Reinhard Staupe

FX Schmid
Out of the Box

3〜4人
45分

バサリ

宝石専門の蚤の市、本日開催!
ルビー、エメラルド、トパーズ、サファイア
交換、買い取り、なんでもあり。
開催は今日から三日間だよ!

プレイ感

相当前にやったっきりだった。理由は、おもろいのは分ってるから、他のゲームを試そうという事だった。さすがにレビューせんとあかんやろという事で、mia、ナオコ、joeyamaと4人プレイにて。


このゲームはバッティング専門のゲームといっていい。毎ラウンド、宝石入手か駒を進めるか勝利ポイント獲得のどれかから選ぶ。もし二人がバッティングすれば、そこで交渉が行われる。交渉は、手元にある宝石を相手に進呈して、行動を諦めて貰うというもの。相手はそれが気に入らなければ、自分の宝石で上積みして逆提示してくる。その動作が非常に露骨で、まさに露天商さながらの風景になる。


いかにも露天商といった感じのボード。最初のスタートマーカーはそれぞれ好きな場所に置く。ポイントは、自分の駒がいるマスが、そこで手に入れられる宝石や勝利ポイントである。

わしは昔やったように宝石を集めるのに奔走する作戦だ。宝石は4種類あってルビーの価値が一番高い。素人は(ってプロもおらんけど)、ルビーの価値が高いのに目がくらんで、ついつい他をおろそかにしてしまうが、宝石をたくさん持ったら持っただけ勝利ポイントが貰える訳ではなく、それぞれの宝石で一番たくさん持ってる人(と2番の人)が勝利ポイントを貰えるのだ。たくさん持っていようと3番目なら0個だろうと変わりないのだ。決算は、誰かが一周した時に起きる。

わし「せーので、宝石」

ナオコ「あ、かぶった」

ぼやっとしてる女だ。しかしわしはこいつが一番の難敵だと本能的に感じていた。一見するとほんやあとした風貌だが、恐ろしく”勝ち”に貪欲だ。顔で笑ってても、心の中では”勝ち”の二文字しか考えていない。そう、TAM嫁と同じ匂いがプンプンするのだ。


同時に出したら宝石でかぶった。宝石の価値はルビー、トパーズ、エメラルド、サファイアの順である。

わし「まあ、これで諦めとけや」

ナオコ「うーん。相場が解らない。これで、どう?(サファイア3個)」

わし「ま、まじ! 譲る譲る!」

mia「えー、ちょっと今のはやりすぎじゃないの」

ナオコ「だって、解んないだもん」

本来のわしなら、素人相手にさすがにこれは貰いすぎだと返すところだが、事この女に対してだけは別だ。なんせ、”勝つ”為には手段を選ばない。”勝つ”為には、平気で人に嘘をつけるタイプなのだ。

ざまーみろ! うっひゃっひゃあ!

※実のところ、前に初めてゲームをした時、この子にやり直しをOKしたら「まあ、ナオコにだけは優しいのね」と女連中二人がギャースカ言うたので、うんざりした事があってそのままにしてしまったのだ。本来なら待ったは手番が進んでおらず誰にも迷惑をかけない場合、何時でもOKにしてる。これは熟練のTAMにでもそうだ。最初のラウンドで「失敗したなあ。嫌だなあ」と思ったら、それが大した事なくてもそいつにとってゲーム自体がつまらなくなるではないか。例えばチーズのお城でコツミが自爆した時など、穴が見つかったから変更するなど、プレイが完全に変わる場合は当然認めないが、この場合、損をする(しかも正当な損だ)のはゲームをよく知ってるわしだけだ。この事がゲーム中わし自身も引きずってしまって、申し訳ないなあとずっと思い、しょうがないので、後で有利になる交渉をこっそりしてあげたが、本人はやっぱり引きずっただろう。

