Gunter Burkhardt

Phalanx

3〜4人
20分

トランプトリックゲーム

密猟者たちは、森に入り動物たちの足跡を探す。
大きな獲物をを仕留めれば、大金をせしめる事が出来るのを彼らはよく知っている。
彼らの最初の仕事は、こうして動物の足跡を追いかける事で、どこにどういった動物たちが棲息しているかを判断していく事なのだ。

プレイ感

かつて話題になったトリックテイクで、すぐに輸入したが、同時モノを買いすぎてTAMに譲ったカードゲームをようやくやる事となった。ウィリーも一緒に譲ったのだが、あれがどうにもこうにも合わなかったので、このゲームはどうかなという不安はある。TAM夫妻との3人プレイにて。


動物絵柄のスートは4種、数字は1から12まであり、それ以外に足跡マークが0から4個描かれている。3人プレイなので、一人手札は12枚ずつ持つマストフォローである。切り札は、ラウンド毎に変わりどういった順番で切り札になるかは公開されている。

このゲームの変わっているのは、あのウィリーと叫べばトリックが取れるという訳わからんウィリーと同じく、1ラウンドでトリックを取れるというのは一人4回までと決まっている。ラウンド終了時に、都合12枚のカードが集まるという寸法だ。これが次ラウンドでの手札となる。そして集めた足跡の数×集めた動物の種類が得点となる。たとえば足跡が6個集まり、3種類の動物スートならば18点入る。これを3ラウンド繰り返すと4ラウンド目は、トリック4つという規定がなくなり、普通のマストフォローのトリックテイクとなる。点数も足跡は関係なくなり、狼、ムフロン(野生の羊)、猪、熊の順に1枚につき1、2、3、4点が貰える。合計得点の高いプレイヤーが勝利だ。


向こうに見えるように切り札の順番はゲームの最初にランダムに決める。今回の最初の切り札はムフロンである。わしゃ非常に偏った手札だが、切り札が多いので、有利に展開したいところ。3ラウンド目までは、取ったカードの数字の下にある足跡の総数×種類なので、なるべくこれらを集めるようにしたい。

なんともひねりの利いたトリックテイクだが、あまりにもこねくり回されると、わしの嫌いなウィ以下略、と同じくさっぱり意味不明となってしまうのではないかと思ってしまう。

ところがその杞憂は一発で吹き飛んだ。やってみると非常に素直なトリックテイクで(これを素直と思えるくらい慣れたかも知れないが)、マストフォロー特有の、1度のトリックでは種類は基本1種類しか集まらないという事で、4回をどのように取っていくかという考えどころがしっかりとある。

また素晴らしいのは、次ラウンドの切り札が解っている事から、どの次の切り札カードを多めに取っておこうという作戦も必要となってくるのだ。たった12枚のカードでこれらが行われるので、非常にプレイヤーの視野は明るく、どうやっていけばいいか、純粋に作戦に頭を悩ませることが出来る。


前回取ったカードを次の手札とする。前にムフロンが多かったので、自然ムフロンが多い手札構成になってしまった。今回の切り札の狼は1枚も手に入れられず、3種類しか集められなかったのでポイントも伸び悩んだ。次回のために猪を多く集めたいところだが、そこはマストフォローのサガで、やってみると解るが同じカードばっかりになってまうのよな。

途中から、わしは次の切り札が非常に重要なのに気が付き、出来る限り切り札を集める作戦にでた。

TAM嫁「わぁ、あかんわ。全然欲しいカード取れない」

となっても、トリックは4度までルールがあるので、強いプレイヤーが権利を失うと、あっと今に最後の手札は全てTAM嫁のところに集まり、

TAM嫁「やった! 勝手に4種類集まった」

となる。

TAM嫁は、このように動物の種類を集める事で4倍にする得点方式を重要視してきた。

ところがリードしたのはTAM。2ラウンド目に種類×足跡でかなりの高得点を叩きだしぶっちぎりのリード。わしはどうにも3種類しか集められなくて、苦戦を強いられる。取りたくなくても取らされてしまうケースが多々あるのだ。なんせ、切り札重視で取るために動物がつい偏ってしまう。

しかし3ラウンド目に、大転機が訪れた。なんと、TAM、痛恨の4点。わしは最後に重要な熊カードを徹底的に集める。今回の切り札の動きは、最終ラウンドで熊が切り札となっているのだ。そして3ラウンド目の切り札は猪で、これはわしが前回集めまくったカードである。

