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Marc Andre
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Matagot
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2〜4人
45分
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バロニィ
駿河屋で購入駿河屋で購入
帝国の最果ての地で、4人の男爵が覇権を争っています。
彼らは大勢の騎士を使って領土を拡大し、村や要塞、そして都市を築きます。
この権力闘争が終わった時、彼らのうち一人が王となるでしょう。
プレイ感
発売する前から宝石の煌きの作者マークアンドレが出す3作目のゲームとしてかなり評判になってたので、日本語化のアナウンスがすぐに出た。
ルールブックはたったの4ページだが、ルール構成がやや解りにくい。
2人から出来るのでmiaとやってみた。
手番に出来るアクションは6つのうち1つ。以下、簡単に。
1.都市駒のあるマスに騎士駒を2個置く。(湖に隣接してれば3個置く)
2.騎士駒を2個まで、1マスずつ移動。
3.騎士駒を、村駒か要塞駒に置き換えて対応した資源タイルを貰う。複数可能。
4.村駒を1個、都市駒に置き換えて、得点駒を下にずらす。(10点)
5.ストックの騎士駒を1個ゲームから完全除外して、騎士駒を1個ボード端に置く。
6.資源タイルを15点以上支払って、得点駒を右にずらす。(15点)
このゲームの解りにくいところは、駒の種類が多いところとマスの制限。ここらへんは文章でみるよりも実際に確認しながらやった方が解りやすいだろう。
ボードは3つのマスがセットになったものを組み合わせる。人数が多いとボードも広くなる。初期配置は3つの都市駒と騎士を置いていくのだが、ものすごく重要なので、慎重におくこと。置き方は時計回りに1個ずつだが、ラストプレイヤーは3個おいて、そこから逆順に折り返して残りの2個を配置していく。
駒は騎士、村、要塞、都市とある。村と要塞は同じコスト(騎士駒1個)だが、要塞は相手の駒の侵入を阻むが、村駒は都市駒に置き換えれる。要塞は強いのだが、2個しかないので上手く配置しないといけないのだ。
移動できる騎士駒は若干色が薄くなっており、ひと目で識別できる。ちょっと失敗したのはセットアップ時に山岳マスに都市を建ててはいけないと勘違いしたことだ。最初、いくつか山岳に立てることで周りの肥沃なマスを活用しやすいように後で思った。
移動の基本ルールは、相手の都市駒、要塞駒及び同じプレイヤーの駒が2個以上あるマスへ侵入は出来ない。
山岳マスは、相手駒が1個でもあれば侵入できない。
湖は侵入できない。
村駒もしくは騎士駒1個だけしかないマスは、相手の騎士駒2個の侵入で取り除かれる。もし村駒なら、相手が資源タイルを1枚選んで取られる。
都市駒の隣に都市駒は建てられない。
都市駒は森マスには建てられない。
こうして、得点駒が右にいくごとに爵位があがり(15点ずつ)、男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵に誰かがなったら、各自、最後まで同じ手番数をこなして終了。
得点ボードの点数と手元に残った資源タイルの右側の得点を足して勝敗を決める。
リファレンスの男爵はすべて違う。右にあるのが資源タイルでこれは田園マスに村、要塞を建てたという事だ。田園は5点と高い。白字の3点は、これを手元に残ったままゲームが終了した時に計算する得点である。なるべく支払って爵位をあげた方が得点が高い訳だ。
最初に、都市駒を3個セットアップする。この場所取りはめちゃめちゃ重要だ。
資源タイルは種類によって得点が違うので、田園地帯の近くに置きたいからだ。
mia「うーん、なんだかこの手の陣取りは苦手。どうしたらいいのか解らない」
まあ、とりあえず適当に始めてみようという事で。
これが得点ボード。おそろしくざっくりしてて最初は面食らうだろう。横が15点刻みで、下が10点刻みである。都市は最大2個までしか追加できないので下のスライドは2段階、右のスライドは終了条件に関係するエリアで、資源エリアを15点以上支払う事で一段階右に移動できる。お釣りがでないところがなかなかおもしろい。
書き忘れたがこのゲームは完全情報公開のアブストラクトゲームである。多人数であれば、各自の思惑による揺らぎがあって実力勝負とはならないだろうが、2人プレイなら、そのままガチ勝負となる。
