少なくとも120万円は手に入る。
わし「降りた」
クレオパトラをセットにする。
一旦セットにすると、指定される事もないのでニセモノを掴まされる以外は安泰なのだ。
mia「ジェロニモの斧か」
わし「それ、ニセモノ多いんよな」
mia「へ?」
とまあ、こんな感じでゲームは進む。
清水次郎長の2枚目を一般買い取りで購入できた! と思ったら、ニセモノの字が!! まじか。
サイコロを振る。
ここで一般売却か個人オークションという最低の目が出てしまった。
わしの手持ちのカードはセットになった丹下左膳と柳生十兵衛の刀。
柳生十兵衛には100万円付いている。丹下左膳はセットなのでもっと大きい。
泣く泣く刀を一般売却する。出た目は3。70万円も損した。とほほ。
わし「ナポレオンか。これは結構つくんやけど、ニセモノも多い」
ゲーム後半になると指定買い取りのある右側に移動してくる。相手の骨董品を有無を言わせず買えるのだ。
mia「さっきからそんな事ばっかり言ってるけど、なんか違うの?」
わし「このゲーム、やりまくったけど、なんか知らんけど、骨董品によってニセモノが多かったり、価格が高かったりと傾向がみられるのよ。偶然やねんけど、なんかそうなる」
mia「ふーん」
その頃miaは、お金を全て使い果たし、売却に全然とまれず、ぶーたれた状態だった。
しかしとうとう売却にきた。
mia「よし、水戸黄門のセットで売る」
価格は、驚きの260万円。これの3倍なので780万円で売却して一気にトップに躍り出る。
これはすげぇ。一気に札束がなくなった。3枚セットはやはり強力。
公開オークションで柳生十兵衛の眼帯がでた。これは先にわしが売ってしまっているのでセットにはならない。
コタ「70万円」
わし「待て待て。これは既に売ってしまってるので価値は、そのままよ。だから70万はやめとき」
既に切れたカードは上が見込めないのでくだらないカードとなる。
そしてmiaと持ち持ちになってたジェロニモの羽根飾りをわしが遺産相続でゲット。
mia「あー」
3点セット揃うとでかいぞと価格を見るとニセモノの文字が。やっぱりジェロニモはニセモノが多い。
miaになんとか押しつけたいが、こっちが2枚なのでさすがにむずい。
またしてもニセモノをつかむ。これで3枚目やぞ、とほほ。
コタ「うーん、どうしようかな。30万」
コタはここにきて、なんか自分が持ってる100万円札以外のものだけしか入札せん。
と、こんな感じで、最後のカードを競って終了。
50万円差でコタが勝利。
コタは一般買入やら遺産相続で、ガンガン、セットになったもんなあ。
わしは3枚のニセモノのおかげで最下位でした。
所要時間60分
最後はまったくしょぼい結果。
miaのコメント
(しばらく経ってから)癖になる。またやりたい。お姉さんが作ったリファレンス、超使えるじゃん。
ソマーリオ
骨董品をテーマにした面白さの原点がこのゲームにはある。
貴族の努め
、
はんか通骨董市
、
すきもの
、これら骨董品をテーマにしたゲーム全てがプレイ感を違えているが、端的にいってしまえば、骨董品の面白さは、価格の解らない骨董品を安値で仕入れ、相手に高値で売りつけるという事だろう。単純にして明快な内容は、このゲームだけがストレートに表現している。
出てくる骨董品も日本人にはなじみ深いもので、それをセットにすると価格があがるというのも人間の集めたい心理を見事についている。お金の動きはあるが、3種類しか種類がなく、ドイツゲームのお金の流れよりほんの少し頻繁なだけで面倒くささはない。
特に笑えるのがニセモノの存在である。これがついたらなんせ贋作で価値0である。セットにすると全てが0になるのはこのゲーム最高のキモとなっている。これこそが嵌めたったという状態になるのだろう。
ボードは必要にして十分な広さ、カードの絵柄も骨董品に相応しく詫び寂びのある仕上がりで、内容物をきちんと収める引き出しなどコンパクトに持ち運べ、エポック社の最高傑作といっても過言じゃないボードゲームだと思う。
驚いた事に二つ折りのボードは特殊な表面の接着テープで留められているだけなのだが、30年以上経ったものの癖にちぎれず本来の役割を果たしている。
オリジナルのマスターピースのルールでは、価格カードの追加が出来ず、またセットの概念もない。骨董品24枚に対して価格カード24枚では多様性にも乏しい。このゲームを日本版にリメイクした人が如何に優れた改良をしたかが解る。オリジナル版から想像するに運任せに骨董品カードを集めるだけのゲームにしか思えない。ここまでくると違うシステムといっても過言じゃないだろう。
このゲームが絶版というのは非常に惜しい。是非とも再販を熱望する。
gioco del mondo