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本間直樹
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3〜4人
20分 |
リターントゥサバンナ
ここアフリカに横たわるサバンナは野生動物の宝庫である。
彼らは日々、過酷な自然に立ち向かっている。
その最も有名なのが大移動だろう。
上手く大移動を起こして、種の保存を計らねばならない。
プレイ感
骨折ゲームズのブログをみておもろそうと思い、ゲームマーケット2009で売り切れては困ると朝一から行ったが、ほとんど並ばずに買えた同人ゲーム。ルールを読むとおもろそうなので、先にOECらとやったが高評価。さらに同人ゲームは好きじゃないと言うてたタナカマ夫妻が来た時に、おもろいからとやってみる事にした。
手番には自分の持ってる動物タイルを1枚場におく。同じ動物が先に居る場合、隣接するように置かなければならない。その結果、周りが囲われた状態になったら、その動物の群れは大移動を始めて、全てゲーム盤から取り除き、得点が入る。
得点は、その動物のリーダーマーカー1の人は大移動したタイルの数だけ、リーダーマーカー2の人はタイルの数×2入る。面白いのがリーダーマーカーの取り方で、動物タイルを置いたらリーダー1を受け取り、それまでリーダー1を持ってた人はリーダー2を受け取るという事だ。つまり1回奪われた状態で大移動させればいいのだ。しかもリーダー2を持ってる人が動物タイルを置いてリーダー1も独占した場合でも、等倍しか入らないのはよく出来てる。
このように2と1の両方持ってても等倍しかもらえないというルールは素晴らしい。
このジレンマはドイツゲームらしさを十分持ちながら、このゲーム独特のシステムとなっている。
このアイデア一発でゲームが出来ていると作者のBone5さんがブログで書いている。
手番にタイルを配置していくだけ。下に見えるのがリーダーマーカーでなんと木製。それぞれの動物につき1と2がある。左にちらっと見えるのが大移動マーカーでこれがなくなれば終了である。
小規模の大移動よりも大規模の大移動を狙って、皆、虎視眈々と群れを広げていく。
先に書いたように、出来る限り自分が2倍の時に大移動させたくて、じりじりする。
大移動させるために動物タイルを置いたら自分はリーダー1になるんじゃないかと思うでしょ?
そうならないように周りの別の動物タイルを使ってリーダー2の大移動を起こさせるようにするのよ。
サイを置いて、ダチョウが大移動を始める。ダチョウのリーダーマーカーを持ってるプレイヤーはそのダチョウの枚数×リーダーマーカーの数字の得点が入る。大物はなんといっても象なのだが大移動が起きたことにより難しくなる。
その後、色々あったが象の大移動はかなり難しくなって未だ起こしておらず。
その読み合いがこのゲームを非常に熱くさせる。
タナカマは序盤から小規模の大移動をさせまくって、ちびちびと点数を稼いでいく。
大移動させたプレイヤーは大移動マーカーを取っていくが、これが恐ろしくテンポが早くて取るのを忘れてしまう。
腹立つのはタナ嫁。わしがこそこそと狙っていた大移動をライオンによって分断させたりしてヘボヘボにしてしまいやがった。
※ライオンタイルは、動物タイルを取り除く事が出来る。これを使えば巨大な群れを分割する事が出来るのだ。
やべえ、こうなったら細かく大移動させたタナカマが有利。
というかTAM嫁はTAMに非常に厳しいプレイをするので、こうやって夫婦仲良くアシストするプレイを見るのはかなり新鮮だw
ゲームの終了条件は、大移動を発生させた時に貰う大移動マーカーが無くなった時。さらにこれは決算時にボーナスポイントとなるが、最多プレイヤーはこの得点が倍になるのだ。
わしはまったくポイントが入らず、沈み加減。
タナカマ夫妻の一騎打ちになりかけた頃、ずっと狙っていた写真にある象が地響きを立てて地球に異変が起きたかのような大移動をようやく起こさせ、リーダー2を持っていたわしが一気にトップに躍り出た。そしてそのまま押し切って勝利。
これが勝利の決定打。象の大移動じゃあ!!
