Sebastien Pauchon

Asmodee

2人
30分

ジャイプル

amazonで購入

インドのジャイプルは商人たちでごった返している。
あちらこちらの路傍で、商人たちが風呂敷を広げ、その上に商品を並べているのだ。
皮、スパイス、布、銀、金、ダイヤ
ここで商人としての手腕を争っているのだ。

プレイ感

ルプスブルグがバネストに入ったので、なんとか送料無料にしてやろうと吟味してたら、2010年度ドイツゲーム大賞の推薦リスト入りしてたコレが目に付いた。miaとプレイ。

手番にやれる事は、場にあるカードを1枚手札に加えるか、2枚以上欲しければ好きな枚数手札に加えて、同じ枚数を場に戻すか、場にあるラクダカードを全て自分の場(家畜置き場)に取るか、手札から同じ種類の商品カードを捨て札にしてその枚数得点タイルを取るか(売るという意味)のどれか一つが出来る。

自分のカードは手札と、家畜置き場にあるラクダカードである。また手札には7枚という上限がある。
場にあるカードは常に5枚になるように補充される。

勝利点を得る方法は、手札からカードを売る事だが、高価なダイヤ、金、銀は2枚以上でないと売ることができない。売ればその枚数分得点チップが手に入るが、チップの得点は一様ではなく各商品早めに売った方が得点が高くなっている。また、3枚以上まとめて売るとボーナスチップも貰える。


手札と、家畜置き場にあるラクダカードを上手く使って、欲しい商品を手に入れる。各商品チップは点数の高いものから安いものまであり、早くに売れば得点が高い。また3枚、4枚、5枚を同時に売った場合、それぞれボーナスチップがもらえる。これらは総じて得点が高い。

ラクダカードは何に使うかと言うと、ラクダは家畜置き場に置かれており、2枚以上場のカードが欲しい時に交換要員として使えるのだ。手札の7枚制限から外れて、カードをストック出来るカードなのである。

山札が尽きて補充出来なくなるか、商品チップの3種類が無くなるかするとラウンド終了。その時点でラクダの多いプレイヤーがラクダチップ5点を貰い、得点が多い方が優秀の証タイルを1枚取得する。これを2枚集めたプレイヤーが勝利。

セットアップは、手札5枚ずつ、場にラクダを3枚置き、2枚を山札から補充してゲームスタート。

わし「これってラクダが強いんちゃうの?」

とラクダを丸ごと受け入れて自分の家畜置き場に。

mia「先攻の方が有利??」


売りさばいた結果、手札が1枚。相手の手札枚数をよくみながら、プレイしないといけない。

このゲームのポイントは、カードを1枚増やすか、交換するかとなっている。欲しいカードが複数枚出たら、即座に交換して、次のターンで売りさばけばいい。これの繰り返しだ。

各商品チップの1枚目だけはどれも高得点チップとなっている。わしはここに着目して、手札から高得点チップを狙って1枚売りを繰り返す作戦とした。

mia「なんかずるい!」

わし「お前もそうしたらええやんけ」

ここまでカードの巡りが悪く、高級品がまったく出ず。

そして高級品が出だしたら、即座にそれを1枚ずつ取っていく事になった。

高級品の良く出来てるのは、2枚以上でないと売れないところ。ルールを読んだだけでは大したことはないと思うのだが実際にやってみると、非常によう効いてる。1枚売り作戦が出来ないのだ。

またルールを読んだ限りではラクダが非常に強く感じると思う。ところが

mia「じゃ、ラクダを貰う」

と、4枚のラクダを取った刹那、山札から新しく補充されたカードに、ダイヤ、金銀が混ざる。

mia「あー!」

そう、ラクダを取るタイミングというのはよくよく考えなければならない。ある程度ゲームが進むと、場が大幅に変わる事はなく、高級品が出ては1枚ずつ貰っていくパターンや、商品バラバラの状態が続いたりする。それを一撃で変貌させるのがラクダカードの一斉取得行動だ。

わし「よっしゃ、じゃあ、このラクダを使ってこれらを洗いざらい交換じゃあ」

結局、3種類の商品が尽きて、1ラウンド終了。
ラクダの保有数が多いわしがラクダチップ5点を貰って、集計。


商品が3つ売り切れるか山札がなくなるとゲーム終了。表にも得点が書かれているが裏面には大きく得点が書かれている。右上がラクダチップ。

1ラウンド目はわしの勝利で、優秀の証タイルを貰う。

二度目はかって知ったるゲームだ。

今度は、安い商品をなるべく集めて最高の5枚売りのボーナスを狙う事にした。

途中、あれもこれも欲しい商品が並ぶ。しかしラクダは居らず。

わし「うーん、じゃあ、これ貰う」

mia「ん? それって手札?」

わし「あーー!! 9枚も持っとるやんけ!!」

もう、欲しいのが並んだら、すっかり手札制限を忘れてしまった。こういう場合やはりラクダが必要なのだ。
そのバランスの見事な事。

結局、今回は、ランダムにmiaに抜いて貰って、ゲーム続行。

なんせ5枚のボーナスタイルの強力な点には驚く。10点とかあるのだ。

しかし、miaは高額商品をぽんぽんと売りさばき、2本目はちょっとの差でmiaが勝利。

3本目は、ラクダカードを使って、miaをラクダカードを取らざるを得ないよう雪隠責めにして、わしの勝利。

所要時間30分


という訳で優秀の証を2枚手に入れて勝利。

無茶苦茶おもろいという事で翌日再び再戦したが、今度は2本先取されて負けてしまった。

miaのコメント

これは面白い! 絶妙なバランス。楽しい。

ソマーリオ

こういうゲームに当たるたびにドイツゲーム大賞にノミネートされた二人用ゲームに外れ無しというのを思い出す。なんともまあ、見事なゲームバランス。
フェアプレイ賞やギーク賞、IGAなど二人用のゲームで総なめにしているのは伊達ではなかった。

同じ商品を集めて売るというシステムは、ボーナンザノッティンガムの作者ローゼンベルグが得意とするところだと思うが、ジャイプルはそれよりもさらにシンプルな構造にし、ルールだけを読むと一瞬「え? 強すぎるのでは?」と驚いてしまうラクダという要素を加味して、抜群におもろいゲームに仕立て上げた。

様々な勝ちパターンがあり、そのどれもが見事としか言いようがないバランスの上に成り立っている。なんといってもこのゲームを素晴らしいものにしているのは、カード構成の見事さに現れるだろう。

僅か1枚の布きれに絵が描かれている姿を想像して欲しい。どこかを引っ張れば、どこかの絵が歪む筈だ。歪まなかったとしても、別の箇所を引っ張れば、前の引っ張りと併せて結局は歪んでしまう。何か行動を起こせば、どこかに変化が起こるという、まるで1枚綴りの絵のような見事なカード構成の妙がこのゲームにはあるのだ。

ルールの最後に勝つためのヒントがいくつか書かれている。そのヒントはやってみると一々納得のいく話で、上記の事がしっかりと描かれている。

カードやタイルの雰囲気もよく、欠点という欠点は見あたらない。非常に優れた傑作二人用ゲームである。ラクダのカードの使い方の巧みさに驚く筈だ。これを発想するのは相当大変だったように思う。
タイトルが地味な事からあまり話を聞かず、あちこちで売り切れてしまっているようだが、これはホビージャパンには是非、再入荷を行って貰いたい。

というわけで記念すべき500レビュー目は、傑作二人用ゲームジャイプルので締めくくりたい。

gioco del mondo