Alan R. Moon
&
Aaron Weissblum
Ravensburger
3〜4人
100分
サンマルコ
ゲーム説明
ベネツィアは最盛期を迎えていました。少数の貴族が実権を握り、評議会を形成していたのです。権力に取り憑かれた貴族はドージェ(元首)になるために、謀略の限りを尽くして、他の貴族を追放し、騙しあっては自分の権力の地盤を固めていきました。どんな汚い手を使っても勝てば全て正当化されたのです。
プレイ感
ムン様大会第一弾、それが掲示板におもろいおもろいと書かれまくったこのサンマルコである。2002年ドイツゲーム大賞に、ムン様、ヴァイスブルムコンビで3つのゲームがノミネートという快挙を成し遂げた。その筆頭株ともいうべきゲームがこのサンマルコである。噂では
エルグランデ
を簡単にしたものという評価が広がっていたが、果たしてどうか。
今回はTAMと初心者のケッカクを加えた3人にて。なんでも3人でないとテンポが悪くなるという話なのであえて3人で。
このゲームのポイントはアクションカードの分配である。アクションカードを出来る限り公平に分ける。そして第一決定者、第二決定者、分配者の順番に分けたカードを取っていくのだ。分配したものが最後になるので公平に分けないと偉い目にあう訳である。
これらを分ける。カードにはそれぞれ出来る行動が決まっている。下がリミットカードでこれが合計10ポイントになるとターン終了。右上の赤いカードが得点手段であるドージェである。
まずはケッカクが分配者となる。初心者にいきなり厳しいが、これはめぐってくるのでしょうがない。
TAM「あきおさん、陣取り強いからなあ」
お、いきなりプレッシャーを浴びせてきたな?
初期配置はこのゲームで最も重要だと思われるサンマルコにケッカクの駒がたくさん出現。
初期配置。黄色のケッカクが抑えるサンマルコ。ここは中央部に位置して、もっとも攻防が熱くなるところだ。というのも点数計算に必要なドージェは橋を使ってでしか移動出来ないからだ。
じゃあ、当然とばかりに二番目にサンマルコに駒の多いTAMは「追放!」つう訳でいきなりケッカクの駒ごそっとなくなる。
それでも優位は変わらない。二人は序盤、寝返りやら追放やら駒の追加で激戦区となったサンマルコで潰し合いを始める。
※ 追放カードは選択した土地でサイコロの目だけ駒を取り除くというとんでもないカードである。
3分割した行動カード。赤色のドージェカードは直接得点に絡むカードなので、リミット4を付けられているが、これは失敗の分け方と思う。第一決定者のわし(白)は当然真ん中を取り、TAM(黒)は右を取った。
鬼の居ぬ間に、という事で周りの地盤を固めつつ、橋を建設しまくるわし。
激しく攻防するサンマルコ。左にいる赤駒が得点を稼ぐドージェ駒である。こいつがいるところで得点をするのだ。
このゲームはエルグランデと違って、全部の場所で得点集計する訳じゃないのだ。ドージェカードを使い、自分の橋のかかった場所を通らせ(他人の橋しかない場合、勝利点を払う)ドージェ駒を動かしてその場所でのみ得点する。
つまり、1位と2位の得点差の大きいところで、得点を重ねればいいとわしゃ思った訳だ。サンマルコは8/6なのでその差は2点にしかならない。
それでも二人がサンマルコで得点しまくれば、互いに得点が入った筈だったのだが、そうはさせじと、別の場所でわざわざ得点をする二人。
ごくろうさん。
追放に次ぐ追放ですっかり寂れたサンマルコ。わしゃ、得点差の大きなSantaCroceにドージェを何度も呼び寄せ得点差を広げていく。
中盤、俺がリードするも、重大な事実に気づく。俺のコマ数が少ないのだ。
最後は全部の場所で得点計算するので、このままではこの少しのリードは簡単にひっくり返されるだろう。
TAMは全ての駒を盤面に登場させ、ケッカクも3個を残すのみである。俺はリミットカードを恐れて、橋の建設カードばかり取ってたのでこうなってしまった訳だ。それとTAMの追放カードの連発もきつかった。
※ リミットカードを10点集めてしまうと、そのプレイヤーは1ラウンド損する。ただし残ったのが一人だけの場合はそのままラウンドは終了する。一番リミットが少ない人は追放を使えるというメリットもある。
駒はパワーである。しかしサンマルコに100個置いても手に入るものは8点だけである。
魂のドージェ、アキオ・ナニーニ 1492年没
それでもこの差はかなり厳しいものがある。これは負けたかと思ったが、陣取りで逆転負けなぞ俺のプライドが許さない。それにはどうしてもやらなければならない事がある。それはリミットを最小にして追放を使う事である。
