Friedemann Friese

2F Spiele

2〜6人
120分

電力会社/第二版

駿河屋で購入
現代生活にとって電気は欠くことのできないものになっている。
その電力を発電し、国民に届けるのが我々の仕事だ。
電力を発電する方法は、いくつもあるが、最も必要なのは利潤を求めることである。
つまり、現在最も安価に発電できる燃料を見極め、発電所をうまく運営することが肝要なのだ。

プレイ感

安田均のゲームを斬る! で非常におもろそうに書かれていた。実のところフリーデマン・フリーゼはあまり好きではない。アイデアは面白いのだが、どうにも荒削りな印象を受けるからだ。そういう訳で鼻からアウトオブ眼中だったのが、あまりにもおもろそうに書かれていたので買うてしまった。TAM夫妻との3人プレイ、アメリカマップにて。








順番決め、発電所の競り、燃料買う、支社建設、発電と5つのフェイズに分かれている。これを順番に繰り返していく。最も重要な発電所は常に4つの発電所カードが競りの場に出され、買えば抜けていくシステムなので、必ずひとり1つは買うことが出来る。またその下に将来の発電所が4つ置かれ、その中から最も価値の低い発電所が現在のマーケットに補充されていく。このカードハンドリングは非常によく出来ており、後述するシステムと相まって素晴らしいゲーム環境を構築するのだ。


序盤のわしの発電所はクリーンエネルギーと石炭で発電する。ボード下にあるのが現在売っている燃料で、右に行くほど値段が高くなる。つまり需要が高まれば値段も高くなるのだ。

発電所に必要な燃料は、石炭、石油、廃棄物、ウランと4種類ある。これはマーケットに置かれているが、値段が違う。過剰になれば安くなり、不足すれば高くなる仕組みとなっている。この部分も非常に上手く機能しており、ひとつの経済ゲームと呼んでも間違いないくらいによく出来ている。燃料は負けている人から買うので、勝っている人は同じ燃料だと高く買わなくてはいけない羽目によく陥る。

最初は、全員、安価に電線を引ける東海岸に本店を建てる。支店を作るには都市の間を結ぶコストと建設費を支払わなければならないので、それが高価な西海岸は誰も置かない。アメリカマップだと丁度、東から西へゴールドラッシュのように電線が広がっていく感じになるだろう。


マップはこんな感じで繋げていく。繋げるには電線に書いてる金額+都市に書いてある軒数(1軒目10、2軒目15、3軒目20)の金額を払う。電線の値段はおそろしく違うので、初期配置はかなり重要である。

3人だと割合、好きなように伸ばしていけたので、前半はとても穏やかだ。最初は、皆、石炭を燃料とする発電所を立ち上げた。なんといっても石炭は安いのだ。この燃料を使わねば勿体無い。徐々に石炭の価格が上がっていく中、TAMは意表をついて高価な廃棄物を燃料とする発電所を立ち上げた。

無謀や。

なぜなら、廃棄物はまだ値段がこなれていないのだ。高い燃料を使って発電をしなければならない。

その横で、わしとTAM嫁の石炭争奪戦が繰り広げられている。わしは石炭を主に、TAM嫁は石炭・石油のどちらでも使えるハイブリッド発電所を持っている。わしは石炭のみなので、これを買われると非常に高い価格で燃料を買わざるを得ない羽目に陥る。


石炭ばかりになりすぎて値段が高くなったので、ここで廃棄物燃料に切り替える。3台しかもてないので、1つを廃棄処分する。燃料は茶が石炭、黒が石油、黄色が廃棄物、赤がプルトニウムである。

このままでは厳しい。そこで、風力発電所を購入。これならば燃料なしで発電可能だ。自然って素晴らしい!

しかしながら一度あがった石炭価格はなかなかに落ちない。
そうこうしているうちにTAM、ここで思い切って最低価格29エレクトロもする石炭・石油のハイブリッド発電所を購入した。そして未来のエネルギーと期待した廃棄物発電所を廃棄した。


このハイブリッドは凄い! わずか1で4も発電する。このギャンブルが成功するか!?

