Steffen Bogen
eggertspiele
Pegasus Spiele
Z-Man Games
ホビージャパン
2〜8人
40分
キャメルアップ
駿河屋で購入
さぁさぁ、お待ちかね
ラクダのレースが始まるよ
単勝一番人気は、黄色のラクダ
そこにあるのはオアシスか蜃気楼か
ラクダレースの始まりだ
プレイ感
あちこちで面白いと話題になり、
ドイツゲーム大賞
最有力じゃないかと言われていたが、近年まれに見る高レベルの戦いを制してドイツゲーム大賞に輝いた。ラクダのレースとテーマ的にはあまり惹かれないが、COQに持ってきて貰った。タナカマ夫妻、COQとの4人プレイにて。
全部のラクダが1度進んだ時点でのトップを細かく決めていく、基本的にギャンブルゲームである。手番にはラクダ進めるか、賭けタイルを取るか、砂漠タイルを置くか、最終的な賭けカードを置くか、のどれかを行う。
ラクダを進めるを選ぶと、ピラミッド型の不思議なサイコロマシンから1個だけころりと色サイコロを出す。サイコロの目は1,2,3が2つずつあり、そのサイコロの色の数だけラクダ駒を進める。全てのラクダのサイコロがでたら、1ラウンド終了(1レグ)で賭け結果を行うのだ。このアクションは不利なので1EP(エジプトポンド)貰える。
これが4000年の歴史を誇るピラミッドパワー型さいころまっすーんである。不覚にも使ってるところの写真を撮るのを忘れた。中にさいころが入っており、ひっくり返してシャッターを開けると1個だけチェンバー内に出る。それからシャッターを閉めればさいころ1個だけが出るという仕掛けである。
賭けタイルは1レグ終了時のラクダの勝敗によって貰える。色ごとに5,3,1EPと配当金は早く選んだ方が高くなっている。2位まで配当金が貰えるが、3位以下になってると1EP支払う事になるので適当にやってると損をする。
砂漠タイルには蜃気楼/オアシス面があり、ここにラクダ駒が止まったら1個進んだり1個戻ったりする。タイルを置いたプレイヤーは、止まるたびに1EP貰える。レースの勝敗を大きく左右するタイルだ。
最終的な賭けカードは、ゴールラインを最初に割ったラクダがいた時点でゲームが終了すると共に、順位が決まる。その時に1位もしくは最下位を予想する。当然、予想が早いほど配当金は高いが、間違うとお金を支払わなければならない。
初期セットアップが終わったところ。手札は最初に配られる最後の賭けカード。1位と最下位を当てるのだが、この時点では当然、ギャンブル過ぎるので様子見である。
何度もレグを繰り返し、最後に一番お金持ちが勝ちである。
このゲーム、なんといってもピラミッド型のサイコロマッスーンのアイデアである。裏返してシャッターを開けて閉める。するとサイコロが丁度1個だけ別室に入り、1個だけ出てくるのだ。この機構は見かけだけではなく、このゲームのシステムに必須なのだ。
賭けはもの凄く熱い。おもいっきり駆け引きがある。
場にある札は1レグ(つまり全てのさいころが1個ずつでて進んだ時点)の掛け札で、もちろん早く取った方が配当金は大きい。一度に一度ずつなら一人何枚でも取っていいが、3位以下になると失点するので、むやみやたらに取ると失敗する。また出たさいころはこのように置くので、何色のラクダが進んでいないか一目でわかる。
サイコロを出す行為は確かに相手に情報を与える為、損をするので1EP貰えるが、それでも確かに出したくない。今ある情報から(初期設定でも同様にやるためスタートラインは一線ではない)、一番先頭の一番上に乗ってるラクダの賭けタイルをとることにした。
今わしは白のラクダの掛け札をとり、さいころを1つ出したので、1EP(右のタイル)手に入れたところ。上にあるのはオアシス/蜃気楼タイルで使っていないという事。
COQ「じゃ、僕もこれ取ります」
1つ後ろのラクダの賭けタイルを取った。
わし「あーー! そうか」
後ろのラクダが前に進んだ場合、上に乗りやすいのだ。
わし「試合巧者やの」
そしてその通り、ころんと上に乗りやがった。
ゲームも中盤。大量に積み上げられたラクダ。この手の載せる駒は例によって下のラクダは上のラクダを運ぶ、だ。そして上のラクダの方が前と見なされる。出てくるさいころの順番でここから大きく順位が変わる事が解るだろう。
ある程度サイコロが振られると、賭けタイルの争奪戦が熱くなってくる。
そして1レグ終了。
サイコロや賭けタイルなどを全て戻して、2レグ開始。
でもこれってほとんど勝敗決まってるんちゃうかな? と思ったのは大きな間違いである。
もう体勢が決まってあかん! と思っても、これを覆すミラクルタイルがある。それが砂漠タイルだ。
こいつ、1つ置いただけでレースの様相がごろりと変わるのだ。±1という効果は予想以上に大きく、例えばマイナス1で後ろにラクダがいた場合、下に入るのだ。これにより上下の逆転現象が簡単に起こりうる。
ばかりか上に乗った効果を使えば、例え最下位であっても僅か1レグの間にトップに躍り出る事も可能なのだ。
