プレイヤー全員で協力し、おばけ屋敷を脱出せよ!

バンダイ 平成29年

1〜5人
50分

360度恐怖体感 脱出!おばけ屋敷ゲーム


ひひひ、ようこそおばけ屋敷へ。
お前たちはこれから死ぬほどの恐怖を味わうことになる。
そして最後にはわたしたちの仲間になるのだ。
さぁ、恐怖の一夜を始めよう。

プレイ感

東京おもちゃショー2017のバンダイブースにて新作のおばけ屋敷ゲームを発見。内容が完全に違う。これは買わねばならんと、予約を今か今かと待っていた。発売後、開けてみると、ペラペラのカードシートが入っており、これを自分で切り抜かねばならんのかとドイツゲームに慣れたわしには少々荷が重い。ちなみに小学校で配布されたおはじきなどの小物含めたすべての物品に名前シールを貼るという行為は、他の父兄からは「げぇ」という悲鳴が聞こえたが、ドイツゲームに慣れたわしにしては屁でもなかった。そんな話はどうでもええか。

ちゅうわけで余りに薄いシートなのでビリビリっとならないように気を付けて切り抜く。
ん? おばけ屋敷新作=ブラインドマストバイのわしにとって、ようやくまじまじとおばけの絵を見ることになる。やたらと現代チックでがいこつなんかはターミネーターなんすけど?

「これ、おばけちゃうやんけ!!」

ランプの精って。すでにレギュラー出演となったひょうきんおばけもおる。

前置きが長なったが、この時期やらんといつやるねんと、コタとmiaとで3人プレイ。


ルールは完全に変わって、昨今はやりの協力プレイである。スマホを使わなくてもできるようになっているが、当然、スマホでやる。無い人はスマホの代わりにカードを使うだけだ。
セッティングがちょっと生意気で、8枚あるボスおばけカードのうち5枚をボスおばけマスに配置する。残りの3枚は使わない。今回、出てくるボスおばけが解らないのだ。

ルールもちょっと生意気で、手番に移動カードを何枚でも同時に出してよく、その数だけ進める。
さらにキャラクターに個性があって、おばけに強いとか、鍵を開けられるとか、相手の駒を動かせるとか、そんな特殊能力を持ってる。

特殊マスにはイベントマスとおばけ探しマスがある。スマホの加速度センサーを使って360度見まわして蝋燭を点けたり、扉を開けたりする。
おばけ探しマスはこのゲームをクリアするにあたり、積極的に止まっていく必要がある。

おばけ探しで上手く探しあてるとおばけが出てくる。おばけにはいつものように弱点があり、その弱点を1つでも持っていると勝ちである。前作のように知恵、力、勇気を均等に持っており選ぶわけではなく、選ぶキャラクターによって持ってるもの(このゲームでは属性と呼ぶ)が違う。勝てばカードの中からそのおばけを探し出して自分の仲間おばけにできる。仲間おばけになると、属性が増えたり特殊能力が使えたりするのだ。負けると、その色のお化けが属しているボスお化けが全滅側に1つスライドする。

しかしもっとも重要なのはひょうきんおばけが持ってる鍵である。鍵は指定した場所に置かれ、これをゲットしないとボスおばけの部屋に入れない。ただし器用キャラクターは、ピッキング技術を持ってるので、鍵を開けられる。オイオイ

ボスおばけの部屋は4か所あり、鍵を使って中にはいるとスマホのボスおばけの発見でポルターガイスト現象から見つけるとボスおばけカードをめくって対決する。


カードとかはそのまんまだが、ボードは4つのボス部屋の周りをぐるりと自由に移動できるように出来ている。
各部屋のボスおばけカードは負けたり効果によってスライドしていく。ボスおばけは最初に対決するまでは何かは解らない。

ボスおばけにも弱点があるが、2個以上ないと勝てない。例えば知恵と勇気に負けるとあれば、知恵が2個とかどちらもあるとかでないと勝てないのだ。プレイヤーは同時に入って戦うこともできる。
負けるとボスカードが全滅側に1段スライドする。プレイヤーはトイレ送りだ。
そう、想像の通り、全滅に達すると全員負けである。トイレから出るには移動カードを3枚捨てる。

こうして4か所のボスと倒して最後のボスを倒せれば勝ち(弱点を4個必要)だが、このゲーム、全滅以外にもタイムリミットがある。生意気にも。
それはなんと一人でも手札がなくなり補充できなくなったら負けという、ドイツゲームにありがちなルールなのだ。生意気にも! しかも移動カードは人数によってセットアップ段階で調整し、難易度の調整をデッキ枚数によって変えることもできる。

やるでしょ?

