おばけ屋敷に閉じこめられた人が、魔よけの勇気・智恵・力をつかって、部屋に出現するおばけを退治しながら脱出した人が勝ちのゲーム。

バンダイ 昭和55年

2〜6人
60分

おばけ屋敷ゲーム

バンダイが当時、タカラやエポックの天下だったボードゲーム界に殴り込みをかけたドラキュラゲームに次ぐ第二弾(たぶん。。。)今なお探してる人が多く、根強い人気は当時これにはまった人が多かった証明である。

なんと2012年夏、スマホと連携して遊ぶ新バージョン 絶叫!おばけ屋敷ゲームが誕生した。







ルール説明

1から6まで書かれたカードを使って駒を進める双六。カードはひとり5枚もち、使ったら1枚補充する。

部屋に入るためには鍵のカード(これにも数字がある)が必要になる。カードは梯子と、エクソシスト、ブラック、マッハが各1枚ずつある。


ゲーム全景。真ん中にある井戸からスタート。渦巻き状に廻って、一番下の死に神の橋をクリアすればゴール。中央下にはおばけカード置き場があり、プレイヤーの手札用にカードトレイがある。

部屋に入ると、おばけと対決する。ここがゲームの肝。『知恵』『力』『勇気』と書かれたタイルを部屋の指示に従って、1枚か2枚出す。そしておばけカードをめくると、「このおばけは知恵か力に負ける」という風に弱点が書かれている。そのタイルを出していれば見事、勝利、部屋の出口に向かう。負ければ、部屋の指示に従って、『あかずの間』(上の図の左の赤い足跡のところ)に飛ばされたり、スタートに戻されたりする。

他にも、3箇所、梯子をかける場所があり、梯子がないと通れない。梯子は1つしかないので、梯子カードを使って移動させて、自分の道を作ったり、邪魔をしたりする。

倒したおばけは手元に置いておく。これは最後の難関、死神橋で使う。

またカードには火の玉カードや太陽カードがあり、火の玉カードは『力タイルを取られる』とか『1回休み。皆にうらめしやあと言ってやろう』とかがあって、おばけカードより質が悪い。タイルを取られると、誰かが太陽カードを引くまで残りのタイルで勝負しないといけなくなるのだ。

太陽カードは『この部屋におばけはいない。出口まで行ってよい』とか『このカードを引いた人のところに全員集合』とかがあり、良いカードである。


特殊なカード。ひとだまカードは質が悪いのが多い。

最後の部屋を抜けると、死神がうろうろする橋がある。死神は、誰かが出したカードの数字だけ動き、往復して見張っている。

橋にはエスケープゾーンが3箇所あり、ここを使って死神をやり過ごさなければならない。捕まるとおばけカードがあればそれを全て捨てる事で見逃してくれるが、ない場合、橋の初めに戻される。

一番初めに死神を抜けてゴールした人の勝ち。

プレイ感

TAMがどうしてもやりたいというので、やる事になった。
最初は、井戸の中から、梯子を使って行かなければならないが、これは俺が最初から持っていた梯子カードを出して難なくクリア。全員その梯子を登る。しかし、ここで鍵カードのない俺は足ふみ。一番、最初に部屋に飛び込んだのはじゃんぼ。

早速対決だ!

「ほな、力と勇気で」

じゃんぼがタイルを差し出すとTAMがクレーム。

「あきませんよ。力と勇気で勝負!(子供調に)って言うてもらわんと」

細かいな、こいつ……

2枚勝負やったのでさくっと勝つじゃんぼ。次にTAMが飛び込み「知恵と勇気で勝負!」とでかい声を張り上げる。これもさくっと勝利。


対決シーン。クモ男は勇気か智恵に負けるのだが、わしの出したのは力と知恵。よって勝利。右下にうっすらと梯子が見える。

そうやって次々に部屋をクリアしていく二人。だが俺は鍵カードがなくてずっと足ふみ状態。


中には強いおばけがあって、1つしか弱点がないのもいる。

わしもようやく鍵を引き、対決する。

これが肝のひとつなんよなあ。という訳で力と勇気で勝負。相手は牛鬼、力か勇気で負けるので勝った。

「おお!」

どんぴしゃに感嘆の声をあげる二人。

それから2つ目、3つ目の部屋に行ったところで、じゃんぼは2つ目の梯子を使って、二口女の部屋で対決。そこで負けたのであかずの間に飛ばされる。あかずの間はそのゾーンを出るまで他のプレイヤーが出した数だけしか進めないのだ。

「よっし、じゃあ、わしは3つ目の部屋で、力と知恵で勝負や」

引いたカードは大魔王!


最強おばけ、大魔王! 赤字で書かれてる。おばけごとにテキストで説明がされているのが良い。お化けは西洋のと東洋(妖怪)がごちゃまぜにいるが、ガス人間って……東宝の映画でおばけちゃうやん。。。

たしか3つ目の部屋って……
「負けたらスタートに戻る、ですね」

ちきしょー、もっともきついペナルティやんけ。ほとんどは『この部屋に残って再度、対決』やのにさ。

「これ、最後までやるの? すっごいおもろないねんけど?」

開始、5分ですっかりやる気のなくなる俺。別に井戸に戻されたからではなく、ゲーム自体がつまらんからだ。勝っても、ああ、勝ったかと思うだけやし負けたら負けたなと思うだけでなんとも思わん。どう考えてもただの運やもんなあ。
しかしTAMは「最後までやりましょうよ」とやる気満々。

