Uwe Rosenberg

ABACUS

3〜7人
50分

ノッティンガム

「その旨、執政官にお伝えします」
「ややや、お待ちください、どうか、これを」
「これは?」
「お饅頭でございますよ。執政官の好きな、金のお饅頭でございます」
「なるほど、執政官はさぞお喜びになることでしょう」
「それでは、執政官にはくれぐれもよろしくお伝えください」

ここノッティンガムはこのように賄賂と汚職にまみれていた。

プレイ感

豆シリーズじゃないローゼンベルクつうだけで、とりあえず買うてみた。ルールを読んでみるがさぁーっぱり解らない。わ、これ出来るんか? と、もっかい読み直してみたが要領を得ない。ゲームの目的や何をしたいんかがさっぱり理解出来ないのだ。とりあえず、やったら解るやろという事でたっかん、TAMとの3人プレイにて。


カードは、金、銀、真珠、宝石などに分かれていて、これを3枚以上集める事で勝利点を稼ぐ。手番はカードをめくる。めくった直後に、強奪、賄賂などの特殊効果を発揮するか、手札にするかを決める。特殊効果の名称はいかついが、実際のところ相手とカード交換すると思ってくれたらいい。カードの交換手段が色々あるだけなのだ。やってみるとすぐに解った。自分が集めているカードじゃなければ、特殊効果を使えばいい。そんだけである。


小さいボードに執政官駒を置く。マス目に枚数が書いてあり、誰かが得点した時に手札枚数がそれ以下だとカードを1枚貰える。右に並べられてるのはボーナスカードで、条件を満たしてこれを入手する事で得点が貰える。

このゲームのポイントは金のお饅頭が大好きな執政官のお気に入りになる事である。それは手札の枚数にある。誰かが3枚以上をセットにして得点にすると、執政官駒が動き、お気に入り枚数が指示される。その枚数以下だとカードが1枚貰える。このゲームはやってみると解るが、カードは手番に1枚ずつしか増やす事は出来ない。唯一カードパワーを増やすこの執政官のお気に入りになり続ける事がゲームの肝である。偉そうに書いてるが、ゲームの途中でようやく解った。


要は同じカードを集めて公開したら得点になるというもの。ただしカードごとに特殊効果があり、能力を使うかそのまま手札にするかを決める事が出来る。このように手札にしてしまったカードは、特殊効果は関係なくなり、品物としてのみ考慮すればいい。

ゲームは終始、TAMの執政官のお気に入り連発でリード。わしは、無謀なボーナスタイルを集める愚考を序盤に犯した為に、手札枚数が多くなりお気に入りになれない。

わし「ほな、この3枚公開する」

たっかん「おっと、それ、強奪ですわ」

金の特殊効果、待ち伏せで、公開を阻止される。1枚、金と交換させられるので、結局、公開出来ずになる。基本的に3枚が一番効率のよい公開方法なのだが、こういったものを阻止したり、執政官のお気に入りになるための手札調整のために勝利点は変わらないにも関わらず4枚以上の公開をするのだ。

これが、非常に痛い。おそらくたっかんは、とりあえず待ち伏せするのがわしという指定のためにやっただけだろうが、このプレイで金で待ち伏せされまくったわしだけがこの痛さを知っている。そう、TAMもたっかんも金をよく引き、待ち伏せしまくったのだ。しばらく待てばカードをまた集める事は出来るだろうが、そのあいだに執政官のお気に入りを逃す事になる。手札が少ないほどいいからだ。


ゲーム終盤。何枚かのボーナスカードをゲットしている。みたまま、2枚同じカードの組み合わせを3組と4組出したら貰えるカードだ。それぞれ得点がある。右においているのは金の特殊効果の待ち伏せ。伏せている条件にあった奴から強奪出来る。

TAMはボーナスカードを、がんがん入手しつつ、そのまま一気にぶっちぎり勝ち。ボーナスカードは、同じ種類ではなく、指定したカードの組み合わせで得点するカードである。TAMにしては、手札のマネージメントが見事であった。なんせお気に入りの連発で完全敗北。ゲームのポイントに気づくのが遅すぎた。

所要時間45分


結局ぼろ負け。あまり良いものを狙うよりもコツコツ狙った方が執政官のお気に入りになるのでいい。ボーナスカード以外も、そのまま公開した奴が得点になる。

TAMのコメント

これは勝ちましたけど、まあまあですね。

後日6人で再戦したTAMのコメント

前はなんでいまいちと思ったんでしょうか。評価が完全に変わりました。おもろいです!

ソマーリオ

珍しくわしとTAMの評価が大きく逆転した。負けたけど、肝を理解してからは無茶苦茶おもろかった。

名称はえげつないんやけど、実際やってる事は場札の交換で、同じカードを集めるというゲームである。ローゼンベルクがかつてシビライゼーションの交易ルールからボーナンザを作ったが、今回もまさに新しい形のボーナンザといって差し支えない。この集める方法に色々と工夫があり、非常に楽しいゲームとなっている。ボーナンザは交渉によりカードを集めたが、ノッティンガムでは、問答無用のカード交換である。

こんなにおもろいのに、評価が分かれるひとつの原因はそのテーマだと思う。客観的に紐解かないと、カードを奪われているという感覚がして、ちょっと嫌な感じになるのだ。しかし客観的にみると、必ずカードは1枚ずつ増え、手札枚数が減らされる事はないように出来ているのだ。減るのはただひとつ、自らが得点公開する時に4枚や5枚を選択した時のみである。特にゲーマーには評判が悪いみたい。わしゃこういう集めるの好きやなあ。

こうしてみると、ボーナンザが交換方法を人任せにしたのに対して、ノッティンガムは様々な交換方法をシステムとして用意しているのだ。無理矢理交渉をする事が出来るボーナンザと思えば手っ取り早い。

ボーナンザの交渉が苦手という人は、このノッティンガムをやってみるとローゼンベルクの凄さが解るだろう。やっぱりカードゲームのデザインに関しては天下一品の腕前だ。しかし、ローゼンベルクのゲームってルールはそんなに難しくないのに、ルールだけを読むと無茶苦茶分かりにくいなあ。ルールブックを作る人が下手なのか、ルールが記述しにくいのか、一体どっちだろう??

基本は3枚同じカードを集める事。ボーナスカードで、組み合わせる事によっても得点出来る。そのための交換方法が、モノによって色々ある。これだけ最初に書いていれば、ぐっと分かりやすくなると思うんやけどなあ。それにしても7人でやれるのは結構魅力かも。2年後、Keiなどの初心者も織り交ぜて6人プレイする機会を得たが、全員に大好評やった。やっぱり奪われるという印象が悪いように思うので、手札は奪われるのではなく、交換させられるという風に説明したのが良かったようだ。

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