Richard Breese

R&D Games

2〜4人
90分

リーフエンカウンター

光り輝く青い空
さんさんと降り注ぐ太陽の下
この南の島の珊瑚礁は、過酷な生存競争を演じていた。
自分の縄張りに侵入してきたものを撃退するテッポウエビ。
堅いくちばしのような口を持つパロットフィッシュは珊瑚をもしゃもしゃとほおばり、白い砂のような排泄物をまき散らす。
それが何千年、何万年と積もり、美しい海岸を形成していくのだ。

プレイ感

めっちゃ昔、ローが大阪に来たときTAMと3人でやろうという事になって、全然解らんままボコボコにされた記憶だけがある。いい加減これはレビューせんとなと、まずはブループラネットの珊瑚編のDVDを買い、珊瑚の形態を勉強してから挑む事にした。miaが実家療養中につき、オビ湾、タメラ、OECと4人プレイしようと思ったがOECが仕事が入ったとのことで3人プレイとなった。







手番に、9つのアクションがあり、例外はあるが、それを好きな順番に好きな回数だけ行う。基本は珊瑚タイルを使って珊瑚礁を形成する事だ。珊瑚礁は誰の物でもないので、自分の陣地だと宣言するために海老駒を置く。自分の珊瑚礁を育て、タイミングを見計らってパロットフィッシュ(ブダイの仲間)にもしゃもしゃと食べさせる。
というイメージだが、実際には珊瑚礁からタイル4枚だけ取り除いて残りを自分の得点ボード(パロットフィッシュの絵)にぶち込む。1枚何点になるかは、珊瑚の強弱によって変わるので、あとはそれをもじょもじょするだけだ。誰かが4回食わせた時点でゲーム終了。得点ボードを開けて得点が一番多い人が勝者だ。


今回は3人プレイなので3枚のボードを用意する。誰のボードでもないので好きに珊瑚やエビを配置すればいい。右側のタイルはアクションのリファレンスである。四角の駒はポリプで、ボード上にタイルを出すために使う。ピンクの駒を払ってピンクのタイルを出すという感じに使う。

9つもアクションがあり、ルール分量はドイツゲームではトップクラスの多さ。それでいて何を目指せばいいのかが非常に分かり難い。珊瑚タイルのある場所は、ボード上、衝立の内側、衝立の外側、得点ボードの中と4カ所もある。珊瑚タイルをボード上に出すには、自分の衝立の外側の珊瑚タイルを1枚捨てて、内側から同色の珊瑚タイルを一気に出す。
衝立の外側の珊瑚タイルは、ボード上で他の珊瑚を浸食したら、置いておく。つまり、ボード上に珊瑚タイルを置くには、その同色のタイルを浸食によって得ていなければならないのだ。これが非常に重要。

ここで珊瑚の浸食について説明すると、珊瑚タイルは5色に分かれており、橙は白に勝つという風にそれぞれ強弱が決められている。強弱を表すボードがあり、藻駒(という概念)を使って立場を逆転させる事が出来る。強い珊瑚タイルは、ボードに配置するときに弱い珊瑚タイルを取り除いて配置する事が出来る。その取り除いた珊瑚タイルを衝立の前に置いておけるのだ。


右にある10枚のタイルが珊瑚の強弱表。右上だとピンクの珊瑚はオレンジの珊瑚を浸食出来るという意味だ。タイルをひっくり返すと逆になる。ひっくり返すには藻駒(円柱駒)を右下に置く事でその色の藻が描かれている(タイル左下が藻のマーク)全てのタイルの強弱をひっくり返す。その下にあるタイルの束は、ラウンド終了時の補充タイルだ。この中から好きな一束を補充する。

この珊瑚の強弱はリーフエンカウンターの肝ともいえる部分で、ゲーム終了時にパロットフィッシュに食べさせた珊瑚タイルの得点にまで影響を及ばす。1枚につき強になっている枚数がボーナス得点として与えられる。つまり最強の珊瑚なら基礎点1+強ボーナス4=5点入る。全て弱なら基本的1点だけしか入らないのでこの重要さが解ると思う。

※逆を返せば、全てのタイルを1枚ずつ持っていれば合計は15点(5+4+3+2+1)になるという事だ。

海老駒は非常に可愛くリーフエンカウンターの特徴のひとつだが、これは自分の陣地を示す(つまりパロットフィッシュに食べさせる事が出来る)事以外に、上下左右の珊瑚に対して浸食されるのを守る働きもあるので、隣に優位の珊瑚タイルがきたらそこを守るために移動させて急場をしのぐ事が出来る。出すのは1手番に1度だけだが移動は手番中何度やってもいいので、珊瑚の陣地が出来たら他人に取られる前に出しとくのがいい。


