Sid Sackson

3M
アバロンヒル

2〜6人
150分

社長の決断

あなたは副社長。
今期の業績次第では、取締役会で社長に任命される可能性がある。
期間は1年。
仕入れと、販売を上手く行って、利益をあげよ。

プレイ感

シドサクソンの経済ゲームのひとつで、biscoの地雷備忘録でちょっと話題になった。3Mやアバロンヒルから出されて、昔の経済ゲームの代表みたいなゲームである。大体においてアクワイア、ビッグボスなどシドサクソンは経済をテーマにしたゲームが多い。TAM夫妻、ケイとの4人プレイにて。


一見複雑そうなコンポーネントだが、ルールは非常に簡単である。仕入れフェイズで3種類ある原材料の指し値価格と数量を記述し、一斉にそれを公開。全体の求める数量が多ければ、価格があがり、低ければ下がる。で、指し値以下ならその指し値価格で購入でき、以上なら購入出来なくなる。


今回は棋譜として残しておこうと思ったのでシートを自作した。緑がスタンダード、赤がFine、青がX-fineの原材料を表している。実のところボードはこれだけだ。あとはお金と原材料カードだけ。よって簡単に自作できてしまう。

販売フェイズはそれとまったく逆で、購入した原材料を組み合わせて3種類の商品を作る。それを指し値で売っていくといった寸法だ。これを12回、つまり1年行うだけ。儲けたプレイヤーの勝ちだ。

このゲームはつまり、プレイヤー間だけで市場経済を構成するようにデザインされている。こういったゲームには、電力会社があったが、このシステムをもっと上手に進化させたもののようだ。


これが本来のゲームボード。付属のクレヨンでここに価格の変動を記入する。ボードは何度も拭き取れるようにコーティングされているが、かなりちゃっちいので綺麗に拭き取れるかどうかは不明。Excelなどで自作した方が安心だろう。初期のX-fineは仕入れ価格が$40という事だ。で、売れれば下がり、売れなければあがるという風に下のMarket Calculatorによって値が上下するようになっている。その下のABCってのは完成品の事で、Aなら$140で売れるという事。こちらも値が上下する。右下のProduction Chartで必要な原材料が解る。Aの製品を作るならX-fine2、Fine1が必要。下位互換は有りである。

やってみると、非常に難しい。値付けがなかなか上手く出来ないのだ。相手の動向次第で、値は大きく動くので、安く買いたたこうとすると換えなかったりする。

本来は1月から始まるのだが、日本風にそこはアレンジさせて貰って、4月からスタートする事にした。4月にX−FINEという最高の原材料を買おうとしたが、安く値付けしすぎて失敗。他のプレイヤーはFINEをいくつか購入した。

最初に原材料を買えなかったのは痛い。その後の販売フェイズでは、何も出来ない。


値付けは絶対にばれてはいけない。談合は不可だ。ただゲームとして電卓が必要になったりするのはどうかとは思う。。。

しかしわしの作戦の失敗はずっとこれが続く。なんせ安く買おうとするとバッティングしてしまい、価格高騰して買えず、販売しようとすると高く設定する為に、まったく商品が売れず。まさに負のスパイラル。

ケイ「あきおくん、腕ですよ、腕」

なんか調子よく販売をしているケイを横目に、わしは何も出来ず。

つか上半期の決算をしてみると、わしだけ赤字決算なのが明らかに!

本来、このゲームはバブリーとなるようにデザインされている。1年をやってみると販売価格はほぼ倍になったのだ。つまり普通は、黒字を繰り返して儲けが出る。赤字だなんてなんつうしょぼさ。

仕入れの指し値単位を間違えたTAM嫁でさえ、黒字なのだ。


値の変動がこのように記述されていく。1年やらないと醍醐味がないので、半年とかで打ち切らない方がいいと思う。

TAMは順調に上半期に業績を順調に伸ばし続け、ぶっちぎりの勝利。ケイは後半伸び悩んで、失速し、TAM嫁が2位となった。わしはといえば、TAMひとり独断になりかけたので、無理矢理高値で原材料を購入してしまい、売ろうにも原価割れをおこしてしまうため、結局最後まで商品を売る事が出来ず、終了。なんとか最初より2ドルの黒字となって終わった。おいおい。副社長から主任くらいに格下げやな。。

所要時間2時間30分

TAMのコメント

うーん、長いです。1時間くらいならもっかいやってもいいんですが。

ソマーリオ

うーん。システムが如何にも古くて、一旦負け出すとどうしようもなくなる。現在のドイツゲームのデザインでは、そうならないようになっているので、正直この長時間は苦痛以外の何物でもなかった。ちゃっちゃとやれば90分ぐらいで出来ると思うのだが、数字を扱うので、どうしても長考してしまうプレイヤーが出てしまう。
経済ゲームというより経営ゲームといえる。経済を扱っているのは変動の部分だけだ。値付けと相場の動きだけをゲーム化しているのも経営ゲームとしては何か物足りない。

トップを止めにくいし、なんともかんともなプレイ感やった。途中、大きなルール間違いに気づいたのも大きかった。実は、原材料を購入するとき、一人で購入出来る数に限度がある。ルールを読んだ時には、原材料1つにつきの最大数だと思っていたが、後でルールを読み直すと、原材料3つ合わせての最大数(今回の4人プレイなら9個まで)であった。

まあ、そういった事を差し置いても、どうにも市場の動向がつかめず、どうする事も出来なかった。なんせ、システムが古くさくて、楽しむためには熟練を要する。プレイヤー間で市場を形成するというのは、面白いアイデアだが、ゲームバランスが悪く今となっては、レガシーなゲームというべきだろう。このシステムを活かして、別のゲームを現代風に作れば、とても面白そうなので、ゲームデザイナーには非常に参考になるゲームではある。今、この市場の動向を上手くシステム化してるのは電力会社だろう。

こうしてみると、ドイツゲームのデザインが過去のゲームを参考にして如何に優秀なものなのかを実感出来た。システムによってプレイヤーを守る事で誰もが楽しめるように出来ているのだ。

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