Alan R. Moon

Abacus

2〜6人
120分

エアラインズ

広大なアメリカ大陸を行き来する手段は鉄道から飛行機の時代と移り変わった。
その時期に、9つの航空会社が参入を決めた。
定期便を出し、アメリカ大陸をいち早く網羅しようと熾烈な競争を始めた。

プレイ感

エアラインズは株式ゲームの名作と誉れ高かったが、絶版となってしまった。そのリメイクのユニオンパシフィックも既に絶版である。ユニオンパシフィックは異常におもろいが、線路が解りにくいという大きな欠点を持っていたので、どうしてもエアラインズが欲しかった。ようやく手に入ったので、mia、OEC、コツミとの4人プレイにて。


基本的なルールはユニオンパシフィックと同じだが、違うところは始めだけ株式の公開と路線の拡張が一気に出来る航空会社の設立というアクションと、株式の公開が1枚の時だけ無意味に駒を置いて駒数を減らす事が出来るサボタージュというアクションである。ユニオンパシフィック鉄道株にあたるモノもない。

このどちらもいまいちという話なので、ユニパでは削られているが、オリジナルルールでやらなければ意味はないので、当然、採用した。


株式カードと、フライトカード。株式カードの数字は合計枚数。フライトカードの枠の線種に注目。この枠と同じ形をした航路に使い、数字はマスの数字以上でないと使えない。


航路のマスには数字が描かれている。この数字以上のフライトカード+枠の線種が同じが使える条件だ。これはユニオンパシフィックではなくなってよりシンプルになっている。

最初は、OECから順番に会社を設立していく。元々、このシステムは、株式の公開か、カードの補充(+路線拡張)か、しか手番には出来ないので、そのもどかしいジレンマが売りだが、エアラインズは、航空各社の始めだけ、両方が可能というお得なプランである。

わしゃ、それがいまいち解らずに、愚かにもカードの補充をしてしまった。周りは続々と会社を設立していく。ちょっとややこしいのが、カードの補充である。フライトカードを引いて、フライトカードを出して拡張すると、初めて株式カードが1枚引ける。拡張しなければ、手番はそれで終わりだ。

株式の公開は、同じ種類なら何枚でも一斉に自分の場に出せるのだが、それで手番は終わりだ。そして設立は、それと同じように株式を公開して、フライトカードを出して、それから株式とフライトカードを1枚ずつ補充する。

つまり、わしはフライトカードを引いてしまったので、設立が出来なくなってしまったのだ。設立は最初に出してから補充するのだ。

引いてしまったものはしょうがない。一応OECの設立したDDLがわしも手元にあるが、これを拡張して会社の価値を上げるのは不愉快なので、フライトカードだけを引いて終わった。

いきなり決算というゲンナリさを回避するためにオプションルールを採用。4人やと3ラウンド目以降に、決算カードを入れるというもの。これはユニパでは載ってなかったように思うけど、採用した方が良さそう。

わし「マニマニマニッ!」

mia「何それ?」

わし「ABA設立」

mia「そんな歌あったっけ?」


ピンクのABA設立。単に設立してないのがこれだけやったのだが、なぜか皆便乗してきた。おいおい。

ABAは非常に小さい会社なんで伸び率は期待出来ひん。でもなあ、皆設立しまくったから、わしが持ってる株式で設立出来るのはこれしかない。うーむ。。

OEC「じゃ、ABA公開」

mia「じゃ、わたしも」

ま、まってーい!!

なんでなんで??

なんかわしが満を持してABAを公開したと思ってるようだが、それは違うぞ! おまえらが設立しまくったからないねんて。しかも序盤は間違いの為に動けんかっただけで、作戦ではないぞよ。こんなしょぼい会社に相乗りするかあ?

コツミ「じゃ、CALを拡張」

それよりも手強いのがカロリーや。コツミはコツコツとCALを拡張していきやがる。


徐々に航空網ができあがっていく。驚異は紫のCALである。これはコツミの独占状態なのだ。

わし「もうそろそろ決算ちゃうん?」

OEC「不味いっすねえ」

このゲームの決算は、航空各社の株式保有1位と2位がポイントを貰える。あくまで各プレイヤーとの相対的な数なので、相手がどれくらい株式を公開しているかが気になるところ。

わしはこの手のゲームでよくやるいっちょ噛み作戦を敢行した。最初の決算では、まだそれほどたくさんの株式を公開しているわけじゃないので、1枚でも公開しとけば2位くらいには簡単になれたりする。

