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Franz-Benno Delonge
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Goldsieber Spiele
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2〜5人
60分
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ビッグシティ
ビッグシティは都市の成り立ちを反映します。プレーヤーは、区画カードをもつことによって、その区画をどうするか決める権利を得ます。このようにして、様々な建物が建設されていきます。
家を建てることによって、ポイントを獲得します。むろん、建物を建てるにあたっては、規則に従わなければなりません。例えば、最初に建てるのは市役所でなければならないとかです。
また、住宅やオフィス以外の建物が建設されて初めて、街を拡張させることができます。
プレイ感
絶版ながら最近にわかに人気になり始めたデロンシュの処女作品。評判も上々でコンポーネントが非常に気になってたので、手に入れてみた。タメラ、ロー、miaとの4人プレイにて。
8枚ある街タイルはビンゴのように一意の番号が割り振られ、16マス構成となっている。それに対応するカードが1から8までありそれぞれ山札となっている。この番号は街タイル上の10の位を表しており、例えば21の番号は2のカードに、83の番号は8のカードの山に入ってる。
手札5枚で、準備として1から5のカードを1枚ずつ手札にする。手番には、手札からカードを出し、その番号のところへ建物を建てて(その建物固有の)得点をする。建物は建てられる条件やボーナスポイントがあり、建てた時点にしか得点は行われない事に注意。複数のマス目が必要な建物は、同時にその番号のカードを出す必要がある。最後に、手札が5枚になるように好きな番号から補充する。
手札交換もしくは新しい街タイルを置く事も出来る。新しい街タイルは既存の街タイルに最低2マス接するように置く必要があるが、ループになったり間が空いたりは別に構わない。
最初は10の位の街タイルに、各自1枚ずつ好きなタイルを追加してゲームスタート。カードをプレイしてその位置にオフィス(黄土色)か住宅地(赤色)のフィギュアを置いていき、その都度得点していく。この2種類の建物のサイズは1から3まである。当然、マスが大きいほど得点は高い。
こうして街タイル上に全ての建物が埋まるか、全員が2周パスもしくはカード交換しかしなければゲーム終了で、得点マーカーが一番進んでいるプレイヤーが勝ちである。
最初は10の位の街タイルが置かれており、スタートプレイヤーから順番に1回ずつ好きな街タイルを追加してからゲームスタート。注意しなければいけないのは、市役所が建てられなければ住宅地とオフィス以外は建てる事が出来ず、さらに6以上の街タイルには建設できないという事である。(カードを持ったり街タイルを追加するのはOK)
最初は非常に簡単で、自分の持ってる番号が街タイルの外側であれば住宅地、内側であればオフィスを置いていくだけである。そういう条件なら1点ボーナスが得られるからだ。この2つの建物は、1から3マスのタイプがあるので、絶対に置ける。もちろんマス目が多いタイプの方が基礎点は高い。
ローやmiaは、最初に街タイルを置いた時になるべく自分の手札と繋がるように追加したので、2マスのタイプの建物を置き、まずは一気に得点を重ねる。
わしもそうしたかったのだが、どう転んでも無理だったので、タメラと同じ1マスの建物で少しだけ得点をする事にした。
補充するときは、自分の番号となるべく連なる場所が残ってる山から補充する。
(うーむ、こん)
得点ボードはやたらとでかい。その横に補充用のカードの山を作る。プレイしたカードはゲームから取り除かれるが、交換する場合は山の下に戻す。
ここで好調なのが、mia。
mia「じゃ、2マスの住宅地を置く」
3手番連続で複数マス占有建物を置いた。
おかげで得点はぶっちぎりである。
後の3人はこそこそと、小さい建物を建てては得点を重ねる。
建設条件や基礎点、ボーナス点が書かれた紙が各プレイヤーに配られる。これがないとゲームが進行できないくらい重要だ。ゲームをある程度進めていくとふと目にとまった物件があった。
わし「わ! 教会って15点もあんの!」
タメラ「そうなんですよ。1マス建物だけど15点。でも条件が厳しいんです」
街タイルのぞろ目のマスで、なおかつ最後のスペースでないといけない。
