Uwe Rosenberg

Lookout Games
Hobby Japan

1〜4人用
180分

祈り、働け

駿河屋で購入
はじめに自分の土地に丘陵と農場と修道院本館がある状態でゲームを始め、、ここに修道士を配置してレンガ、小麦、お金を手に入れていきながら新しい土地を買い、やがては土地に建物を建て、村を作ったりすることまでもが可能となる。建物の中でも、修道院は特に重要な存在だ。修道院はつなげて建設していかなくてはならず、そのためゲームが進むほどに修道院はどんどん大きくなっていく。この大きさに応じて、修道院寮でボーナス得点が得られるのである。最後に勝つのは、祈り(Ora)と労働(Labora)で、最もよく神様に奉仕できたプレイヤーだ。

『祈り、働け』は、1〜4人でプレイでき、一晩中かかる重厚なゲームと短時間のプレイのどちらかを選択できる。また、説明用ルールと詳細ルール、2種類のルールがついており、スムーズなプレイをサポート。ソロプレイにも対応し、ルールを読めばすぐにゲームを楽しむことができる。様々な選択肢を選んで発展させるのが楽しい“箱庭型”ゲームの傑作だ

プレイ感

アグリコラル・アーブル、洛陽の門と収穫3部作を出したローゼンバーグが、4つめの収穫ゲームを出した。アグリコラ、ル・アーブルは最初の評価は低かったが、やればやるほど味があり、自分のゲームに対する新しい楽しみ方を認める事で評価をあげた。洛陽の門については、どこでも評価が低かったのでやっていないが、祈り、働けはちょっとおもろそうなんで買うてみることにした。miaと短時間の二人プレイにて。そういや長時間バージョンのルールはどんなんか読んでないわ。


このゲームの大きな改良点は、収穫リングの発明だろう。アグリコラやル・アーブルでめんどくさかったのが、ラウンド毎の駒の補充だ。収穫リングによって、その煩わしさを一発でなくしてしまった。

手番に、アクション駒を建物カードにおいてそのアクションを行うか、建物カードを自分の土地に置くか、自分の土地の森カードや泥炭地カードを取り除くか、を行う。


自分の個人ボードを持つ。最初に3つの建物(つまりアクション)があり、他に森カードと泥炭地カードが置かれる。これらを取り除く事で木材やピートという資源が得られる。真ん中には最初から建てられる建物カードが置かれる。これとは別に手札に村カードを各プレイヤーが持つ。

アグリコラは全員が同じアクションマスから選んだのに対し、このゲームでは、アクションマスは建物カードとして建てる事で手に入れる。ル・アーブルと同じく、相手の建物カードを使用する事もできるので、アグリコラよりもル・アーブルに似ている。

ルールの見通しは収穫シリーズのどれかをやっていればそんなに悪くない。建物カードにアクション駒を置いたら、それに応じて資源チップを手に入れたり、資源チップを別の資源へと変換したりする訳だ。建物カードは、ラウンドの進行度によって、建てられるものが増えていく。建てるには建物カードに記載されている資源チップを支払い、建てられる条件の場所に建てる。特殊な建物として修道院カードがあり、これは既に置かれている修道院カードに縦横に繋げるようにしか置けない。修道院を広げるというイメージだ。


これが発明品とも言えるべき資源リングである。ラウンドの開始時に矢印をぐるっと回せば、資源の駒が自動的に増えることを示すので、いちいち資源駒を足さなくてもいいのだ。周りにおいている建物カードはラウンドの進行に従って、足される建物カードの山である。

このゲーム特有の村カードというのがあり、これは特定のラウンドの村フェイズのみに置く事が出来る。見た目は建物カードとそっくりだし、同じように置くのだが、アクション能力はない。ただし、最後の得点計算時に、これと縦横に接触している建物カードの勝利点を引き上げる効果がある。つまり村カードは建物の中心地に置くというイメージだ。