あちこちで手を伸ばすこのいっちょ噛み作戦で、一番重要となったのはCALである。何故かCALの株式が来ないのだが、わしゃなんとか1枚ゲット出来た。これを早めに公開しなくてはならない。

OECとmiaは、HITで激しく争っていた。

ようやく1回目の決算がきた。
最も株式の価値が高かったのはHITである。なんせ二人で争っているのだから、伸びは凄い。わしゃ1株だけで2位にありつけるいっちょ噛み作戦があちこちで成功して、ぶっちぎりの1位である。

mia「これもまたいっちょ噛みがいいの?」

わし「ドイツゲームは基本的にいっちょ噛みがいい」

ただこのいっちょ噛み作戦だけではこの手のゲームは乗り切れず、息切れしてしまう。自分の基幹企業を作らねばならない。わしゃ今回はGAPに賭けてみた。

GAPは、このゲームではITA、HITと並ぶ大手のひとつ。大手というのは駒数が多いという事で株式の価値が最後まで上がるという事だ。またわしの持っている波線の航空カードがそれを助長する。波線は、アメリカの縁を取り囲む線で、GAPも西海岸沿いに本部を持っているから、拡張は非常にし易いのだ。

一気に3枚の株式を公開する。後は次々に拡張していくだけだ。そして当面の脅威であるHITは、サボタージュを敢行して駒数を減らすに限る。

わし「じゃ、HITをサボタージュするわ」

サボタージュは、シールの面を上にして航路マスに置く事で表される。要は駒が1個減るので拡張が少なくなるという事だ。問題は、サボタージュの先に繋げるように航路駒を置く事が出来るのだろうか? という事だった。ルールに明記されてへんのよなあ。でももしそれが出来ないなら簡単に寸詰まりになってしまい、非常に攻撃的なゲームとなるので、今回はOKであるとした。


裏面が白のシールになっているのがサボタージュである。株式を1枚だけしか公開しない場合だけ、これが可能である。これまたユニオンパシフィックでは削られた。どこかに問題があったと聞くが……

OEC「じゃ、僕もGAPを3枚」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

しかし、わしはこのときのために、もう1枚GAPを手元に残していた。1位がタイやと割らねばならないので、かなり損だ。

わし「ほな、GAP1枚公開。HITをサボタージュ」

OEC「やっぱり持ってましたか」

ここにきて一番の脅威となったのはコツミである。CALが誰も手に入れないままひたすら拡張を果たしているのだ。これはCALもサボタージュせんと不味い。


ますますCAL(紫)が航路を延ばしていく。なんとか株式を手に入れたいのだが、入ってこない。そのころOECとmiaが激しくHIT(青)をのばしまくっている。わしゃひたすらGAP(黄)をのばしまくる。

一生懸命サボタージュをするが、サボタージュをすると株式は1枚公開なので、あまり株式の優位性は保てない。

2度目の決算ではかろうじてわしがトップを確保するが、コツミの上昇が激しい。

むう、不味いな。

そして3度目の決算までが長かった。このままでいけば、3度目が終わってすぐに最終決算となるかも知れん。

コツミ「じゃ、HITを公開」

な、な、なんとお! GAPと最強を争ってるHITを5枚も一気に出して、一躍株式保有数トップとなった。さらには

コツミ「GAPを3枚公開」


くっそー! CALが後1枚ないと1位をつぶすことは出来ん。もうコツミが手に入れたか?!

コツミは3大航空会社である、HIT、GAP、CALで1位2位1位である。わしの基幹企業であるGAPに食い込まれたのはかなり痛い。GAPもこのままいったらトップタイにされそうやと思った頃、ラストの1枚を引いた。ほっ。これでGAPの株式が逆転される事はない。これはわざわざ公開せずとも手札に死蔵しておけばいい。

※今更でなんだが、このゲームは、手札にあっても株式は意味がない。公開しなければならず、公開には1手番必要だ。

そしてほとんど山札が尽きかけた頃、3度目の決算がきた。

わしのいっちょ噛み作戦の弱点がここで出てしまった。なんとコツミが大躍進してきて、争ったわしは平凡な収支結果となった。このままいけば4度目で逆転される。

心の中でずっとCAL来い、CAL来いと祈っていたが、その祈りは通じず。

すぐさま4度目の決算がきて、逆転負け。やっぱりCALはコツミが手札に握っていた。

ちなみにそのころ、miaはITAの株がぶっちぎりであるにも関わらずひたすら意味もなく公開して、喜んでいた。時々、OECがちょっかいを出していたので、絶対にITAを取りたかったようだ。

