本間直樹

骨折ゲームズ

2〜5人
10分

サバンナタイル

ここアフリカに横たわるサバンナは野生動物の宝庫である。
彼らは日々、過酷な自然に立ち向かう為、群れをなして生活している。
小さな群れを作ってしまえば、種の保存は敵わないだろう。

プレイ感

2010年ゲームマーケットにて、前年のリターントゥサバンナのタイルが余ったという事で動物タイルだけで遊べるように販売したのがこのサバンナタイルである。リターントゥサバンナがあればこのゲームが出来る。ルールは骨折ゲームズで公開している。


わしゃ、どうにもこういうオマケ的なゲーム好きじゃないんよなあ。余ったからルールを後から作ったって! 禄なのがないやろ。ただ今回はゲームマーケットの熱気に当てられて、何気なくルールを読んでみた。
…む、これは!
なかなかではと思い二人から出来るのでmiaとやってみた。

ちなみにリターントゥサバンナをタイル化したとかじゃなく、まったく違うゲームである。ライオンは抜く。その他の動物も人数に合わせて枚数調整する。
手番にタイルを1枚引く。そしてそのタイルを自分のものにするか(自分の動物列の端に裏向けで置く)、不要として表向きに場に出すかだ。もし場のタイルが欲しければタイルを引く代わりに、それらのタイル全てを手に入れて表向きにどちらかの端っこに並べる。ルールはこんだけ。

得点は、最後に集めた動物のグループ1種類ずつ抜き出して、1枚1点、ただし最多の種類は2倍にする。残ったはぐれ動物は全てマイナス点、最多は2倍だ。つまり各種類毎に1グループでないとマイナスになるという事だ。それにボーナスとして5種類集めたら3点なので、一番いいのは5種類の群れ1グループずつ作ることだ。

ルールを読んで厳しいなと思ったのは、公開された場のタイルは全て受け取らねばならず、且つどっちかの端にしか置けないところである。こんなルールやと群れのダブりが起こりやすいんじゃないと思った。ところがやってみてまったくそうはならないのだ。

という訳でゲームスタート。最初のセットアップとして、それぞれ違う動物タイルを引く。で、もう1枚裏向けに引いて隣に置く。こっからゲームスタート。


わしはダチョウ、miaはシマウマが表になってる。その横に内緒のを1つ置いてゲームスタート。

わし「げ、シマウマ」

不要なので公開で場におく。

mia「じゃそれを貰う」

シマウマにくっつける。

わし「えー、またシマウマ」

mia「やった」

わし「あのう、これ、なんかおかしくない?」

mia「またシマウマ? やったー」

この中、全部シマウマちゃうんけというシマウマ率。


ちょ、まじでこれどうよ?

わし「ゾウなんか要らんつうの」

mia「ダチョウか。要らない」

わし「おい、またシマウマかい!」

mia「やった。じゃ、これ貰って…」

わし「おい、待て。シマウマだけ貰う事は出来ひんぞ。公開してる奴全部貰わんとあかん」

mia「あ、そっか。じゃ、引く」


ちょっと信じられへんやろ? どゆこと?? しかしmiaはここでキリンが欲しかったようで、複数のグループとなるシマウマを取ることにした。

序盤、miaがどんどんと自分の勢力を伸ばしていくのに対して、わしはまったく列が伸びず。

これ勝負なるんかなあ。

しかし不要タイルを眺めていくうちに、あ! と気づく。

どんどんと不要タイルが集まって、そこに動物の群れが見えだす。

(これ、もうちょい集まったら獲ったらええな)


どんどんと中央に不要タイルが集まる。miaからすると一旦こうなると複数グループになってしまうので取る事は出来なくなる。


さらに集まる。まだまだ…

大事なのはタイミング。動物は二人プレイだと8枚ずつある。miaの裏向けのタイルも想像つくので、残りの枚数が割り出せる。相手よりも上回ると確信した時にごっそり頂けば勝てるのでは??

じりじりとするタイミング…

そして、

わし「よし、これ貰う」

mia「あ!」

確かに片側にしか置けないのは痛いが、今回獲った分は(当然)並び替えて接続できる。数少ない動物は内側にいれてエンドとして、まだまだ伸ばせる動物を端にする。これで一気にmiaと並ぶ勢力となった。


ここでダチョウ軍団の凄さが爆発! ちなみに裏返しのタイルは5枚目になると、逆サイドの端っこを表向ける事になる。つまり裏返しのタイルは最大でも4枚までだ。これで、相手の群れの目安をつける事が出来る。

mia「うっそーー!!」

なんと一撃で立場は逆転した。そこからは予想通り、残ってる動物を引く確率が高くなりグングンと勢力が伸張する。

タイルがなくなりゲーム終了。

miaは途中で取ったシマウマを1つダブらしているので、マイナス2点でわしの勝利。

所要時間10分


後は軽く場に流して見事に勝利。ダチョウ軍団がこのアフリカを制した。

mia「もっかい!」

今回も同じく、ここぞというタイミングで場の動物を獲り、ぶっちぎりの勝利。


こんなけ集まったら、もう取るしかないやろ。


で、ぶっちぎり。またもやサイをダブらすmia。

mia「もっかい!」

以下、同文。

mia「もっかい、もっかい!」

さすがに4回目は、逆にmiaに見事なタイミングで場の動物をいかれてしまい、完敗。


最後は完敗。こんなけしか集められへんかった。。。

これでとりあえず本日は終了した。

miaのコメント

何、これ? すっごい癖になる。面白いわ。気軽に出来るし、今、ここでやりたいくらい。(外で茶をしばきながら)