そのまま藻によって強弱が入れ替わるようだと最後にひっくり返した奴が勝つしょうもないゲームだ。実はこの強弱は固定させる事が出来る。ボードに藻を置く時にタイル上に置く事でそのタイルは今後固定されてひっくり返せなくなる。写真では2カ所そうなってるのが解る。この藻の固定は最初にエビを1個食わせる事でずっと権利が発生するので最初のエビ駒だけはこのように強弱ボードに置く。最初の1個を早めに食わせるのが勝利の秘訣だが、決算は4回(エビを食わせる事が出来るのが4回)しかないので、どのタイミングで食わせるかがポイントだ。

とまあ、ルールをざくっと説明するとこんな感じである。
長々と説明したがどうやれば勝てるのかがすぐに解らなかった。今、これを書いててようやく「あ! そういうことか」と解ったくらいである。

ゲームは、ひとりにつき1つの海ボードを使うので、まずはそれぞれに自分が握っている珊瑚タイルを使って陣地を作り海老駒を置く事から始まる。


このように同じ色のタイルを衝立に集めて一気に出すのが一番効率がいい。衝立の横に立ってるのが食わせた珊瑚タイルを入れるパロットフィッシュだ。最後はこの中の珊瑚タイルを出して得点集計する。全て絵が違っており自分の色と対応させている芸の細かさが良い。

珊瑚ボードの中央部には日がよく当たる場所があって、ここに隣接するように珊瑚タイルを置くと無料でもう1枚置けるのだ。この1枚の違いは結構重要なので、皆、別々に珊瑚タイルと海老を置く事になる。

そこからが激しいせめぎ合いが始まる。ボードはそれほど広くないので、珊瑚の強弱をひっくり返して浸食を開始してくるのだ。

わしとタメラが激しくせめぎ合う中、オビ湾だけが1枚のボードにエビ湾帝国を築きだした。

※このとき大きなルール間違いがあった。1枚のボードには自分の海老駒は2つまでしか置けないという重要なルールを見逃してた。本来ならこれほどのルール間違いをしたままレビューするのは憚られるのだが、重いゲームなので次回する機会がいつ訪れるか解らない。どういった雰囲気のゲームかを先に伝えたいと思い、レビューする事にした。


激しい陣地のせめぎ合い。藻もかなり固定されてゲームは終盤。衝立の前にぽつんと1つ置いてるタイルが浸食した時に貰えるタイル。これは藻になるので常に持っておきたいところ。

キャスティングボードを担うには、先に海老駒を食わせる必要がある。というのは、藻駒を使って強弱をひっくり返しても再びひっくり返される事になる。ところが、海老駒を1個でも食わせたプレイヤーは、使い方が広がり、強弱を固定させる為に藻駒を使う事が出来るようになる。こうして強弱が固定されてしまうと、絶対優位の形ができあがるのだ。なんせ自分の陣地の珊瑚タイルは次々に強くしたい。

わし「オレンジを固定」

最初に海老駒を食わせたわしは、一番陣地の広いオレンジの珊瑚を強くした。前に、ローとやったときは、これが遅れて、ボコボコにされた。というのを二人にも話しておく。
ポイントは、得点出来るのは海老駒の数、最大で4回しかないので、慌てて1回目を行うと食べさせるタイル数が少なくなりがちだ。ここらへんのタイミングは非常によく出来ている。

皆も追随して、海老駒を食わせて、珊瑚の強弱固めに入る。

タメラ「ここ、なんとかしないとどうしようもないですね。オビ湾帝国ですから」

ごめん、ルール間違い。
なんか強いなと思ってん。


エビ駒は非常に可愛い。エビの上下左右は珊瑚タイルを守ってて浸食させる事は出来なくなるので、位置も重要なのだ。もちろん移動させる事も可能。ルール間違ってプレイしてるんよなあ。失敗。

それより

わし「あ!! わし、同じ色の珊瑚礁、別々に作ってるやんけ!」

なんちゅう痛恨。パロットフィッシュに食べさせる時に、タイルを4枚廃棄(固定費)させられるので、出来る限り大きい珊瑚礁を一発で食わせるのが基本である。なのに、4枚ずつ廃棄させられるよう別々に作るとは、凡ミスもええところ。

オビ湾「まあまあ、浸食しやすくていいじゃないですか」

余裕ぶっこくオビ湾。

それを逆転しようとあれこれ対策を練っている間に、次々にオビ湾は自分の珊瑚の強弱固めをしていく。
浸食しないと藻駒を手に入れる事も出来ない=フィックスさせられないのだ。欲しい時に欲しいタイルが手元にない。完全にマネージメントミスである。


