Stefan Feld

Queen Games
アークライト

2〜4人用
90分

アメリゴ

駿河屋で購入
プレイヤーは開拓者となり、名もなき島々へ航海の旅をし、土地を開拓して拠点を立て、産物を手に入れて得点を獲得していく。
このゲームはダイスタワー・システムを採用しており、ダイスタワーにキューブを投げ込み、受け皿に出てきたキューブを使用してゲームは進行。
しかしタワーの中には複雑に梁が渡されていて、出てくるキューブもあれば出てこないキューブも。そうかと思えば、さきほど出てこなかったキューブが今出てきたりすることも。
出てきたキューブの色と数によってフェイズ毎に行えるアクションの種類や回数に変化が!? ランダム要素が悩ましく、そこから戦略を生み出すというゲーム性を存分に楽しめることだろう。アメリカ大陸探検のロマンがぎっしりのド級ボードゲーム! 新しい大陸があなたを待っている!!

プレイ感

タイトルからしてアメリゴヴェスプッチがここは新大陸だ! みたいな歴史をテーマにしたゲームかと思って開けてみたら、エントデッカーと同じようなボードでめっちゃしょぼかった。
ルールを読むとフェルトのくせに7歳児のコタでも十分できそうな感じ。ちゅうわけでmiaとコタの3人でやってみることにした。


テーマは先にかいたヴェスプッチの歴史的な物語をやっているのではなく、仮想上の島に開拓を行って商品出荷拠点を作るゲームだ。

ヴァレンシュタイン、将軍に続く久々に出てきたキューブタワー。フェルトがいっぺんこれで作ってみたいでぇと思ったかどうかは分からないが、なんせ久々にみた。

初期セットアップが死ぬほど面倒なのが、キューブタワーだが、それにフェルトとくれば、その面倒さは大幅アップとなる。


左にあるのがキューブタワー。個人ボードにメインである海図ボードがある。海図は組み合わせによってマップが変わり、人数によって大きさが変わる。

まず最初はボード作成。3人プレイの場合は、3×4で海図を作る。チェック項目として斜めに陸地が接せず、内海もできないこと。それから合計20マス以上となる陸地は大きな島として宝箱駒を配置する。さらにマスに描かれている特産品と同じ特産品マーカーを配置していく。
すべてのアクション駒をタワーにぶっこむ。出てきたやつを色毎に共通ボードに集める。
各自、自分の丸型駒を個人ボードやら、共通ボードやらに配置。
発明タイルと工場タイルを共通ボードに配置して、追加で、農地タイルを形毎に集めて山にしておくと遊びやすい。


共通ボード。同じ色のアクション駒を全てとってキューブタワーに放り込む。それからから出てきたアクション駒は全て中央に置く。放り込みアクションは青から始まって時計回りにやっていく。下にある色付きマスが手番順マスで進んでいるプレイヤーから手番を行う。アクションの右横が購入できる工場タイル、その上が発展タイル、その左が海賊タイルだ。今回海賊の戦闘力は3である。

とまあ、なめてんのかというくらいかったるい。しかも出来上がった海図は、雄大な新大陸発見といった感じではなく8ビットなゲーム的姿で、エロDVDのパッケージみて興奮しながら借りたらそんなシーン全然なくて、金返せ! というムードがあふれまくってるくらい箱絵イメージと乖離している。

まあええ。ゲームは5ラウンドのち、勝利点が高いプレイヤーが勝ちだ。
スタート位置がトップのプレイヤーが、青色のアクション駒を全部とって、キューブタワーにぶっこむ。出てきた駒をすべて共通ボードの真ん中に集める。
今回アクションが出来るのは、この色のアクションのどれかひとつで、できるアクションポイントは、最大個数の色の数だ。


相変わらずのキューブタワー。出てきたやつを整理して、各ラウンドを行う。もし、不慮の事故で落ちた駒があれば、わきによけて、次回一緒に投入する。

これを青駒から時計回りに行っていき、白駒が終わると1ラウンド終了で、海賊が暴れて次のラウンドに行く。アクションは色ごとに決まっているので、基本的に青駒をぶっこんだら、青のアクションはほぼ間違いなく選択できるということだ。

以下、色ごとのアクションの説明。
青、航海。自分の2隻の船駒を使って、それぞれアクションポイント数移動させる。基本的にこれでめざすのは港だ。港につけば、開拓地駒を配置できる。最初に発見した島なら3勝利点貰える。
黒、武装。個人ボードの大砲レベルをアクションポイント増加させる。これは最後に攻めてくる海賊退治に必要不可欠。
赤、開拓準備。アクションポイントを使って農地タイルを購入しておく。中立の農地タイル(置いたときの得点が高い)は1枚しか買えない。
茶、発展。個人ボードの発展レベルをアクションポイント増加させる。数字のマスにたどりついたら、共通ボードから発展タイルを1枚貰える。発展タイルは様々な効果がある。
緑、開拓開始。アクションポイントを使い農地タイルを自分の開拓地駒か、自分の農地タイルに接するように配置して、タイルに示された得点をえる。大きな島の場合、得点の高い方をえる。
黄、工場建設。特産品を加工する工場マーカーをアクションポイントを使って購入する。最終的に、特産品マーカー数×工場マーカー数となるので、1点豪華主義が得である。
白、手番順変更。共通ボードの手番順駒をアクションポイントを使って前に進める。残ったポイントで止まったマスの色のアクションを行える。これで手番順が変わる。