これ、日本の商業ゲームにして初のドイツゲームシステムを組み込んだゲームちゃうの? バンダイみたいな大手メーカーが、おばけ屋敷ゲームというネームバリューのあるゲームで、流行のスマホをなんちゃってで使って作ればそれなりに売れる筈なのに、あえて、ドイツゲームデザインを行ったというのは称賛に価する。

さてプレイ。

コタは、足が速いというのが自慢なので俊足キャラ、miaは属性が3つの世渡り上手、わしはミスターピッキングマシーンの器用だ。

コタは、おばけ探しに止まる。

スマホでアプリを起動して、おばけ探しをタッチ。

赤い蝋燭に灯をともすゲームで、ぐるぐる回りながら蝋燭を探す。蝋燭は襖の奥にあるので、襖をタッチすると開いたりする。

がいこつだ!!

力と運に負ける。俊足は力と魅力の属性なので勝ち。

コタ「やったー」

スマホで勝ったボタンを押して、カードからがいこつを探して味方おばけにする。
なんでこんな面倒なことをするかというと、味方おばけの管理とアプリ上での管理のためだ。試しに負けたを押すと、次もがいこつが出てくる。

コタ「ぼくはおばけ探し担当ね」


俊足のコタがやっつけたガイコツとキョンシー。下に弱点が書かれており、やっつけるとこのように仲間おばけになる。左上の属性が足されるのだ。
このガイコツをみて欲しい。ターミネーターや。

わし「ここのボスおばけをやっつけたいので、一緒に入るぞ」

mia&コタ「オッケー」

わしは先に扉の前で待つ。自分の手番になるとカードを1枚捨てて待つ。
本来なら移動は必ずその数だけしないといけないのだが、扉前は仲間を待つためにこのようなことができるのだ。

扉で待つとか能力を使うときも必ず手札から1枚捨てる必要がある。これはタイムリミットのゲームのシステムとなっているからだ。

全員、扉前に来たので、わしは再び手札を捨ててボスおばけ部屋に入る。
アプリを起動。

ポルターガイスト現象が起きている部屋で、動いている花瓶やら額縁やらをタッチしていくゲームだ。

そして何度かタッチすると、ボスおばけ発見とでたので、ボスおばけカードをめくる。

狼男で弱点は運、魅力である。3人で力を合わせて退治。つうてもわしは運も魅力も持っておらず鍵開けただけやけど。


3人で勝負。ボスおばけの前では、カードを1枚捨てて待つ事ができる。見ての通りキャラクターには属性があり、その下に特殊能力が書いてある。

mia「イベントは何が起こる?」と止まり、アプリ起動。
4つの扉から好きな扉を開ける。

mia「捨て札をシャッフルして、2枚ずつ配るだって」

おおー! これはタイムリミットが増えた。

と良いことばかりではなく

わし「落とし穴。イベント4のマスにおくやと」

mia「なんで、わたしが落ちてんのよ」


たまたま4のイベントマスにいたmiaが見事に落とし穴にはまる。このゲームでは落とし穴及びトイレ行きはかなり痛いのだ。

そのマスにいたら問答無用で落ちる。通過しようとしても落ちる。
落ちるとカード3枚捨てないといけないのでかなり痛い。

というかね、鍵が全然出てこんやんけ! わしがおらんとボスおばけと対決できひん。

鍵はおばけ探しで、やんちゃおばけが持ってる。

コタ「キョウシーだ! やった」

キョウシ??

mia&わし「キョンシーやんけ!」

※上の方の写真のキョンシーの文字参照。

誤植しとる、バンダイ。

コタはなんせ、アプリでやるのが楽しいらしく、常に自分がやる。

わしらはそれを見ているだけ。

とまあ、ここで、タイムリミットがだいぶ近づいてることに気付いた。

わし「おいおい、そろそろ本気でボスおばけやっつけんと、脱出できひんぞ」

mia「鍵がねえ」

わし「わしが開けるから」

3人で集まって、ボスおばけ部屋に一斉に入る。

魔女。力に負ける。

ち、力やとう! コタが1個持ってるのみ。

全員トイレ送り。


この魔女がかなり効いた。カウントダウンも進む。このカウントダウンは移動カードの中にも入っているしイベントの結果でも進むようだ。

これがかなりの致命傷となる。合計9枚ものカードを無駄にした。

山札は尽きた。これからは手札を考えて移動しないと。

コタの俊足をつかって、他のボス部屋にいっても、鍵がなくて開けられない。
魔女を倒すにも力が足りない。


今更、知恵を絞ってもどう考えても無理。

またぴったりのカードもなくなって

わし「手札切れ、補充できず」

全員負け。

所要時間50分


負けてしまいました。一番上の最後のボスの正体すら分からず。ちなみにここは、鍵がなくても入れるが、4つのボスおばけを倒してからでないと入れない。

コタのコメント

もっかいやろ、もっかい。(時間が来たのでまた次回)