こうして最終ラウンドをへて、建物カードの勝利点、村カードを使った勝利点、資源チップの勝利点によって勝敗を決める。

序盤は、処理の方に手間取ってどんな建物カードがあるかも解らずに進めてたら、miaに石を採掘できる建物を建てられかなりしくった。さらに相手の建物を利用出来るというルールを忘れてしまい、miaに石を掘られてしまった。

他の収穫シリーズと違い、このゲームでは食い物不足によるプレッシャーがない。そこでわしはお金を優先する作戦にでる。きっと食い物の需要が低ければお金の需要が高い筈だ。

最初の村フェイズが始まり、ここでお金の効果を発揮できた。というのはお金は建物を建てるときにはあまり役に立たないが、良い村カードを出す時に必要だったのだ。これで勝利点のでかい村を置くことが出来た。

miaの祭儀場が恐ろしく強い。確認してみると、こんな簡単に3つの資源が入るのかと思わずルールを読み直す程である。

中盤になると、他人の村を利用する作戦が有効である事が解った。僅か1コイン(途中2コインになるが)で、他人のアクションを使えるのだ。ここらへんになるとお金は楽に生み出す事が出来るのでかなり安い。

わしは海岸沿いに造船所を作る。こいつが超凶悪で、木材2だけで勝利点4の装飾品と5コインを生み出す。


スペースが足りなくなったら、海岸や土地を買うて足す事が出来る。右下の一群の黄色いカードは修道院カードで、これらは縦横にくっつくように建設していかなくてはならない。建物のアクションを使う時のみ、修道士の駒をカードに置く。

わし「このゲーム、全体的に資源が楽に入るなあ」

二人プレイだからか知らないが、もう資源は大量、大量。建物の効果もやたら強くめちゃくちゃインフレ気味である。

mia「その造船所、ちょっとずるくない?」


資源タイルは裏表がある。燃えてるアイコンがエネルギーで、鍋が食い物を現している。○がお金で、他に盾のマークが勝利点だ。

わしはここで造船所をmiaに使われないように、自分の修道士駒を使うときに、常に最初に造船所に置くようにした。こうすることで、常に埋まりmiaは使えないのだ。そして回転率を上げるために、次のラウンドでは全ての修道士駒を置くようにした。修道士駒3個は、手番の最初に全て建物に使われていれば、戻ってくる。これを繰り返す。

mia「それ、使いたいのに、いっつも駒が載ってる。ずるい!」

わし「わざとそうやっとんじゃあ、これはわしだけの工場じゃ」


この造船所は絶対に使わせない! 木材2でぼったくりの船が完成しまくる。

わしは基本的に石を手に入れられない布陣だが、miaのを上手く使って大量に石をゲットしては、建物に使う。

さらに造船所で手に入れたお金を使い、高価な宮殿や城壁を建設。これらは勝利点がべらぼうに高く、勝敗を左右するはずだ。


miaのボード。見にくいが、真ん中にあるのが村カードで、縦横に影響を及ぼしますよって絵が描かれている。この村を中心に建物カードの赤字の点数(居住性)が勝利点にプラスされるのだ。

miaも、自分の建物を使って勝利点8もあるランプの大量生産を行う。

わし「お前、それ使わせろや」

mia「船と一緒よ」

お互いにコアコンピタンスを相手に譲らない戦いが繰り広げられる。

わし「なにこれ、勝利点30もある。絵画かな?」

ひときわ大きい、ビカビカっと光ってるタイルがある。
調べてみると奇跡らしい。

わし「ふーむ、円塔建てて、奇跡を貰うか…って、これ何? コストべらぼうに高いんですけど?」

5コイン+ウイスキー+14勝利点で奇跡が手に入るみたいなアイコンが記されてる。

わし「これって得なんか? 5コインが1勝利点、ウイスキーが2勝利点それに14足すと合計17勝利点支払うのか。まあ、こつこつと船で貯めた装飾品を使って、奇跡を起こすわ」