joeyama「僕は勝利ポイントなので、5ポイント貰います」

勝利ポイントは、書いてある勝利ポイントが貰える。本当なら7ポイントの時に選べばいいのだが、こうやってバッティングしないで手に入るってのはいい。

mia「じゃ、わたしはサイコロで進むね」

サイコロは、6引く出た目の勝利ポイントが入る。6出たら6マス進めるだけで0ポイントしか入らないという非常に地味な選択肢なのだが、これが意外に強い。何故なら一番最初にスタート地点に戻ってきた(決算が起きる)プレイヤーは10ポイント貰えるのだ。
しかし、サイコロは、宝石もいまいち、勝利ポイントもいまいちの時に選ばざるを得ない選択という位置づけをわしゃ持っている。


一番困るのは、同じマスに止まった時。選択が同じになるので非常に困るのだ。ところどころに平たいチップが見えるのがスタートタイルである。

最初の頃、宝石を選ぶとややこしそうという思いがあるのか、それほど人気がない。

わし「せーので、勝利ポイント」

ナオコ「あ、かぶった」

お、おんどれぇ!

わし「もう、これで旨いもんでも食えって」

ナオコ「やだ。こうする」

mia「さっきみたいに出し過ぎたら駄目だよ」

わし「阿呆いえ。これで、旦那とディズニーでも出かけてこいや」

ナオコ「じゃあ、貰っとく」

こういった交渉は、宝石の方がやりやすい。何故なら、宝石が何個はいるか解るので、その支出を考えれば、相場は簡単に出るのだ。やっかいなのは、勝利ポイントとサイコロである。サイコロなんてだぶった日にゃ、泣くね。

ここも、わしとナオコ以外は、バッティングすることなくスイスイ進んでいく。


miaが1周したので、再び、全員適当なスタート位置を決めてスタート。

しかしながら、さすがにバッティングせずに進むのもほんのわずかの間。miaとjoeyamaもバッティングをし出す。

joeyama「これでどうでしょう?」

mia「えー、どうしよかな」

何故か、この図式はほとんど崩れる事なく

わし「またお前かー!」

ナオコ「もー」

joeyama「かぶりました」

mia「えー」

そうこうしているうちに、miaが一周。

得点を進めていく。これを3ラウンド繰り返して勝者を決める。

わしゃ、考えたら一度しかサイコロを選ばんかったので、進みは遅く、得点か宝石で後は”大阪商人さながらの節度ある強引さ”で、得点を重ねていく。

わし「これでもうええやんけ。のんどけや」


交渉はこんな感じで宝石を出す。レートをあげるのは、宝石の数を上げるか、宝石の数が同数で価値をあげるかする。宝石の価値は、価値の高い宝石の順にどちらが多いかで判定。例えば、ルビー2個+サファイア1個とルビー1個+トパーズ2個なら前者の方が価値が高い。


強欲に条件をのむmia。横に見えてるのは勝利ポイントを選ぶタイルである。

ただ初心者二人を相手にバサリを出してきたのは間違いである事が発覚。恐ろしく長考しやがるのだ。もう、うんうん唸りながら、全然交渉がまとまらない。これは以前、サンマルコで初心者を混ぜてやって、やたらと時間がかかってしまい、うんざりしたあの時に似ている。

さすがに2週目で1時間経ってしまったときは、勝負はどうでもよくなった。このゲーム、45分くらいでさくっと終わるゲームなのだ。このペースでは2時間近くかかるだろう。

自分のときの交渉は出来る限り素早くすませる。後で「あっ!」と思う事もあるが、まあ、テンポ良く進めるのがわしのポリシーであるので、それはそれでしょうがないと思っている。別の機会に挽回すれば済むだけの話だ。