どのタイミングで食わせるかだ。ゲーム終盤になるとこのようにボード上は閑散としてくる。

タメラと共同戦線張るも遅し。圧倒的優位のままオビ湾がゲームを握る。
せめて終了条件の4個目の海老駒はわしが食わせたい! という思いで、なんとか最後の海老駒を食わせることに成功。その場合、他の皆は最後に1度だけ海老駒を食わせる事が出来るが、タイルは5枚廃棄しなくてはならないのだ。

オビ湾は6枚以上の珊瑚礁がなく3回の得点しか得られなかったが、強い珊瑚タイルを大量に持っていた為に、ぶっちぎりの勝利。

所要時間90分


最後は珊瑚の白骨化が始まりこんなボードになってしまう。これが積もって島をつくるのだから生命は不思議だ。左下がわしの食わせた珊瑚タイルとエビ。

ローのコメント(昔やった)

このゲーム凄く面白いんだよ。チグユーは最初好きだったんだけど、このゲームをやってからはこればっかりやってる。

オビ湾のコメント

旧版は色が淡くなってリゾートっぽい。
でもゲームは中々にシビア。情報料が多くってう??んう??ん。
得点機会が4回しかないと思うとどうしても慎重になってしまう。
黄色でごっそり稼いだオビ湾が僅差で勝利。

難しいゲームだけどコンポーネントが可愛くって満足度の高いゲーム。
侵食したタイルを使わないとゲームのキーを握れないところが絶妙。

ソマーリオ

出来るアクションが多くて、非常に複雑。さらに得点のあり方が分かり難く、間隔がかなりあいた2回程度ではこのゲームを真に楽しめなかった。

レビュー中あげたポイント以外にも、自分が出したい珊瑚タイルは、浸食させて衝立の外側に得ていなければならない事がある。そこを狙って浸食出来るようにすればいい。そのためには強弱が重要になってくる。

このゲームは通常の陣取りと違うところがいくつか見られる。多くは自作自演のプレイを行うところ。なんせ衝立の外側にタイルを得るために、自前で用意しなくてはいけないことがある。この外側にあるタイルというのはゲーム中とても大事なのだ。これを怠ったわしはオビ湾にまったく歯が立たなかった。

そしてこの陣取りゲームにしか持っていない大きな特徴は、途中経過の陣地の広さに対して得点を与えるというところだ。

エルグランデレーベンヘルツローゼンケーニッヒといった陣取りゲームのほとんどは、決算時期が決まっており、その時の広さや勢力により得点に換算される。そしてそのまま継続してゲームは続いていく。
ところがリーフエンカウンターは、自分のタイミングであたかもその瞬間だけを写真で切り取ったかのように、陣地の広さだけを永久保存するのだ。その後、それは跡形もなく消えてなくなってしまう。

ローの言うようにチグリスユーフラテスのシステムも原理的には似ているが、最大領土という概念がないところが違う。こちらもユニークさを備えている斬新なシステムだ。リーフエンカウンターがチグリスユーフラテスに似ているというのは合っている。ブリーズはチグリスユーフラテスを参考にしたのは想像に難くない。

※リーフエンカウンターは固定費が4個もかかるので、巨大な領土を一発で作った方が効率がいい。チグリスユーフラテスは、どこだろうと領土を拡張するごとにキューブを貰う。前払い確定制度なので領土の大きさは関係ないという意味。

このゲームのパロットフィッシュは珊瑚礁を破壊するものと描かれており、実際はそこまでではないと思うが珊瑚の生存競争を非常に上手くゲーム化したように思う。ある事象をゲーム化するというのはそれほど難しい事ではない。問題はプレイヤー同士に絡みがあり、面白いゲームに出来るかどうかだ。このリーフエンカウンターは両方を兼ね備えている。

わしのバージョンは500個限定生産の初期版なのでコンポーネントは、パステルカラーで南の島というムードがよく出ている。リメイクされたバージョンは全体的に色調がダークになっており、これはこれで悪くないと思うが、タメラやオビ湾はわしのバージョンの方がいいと言うてた。ここらへんは好みだろう。

海老の形をした木製駒も可愛らしいが、珊瑚タイルの衝立も、タイルを入れるパロットフィッシュも、色と絵柄が違ってて、作者やメーカーのこだわりを感じる事ができる。

二人プレイでも同様に楽しめるとの事なので、もうちょっと何度かやってこのゲームの真のおもろさを追求してみたいと思う。1回やっただけではさっぱり面白みが解らないチグリスユーフラテスのルールをさらにややこしくしたような感じなのだ。その時は、追記して評価を見直す事にする。

gioco del mondo