所要時間120分


最後はこんな感じになりました。見事に3大航空会社を押さえたコツミがトップ。

OECのコメント

こういう伝説的ゲームを遊ばせてもらえるのは、ホント感謝してもしきれない。あきおさん、ほんとありがとうございます。
と、ゲームの感想。自分が設立した航空会社への愛着と、それを乗っ取られたときの衝撃と、乗っ取った時の嬉しさと。ゲームの勝敗とは違うところで楽しんでしまったあたりに敗因を感じることを禁じえないw
株の公開に手版を費やすのに貧乏性を発揮してしまったのがいけんかった。序盤から中盤にかけて以降、路線拡張カードが回らなくなってしまったのはゲームの妙としても痛かった。
しかしながら、路線拡張と株投資のシステムの連携のジレンマがやっていてほんと悩ましい。作者の思う壺だろうか。エルフェンランドチケットトゥライドも苦手じゃないんだけど、それらとの差異は「路線拡張が得点と直結しているか否か」なのは明白。そのノリでやってしまって、視点がずれてたのは否めない。もっとDDL社を可愛がってあげればよかったw

コツミのコメント

駒の色が分かりづらかった。しかしながら株買うゲームは楽しい☆
ゲーム時間もちょうど良かったです。

miaのコメント

面白かった! 実在する航空会社だったらもっと入れ込めたかも。せめて都市名は書いてほしかった。
自分が創設した会社に肩入れするあまり、他社株を買うことをつい忘れがちに……。どうも「いっちょがみゲーム」の類は勝てないなぁ。。。

ソマーリオ

ユニオンパシフィックと比べてなんだかカツカツ感が少なかったような気がする。ユニパはかなりのカツカツ感ぷりで、公開するか、カード補充するかでとんでもないジレンマを感じる事が出来た。4人プレイだったからかも知れないが、かなりマイルドな感じがした。

さてその違いである航空会社の設立は、感触としてはあってもなくてもいいレベルのルールだろう。ただルールの簡素化のためには、ない方がいいかも知れない。今回は、このルールの優位をあまり考えずに1株だけで設立していったのが、あまりプレイ感が変わらなかった要因かも知れないが。

もうひとつのサボタージュは問題があるようにどこかで書かれていたが、どこに問題があるのかよう解らんかった。ひょっとしたら、レビューに書いてあるように、本来は封鎖する事が出来て簡単に航空会社が路線拡張できなくなるのかも知れない。わしゃこつこつとサボタージュを行ったが、駒数は割と十分に用意されているので、あまり効果があるようには思えなかった。そういった意味では削っても問題ないルールのように思う。

他に拡張が出来なくなった不要な株式の意味がなくなるという問題は、今回のプレイでは露呈しなかった。ユニオンパシフィックではユニオンパシフィック株に変換するが可能というルールで解決しているので、割と重要な問題なのだろうが、やっぱりサボタージュのルールと関係しているのかも知れない。

コンポーネントについて言及すると、ユニオンパシフィック最大の弱点で、これが為にエアラインズが欲しかった理由である路線の視認性の悪さは、別の意味で悪いところがあって手放しでは喜べない。というのは、航路駒のマスが○、都市も○の色つきでボードに印刷されており、航路駒の○とサイズがほぼ一緒で非常に紛らわしい。まあ、それでもユニオンパシフィックよりは視認性は優れているが、ぱっと見てそれほど美しく感じないのは残念である。またボードに都市名が書かれていないってのは、都市間に航路を敷くという人の満足度をくすぐるテーマとしては不満が残る。都市名は書いていて欲しかった。
それと航路駒を置くときに、数字以下のところに置くというなんだかよく解らないルールは不要な気がした。

駒の色について、赤とオレンジがかなり紛らわしく、また近くの航空会社であるってのは勘弁して欲しい。9色も使うのでしょうがないと思うのだが、せめて離れた位置の航空会社にすべきである。○の駒も飛行機っていう雰囲気が出ないのも残念だ。

こうして書くと不満ばかりになってしまったが、ゲームは相変わらず良いゲームである。ただユニオンパシフィックが良すぎるだけとJyamaが話してた通りだった。視認性についてかなり期待を寄せていただけに、このような辛口になってしまったのかも知れない。

そのままユニオンパシフィックのルールを採用してゲームをする方がいいかも知れない。目先を変えてたまには鉄道ではなく飛行機の航路を敷くってのはおもろいと思う。

gioco del mondo