TAM「これ、役立ちませんでした。先取りしすぎた」

※ 発電所はひとり3つまでしか持てないので、4つ目を購入すると、どれかを廃棄処分しなくてはならない。また発電所ナンバーは最低落札価格にもなっている。

わしもなんとか次世代の発電所を作らねばと、廃棄物の高性能型を購入したが、こいつがやたらと燃費が悪いのだ。ステップ1では廃棄物の補填が1ずつしかないので、まったく価格が下がってこない。

※ ステップ1,2,3があり、それぞれ条件を満たすと環境が変わるようになっている。このステップの移行は非常に素晴らしく、驚くばかりだ。

わしも早すぎたようだ。ここで無理して購入したおかげで都市数が1つビハインドしているTAMが、良い手ごたえでゲームの主導権を握る。なんと、あのハイブリッド、石炭か石油1つで4つもの都市に電力を供給できるのだ。


もうもうと黄色い煙をあげる廃棄物燃料。病気になりそ。各発電所は必要燃料の2倍まで置いておけるので、燃料の価格は鰻登りになっている。

わしは、高い廃棄物の発電所を購入したおかげで、トップとなりそこからゲームの終了までずっと最後に燃料を買う羽目に陥った。これがあまりにも痛かった。


この廃棄物発電所に切り替えたのが大失敗であった。やたらと値段が高いのだ。廃棄物のくせに〜

途中、ウランが異常に安くなっているので、皆、生唾を飲み込んで原子力発電所が出るのを見守っていたが、出ても価値が高いため、そのまま市場に下りてこず、山札に戻っていく。

※ そういうルールなのだ。

そこで、ふと気づいた。都市は毎ラウンド1つずつしか購入してなかったが、これではいつまでたってもTAMは1つビハインドしたままである。都市の数で勝負するので、これはどう考えてもおかしい。puppiにホットラインのテレフォーンコー!

puppi「出来るよ。お金さえあれば」

わし「やっぱし! さんきゅー」

puppi「なんや、用件はそれだけかいなw」

しかし気づいたのは最後も最後。


風力発電に切り替えるも時既に遅し。

気づいたら、ステップ2はほとんどなくて、ステップ3に移行。そこからひたすら金を溜め込んでたTAMが一気にラストスパート。

結局、あの29の発電所のパワーは凄く、TAMが勝利。

所要時間120分

TAMのコメント

いやあ、むずかしいゲームでしたねえ。

わし「お前、最近ゲーム強いやんけ」

TAM嫁「ほんまほんま。結婚できない男みたいに、ひとりでシミュレーションしてるんちゃう?」

やってませんて。こんなゲーム初めてみましたって。

わし&TAM嫁「怪しい〜」

ソマーリオ

なるほど。確かにネットで評判通り、ゲームを斬るで書いてる通り、おもろい。特に燃料の需要と供給のバランスが絶妙で、需要が高まれば価格が高くなる経済の様子が非常に上手く描かれている。

いつまでも古い形式の発電所を所有していては時代遅れになり、発電が間に合わなくなるので、何時次世代型の発電所にチェンジするかなど、びっくりするくらい上手く出来てる。プレイヤーだけの閉じた世界だけで、需要と供給の経済バランスをこれほどうまく描いているゲームというのはわしの記憶にはちょっとない。お見事。

しかし、ゲームのバランスとしてみると、場所によってあまりにも有利不利があり、またそれが解りにくいので、初心者では絶対に勝てないという致命的な弱点がある。これがフリーデマンフリーゼの特徴ではあるのだが、この部分を直すことが出来ればこのゲームは傑作となっただけに残念だ。

カタンニューイングランドのように、バランスよく配置できるような最初の本社位置をプレイヤー人数に合わせて用意していれば良かっただけなのにと思う。

このようにいきなり離されると取り戻しは出来ないという欠点はあるにせよ、ゲームとしての楽しさは間違いのないところ。熟練者なら確実に楽しめると思う。

これは第2版であり、初版は電線までもボードに描いたらしい。そっちのほうがおもろいらしいが異常に時間が掛かる4時間コースらしいので、ほとんどの人はこの第2版がお勧めらしい。

追記。G13さんから、3人プレイの場合、3色のエリアしか使わないと教えて貰いました。このレビューでは全部を使ってるので単に安いところにぐいぐい伸びていく感じになってます。つう事は恐ろしく濃密な戦いになるという事で、また機会があればやってみよっと。きっとTAMに負けたのはそれが原因でしょうw

再プレイにて

ようやく同じメンバーであるTAM夫妻と3人プレイをやってみた。
前にあげたようにバランスの弱点はあるけど、これはムチャクチャおもろいな。発電する時にプエルトリコのような気持ちよさがある。資源を買うて、それを燃料として発電を行うのが非常に建設的で楽しい。トップ叩きがやりにくいのと、運の要素が発電所の出てくる巡りくらいしかないので熟練が必要やけど、それを補って余りある見事な経済シミュレートはほとほと感心する。

拡張マップはええわと思ってたけど、TAM曰く、マップによって全然違いますよとの事で、欲しくなってる。同人版の日本マップは前に買うたので、今度はそれでやってきちんとしたルールのレビューを書こうと思う。これほどのゲームはに変更せねば申し訳なし。さすがにGeekで一時3位につけてただけあるわ。

嬉しい情報として、ついに日本語版が出た。あまり言語依存のないゲームやけど、土地名が日本語になってると結構良かったりする。

gioco del mondo