手札12枚中、7枚が熊という最強の布陣で最終ラウンドを迎える。ここは最初に書いた通り、トリック取りたい放題だ。


4ラウンド目は取れるだけ取っていいラウンドだ。熊ちゃんは1枚につき4ポイントも貰える高額カードであり、運良く今回は切り札ともなっている。わしの集めに集めた熊ちゃんカードがここから炸裂する。

\\ 
 ̄\\ 熊ってゆーのが
熊 \\ 出るんだって
   \\
出没 //
注意//
_// 恐いねー
//ー、∩
/ノ ヽヽ  ねー
| ● ● i' ̄`ヽ
| (_●_) ミノ ヽつ
| ヽノ ノ● ● i
Eヽ、_ ) (_●_)ミ
|ヽ  /  ヽノノ

TAM嫁「あきおさん、強すぎ」

TAM「熊ばっかりでまったく手に負えませんわ」

次々に切り札を繰り出し、ひたすらトリックを取りに取りまくる。今までの鬱憤を晴らすかのように、熊ちゃん旋風が吹き荒れた。

   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | クマ──!!
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)

これで勝負あり。わしのぶっちぎりの勝利。

所要時間20分


最後こんなに取りました! 左がTAM、正面がTAM嫁である。最後あんなけ切り札あれば勝てるわなw

おもろい!

つう事で即座に2回戦目突入。

ここでも、わしが最後の切り札をたくさん集めたおかげで、なんとぶっちぎりと思われた1回戦目よりも大差の勝利をもぎ取った。

TAMのコメント

これむっちゃおもろいじゃないですか! しかし、あきおさんの4ラウンド目は鬼です。勝てません。

わし「つか、これ返して。ウィリーいらんから」

OECのコメント(後日やった)

テーマはなんなんだろ?縄張り争い?w
ありがたいことに、miaさんコツミさんが食事の為に行列に並びに行ってくれたので、あきおさんとjoeyamaさんと3人で。
マストフォローのトリックテイクの典型。
一人4トリックの制限があって、そのトリックが次の手札になるってのがミソ。あ、あと最終ラウンドだけ得点の仕方が違うという点もミソの合わせミソだな。
次の切り札を意識した手札マネージメントが出来るようになればもっと戦略的いけそう。悩ましいね、もう少しやりこんでみたい!

ソマーリオ

既に書きたい事は本文に書いたが、プレイ感は軽く、ジレンマもたっぷりあり、勝つためにはしっかりとした戦略が必要だ。さらに、ゲームをどうしたらいいかという視界がとてもいいので、初めての人でも楽しめるんじゃないかと思えるし、トリックテイクの熟練者でも、これは! と唸らせるだろう。

これほどの完成度を持つカードゲームはそうそうお目にかかれない。20分ほどで終わるただのカードゲームなのに、ボードゲームのようにしっかりとゲームをやったという充実感が味わえるのだ。面白いのは、密猟というテーマに即しているところだ。最初は足跡を見つける(1〜3ラウンド)のに躍起し、最終的に(4ラウンド目)獲物を撃ちまくった者が勝利するようになっている。

わしが今までやったマストフォローのトリックテイクの中では、7つの印が一番よく出来ていると思っていたが、トランプトリックゲームはこれを抜いた。今までのトリックテイクは、そのラウンドのトリックに対して、どのようにカードを出していくかが、作戦の中心だった。これはあのウィリーでさえ同じである。ところが、こいつは、次ラウンド以降をどのように展開させていくかという、長期的な戦略まで考えないと勝てない。

さらに運の要素が高いと思う人にはヴァリアントも用意されている。ヴァリアントを採用すればより深い戦略プレイが出来るようだ。まだ未プレイなので、また後日やってレビューに追加したいと思う。

これはカードゲームをボードゲームの戦略レベルにまで高めたといっていい。いやいや、このゲームはもっとたくさんの人に支持されていいと思うのだが、どうにもそんな感じではないのは、日本ではほとんど入荷していないからだろうか、それとも単にトリックテイクという分野が未成熟だからだろうか。

マストフォローのトリックテイクをある程度こなした人なら、是非、次はこのゲームをやって貰いたい。初心者なら、まずはウィザード・カードゲーム7つの印でしっかりとその楽しさを味わってから、このゲームをやってみて欲しい。どちらも本当によく出来ている。

gioco del mondo