一見すると長考になりそうだが、基本的には、移動して村を作るの繰り返しなので、そんなに考え込む感じではない。
どのようにやればいいのかが解らないmiaに何度もこれは陣取りだというのを教えた。
要は、相手に肥沃な土地を取られないように、防衛ラインを引けばいいのだ。
防衛ラインとは、山岳マスや湖を使って侵入できないようにするのだ。もちろんどこかに切れ目がある。そこに要塞を作る。
ここまでくるとあちこちで陣取り合戦が始まっている。特に注目したいのは駒2個と山岳マスである。うまく使って相手を封じ込めよう。
最初は、むしろmiaの方があちこちに村を建てていたので、資源タイルが多い状態となった。
わしは、防衛ラインをいそいそと作る。
このゲームの面白いのは得点のやり方。10点単位、15点単位で動く。むしろ得点なくしてランクでええんじゃないかと思ったが、最後に余った資源タイルを加える意味でこういった得点の概念は必要らしい。
先に書いたように都市駒を置く10点は下方に動く。なぜ2段階しかないか、それは都市駒の追加が2個しかないからだ。
資源タイルを支払って得点する15点単位の右方への動きは、このゲームの終了条件となっている。おつりは出ない。余分に支払った分は失われるのだ。
村を攻撃されても、そもそも支払って資源タイルが手元になくなっている状態なら、取られないという面白い要素も入っている。
村は弱いのだが、そもそもこいつをたくさん建てないと勝てない。有効なのは、山岳マスに村を建てることだが、これを皆があまりやってしまうと、終了させる事が出来ないというシステム上のバグもあるので注意が必要だ。というのは、山岳マスの資源は2点しかなく、駒数も限られている事から、誰も公爵になれないというケースも想定できるからだ。
都市駒を建てるところというのが意外に少ない事に気づく。あちこち隣接しており、また森に建てられないというのがネックとなっている。
都市を作ればそこを橋頭堡にして騎士を派遣し易くなるのだが、この際、そんな事は言ってられない。建てられる場所に建てる、だ。
また騎士駒の数が絶妙で、かなり少ない。すぐに村にしないとあっという間に行き詰まってしまう。このせいで、このゲームのテンポは非常に早いのが特徴である。
結局、防衛ラインをひいたわしが、miaの手詰まりを誘い、山岳マスにしか建てる事が出来なくなったmiaが、どうあがいても公爵になれない事になった。わしは都市も最大まで建ててそのまま勝利。
所要時間45分
最終。赤色を中央部に完全に封じ込めているのがわかる。
得点。わしは都市を2個建てて、最高まで達した。
miaのコメント
この手のタイプはどうも苦手。どうやっていいのか解らない。
ソマーリオ
僅か4ページのルールで、これほど面白いものが作れるとは、ニューヒーローの誕生やわ。宝石の煌きの陣取り版ともいうべき、マークアンドレ特有のランクアップシステムは、昨今、やたらとルールが複雑で、時間が掛かり、勝ち筋が見えにくいアメリカンタイプのゲームと対極に位置している。
もちろんシミュレーションゲームの流れを復活させたアメリカンタイプの重厚なゲームが好きなファンもいるだろうが、時間のないわしにとっては、昔のドイツゲームの流れを組むタイプの方が好きや。いわく、ルールは簡単だが、考えどころがしっかりある。せいぜいカタンを限界くらいが丁度いい。
この恐ろしいまでにシンプルなデザインは、回数をこなせば最適手が見つかるんではないかという危惧があるが、そこは可変となっているボードで、きちんと補完されている。もちろん、アブストラクトなので、実力あるプレイヤーには絶対に勝てないだろうから、実力伯仲したプレイヤー同士か、多人数でやればいいだろう。
宝石の煌きと違って、マス目の制限を確認しなくてはならないところがあるが、それさえクリアすれば実に解りやすい。
駒は木製で造形の凝った4種類の駒を大量に用意してあり、都市駒に至っては巨大でずっしりとくる。
騎士駒の色を変えているのは、プレイアビリティを大幅にあげている。
ボードはちょっと捲れやすい紙質なのは残念だが、これまた大量にあり、二度と同じマップは出来ないだろう。
そして特筆すべきは、テンポが早いので、あっという間に終わってしまうところである。これは宝石の煌きでもそうだった。
陣取り要素は多分に含まれ、しっかりと考えないと勝てない。むしろルール確認に煩わされる事なく、陣取りに集中して欲しいという作者の思いすら感じる。
発売は2015年の5月なので、2016年のドイツゲーム大賞の最有力候補になるんじゃないか。話題性でいえば、もう少し後の発売の方が良かったか。
まあわしゃ、ドイツゲーム大賞、外れの王様やけどね。