Dirk Henn

Queen Games

3〜5人用
150分

ヴァレンシュタイン

ドイツでは免罪符の発行を発端として1517年,ルターが宗教改革をスタートさせ,その影響はドイツ全域に広がった。当初新教を認めなかった当局側も,1555年にアウグスブルクの和議で諸侯・自由都市に対して信仰の自由を認めた。しかしこれは国民に対してではなく領邦・自由都市に対して認めたものであったため,最後にして最大の宗教戦争である「30年戦争」を引き起こした。

プレイ感

奇をてらった戦闘解決タワーの存在、Geekでの高評価、いかにもウォーゲームを彷彿させる内容、ずっとやりたかったが時間がかかるらしいので、放置してた。
今回、これをリメイクした将軍つうのが出るらしいのでその前にぜひやらねばとTAM夫妻とプレイ。

まず最初に、セットアップからだ。

駒を分けてと…、領土ごとに駒を配置……、次にカードをシャッフルしてと…、
塔の初期化をやってと…、

…(やること20分)

な、なげえ! こんなめんどくさいセットアップがあるかー!!

最初から駒だけは分けてたからマシやったものの、これ準備に30分かかる。
特に領土が決まってるところに駒を配置していくとこなんか完全に昔のウォーゲームと同じ。ここに3個、ここに2個みたいに。

セットアップが完了したのでめげずにスタート。ちなみにルール説明も30分かかる。(|| ゜Д゜)ガーン!!

10個のアクションがある。そして、そのアクションを行う場所に、土地カードを伏せておく。その土地に該当アクションを割り当てるという寸法だ。これだと1つの土地は1つのアクションしか行えず、1つのアクションは1度しか行えない。前者は問題ないが、後者はちょっとゲーム的かなと思う。例えば徴税は1度だけ1つの土地にしか出来ないのだ。実際は4つ、5つくらいのところで重税をかけたりする事があるかも知れない。また、土地を11個以上持つと何も出来ない土地が出来る。ここらへんは、一人の個人が命令できる限界とみて納得出来る。


先にターン毎に予定を組んでおく。右に置いているボードに、土地カードを置くと、そのアクションをその土地で行うという意味になる。つまり土地の数だけカードがあり、土地を増やすと出来る行動回数が増えるのだ。それがどのような順番で行われるかはボード下に置かれている順番にランダムに変わる。ちなみにボード上のカードはTAMのアイデアで3人プレイ時に使わないエリアを表してるにすぎない。

とは言うものの、この予約システムは、非常に面白いシステムであるのは認める。
別にシミュレーションやってるわけじゃないんで、ゲームとしておもろければそれでOKである。ディルクヘンの縛りという事ですな。

そして後先の順番が上手く出来ている。この10アクションを行う順番は、ランダムにカードがめくられて(最初の5つは見えており、徐々に順番がわかってくるようになっている)、その順番どおり行うのだ。徴税してからでないと建物を建てられないなんてケースが多々あるのだが、順番をみると先に建築、それから徴税だと何も出来なかったりするわけだ。よく順番を見ておかないと意味のないことをしてしまう。


戦闘シーンの目玉はこれ。戦力をまとめて戦闘タワーにぶち込む! これはかなり燃える。


がらがらっと出てきた駒から1対1ずつで除去していく。残った方が勝ちである。塔に残っていた中立の駒が出てくる場合もあるが、これは横に分けておいて次回一緒に放り込む事になる。

ここからはプレイをしながら説明しよう。

ゲームは前半、後半と分かれており、各4ラウンドからなる。8ラウンドでゲーム終了だが、実際は冬は何も出来ないので6ラウンドで終わりである。

まずは中立国を侵略せんと、各自、少数の軍備を整えて戦争をおこす。

中立国は、農民が兵隊となって戦うのだ。

農民は1個だけなので、撃破はたやすい。

農民1個と、攻めた個数をあの戦闘タワーに放り込む。

ころころんと出てきたところ、自分の駒数と農民の数だけ間引き、残った方が勝利する。他の色の駒が出てきたら、横にのけておき、次回一緒に放り込む。

戦闘タワーには以前、放り込んだ駒が引っかかってたりして、今回放り込んだ以上の駒が出てきたりするので油断は禁物だが、さすがに中立国相手に負けるわけにもいかず、皆順調にその版図を広げる。

ただ、このゲーム、版図を広げたところで、徴税や食料をしぼりあげる地区は1つしかないので、国が豊かになるというわけではない。また徴税や食料を搾り取った地区は不穏マーカーが置かれ、これが2つになるとTAMのようになる。

農民A「おら、もうやってけねーだ」

農民B「んだんだ。おらんとこも、犬さ食って、もう食うものがねーだ」

農民A「なんでもこの腐れTAMつう領主は、わしらばっかりから取ってるそーだで」

農民B「もう、やるしかねーだ」

農民A「おらの村では、鍬(くわ)もって」

一同「一揆!」

農民A「鋤(すき)もって」

一同「一揆!」

農民A「百姓!」

一同「一揆!」

農民A「それ!」

一同「一揆一揆一揆一揆!」

※ちなみにこれ、わしが若い頃に使ってた一気飲みのコールである。

わざわざ同じ地区から絞る理由は、地区によってその量が違うから、こういう不公平がおきる。TAMは一揆で地区を手放そうとも、お金を取った。この作戦は明らかに間違いだと気づくのは翌年になってからである。

あちこちで一揆がおき、農民駒と戦うTAM。そして農民が勝ち領土は次々に中立国になっていく。駒数がそれほど多くない段階で、これをやったのがまずかった。それにしても1対1で減っていく戦闘システムなので一度戦闘が起これば、ごっそりと減ってしまう。