こいつ、死神を体験したいんやな。まあ、あそこはおもろかったかも知れんけどなあ。時間勿体無いし、別のゲームまじでやりたいんやけどな。

結局、そのままプレイ続行。相変わらず鍵カードがこなくてなかなか突破出来ない俺。その間に二人はぐんぐん先に進み、死神まで到着。そのころのわしは最初の3つ目の部屋であがいていた。しかも火の玉カードで『力』まで取られて。

死神が動きだす。このゲームをやったことのないじゃんぼに「大きい数だせ」とか指図する。TAMはエクソシスト(1から6まで好きな数進める)とマッハ(6進んでもう1枚カードを出せる)で一気に抜けようとするが、目算が狂い、おばけカードをかつあげされる。ばかりか、すぐに往復され、橋の袂に戻された。

ようやく鍵カードを手にいれ、ほうほうの体で、2つ目の梯子の部屋に到着。凄まじく水を開けられた俺。しかし、俺にはまだ勝算があった。


ぶっちぎりの負け状態の青駒の俺。しかも火の玉カードに『力』が盗られた状態。TAMとじゃんぼはすでに死に神橋。

引いたカードは太陽カード。

『トップの人と同じマスにいく』

よっしゃ!


みよ、この燦然と輝く太陽カードを! この状態が……


一気に緑の駒と同じマスに!


そしてそのままゴール。

橋の初めにいたトップのジャンボと同じマスにいき、そっから巧みなカードワークで、さらっとゴールする俺。所要時間50分。

「ほい、勝ち」

つ、つまんねえ……

TAMのコメント

うーん、ちょっとマッハカードを使うんが早すぎました。それよりいかさまちゃうんすか?

阿呆いえ! おばけカードにあのカードが含まれているのは周知の事実。お前ら、部屋全部抜けたから、あのカードを引くのは遅かれ早かれわしだけやんけ。頭の勝利よ。

じゃんぼのコメント

あのこつこつ積み上げたリードは一体なんだったんでしょうね。

ソマーリオ

ゲームとして、知恵、力、勇気タイルがあり、いんじゃん(俺は大阪人なんで誰がなんと言おうとじゃんけんなんて呼ばないぞ!)の感じにしたり、あかずの間は他のプレイヤーの数だけ進めたり、梯子が必要やったり、と双六としては考えて作られている。カードで進むというのは日本ではなかったアイデアでこれも良い。

しかしこのゲームで一番よく出来てるのはやはり死神との対決。のちのバンダイのパーティジョイでも採用されていたカードで進む方式の弱点は1のカードは6のカードよりも全てにおいて劣っている点だ。これを覆したのは大したもんだ。小さい数で死神をやりすごす事が可能なのだから。ブラックカードにいたっては『パス』である。

悪いところとして、今回はTAMのミスで勝てたが、マッハカード(6進めなおかつもう1枚カードを出せる)とエクソシストカード(おばけと対決せず勝てる。もしくは1から6の好きな数進める)がかなり強いので、これを持ってると圧倒的に有利である。引くか引かないか、これは運の要素が大き過ぎる。また、いくらいんじゃんのように智恵と力と勇気の子であってもおばけカードの引きもやっぱり運である。別にタイルを取り上げられたからといってダメージが有るわけでもない。また日本のゲーム特有の『トップの人のマスにいく』という負けてる人への救済措置。今まで1点やったのに、最終問題は20点みたいな感じである。『うまく使えば逆転もありうる』なら解るが、あまりにも安直に救済しすぎである。日本特急旅行でもそうだが、カードで単純になんとかしすぎなのは、日本ゲームの悪い癖である。そこにデザインの妙が感じられないのだ。端的に言ってしまえば、誰でも作れる。

大人になった今やるとおもんなかった。理由を考えてみると、昔は、ゲームシステムというよりもお化けにワクワクしたのではないだろうか? 子供ならお化け屋敷というだけで十分興味をひく話題である。なんといっても当時はユリゲラーが来日してスプーン曲げまくったり、五島勉が『ノストラダムスの大予言』で終末を予言したり、『うしろの百太郎』や『恐怖新聞』など、つのだじろうのおばけ漫画が全盛の時代である。そらもう日本全国大変で、不思議で満ちあふれていた。お化けを説明と弱点付きでカード化すればそら楽しいわ。トレーディングカードゲームが流行ってる今ならたやすく理解出来るだろう。子供は昔から集めるのが大好きなのだから。大人になった今、おばけにワクワクせんようになった。そりゃあおもろない筈だ。テーマがお化けじゃなく、指輪物語のキャラクターならどうだろう?


ボードの裏面にはおばけの説明や、お守り、おばけからの逃げ方(呪文)などが書かれている。これが小学生にはうっとりするんやろなあ。画像は読めるように大きめにした。

いつの間にかつまらない大人になったのを実感してしまった。そんな気持ちでいっぱいだ。逆にいうと、今の子供はお化けにワクワクしてくれるのだろうか? もしそうじゃなければとても可哀想だ。夢がない。
そういやわしのお父ん、これごっつ好きで「お化けやろ、お化けやろ」とうるさかったわ。あいつ……かなりファンタジーな奴やな。。。まあ、ネットでリアルにお化け屋敷ゲームをやるとすればこんな感じかな?

このゲームを再び面白いという世の中、というか自分に戻れたら、幸せやろなあ……遠い目。久々にこっくりさんでもやるか。とまあ、昔はこんな風に書いてたが、実のところこいつを30年の歳月をかけて正常進化させたようなゲームがある。それはベーオウルフである。そのおもろさは比較にならない。テーマが日本ではマイナーなだけに、人気がないのが残念だが、ほんのちょっぴり感覚が似ているところがある。ま、そんな程度やけどねw

その後、平成24年になって絶叫!おばけ屋敷ゲームとしてリメイクされた。

gioco del mondo