OECのコメント 後日やった

〇クメルを終えてもう1ゲーム、というところでタナカマさん夫妻が到着。5人プレイ。
同じ動物が1つの群れになるように動物タイルを横に並べていくゲーム。
●ゼブラタァーーーーイム!
面白すぎる。。。決してオマケ的なルールではない。
あきおさんが速攻でレビューを書きたくなる気持ちがすごく分かる。
「タイル引いたら裏で置くけど、裏に出来る数は限られてる」
それだけでただのめくり合いだけじゃない、駆引きが生まれてる。
すげー。洗練されたルールがまぶしすぎるくらいに光りすぎの逸品!
(もちろん相手への押し付けやトスも目に見えた駆引き)

タナカマのコメント 後日やった

面白い! Boneさんに連絡とってiPhoneアプリ作りたい。いやあ、ほんと、よく出来てる。

ソマーリオ

う、これは…、かなりおもろいやんけ。オマケ批判を反省。
サクサクとテンポよく進み、パズルとは違うのだが、それに似た楽しさがある。二人でやるソリテアみたいなゲームなのだ。プレイ感は名作パーティゲームのチーキーモンキーと一緒だ。

テーマも似ていたら、プレイ感も似ている。でも、明らかに違うゲームだ。バーストで「ああ!」と戻す手間を考えたら、サバンナタイルの方がプレイテンポは速い。
公開したタイルを全て獲るというアイデアはとてもよく出来ている。裏向けのタイルが5枚目になったら、逆サイドの裏向けタイルを1枚表返すってアイデアも、今後の指針について不完全なブラックボックスとして機能している。ただ裏返っているのは大体想像つくので、もう少し他のプレイヤーに解らないようにした方が判断を狂わせておもろくなると思う。(マルチプレイだと上手く機能するのかも知れないが、二人だとほぼ予測出来るのが残念)

この手の奴には集める楽しさという人間の本能に訴えるものがあり、セットにして集めるというだけでやり甲斐が出てくる。ずるいといえばずるいが、楽しいものはしょうがない。

チーキーモンキーがやや複雑な得点形式をしてああ見えて考えどころがあるのに対して、サバンナタイルは、一瞬の抜け出すタイミングだけのゲームである。一度、公開したタイルをたくさん受け取れば(少なくとも二人プレイでは)二度と獲る事はない。

ゲームマーケット2010で1200円で売っていた程度の小品ではあるがそのタイミングを計る楽しさが、このゲームにはある。一瞬で決まるゲームではあるが、所要時間が慣れれば5分なので、全然苦にならない。それどころか、もっかい、もっかいとなる。これは間違いなく女受けするゲームだと思う。翌日、やりたいというのでまたしても3回連続でやった。

それにしてもBone5さんの非凡な才能である。そこにタイルが残った。じゃ、勿体ないのでゲーム作ろかというので、こんなおもろいゲームを作るなんて! なんやねん、と言いたい。

この人、大阪の、いや日本のクニッツィアやんけ! 阿呆みたいに量産して、シンプルながらこんなにおもろいゲームを作るなんて。そしてそれがどのゲームにもないオリジナリティに溢れている。

2008年当時は馬鹿にして(失礼)買わなかったが、くにちーを真似して古代ローマの新しいゲームよろしく千夜一夜異譚という1パックで7つのゲームが入った同人を作っていたが、もう手に入らんのかのう。残ってたら是非1つ譲って欲しいわ。あと大量絶滅ゲームってのもあったらしい。当時は完全に相手にしてへんかった、後悔。。

こんなペースでぽんぽこぽんぽこ良作作られたら、わしも連発するしかなくなってしまう危惧すら抱いている。の評価基準を変更せなあかんかも。というか、これはに変更しとく。どう考えてもこのテンポの良さにそれ以上の楽しみがあった。そもそも最初からそうよなあと思ってたんやけど、こんな小品に付けてはなあと思ってにした。それはゲームなりにつけるというわしのポリシーから明らかに外れててずっと後ろ髪を引かれてた。
チーキーモンキーに匹敵する、あるいはそれを超えるくらいの作品やと思う。
ごめんね、Boneさん。

いや、ほんま、初期の頃の切れまくってたクニッツィアテーストがこのデザイナーにはある。Bone5というよりデザイナー本間直樹やな。そしてそれはわしが好きやったドイツゲームの味わいなのだ。いやあ、いい。ほんまに、いい。なんせ全てテンポがいいので、もろにわしの好みにあう。

リターントゥサバンナにも書いたが、惜しむらくは同人ゲームなので絶版ということ。是非、再販もしくは他のメーカーから出して欲しい。

gioco del mondo