わし「これ、無茶苦茶厳しいやん」
ある程度、進むと市役所を建てなくては面白みがなくなってくる。
オフィスと住宅地だけではやっぱり市とは言えない。
タメラ「そろそろ誰か市役所建ててくださいよ」
わし「建てろ建てろ」
mia「早く早く」
と誰も自分が建てようとは言わない。
市役所は0点なので、1手番損するからだ。
しかし
ロー「俺が建てるよー」
わし「お、まじまじ。早よ建ててくれー」
と市長に立候補した男がいた。
後から考えれば市役所は1手番損するように見えるが、これに接するように建物を建てたらボーナスとして得点が2倍になるという建物が多く、周りの用地買収さえ完了してればかなり強い建物であった。
市役所が建ちさえすれば、後は全ての建物を建てられるようになる。
わしが狙っているのはなんつっても教会だ。手元に11,12,13のカードが揃った。10の位の街タイルはそこだけしかない。一気に3つの住宅地を建てるのではなく、12,13の住宅地を建ててから、11に教会という見事な計画である。
こんな風に連続で続くと大きな建物を建てられるのだ。一気に3マスの建物よりこれを活かして教会を建てる事にした。
その前にさらにがめる事にした。電車を敷設するのだ。こいつも得点2倍にする奴なので、12,13に接するように線路を敷いた。線路は最初は1個、次からはそれに繋がるよう一筆書きで2個ずつ置いていく事になる。
これで準備は整った。よし
ロー「じゃ、線路をこう置きます」
12と13の間を区切るように線路を伸ばしやがった。
(|| ゜Д゜)ガーン!!
線路は取り除くことも出来ないし、跨いで建設することも出来ない。
なにさらすねん、ボケー! お前なんか二度とゲーム会に呼ぶかー!
まあ、それでも1個ずつ置いて埋めたらええねんやと気を取り直す。
まずは13から。
電車は銀色の駒で見にくいが、12の横に通ってる。
タメラ「ちょっとちょっと、この11のマス、教会を狙ってるんじゃないですか?」
mia「本当だ。よし、公園建てる!」
2,4,6,8のカードの山にはお邪魔カードとして公園カードと工場カードが入っている。それは番号関係なしに、そのマス目をずでーんと埋めてしまうお邪魔カードなのだ。工場にいたっては公害が発生するので、近隣は得点が下がるというオマケ付きである。
(|| ゜Д゜)ガーン!!
タメラ「あ、いや、この公園は3マス公園なんで置けないですよ。マスが足りない」
mia「そっか。残念」
ほっ
タメラ「まあ、今のリアクションで、誰が11持ってるか解りましたけどね」
わし「じゃ、次に12にオフィスを」
タメラ「あきおさん、待ってください。そこに建てるなら、オフィスに2カ所接しているので銀行建てた方が得点大きいですよ」
そういやすでに市役所建ってるんで、色々建てられるん忘れてた。
わし「そして、ようやく教会完成! イエースはひかり、イエースはひかり♪」
教会建立。やったー!! これで迷える子羊を救いまくりである。
ゲームは中盤になると、用地買収が重要になってくる。
連なっていないカードを交換して、新しいまだみぬ街タイルのカードをあらかじめ手元に集めておくのだ。
それを先にしたのがローであり、わしも遅れながらそれを行っていた。
わしは6のボードの3連を持ち、完全に用地買収は成功していた。ところが
ロー「じゃ、ここに工場誘致します」
わしが用地買収した土地が3つとも見事に埋められた。
(|| ゜Д゜)ガーン!!
腹立つわぁ。
あのどす黒い悪魔が見えるだろうか? わしの61,62,65の土地の上に建つあの悪魔が。これらのカードは死に札となるので、山に戻すしか方法がない。
でもこのダメージは他のプレイヤーにもあったみたいで
mia「この市長最悪や」
タメラ「しょうもないとこに工場誘致しましたねえ」
と散々批判される。
ロー「そんなことないよ。せっかく街の発展のために工場誘致したったのに」
死に札となったカードを戻して、別のところに用地買収をする事にした。
でもその頃、既にタメラは目立たず、こっそりと教会を建てたり、銀行を建てたりして、ぶっちぎりでほぼ1位が確定していた。散々、危険なところを皆に注意向けさせて、自分だけは着々と得点を重ねていやがったのだ。
このゲームで、最も価値が高く最も作るのが難しい百貨店がある。これは2マスの用地が必要で、住宅地、オフィス、線路、さらに特殊建物の全てが接していなくてはならない。
なんとかチャンスがあるマスがあったので、わしはそこに賭けた。線路さえ引き込めば、カードも持ってるし条件が揃う。しかし
ロー「じゃ、最後の線路をこっち側に伸ばすね」
(|| ゜Д゜)ガーン!!
