Wolfgang Panning
Marco Ruskowski
Marcel SueBelbeck

Queen Games

2〜4人用
90分

フレスコ

駿河屋で購入
ミケランジェロはその彫刻の才能を疎まれていた。
ある人物が絵を描かせて恥をかかせればいいと提案した。
大司教は大聖堂に荘厳なフレスコ画を描くように命じた。
ミケランジェロは、これを引き受けるしかなく、徒弟を集める事にした。

プレイ感

ドイツゲーム賞にノミネートされた時、流行のワーカープレースメント(駒を置いてアクションを選択する方式)と言われてたので、絶対取るな、ヴァスコダガマになれと心に願ってたが、僅差で受賞。しょうがないので買おうと思ったらやたらと値段が高い。安くなるまでそのままほったらかしにしてたら、日本語版がでた。3つの拡張までセットになってるみたい。二人から出来るので、miaとやってみることにした。


ボードは表裏があり、表が3人向け、裏が4人向け。ん? 2人は?? ルールを読んでもどこにも書いてない。さらにチェックすると、拡張ルールの方に載ってると判明。3人向けボードを使い、ノンプレイヤーキャラクターとしてレオナルド君が登場する。あ、そういうタイプか。

ゲームは2ラウンドに分かれている。第1ラウンドは、勝利点の低い順に、起きる時間を決める。他プレイヤーと同じ時間に起きる事はできない。何故なら、その起きる時間が第2ラウンドの順番となってるからだ。

第2ラウンドは、自分の5個ある徒弟駒を使って、このラウンドにやりたいアクションを選択する。このゲームの面白いところは、全員ブラインドでこれらのアクションを決めて一斉に開くところだ。
アクションは、市場に行って塗料を買う、フレスコ画を描く、似顔絵を描く、塗料を調合する、劇場に行くの5つある。1つのアクションにつき3個まで徒弟駒を置ける。


時計回りの順に、左上に起きる時間、右が市場、中央にフレスコ画、下に肖像画、左に塗料、その上が劇場となっている。フレスコ画には大司教駒が載っているが、今回は3人目のプレイヤーとしてレオナルドが特別に置かれている。

市場はプレイヤー人数分のお店が開かれており、1つのお店を選んで、徒弟駒を置いた数だけ塗料を買える。価格は早起きした程値段が高くなっている。で、選んだお店は例え買わなくても閉店なので他プレイヤーは選べない。


5個ある徒弟駒はそれぞれのアクションのところに隠して配置し、一斉に公開する。1つのアクションにつき3個まで置くことが出来る。


塗料も衝立の後ろに隠す。衝立に描かれているのは新色(上級色)の作り方である。上級色は若干大きな駒となっている。

フレスコ画を描くは、ボード上に配置されたタイルが必要とする塗料駒の組み合わせを支払う事により、そのタイルを自分のものにして勝利点を得るというものだ。

このゲームのメインは市場で塗料を買うのとフレスコ画を描くアクションである。以下は、補助アクションといっていいだろう。


置かれているフレスコ画タイルの塗料を支払う事で、その部分の絵を描いたことになり、その点数を加算してタイルを自分の前に置く。そのとき大司教の近くのタイルだとボーナス点が入る。支払える塗料の組み合わせのタイルが無い場合でも、聖堂内を修復するという意味で、塗料をセットで支払えば得点が貰える。

似顔絵を描くは、お金を貰うアクション。1個につき3ターラー貰える。

塗料の調合は、赤、青、黄という基本色を調合して緑、紫、オレンジの上位色に変えるアクションだ。

劇場に行くというのは、徒弟の機嫌をあげる行為で、機嫌が下がりまくると徒弟駒が1個減る。逆に上がりまくると徒弟駒が1個増える。つまりアクション数が増えたり減ったりするのだ。

最後に、今まで自分が手に入れたフレスコ画タイルの枚数だけお金が入る。


これは3人目のレオナルド君。アクションは市場とフレスコ画を描くに固定されている。取り去ったフレスコ画タイルは裏返しにされて目の前に置いておく。裏側にはお金のマークが描かれておりこれがラウンドごとの収入になるのだ。もう一つのマークは上級ルールで使用する。

ルールは非常にすっきりとしており、解りやすい。

このゲームのポイントはなんつっても何時に起きるか、だ。
これによって徒弟のやる気があがったりさがったり、さらに最も重要な塗料の買い付けの順番と価格が決まる。


左にある劇場は徒弟たちの機嫌を現しており、上機嫌になると追加で徒弟駒が増えるし、不機嫌になると徒弟駒が減る。
あんまり早起きばっかりさせると働かなくなるのだ。フレスコ画タイルを取り除くと絵が現れる仕掛けとなっている。