見てみると奴等は、駒を集中的に集めすぎている。数個減らせれば俺がトップになる場所がいくつかあるのだ。
コマ数が少ない白。結構厳しくなってきた。どこで得点を稼ぐかが最も重要である。なんとか駒を出さないと……
そして最も重大な局面においてケッカクが分配者となった。これはまたむずかしい。長考に入る。
ケッカク「こうしたら」
わし「あのさ、そうしたらお前間違いなく一番しょぼいその山取ることなるで」
ケッカク「うーん、、、」
わし「この際やな、バランスよくリミットカードを3つに並べて、その上にカードを分配する方法やめたら?」
そうなのだ、皆リミットカードをまず2・3・3みたいに似たり寄ったりに分配して、それからカードを乗せるので、ここまで追加の1ラウンドを誰も行えなかったのだ。俺から見るに最も上手く取ってたのはTAMである。奴は2ラウンド共、追放の権利を得ていたのだ。この最終ラウンドは俺が取らねばならない。
途端に強烈な分配をするケッカク。ドージェを含めて、ごっそりと置いた。リミットカードもいっぱいに。
このカード山を取ってしまえば、一人だけ10ポイントオーバーとなり、追加ターンで何されるか分からない。
当然、1枚こっきりのカードを取る。TAMも同じ考えだ。ケッカクはドージェを使って一旦トップに立つ。
初めての追加ターンである。
運命の駒引きである。
・・・黒、TAMが分配者となった。
悩みに悩むTAM。
ここで選択者となった俺は有利であろう。
もちろんTAMもそこらへんはよく考えていて、リミットカードの多い方にドージェカードを混ぜた。
俺は最初の予定通り、リミットカードを少ない方を取った。盤面的に微妙だがたぶん勝てる筈である。
TAMはドージェを使って最後の得点を積み重ねる。当然、2位がケッカクの場所である。
俺は、自分の駒を出来る限りうまく登場させて移動させた。自分の橋がかかっていれば、登場させる時のみ隣マスに移動させる事が出来るのだ。更に寝返りを行う。
そして運命の追放である。よく見ればサンマルコで3以上出せば俺が首位に立つ事が出来る。
しかし、俺は確実に1個追放するだけでトップに立ちなおかつ、TAMが3位になる場所SantaCroceを選んだ。
ころころ・・・3
見事2ポイント差で勝利!
思えばSantaCroceに始まりSantaCroceで終わったゲームであった。
所要時間2時間!?
最終局面。コマ数の少ないのをうまくカバーした。サンマルコは既に放棄している。
TAMのコメント
これ断然お買い得でしたね。絵柄は綺麗し、雰囲気も出てます。
しかし悩ましいゲームです。最期、分配をもっと変えたら良かったかなあ……でもそうなるとやっぱり別の方取られるしなあ。うーん……
ソマーリオ
時間が掛かりすぎる。この一言に尽きる。このほとんどはケッカクが悩んだ時間ではあるが、もちろんわしらもいっぱい時間を掛けてしまった。
そして時間を掛けて分配した結果はどうかというと、どれも似たり寄ったりで会心の分配なぞ、皆無である。もっと偏った分配ならおもろかったかも知れないがそれは最後にしか起こらなかった。
3人が揃いに揃ってリミットを公平に分けた凡人の分配である。
この分配方式はこのゲームの肝であろうが、ゲーム時間の3分の2もの時間を掛けた割には、苦労がまったく報われていないのだ。これならこのルール無い方がましである。
このゲームは
エルグランデ
の簡易版と言われるが、まったく内容は違う。似ているのは得点が最多/2位の構図だけである。それすらもエルグランデは全部の地区で得点集計するのに対してこれはドージェがいるところだけというルールだ。全てが違うといって過言じゃない。
エルグランデは駒を移動させる事が出来るが、サンマルコは出す事しか出来ないのだ。
そう、俺が危惧したコマ数の少なさは登場させる事しか出来ないルールのおかげで助かったとも言える。これがエルグランデなら惨敗だったろう。そしてこの移動ルールに類するものが追放なのだが、これがサイコロの数ではあまりにも大雑把すぎる。
当然プレイ感はまったく違っていた。この時間がなければ、おもろいゲームだったろうが、時間パフォーマンスが悪すぎた。
木製の駒、センス溢れる美しいカード、油絵の地図で遊んでるかのような美麗なボード、コンポーネントはさすがはラベンス、まったくもって素晴らしいの一言。ヴェネツィアのやらしい政治も溢れているので、所要時間がとても残念なゲームである。エルグランデよりも
王と枢機卿
の好きな人なら、とても気に入るだろう。
また
二人用ルール
もあるので、二人でやることも出来る。
gioco del mondo