ここまでくると、オアシス/蜃気楼タイルを皆が使いまくって恐ろしく混戦してくる。やってみると解るが、さいころの出る順番によってあっという間の逆転が起きる可能性があるのだ。ちなみにいったりきたりを防止するためにオアシス/蜃気楼タイルは隣合わせにおく事は出来ない。
1レグ1レグまったく気の抜けないレースである。
お金にそんなに大きな差はつかない。1レグ目が終わってトップのCOQは、単に1レグの勝利ラクダの賭けタイルを最初に取った、つまり5EP貰ったからだけなのだ。
この5EPが常に勝敗を左右する金額といって過言ではない。
3レグ終わったあたりから、最後の賭けカードを配置し出す。
わしはこれに出遅れた為、もう少しじっくり賭ける事にした。ここまで遅れればどうせ、大差ない。
それよりもレグを大事にしたい。
と思うのだが、なんせ砂漠タイルの凶悪さに、翻弄される始末。
今回は白の逆転の目はなくなった。しかしこの段階においても、オレンジの逆転の目があるのが恐ろしい。
最後の方に、考えたら砂漠タイルって止まったら1EP貰えるんやから、順位の変更よりもラクダがいっぱい止まるようなところに置いたらええんやと気づいたが後の祭り。
サイコロを出そうとするたびに
「きいろ、きいろ、きいろ!」
「みどり、みどり、みどり!」
みたいなコールが起きる。
相当熱い。
結局、順当に青色がゴールラインを超えてゲーム終了。ここで順位が確定する。
結局、最後は一発逆転を狙ったものの、青がそのままゴールラインを越えた。
最後の賭けカードを精算して、COQが勝利。
所要時間40分
さすがに青と黄色だけしかない1位に賭けられた最後の賭けカード。順番に開かないと得点がおかしくなる。古い方ほど配当金が高い。ちょっと解りにくいが、上の中央に誰のカードが解るマークが記されている。
COQのコメント
これ、無茶苦茶面白いじゃないですか!
タナカマのコメント
今回はかなりレースらしい流れになりましたね。大体は団子状態になってもっと厳しい賭けになるんです。
ソマーリオ
これはかなり熱い。思いっきり離れているにも関わらず砂漠タイルとタイミング次第であっという間の逆転劇もありえる。特にこういったギャンブルゲームに大事な「青でろ、青でろ」みたいな盛り上がりがきちんと埋め込まれているのが非常に良い。
システム自体にしっかりとした盛り上がりが埋め込まれているのだ。
確かにサイコロ次第ではあるのだが、徐々に明らかになっていく情報は、プレイヤーをジリジリとさせる。
個人的には盛り上がりがかなりあるだけに、ゲームを終えた後の疲れ方は相当なもので、連続してやりたくないというのがこのゲームの最大の欠点である。
疲れてしまうという意味でもさいころを振って進めるギャンブルゲームという意味でも、プレイ感は
マニラ
に似ている。わしはどちらも面白いと思うが、マニラが長時間かかるという欠点があったのに対してキャメルアップの方が短い時間で出来るという長所がある。
賭けといっても元々のお金を賭ける訳ではないので、予想といった方が正しい。それがとてもシンプルなタイルを取る行為によってお金のやりとりが煩雑でない、タイミングが重要な誰でも遊べるギャンブルゲームとなっている。
レビュー中にも書いたが、それらを支えるのはなんといってもピラミッドサイコロシステムだ。これがチェンバー内にサイコロが1個だけ入る仕組みになっており、少々持ちにくい形をしているが、ピラミッド型にすることでテーマにマッチさせかつ、しっかりと上の空間で混ざり合う事が出来るように工夫されている。
昔、ウォーゲームであったチットシステムの応用である。先手後手を決めるのにチットを混ぜ合わせてそこから引くのだ。チットの枚数を増やせば、たくさんの行動ができる。例えばラクダに特性を持たせるなら、その色のサイコロを増やせば良いとなるのだが、このゲームではそんな事をするとバランスが崩れてしまうだろう。
このチットシステムは少々古くさいところがあり、先手後手すらプレイヤーの意志によって決めるという最新のドイツゲームシステムに採用される事はなかったが、このゲームはその運という揺らぎをギャンブルという要素として組み込んでしまった。
ラクダをテーマにしたのはこのゲームを出版社がよく解っているからで、まったくスピード感がないのだ。のろのろと進む。レースゲームの癖に爽快感はないが、ラクダというテーマなので全然大丈夫だ。
コンポーネントは完璧、ピラミッドに使う輪ゴムは特殊なゴムっぽくて、しかも切れたように予備までついている。普通の輪ゴムは溶けると紙に大損害を与えるので、特殊なゴムを使っているようだ。
このゲームは冷静に考えておそらく大賞になるだろうと予想した通り大賞を受賞した。システムは新しく、そして盛り上がりは最高潮で、プレイヤー人数の幅も広い。唯一の弱点は賭け事を彷彿とさせるところで、これがファミリー層重視の大賞にはどうかというところだったが特に問題もなく受賞したようだ。
とにかく今年の
ドイツゲーム大賞
ノミネート作品、キャメルアップ、宝石の煌き、
コンセプト
はどれもが素晴らしいゲームであり、近年稀に見るハイクオリティな戦いとなった。どれもが名作たる出来なのである。キャメルアップも日本語版が出るようなので、安く手に触れやすくなりとても嬉しい。
gioco del mondo