完全に阻まれた。
タメラ「大体、この市長のおかげで、念願の百貨店がこの街に出来なくなってしまいましたよ」
タメラもどこかで阻まれたらしい。
結局そのまま全てのボードが埋まりゲーム終了。
得点はタメラがぶっちぎりで勝利。
所要時間60分
これが最終形。手前にある2個並ぶ映画館はおかしいやんけと話題になったが、シネコンやシネコンやというローの一言で全員納得した。
得点ボードはこちら。あのぶっちぎりの緑。汚い手を使ってたに違いない。
miaのコメント
これ、見てても楽しくて、ゲームも面白い!
ローのコメント
市長として頑張ったのに、皆のブーイングはおかしい。まあ、でも面白かった。良いゲームだよね。
ソマーリオ
最初は、住宅地とオフィスだけが乱立するので、一体どうなることやろと思っていたが、そのまま進めていくとあれよあれよという間に、まるでニューヨークやロサンジェルスのような町並みになるのだから恐れ入った。
建物のフィギュアは単体でみると、最近のゲームに付属している出来の良いフィギュアと比べるとチープである。しかし、これが町並みを再現という事になると、それぞれの集合体が生き生きと活気づき、そこに人々が生活しているように見えてくるのだ。必要にして十分な造形である。
町作りのゲームはシムシティから始まったといっても過言じゃないが、まさにそれをボードゲーム化したようなシステムとなっており、特殊建物を建てる為の条件が絶妙で、それが実在するかのような町並みを作り上げていく。
市民の声は聞こえてこない。でも、市民の声が聞こえてくるような錯覚にすら陥る。
出来る限り簡略化することで、こういった箱庭ゲームとしては異例の1時間で終息できるルールとなったのは特筆に値する。簡略化したことによるデメリットが一切感じられず、自分の欲望が市民の要望として上手くリンクしているのだ。
建物の様式はあくまで欧米なので、これの日本式の建物でゲームを作れば非常に面白いと思う。昭和の町並みでも面白いし、世界的ニーズを考えるなら江戸時代なんてのも良いだろう。市役所の代わりは当然お城で、工場の代わりは遊郭とか。誰か作ってくれへんかな。
それにしてもデロンシュのヒット率の高さには恐れ入る。トランスアメリカ、マニラ、コンテナ、そしてビッグシティと、これからという時に50歳の若さで急逝したのはあまりにも勿体ない。
デロンシュならではの癖を感じ取ることが出来ないのは、自分の未熟さ故か、デロンシュの懐の深さ故のどちらかだろう。しかしほんまに勿体ない。凄いデザイナーだった。
最近のゲームは、ルールは多く、時間の掛かるものが増えてきている。そのおかげでやる機会がめっきり減ってしまったのだが、こういった昔のゲームをやるとホッとしてしまう。かつてウォーゲームブームがあったときに、ルールが複雑化し過ぎて衰退していった危惧を抱いているのだ。
昔は良かったと言いたくはないのだが、こういった昔のドイツゲームの傑作に触れるとどうしてもそう思ってしまう自分がいる。
それにしてもこのゲームは1999年発売だが、ドイツゲーム大賞になるどころかノミネートすらされなかったのが不可解である。まあ1999年はかなりの名作揃いなのでしょうがないかも知れないが、建て方や得点方法を確認するシートが必要なところが嫌われたのだろうか。
最近、なかなか時間が取れず、レビューが間に合っていない。いくつかゲームを溜めることでようやく最近の長時間ゲームが出来るようになるので、しばらくは絶版を含め軽めのゲームを中心にレビューすることになる。
それと朗報がある。ValleyGamesでこのゲームをリメイク再販されるという情報が2012年にある。特殊建物も追加されるようなので、しばし待ってみると良いだろう。