所要時間20分
タナカマのコメント
同人ゲームは本来は好きじゃないんですが、うーん、なるほどなあ。
ソマーリオ
わしも実は同人ゲームを馬鹿にしてた。どうせバッドコピーか、システムが破綻してる雰囲気だけのゲームばかりと思ってた。その認識を完全に改めなくてはならない。
このゲームの完成度は凄い。アイデア一発だけで作ったと書いていたが、そのアイデアが非常に悩ましく、かつてのドイツゲームを彷彿とさせる。それでいながらオリジナリティあふれているのだ。確かにアイデアだけなら誰でも出せるのだが、それを破綻しないシステムとして作り上げる難しさは一度ゲーム作りをしてみれば解る。
テーマに即した雰囲気も抜群で、盤面には次々に現れては消えていく動物たちの過酷な生存競争がまさに描かれている。ルールは非常に簡単、それでいて盤面と手札とリーダーマーカーを比べながら自分の手のもどかしさを味わう事が出来る。かつてのドイツゲームはそうだったのだ。
※Bone5さんが自身のブログで書かれているが、アフリカは実は棲み分けが出来ており、生存競争はないという。ただ大移動というのは現実に起こるべき事であり、その雰囲気を見事に再現しているとわしゃ思う。
近年(2008年から2010年くらい)のドイツゲームはシステムをこねくり回したのばかりで、ルールを読むのも説明するのもうんざりしてた。台頭してきたアメリカゲームはパッケージを立派にした言語依存たっぷりなシミュレーションゲームの体を成している。ボードゲームに対する情熱が失い欠けた頃、嫌いだった同人ゲームにまさか光明を見いだすとは夢にも思わなかった。
かつてカワサキファクトリーは同人ゲームでも別物と書いていたが、それに新しいデザイナーを追加しなくてはならない。骨折ゲームズも別物やと。このゲームだけで判断したのではなく、翌年2010年に発表したドナドナ、サバンナタイルをやるに当たって、これは相当なデザイナーやと思ったのだ。サバンナタイルについては、このリターントゥサバンナのタイルだけで出来るので、そちらのレビューを別途用意したので読んでみて。このセットさえ買えば2つのゲームが楽しめるのでかなりお得なセットだ。ドナドナはまた後日。
コンポーネントについても同人の中ではトップクラスである。動物タイルは全て打ち抜き済み、動物の絵も解りやすく可愛らしい。美しい緑を基調とした盤面はざらざらの素材不明なものに印刷した優れたもので、ドイツでもこの品質は皆無。そしてちょっと笑っちゃうのが、その盤面を貼り付けてるボードの土台で、これ、なんと、お膳なのよ。やたら、しっかりしたボードやなあと思って裏返してみたら、お膳やったという。このアイデアに脱帽。こんな細かいアイデアを出せる人なら間違いなく優れたゲームを作れる筈と思った。
これがボード裏。実はボードはお膳に貼られていたのだ。
このゲームの欠点は、あまりにもテンポが速く、リーダーマーカーや大移動マーカーを取り忘れるところで、リーダーマーカーに至ってはかなり頻繁に人間同士でやりとりするために煩わしいところがある。手番に出来る事はタイルを出すだけなのだが、その後の処理が色々とあり煩雑なのだ。そういった事もありはなしとした。リーダーマーカーは別のボードを作り、そのボード上で移動させれば一元管理出来るし、点数に絡まない人が移動させる事が出来るのでいいと思う。
Bone5さんとは、以前かわちゲーム会で一度だけお会いした事があるが、その時の印象は、ただのゲームいっぱい持ってるヲタクのおっちゃんというイメージだった。ゲーム会の主催者でもあったので、昔からゲームになじんでいるその筋の人にはかなり有名な人らしいが、近年、ボードゲーム界には新しい層が大量に生まれてきたので、ネットで露出の少ないBone5さんは地味な存在になってしまった。その結果、これほど素晴らしいデザインをする骨折ゲームズが、話題にもならずゲームマーケットで完売するのに苦労したという。実際、毎年、買う時に並んでもいない。
えええ!! とわしゃ思った。
ちなみに並ぶのを想定して骨折ゲームズにはいつもmiaを派遣しているw
そして空いているのでいつも先に買うて戻ってくる。
これ、まじで日本の損失やわ。このデザインは世界の一流デザイナーと対等に戦えるで。同じタイプのデザイナーであるシャハトとかくにちーに匹敵する。
かろうじて不思議な国のアリスをテーマにしたパレードというカードゲームをZ-MANゲームズから出したけど、内外問わず出版社の目は節穴かと言いたい。もっともっとゲーム出せるで、この人。Bone5さんもどんどんとメーカーに送ればいいのに、ほんま勿体ないわ。アイデアが枯れ枯れになるまで、こき使うたらええのに。