ソマーリオ

思わずびっくりして先にいっぱい書いてしまったように、今までのスタート→あがりのすごろくスタイルの日本ゲームとは一線を画している。全員集合なんて最下位を助けるめちゃめちゃの逃げの一手のカードも存在しない。カードを複数枚出しても良いなんて、これ作ったデザイナーでてこいや、ボケ!! と言いたい。

キャラクターに特性を持たせて役割分担させるところとか、カードが尽きたら負けというところは完全にパンデミックのパクりであるが、それ以外のゲーム性はまったく違っているので、ドイツゲームナイズされたという言い方がふさわしい。それだけでなく元のおばけ屋敷ゲームの知恵と力と勇気システムをきちんと昇華させている。

自分たちで計画的にゲームを進めないと勝てないシステムが、どこまで通用するか楽しみである。
というのは、ドイツゲームデザインを遊ぶ層と、おばけ屋敷ゲームのようなとある季節だけ楽しむ層はまったく日本では違っているように感じているからだ。正直、期間限定のゲームにドイツゲームデザインを積み込むのは完全にマーケティングミスであるように思う。これの売れ行き次第で、今後の展開が変わる、日本のボードゲームシーンに一石を投じるゲームである。

さてゲームに戻るが、いくつか気になったところがある。

ボスおばけの全滅システムは一見うまくいってるように見えるが、実はまったく機能していない。一度戦った相手の弱点を知っているのに、のこのこと負けにいくアホはおらん。全滅システムがスライドするにはカードでも起こるが(これもパンデミック)、それでも足りないだろう。全滅システムは、さらに難しくなるようなタイルも用意されている肝いりのように感じるので、ここの見直しは是非して欲しい。

鍵の入手が厳しい。まだ1回しかやってないが、出現率が低すぎて、実際今回は一度も出なかった。器用キャラクターは絶対に必要だろう。出る出ないの運に左右されすぎなので、もう少し見直してもらいたい。

360度VRで探すアプリは、このゲームの最大の売りだが、操作してるものだけしか楽しめないというかなりしょんぼりな結果を生んでいる。それを見守っている他の皆は少し白けるのだ。これは2代目のように皆で楽しめるアプリにして欲しかった。2代目おばけ屋敷ゲームは効果はしょぼかったが演出は良かった。皆でおばけ屋敷を脱出するという連帯感をテーマにしているという意味でもこれは失敗である。

あと、これ、おばけちゃうやろ? 絵柄を見直して欲しい。前はやんちゃおばけが浮いてたが、今はそっち方向にシフトして完全に同じ範囲で収まってるやんけ。

おばけの種類が大幅に減ったのもマイナスである。最低でも前と同じくらいのおばけの量が欲しかった。
バンダイにはおばけ追加カードセット鳥山石燕版みたいなのを出して欲しい。

と、少々厳しい意見も交えたが、ドイツゲームに比べたら安いし、ぜひ皆も買うてやって欲しい。
きちんと協力して、考えてやらないと脱出できない。また難易度調整も移動カードの全体枚数とボスおばけを進めるカードとボスおばけの全滅短縮タイルでできるようになっているところもドイツゲームぽい。
とはいえ、まだ1回しかやってないのでゲームバランス等は不明である。もうちょっとやって追記してみる。そうそう、このおばけには勝てないは前までは魔王だったが、今回は死神になった。

ふと思ったんやけど、俊足をもっと活かさんとあかんかったなあと反省してる。イベントマスに一瞬で移動できるので、カードを節約できる。なるほど。

再挑戦

その後、4回やってみた。
全滅システムは機能していないと書いたが、その後4回ほどやってイベントによってスライドするのと、通常おばけに負けると同じ色のボスおばけがスライドするルールを見逃しており、しっかりと機能してる事が分かった。一度全滅した。

また一度、鍵を開けると、後は鍵は開いたままとなっているというルールを見逃してもいた。そういうルールであれば、ドアの鍵タイルは欲しいかも。ただ、これがあってもMr.ピッキングは絶対必要なくらい、鍵は手に入らない。4回やって1度だけ手に入ったくらいだ。
ボスおばけの発見ゲームはまったく不要。めんどいだけで意味なし。

なんせめちゃめちゃ難しくて、まったく勝てない。3人やと全体のカード枚数が少なくて勝てないのか? イベントマスを使い、捨て札を山札や手札に戻すのは絶対に必要だが、ここはあまりにも運がすぎるので、改善はして欲しい。これがないと勝ち目がないからだ。
キャラクターの能力は、移動カードと別に使えるので、如何に活かすかを考える必要がある。カードを使わずに移動できる学級委員は必要か。俊足は要らんなあ。などと色々考えてしまう。

gioco del mondo