ビカビカーッ!! ここに神の奇跡が起きる!

miaも負けじと、奇跡をおこせる建物をたてて奇跡を起こす。
こちらの建物もランプ等えげつないコストが掛かる。

わし「奇跡おこすの安っ! ものさえあれば簡単に奇跡起きんねんや」

そういえば中学の時の社会科の井出先生が「キリストは手品で奇跡を信じ込ませ、釈迦は麻薬で悟りを開いた」と罰当たりな事言うてたな。それと同じか。

二人プレイの場合、残りの建物カードが1枚になったらゲーム終了だ。
非常に眠くなってきたのでバンバン建てて終わらせる事にする。


miaはひたすら聖書とランプを作る作る作る。

mia「もっかい奇跡を起こしたい!」

わし「でもそうなるとわしももっかい奇跡を起こせる資源あるから、一緒やで」

と奇跡について非常に安い会話がされる。

mia「しょうがない。終わらせるか」

そしてようやくゲーム終了。


最後は資源は誰もとらんので、こんな感じになる。10個以上は増えない。

得点計算はものごっついめんどくさくて、数えたところわしが229点でmiaが197点。思ったよりも差は開かんかった。

所要時間3時間

実は、1度1時間たったところで時間が遅くなったので写真を撮って中断した。3日後続きをやったがそれが2時間掛かったので合計3時間である。


これを計算するのが無茶苦茶めんどくさい。

miaのコメント

ル・アーブルよりも面白い。資源がタイルじゃなければアグリコラよりも良いかも。食べ物に対するプレッシャーがないのが良い。

ソマーリオ

苦労して耕して小麦を育て、それをようやくパンにする喜びがアグリコラにはあったが、それに比べて、なんとあっさり資源が手に入るものか。それゆえ資源に対する思い入れというのがない。

プレイ感はアグリコラのテーマをル・アーブルでやってると言えばいいのか、一言でいえばヌルくなったル・アーブルだ。
ヌルくなった理由は、再三書いてるが食い扶持に困らないところと強力な資源インフレである。その分気軽に出来るが、わしとしてはあの強迫観念がないと寂しく感じる。

資源リングは、非常によく出来ており、ローゼンバーグはこれを出したかっただけじゃないだろうかと錯覚すら陥る。アグリコラの資源リングをこちらで作っている人がいるので、是非、印刷して使ってみるといいだろう。
反して駄目なところは、最後の得点計算が非常にめんどくさいところだ。細かい得点を足して足して足して、200点クラスまで足すのはあまりにもめんどくさい。ここはもう少し考えて欲しかった。

アクション駒の使用が、建物カードを使う時だけというのが少し解りにくいと思った。特に二人プレイでは2アクションずつ行うので、そのアクションが追加で出来るアクションなのか、2アクションに含まれるのかが直感で分かりにくい。開拓や建設のようにアクション駒を使わずに行うアクションや、地帯ボードの購入や村カード、小麦の藁化など例外アクションも結構あり、余計に解りにくくしている。そういった意味ではアグリコラ風の駒でアクションを選択する方式、ワーカープレースメント方式ではないのだ。

収穫シリーズは基本的にデフレ傾向なのだが、唯一、インフレとなっており、モノが安い安い。最初、こんな簡単にたくさんのモノが入るので、ルールが間違ってるのではないかと面食らった。

収穫シリーズらしく、安定したおもしろさはあるので、カツカツなのは精神的にしんどいという人は、祈り、働けを勧めたい。修道士というテーマと全然あっておらず、ブルジョワジーな感じがするけど。情報が大量で視認性が悪いので、どうしても慣れるまで時間が掛かるようだが、慣れてしまえばもっと早くゲームが出来るだろう。
それとル・アーブルより計画的に建設することができるので、より戦略的にプレイ出来る。ル・アーブルの短期的な計画しか立てられない部分に不満な人もこちらを選べばいいだろう。

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