2回目の決算もmiaが決めて、トップ争いはわしとなかなかの良い勝負になってきた。

わしはルビーの残り数が非常に中途半端になってきた。というのは決算して得点する事が出来ると、宝石は3個(同点なら2個ずつ)返さねばならない。このルールがないと、永遠にトップをキープ出来てしまうので、宝石はいわば使い捨てとなる。ルビーは、ぎりぎり2位に入れるかどうか。ならば、3度目の決算はサファイアで勝負である。サファイア数がトップである事が一番重要なのだ。

勝負の分かれ目、ここでまたしてもナオコとバッティング。

ルビーは現在、miaがトップ。2個差でナオコ。

このバッティングはむしろ好都合である。わしがルビーを3個あげる事でナオコがトップとなり、首位争いをしてるmiaの得点を減ずる事が出来るのだ。

ここでわしは取り返しのつかない大ミスをうってしまうのだ。

わし「ルビー2個でどう?」

ナオコ「貰います」

し、しまったぁぁぁ!! まさかここでOK出すとは思わなんだ。

結局、これが完全に敗因となってしまう。

最後、miaとわし、ナオコとjoeyamaがバッティング。

またこの交渉がまとまらない。お互いに勝負がかかってるので、この交渉だけでも10分はかかったように思う。

mia「隣はどうなってるのかな」

わし「汚い事すんな! お互いに見合ったらゲーム終わらんやんけ」

mia「だって宝石の数が勝負かかってるんだよ」

わし「しょうがないやん。それはお互い様やし、フェアにしろ」

※実はルールを読み飛ばしていたが、こういったケースでは、サイコロ→勝利ポイント→宝石の順で交渉を行うと書いている。りりんこさんありがとうございます。確かに書いてましたw

こうしてルビー例の一件にて、miaに僅差で破れてしまった。


灰色のわしは僅差で破れた。ルビーがどんなけ売れているか解る。

わし「実は、ルビー3個だそうと思っててん」

ナオコ「えー!」

所要時間90分

miaのコメント

これ、凄く面白い。きらきらしてて、楽しかった!

ソマーリオ

ちょっとメンバーに左右されてしまったが、本来のおもろさは保証出来る。交渉術の巧みさや、宝石を実際に手元に出して、露天商さながらに交渉する行為などは、ほとんどRPGに近いほどだ。ほんまにアラブの商人(或いは大阪商人)として道端で損得勘定丸出しの泥臭い交渉をしてる感じがするのだ。

交渉がメインとなってるだけに、この部分をぱっぱと行えるメンバーなら、濃密な45分で終わる締まりのあるゲームなのだが、あれこれ悩むメンバーだと相当時間がかかりだれてしまう。そういった意味でまったく初心者向けのゲームではなかった。

この欠陥を差し引いても、このゲームは交渉の楽しさを存分に味あわせてくれる級のゲームだ。今回のスローテンポでも、わし以外は初心者でも楽しかったと言われた。つう事はテンポよくやったらたまらんようになるはず。現にこのゲームは、宝石商というカードゲームとなってリメイクされたし、バサリ本体も、装い新たに再販された。

宝石商は、カードゲームとなった代わりに、人数は5人まで遊べるようになったが、何故かやたらと重いらしい。ボードがあるだけでこんなけプレイ感が軽くなるのかと、どこかで読んだ事があるが、今回のメンバーのように長考するのと同じ感覚なのだろうか。

新装版は、あまりにも絵柄がお洒落すぎて、露天商の物々交換的な雰囲気がないので好みではないが、洗練度では明らかに新装版だと思う。現在はこちらしか手に入らないので、特に考える必要はないのだが、コンポーネントは素晴らしく値段も安く(国内流通価格3360円)、交渉ゲームが好きなら絶対に買うべきだろう。


これが新装版のOut of the Boxバサリ。絵は有名なデザイナーらしい。

当時、ドイツゲーム大賞のノミネートにされて凄い新鋭デザイナーが出てきたと評判になったが、それっきりだった(笑)
ひょっとしてザイファルトのように、再び凄いゲームを作ってくるかも知れないので、なんとなく注目はしておこう。

gioco del mondo