やってることは非常に単純で、ボード上にあるタイルを獲得するための塗料駒を集めるだけである。やってみるとそんなに差はつかないので、差をつけるために大司教駒がいる。この駒のいるタイルを描くと

大司教「おお、地球教徒の諸君! じゃなかった、皆のもの精を出しておるのう。よかよか」

と褒めて貰え3点プラスされる。

もしくは縦横斜めに接している場合も、2点プラスされる。

このゲームの教訓は、上司の目の前で仕事しろという事だ。


一番上の市場は3人プレイ用のボードなので3カ所が毎ラウンドオープンする。どれか1カ所だけ選び、徒弟駒をおいた数だけ、購入する事が出来る。
早起きすれば好きな店を選ぶ事が出来るが、1枚の価格も高くなるので注意が必要だ。もちろん毎ラウンド、取り扱ってる塗料タイルはランダムに変わる。

早起きした場合、市場での塗料価格がグンとあがるので、お金と相談の上、早起きしなければならない。
今回2人プレイなので、レオナルド君を交互に使う事になる。レオナルド君を上手く使えば、相手にとても心地よい嫌がらせをする事が出来るのだ。ただしレオナルド君も独自に得点をするので、ライバルでもある。

プレイは取り立てて文章にする程でもなく、淡々と進んでいく。非常に軽いプレイ感だ。
ラウンドの最初にフレスコ画タイルが6枚以下になってたら、そのラウンドでゲーム終了である。最終ラウンドはアクションボードをひっくり返し、フレスコ画を描くアクションが2回となっている。2回目のアクションは、調合後に行えるのでかなり有効なアクションだ。

わしは終始、早め早めにフレスコ画タイルを手に入れて、資金力をあげて有利に立ち回った。最後は計画通り全てのタイルを描ききりゲーム終了。残ったお金は2ターラーで1点となる。

わしの勝利。

所要時間90分

実はまたしても眠たいので、一旦中断して別の日に再開した。


最後はこんな感じでぶっちぎりの勝利。レオナルド君も得点集計される。


フレスコ画は見事に描かれた。

miaのコメント

これ、色々と組み合わせてやるのが面白い! 久々に良いゲームをした。

ソマーリオ

やってることはタイルに必要な資材を集めて支払うだけという単純なものだが、癖がまったくなく、システムとテーマが見事に合致していることもあり、心地よいプレイ感を与えてくれる。良い意味で通好みのドイツゲーム賞受賞に似つかわしくないデキである。

そのくせ、他人に対する嫌がらせも、きっちりとする事が出来るし、やらず嫌いだったことを反省したい。きっとめんどくさいゲームなんやろなあと思ってた。

プレイ感としては、ドイツゲーム賞を争ったヴァスコダマに似ている。ヴァスコダマの方が得点への見通しが悪く若干ゴテゴテしてるので、そのへんで勝敗を分けたのだろう。
最近、ややこしいゲームが多くてうんざりしてたところ、相手との適度な絡みがありシンプルで楽しめ、清々しい気持ちになった。いわゆるオールドスタイルのドイツゲームのジレンマではなく、デジタルゲームのようなスタイルで、これこそが新しいドイツゲームのスタイルなんじゃないかとさえ思う。人目線といえばいいのか、RPGのようにほんまにその仕事をやってるかのような感じなのだ。この手のタイプは他にキーラルゴテーベの東などがある。

同時アクション選択方式は今後も他のゲームに流用されるような良さがあるものの、2人プレイだったからかも知れないがこのゲーム自体にはあまり大きな効果があるように思えなかった。手番は起きる時間順で既に決まってしまっているので、あまり他プレイヤーの動向を気にする必要がなかったからだ。この部分をバッティングを活かせるようなシステムにすれば、もっともっと素晴らしいゲームになったと思うが、上級ルールや拡張ではどうなっているのだろう? また後日拡張セットを入れてやってみたい。

ボードは洗練された工場のようにシステマチックに配置されており、出来上がったフレスコ画も良い。駒は木製で、よくあるタイプの人型の駒と立方体の駒が多数、タイルもしっかりと肉厚だ。逆にいうとあまりにもまとまりすぎて面白みにかけるコンポーネントとも言えるかも知れない。

フレスコはマニア向けとして位置づけられるのではあまりに勿体ない。初心者も同じように楽しめる良くできたファミリーゲームだ。欠点をあげれば少し淡々と進むところがあるのと、色の組み合わせを確認するので考えてしまいやすい所はあるが、それらを補ってあまりある魅力があり万人に勧めたい。

gioco del mondo