最後、海賊の戦闘力と同じだけ、大砲レベルを各自さげる。もし、海賊の戦闘力に満たない場合、大砲レベルを0にして海賊戦闘力満額の勝利点が減点されるというきついお仕置きが待っている。つまり1ポイント足りなくても10ポイント足りなくても結果は同じだ。

これで1ラウンド終了。

まずは青駒を放り込む。

青5黒1

今回のアクションは航海か大砲の強化を5アクションポイント使ってできるということだ。

ここで大砲を選んでもいいが、黒駒を放り込んだときに、青がでるとは限らないので、基本的に放り込んだ駒のアクションをやるのが良い。
流れとしてはきちんと順番にやった方が効率的になっているし、かれこれ4プレイほどやったが、よっぽどの事がない限り放り込んだ駒のアクションを選んだ。


外周もマスになっている。薄い白い線だ。1マスの大きさがボードのマスと全然違うのに違和感がある。

というわけで、航海。最初はボードの外洋に船駒を2個とも置く。それから各船ごとに移動が5ずつできる。ボードの周囲の外洋も、マスになっており、『型の奴は2マス、短い奴は1マスとなっている。一旦、船が置かれれば、あとはそこから移動するしかないのだが、外洋と内海はマスのサイズが違うので、遠くにいきたければ、いったん外洋にでた方が良い。

ここで目指すは、港。しかも誰もまだ上陸していない港だ。最初の手番では2隻とも新しい島の港に到着できるようにすべきだ。なぜなら未開の島を最初に発見すれば勝利点が3入る。そして、ここで港を発見して開拓地を置いておかないと、後のフェイズでなにもやることがなくなってしまう。


まずは港を目指す。到着すれば、開拓地駒を置く。そこから農地を広げていくのだ。島においている特産品タイルを隠すように農地タイルをおけば、そのタイルをゲットできる。右下に見えるのが大きな島に置く宝箱駒。これは3ゴールドの価値があるが、それよりも大きなのは視認性をあげるためだ。大きな島は、農地の勝利点が高くなる。

フェイズが終わると、すべての駒をそれぞれの色マスに移動させる。
黒駒放り込み。大砲駒はそのままあげておく。今回の海賊の戦闘力は2なので、屁でもないが、海賊の戦闘力は常に上がる方向なので、溜めておく意味でも大砲力をあげておくに越したことはない。実はこのフェイズが一番早い。

赤駒放り込み。ここで農地タイルを購入しておかないと、緑でやることがなくなる。勝利点は中立タイルとは圧倒的に差があるので、1枚は中立タイルを買うておいた方がいい。ただし、コストも掛かる。自分にあらかじめ用意されたタイルはどの形でも1アクションポイントで買える。

mia「この形『が一番使い勝手がいい」

わし「確かに」

中立タイルから『のタイルが全員に選ばれる。

茶駒放り込み。順当に数字マスにたどり着き、発展タイルを選ぶ。
ここは個性の見せ所。

わし「むむ。ここはやはり航海+2でしょう」

多いのは、各アクションを選んだ場合に追加でアクションポイントが増えるというやつだ。わしは青のアクションを選ぶと+2されるのを選んだ。これでガンガン大海原を踏破するのだ。


個人ボード。上左に特産品を、右に工場を置くと解りやすい。タイルの外周が発展ポイントゲージだ。数字の書いてるところにくると、発展タイルが貰える。一番左の青タイルが航海+2のタイルで、真ん中は海賊を撃退すれば2ゴールド貰えるタイル。その下のマスが大砲マーカーで、その下が所有ゴールドだ。このゲームでのゴールドはアクションポイントのストックというイメージ。

そしてメインともいえる緑駒投入。これで開拓地駒に接した場所に、赤で購入したタイルを配置して勝利点を得るのだ。

わし「これは置いてある特産品タイルにかぶせるようにやるんやで」

ここがミソで、特産品タイルにかぶせておくと、その特産品タイルを貰えて、勝利点に繋がるのだ。このルールは非常によくできている。一発で特産品の農地が完成しつつ、勝利点への見通しも分かる。セットアップが少し面倒やったけど。

そして黄駒。特産品が取れても、工場がなくては儲けられない。というわけで、ここでは自分がとった特産品か、将来手に入るであろう特産品の工場タイルを買うのだ。実はこのフェイズが一番、手番順が関係してくる。同じ能力なのだが、価格が違い、早いもの勝ちなのだ。

mia「えーー、全然、残ってないじゃない!」

となる。

あっと、ちなみに工場タイルというのはわしの勝手な解釈で、こう解釈した方が解りやすいのでそう書いてる。農地タイルもそうやけど。
数字(つまり価格)の書いてある特産品タイルと、数字の書いてない特産品タイルは内容が全然違う。前者は工場、後者は特産品とプエルトリコ風に解釈した方が解りやすい。モノがあって、加工して、初めて売れる。とても紛らわしいので、タイルの絵柄を変えて欲しかった。