なんせボードがでかくてちょっと分かりにくいが、わしの黄色が戦力を充実させてるのが解る。ここから一気にTAMのところを攻めたいところ。

わしとTAM嫁は年貢を振り分けたおかげで、一揆はほとんど起こらずにいたが、冬になり、若干の一揆が起きた。ランダムに土地カードを引かれておきるのだが、戦力のある地区だったので、鎮圧に成功し、2年目に移行する。

この時点で、TAMは領土を3つもビハインドしてしまった。領土の数は最後の勝利点に関係するばかりでなく、可能アクションが事実上減ってしまうので、かなり苦しくなったようだ。

勝利に最も関係する宮殿、教会、商館を無理をせず建設する。これは2年目に大きな影響を持つだろう。

2年目、軍備を整えてすぐに戦闘をしかけたいところだが、それが出来ない。
戦闘でのポイントは、駒の移動である。戦争をしかけるために同じ地区で軍備を整えてしまうと、2アクションとなってしまうために無理なのだ。そこで駒の移動を使って戦争を起こしたい国に移動させてから、出陣するのだ。それにいち早く気づいたTAM嫁とわしは、上手く使って中立国に攻め入る。

TAMの肥沃な土地を狙おうとわしの軍隊を増強させて攻撃をしかけるが、いつ、復讐にやってくるか解らないので、軍備の増強はおろそかには出来ない。
特に5個とかあっても、いったん戦闘が起きれば1個とかになってしまうので、手間を取られてしまうのだ。


ここで激しく戦闘するも


TAMは嫁とも二正面作戦を余儀なくされ、厳しい状況に。

あちこちで戦端が開かれ、皆、どこに戦力をさくか、悩みに悩む。ちょっとでも弱いとみれば、即座に攻め入る柔軟さが重要なのだ。

ここでわしは重大なミスを犯してしまった。前半で大量リードを奪ったわしは守勢に回り、攻撃して手に入れた自分の領土を守ることだけを考えてしまった。

TAM嫁の密かな野望を見抜くことが出来なかったのだ。わしの教会が建っている領土である。まためぐり合わせも悪かった。このラウンド、痛恨の1番手プレイヤーを引いてしまった。TAM嫁の攻撃後、わしの反撃は出来ない。

残るは、TAM嫁の攻撃を破るだけである。わがほうは劣勢。

TAM嫁「勝った!」

結果、その教会ボーナスの差で勝利を逃してしまった。不覚。

所要時間 2時間半


最終形態。つか、遠くて解らんちゅうに!

TAMのコメント

いやあ、これはほんまよう出来てるゲームですわ。是非、陣取りゲーム好きにやってもらいたいです。ルール読んでしびれました。

(実はこのゲーム、長い説明書読みたくねえ病にかかっているのでTAMに読むように頼んだのだ)

TAM嫁のコメント

あそこで勝負賭けたんが良かった。あれがなかったら負けてた。

ソマーリオ

おもろいのはおもろいけど、説明にかける時間はいざ知らず、準備や後片付けに異常に時間がかかるのは頂けん。

特に最初の自分の土地に対する駒のセットアップは、「正気?」と疑いたくなるほどめんどくさい。かつてのシミュレーションウォーゲームを彷彿させる。

このおかげでリプレイ率は非常に低い。

ゲームのシステムはユニークで、戦闘システムも燃える。ただ、なんとなく感覚なんやけど、作戦級のゲームをやっている感じがするのだ。

やってることは国の全体の把握なので間違いなく戦略級レベルなのだが、小競り合いが中心の作戦級ぽいイメージが付きまとう。

まず土地を奪われると、回復が困難で、ここは引いて別のところで勝負をかけるという感覚がない。常に勝ち続けることこそ、最良の手段であると感じた。これは戦闘で駒の消耗が激しいからだと考えられる。

またエリアがやたらと細かく、1手番に1つの行動しか割り振れないので、あちこちで戦端が開かれ、それが全体に与える影響度が非常に少ない。駒の移動がとても不自由で、それぞれが繋がらず個々で解決してる感じが受けられるのも戦略級であるまじき姿だ。自分の軍団が分断されて、終始2方面作戦を展開している感覚といえばいいのか。アクション数が少ないので誰も救援に向かうことが出来ない。

どうしても比べてしまうのがエルグランデ。こちらは見事な戦略級のゲームであった。どちらを捨ててどちらに戦力を割くかなど、非常に戦略的な視野から展開を見るのだ。戦略級と作戦級の合いの子みたいなゲームといえる。

エルグランデよりもっと戦争という感じがするので、ウォーゲーム好きにはこちらのほうが楽しいかも知れない。でかいボードに、たくさんの駒、戦闘タワーととても広いプレイエリアが必要となるのも、テーブルの上に色んなものが散乱しているわしには片づけなければならないのがめんどうなのだが、整理整頓好きでフィギュア戦闘ゲームが好きな人なら、問題なし。

せめてもう少しセットアップの時間が少なければ頻繁にやってみたいと思うのだが、現時点でこのゲームをやりたいと衝動にかられるのは戦闘タワーの熱さだけだ。農民一揆の雰囲気など、日本にとてもマッチしているので、これをリメイクした将軍が出たら買うんやけどね。たくさんのカードを見ていると、もう少し土地数を少なくしても良かったんでは?

そうそう、3人プレイ時にほんまは使ったらあかんエリアに初期配置されているというミスがルールブックに見つかった。ゲームギャラリーの人が問い合わせてくださったようで、せっかくなんでこちらにも書いておく。

Bプレイヤーの初期配置のBm KonstanzをBadenに、BurgundをLothringenにする。

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