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Friedemann Friese
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2F Spiele
アークライト
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1人
30分
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ロビンソン漂流記
とある孤島で一人での生活を楽しんでいた島民フライデー。
しかしあるとき、転覆した船と共にロビンソンが漂着した。早くロビンソンに島から出て行ってもらいたいフライデーは「ロビンソンが自力で島から出て行けるように彼を鍛え上げよう!」と思い立ち、ロビンソンを導いてゆく。
『ロビンソン漂流記』は1人用のカードゲーム。プレイヤーは島民フライデーとなり、頼りないロビンソンが力尽きずに島から脱出できるよう、サバイバル生活を通して彼を鍛え上げていく。
ロビンソンの能力は「ロビンソン・デッキ」という山札で表され、山札を充実させていくことで成長が実感できるわかりやすいシステムと、難易度を選んで何度も繰り返し遊ぶことができる秀逸なゲームバランスが非常に魅力的だ。
空いた時間に気軽にプレイするもよし、高い難易度でのクリアを目指してじっくりプレイするもよし、初心者から上級者まで、幅広く楽しむことができる内容となっている。
プレイ感
フリーゼが相変わらず頭にFの付くフライデーという名前で売ったソロプレイ用デッキ構築ゲームをアークライトが日本語化した。ロビンソン漂流記という名前に変わったのはまあ、しょうがないやろ。最近、夜な夜な自転車操業でゲームをプレイし、レビューを書きを繰り返してるので、今回はさっくり一人で出来るこのゲームを深夜ひとりでどうぶつの森を諦めてやることにした。
最初に2枚の災厄カードを引く。災厄は島の探検から肉食人種との遭遇までさまざまな島での困難が難易度によって変わっている。そのうち1枚を捨て札に、今回立ち向かう災厄を自分の前に置く。それから災厄カードに描かれているだけ漂着カード(つまり自分のデッキのカード)をめくる。足して難易度以上になったらクリア、駄目なら体力を1払う毎に1枚追加でカードを引ける。
初期セットアップ。左に災厄カードの山。その上は警戒度(難易度)を示している。ラスボスになる海賊カードは2枚先にめくられているのでそれによって戦略を立てる必要がある。その隣が衰弱カードの山。一番右がロビンソンのデッキである。難易度の一番低いモードでは初期体力は20個である。ドミニオンとは違い手札はない。
さてここがポイントなんやけど、戦略的にクリアしない方が良い場合がある。諦めるとその難易度に達していない分だけ体力が減るのだが、今回プレイしたカードをその数だけゲームから除外しても良いのだ。
なんでこれが戦略的かと言うと、ロビンソンの漂着カードは超弱い。もうびっくりするくらい弱い、0のカードのオンパレードで、それどころかマイナス1とかのカードも入ってる。プラス点のカードの方が少ない。つまりここでデッキを圧縮して、プラス点のカードの回転を良くする必要があるという事だ。
最初に災厄カードを2枚めくる。そのうち解決する方を自分の前に出し、もう1枚は捨て札とする。みての通り、上下ひっくり返すとロビンソンのカードになるようになっている。カードには特殊能力もあったりするので、どれを選ぶかはしっかり考えないといけない。またクリアすべき数値は警戒度に従って緑、黄色、赤の数値以上を出せば良い。
逆にクリアすれば、その災厄カードは、ロビンソンの捨て札に上下逆にして捨てられる。つまりデッキに加わり、今後は漂着カードとして利用するという事で、災厄を乗り越えた事によりロビンソンのサバイバル能力があがることを示している。こうしないとロビンソンのデッキは弱いままなのだ。
災厄カードの山が無くなれば、1段階、難しい警戒度になって山を作り直す。ロビンソンのデッキが無くなれば、衰弱カードの山からカードを1枚追加してデッキをシャッフルしなくてはならない。これがまたマイナスの強烈なカードばかりで、走り回った末のロビンソンの衰弱度を現している。つまり回転を良くし過ぎても、弱体化が頻繁に起こるという事である。
こうして災厄カードの3段階目を終え、最後に海賊カードという災厄を2枚打ち負かせれば、ロビンソンの勝利、その前に体力駒がマイナスになったらロビンソンの負けである。
最初に2枚までめくることが出来る。それは左に置く。今回クリアすべき数値は一番下の緑の警戒度の1である。2枚めくっただけではマイナス1なので、体力を1個減らしてさらにカードをめくると初期デッキで最強の天才2を引いてこの災厄をクリアした。
最初は解らないまま、弱い災厄を選んで、これを一生懸命クリアしていく。が、なんせ最初のデッキがあまりにも弱く、体力を減らして、ほうほうの体でクリアする。
それでもなんとか進めていくが、引くカード引くカード、0とかマイナスとかばかりで、なんともしがたい状況。クリアすれば、強いカードに変わるが、そもそも弱い災厄なので、そんなに強力なカードでもなかったりする。またカードには特殊効果があるものがあり、プレイしたカードならいつでも使う事が出来るが、体力駒を戻したとしても、元々の弱さはなんともしきれず、そのうちデッキが尽きて、衰弱カードを入れられ、益々弱くなる。