最後の白は結構大事だ。

mia「まじで、順番後ろやときつい」

というわけで、ぐんぐんと前に進める。またここで、ちょっと足りなかったアクションを実行することもできる。

海賊だー!!(2やけど)

わしら「ぺしっと」

軽くひねる。弱いやん。
それから新しい海賊タイルをめくる。1だ。次のラウンドは戦闘力3となる。

おお!!
…弱いやん。

要はこれの繰り返し。

というわけで、どんどんと開拓を行っていく。
1つの島すべてが、農地タイルと開拓地駒で埋まれば、開拓完了となり、それを行ったプレイヤーは3勝利点はいる。さらに、そこに開拓地を置いているプレイヤーが、勝利点を貰える。これはラウンドが早いほど高い。

わしは大きな島に置いてある宝箱が欲しくて、頑張って開拓してた。
宝箱は大きな島が開拓完了としたときに手に入るもので、3ゴールドの価値がある。このゴールドは、いつでもアクションポイントと交換できる非常に便利なものだが、正直3ゴールド程度の価値しかないのかと思う。それよりも大きな島であるという視認性の問題で置いているようだ。大きな島は農地タイル設置時に勝利点が違うからだ。

わし「ちょう待てよ。これ、一人じゃ無理やんけ!」

大きな島はなんせでかくてはっきり言うて5ラウンドで一人ですべて農地置くのは無理だ。というか、4回やってるが、大きな島を開拓完了させた事がない。

コタ「じゃあ、これで開拓完了」

勝利点3+開拓地ボーナス

mia「完了」

勝利点3+開拓地ボーナス

わし「これ、完全しくりじゃね?」

とまあこんな感じで、5ラウンド終了。
こまごました勝利点を足していく。


最終。大きな島がひとつも開拓完了していない。4人だと海図がでかくなるので、やはり同じだろう。大きな島は皆でやらないといけないようだ。

結果、わしの勝利。
なんつっても特産品タイルの掛け算がでかかった。
そして大きな島が得点がでかい理由が分かったし、それもきちんと込みで機能していることも分かった。

所要時間90分


コタの最終ボードと、上にあるのが勝利点の差。ちなみに2回目はコタと同点勝利だった。

コタが海図を作るのが気に入って、終わってから一人でずっと海図を作って遊んでた。

そして、毎週このゲームをやっている。

時にえぐい展開があって、発展タイルで自分以外のプレイヤーの海賊の戦闘力が+2というのがある。

わし「ふははは、大英帝国の私掠船じゃ」
海賊を陰で支援する訳だ。

mia、コタ「まじで、酷い」

そしてその時の海賊の攻撃力の半端じゃなさはえぐかった。

展開により海賊が本気を出したら、死ぬほどきつい。汲々として海賊退治に追われることとなる。

一度は最大の10までなって、わしのこの鬼発展タイルのおかげで、戦闘力12となったこともある。12といえば大砲のMaxの数値だ。

うーむ、フェルトらしさをようやく感じた。

コタがキューブタワーに放り込むのが楽しくて、やらせたことがある。パワーが足りないのか、全然アクションポイントが少なくて苦しい展開になった。

コタ「4個入れる」

…3個

mia「なんで減ってるのよ!!」

この時の展開はマジで苦しかった。アクション足りなさ過ぎ。

ちなみに2回目以降は60分程度で終わってる。準備は相変わらず少し掛かるけど、なれるとサクサク進む。

7歳コタのコメント

このゲームが今までで一番楽しい。海図づくりも楽しいし、駒を放りこむのも楽しい。今のところ2番はテーベの東。

ソマーリオ

これは目立たないけど、かなり面白かった。外洋とのマス目の違いとか、8ビット級の海図だとか、準備に糞時間が掛かるだとか、そういうのが無ければ、名作として記憶されたかも知れない。

第一に大航海時代の発見と開拓と会社経営と、テーマとしてやることが多い割にルールが非常に解りやすくシンプルにまとまっている。これだけのテーマをこんな簡単にまとめたフェルトは凄い。

一見するとキューブタワーが機能していないようにも思うが、これはこれでランダマイザ―としてはきちんとゲーム内で機能もしている。
点数パターンは多いが、実は制限がきつくてあまりに偏った方法ではうまく得点できないように思う。バランスよくやらないと酷い目にあう。

フェルトのくせに、ルールは難しくなく7歳児でも理解できて、苦しくなく、そのくせ、フェルトらしさは十分に残っている。
大航海時代の冒険という意味では、ちょっと前にレビューしたエントデッカーには歯が立たないが(そもそも冒険らしさはない)、総合力で他の大航海時代のゲームに勝利している。

gioco del mondo