バカやで、バカ。堂々とこんなんを書くなんて、今の時代どきっとするわい。これは衰弱カードの1枚で、これが加わるとデッキが超弱くなるんよ。たちの悪い事に、デッキが尽きたら再シャッフル前に裏向けに入れるので初見は何が入ってるか解らない。
なんと警戒度の1段階目を越えることすら出来ずに、ロビンソン死亡。
所要時間30分
警戒度が緑のまま野獣に食われて死亡。
これではレビューにならんので、どうぶつの森を今夜やることを諦めて再度挑戦。
2回目は最初に書いたように、もっと考えてプレイする事にした。
今回の作戦はこうだ。強い災厄にいきなり挑戦して、わざと負ける。そして役に立たないカードをどんどんほかしてデッキを圧縮する。最初の体力は20個と十分あるので、カードを除外する為にどんどんと利用すれば良い。
いきなり人食い族に挑み、わざと負ける。クリア値まで4足りないので、これでマイナス1のカードと0のカードを2枚ずつ除去(+体力4個減る)した。
その結果、衰弱カードの投入が早くなるが、それはしょうがない。
当初、予定した通り、次々にカードを除外していくが、衰弱カードもどんどんと加わり、その衰弱カードもなるべく早い段階で除外したりして、思惑通りの展開。
1段階目が終わった。この時点で体力駒は5個になり、この作戦でほんまに大丈夫かという疑問もわいてきた。
ところがデッキが圧縮され、そのおかげで強力な災厄に打ち勝つ事もでき、それが強力なカードとなり、と、まるで人生の絶好調を迎えたかのように、全てが好転し出した。
ほれ、野獣の襲撃も楽々クリア。
2段階目の警戒度の高い災厄も、3段階目になって戻ってくるよりも、先にクリアしてしまえと、余裕の展開。
最初はデッキがすぐに尽きて衰弱カードをがんがん加える羽目に陥ってたのに、クリアするのに枚数が少なくなり、枚数の割にデッキが尽きるのも遅くなった。
超有頂天のまま、第3段階に。
これをクリアすれば海賊を打ち破って勝ちやな。
海賊には単純に強い海賊と、特殊能力を持つ海賊がいる。ゲーム開始時に2枚めくるので、ボスキャラは最初から解っている。今回の海賊は、どちらも特殊能力タイプで、残った全ての災厄を打ち破れというのがいたから、強めの災厄をなるべく先に打ち破るようにしていた。
ここに油断があった。人生の転落なんてそんなもの。
自分のデッキの残りにカスばかりが残っているという事実をカウンティングしていなかった。
そして強力な災厄を選んでしまった。
体力は残り少なく、カードをめくったものの体力がなくなり死亡。
(|| ゜Д゜)ガーン!!
警戒度は最後の赤色になっている。ここで痛恨の選択ミスをした。そして死亡。
ああ、人生とは……
有頂天になった時こそ、兜の緒を締めなければならない。
所要時間20分
ソマーリオ
まあ、よく出来てること。ドミニオンなど、ほとんどのデッキ構築ゲームではデッキの圧縮は必要ではあるのだが、他にもやれる手段があったり、引き運などがあったりして、勝つ為の絶対条件ではない。少々の油断があっても大丈夫だ。ところがこのゲームはそれを許してくれない。勝つためには絶対的にデッキを圧縮せねばならず、その圧縮の仕方やタイミングも、衰弱カードが加わる事が枷となり、考えて圧縮しなければならないように出来ている。
デッキ構築ゲームによくあげられる欠点としてソロプレイ感が強いというのがあるが、フリーデマンフリーゼはそれを逆手にとって、ソロプレイ専用のゲームを作ってしまった。やはりこの作者はただ者ではない。ビール侯爵、ファミリア、そしてロビンソン漂流記と、デッキ構築ゲームを完全に吸収して、ドミニオンのパクりとは言わせないフリーゼ流のデッキ構築ゲームに仕上げてしまった。
やってみたら解るが、序盤クリア時のデッキ回転と中盤以降のデッキ回転の速度はまったく違う。もちろんプレイ時間も違う。そこに違和感を感じるかも知れないが、1,2,3と均等なプレイ時間があるのではなく、スピードは加速していく。そういった事を踏まえてデッキを構築していかなければならず、またスピードアップ出来なければ、そのデッキ構築は失敗で間違いなく死亡するだろう。
今回やったのは一番簡単なレベルだったが、さらにゲームの難易度をあげる事もできる。
小さなカード置き場のボードもあり、ロビンソンが阿呆なように描かれむかつく絵柄だが、コンポーネント全体の質感はよく、満足できる出来映えである。
バランスやアイデアなど、非常に優れたゲームなのだが、を付けなかった理由は、ソロプレイ専用という事にある。やっぱりボードゲームは皆でやらないと、そんなに楽しくないものだった。それはあくまで個人的な感じ方なので、このゲームを貶めるという理由ではない。ビール侯爵、ファミリア、ロビンソン漂流記、全て違う形のデッキ構築ゲームで、フリーゼのデッキ構築三大ゲームと言いたいところだが、今後も出しそう。ただし今後出したとしても、フリーゼのデッキ構築ならコンプリートする。それくらいの価値がある。
昔のレビューを読むとフリーゼはあまり好きでないとあちこちで書いてるが、今となっては好きなデザイナーになっている。ここまで凄いと才能を認めざるを得ない。