木皿儀 隼一

ワンドロー

2人
30分

よくばりキングダム

とある時代の、とある隣り合う国に、二人の王様がいました。
「俺の方が有名だ!」
「いーや、俺の方が有名だ! 民衆に支持もされているしな!」
どちらも欲張りで見栄っ張りで、いつも競い合ってばかり。
しかし、いつまでたっても決着がつきません。
そこで、それぞれの国に訪れた旅人がこう言いました。
「豪華な王宮は名誉の象徴。どちらがより早く王宮を建設できるか、勝ち負けを競い合ってみてはいかがでしょう?」
なるほど! その提案を聞いた王様達はさっそく王宮建設に取り掛かるのでした…

ルールブックより

プレイ感

ゲームマーケットで買うてみた。最初は同人ゲームかと思ったが、有限会社でしっかりといた作りになっているのでそうじゃないようだ。二人プレイ専用のカードゲームとは珍しい。miaとの二人プレイにて。


手札に8枚のキャラクターカードがある。手番になると、このうち3枚を使って相手に攻撃をしかける。相手も同様に3枚選んで同時に公開する。その中で同じキャラクターは防御成功、でなければ攻撃成功だ。


手札は8枚。その中から3枚選択する。キャラクターには数字が割り振られ同じ数字(つまり同じカード)なら攻撃はブロックされたことになる。カードはマイナスがコスト、プラスが得られる資材となっている。中央の緑のカードはサポートカードで、資材で購入することが出来る。またサポートカードの王宮カードを先に2枚購入したプレイヤーが勝者だ。

攻撃成功した場合、そのキャラクターが得られる資材を得る。資材は、金、食料、空き地、名誉の4つ。この資材を使ってサポートカードを購入して、どんどんと強化して最終的に宮殿(サポートカード)を先に二つ購入したプレイヤーが勝利するというもの。


このように互いに3枚選んでだす。防御側に自分の選んだカードがなければ、攻撃成功である。ちなみに攻撃失敗であってもコストは支払わなければならないことに注意。今回はすべてコストの掛からないキャラクターばかりを選んだ。

最初はちょっと要領を得なかったが、すぐに意味が分かった。宮殿カードを買うには、名誉が4と空き地が1要る。名誉はもっとも集めにくい資材であり、これを手に入れるために他の資材を集めなくてはならないという寸法だ。

またキャラクターカードを使うにはコストがかかるものがあり、当然そのキャラクターが得られる資材ってのは多くなる。

わしは序盤、金を多くもらうようにした。miaは食料である。

mia「あー、これって金がないとどうしようもないじゃん」

その通り。実は金をコストとするキャラクターってのが多く、金を手にすることで選択肢が増えるのだ。資材不要のキャラクターってのは四枚しかない。四分の3では分が悪かろう。


攻撃を成功させて、資材を手に入れては、サポートカードを購入する。サポートカードは手番の開始時に資材を貰えるというのが多く、これがあるのとないのとでは後半の加速が違う。

最初、手番の開始時に名誉以外の好きな資材を一つ手に入れるという重要なルールを見逃しててまったく金と空き地が手には入らなくてどうしようもないことが起きたが、そのときに金の重要性を知ったわしは、ひたすら金を封じ込める作戦にでる。

mia「えーなんか、食料と名誉ばっかり」

ふふふのふー

かたやわしはいつも食糧不足にさいなやまされる。本来一番重要な名誉が絵描きのおかげでこつこつたまる。


金色のカードは上級職カード。これは資材2個で購入できるが、どのカードが上級職になるかはランダムである。クラスチェンジしたカードは横にのけておく。上級職になれば、得られる資材が大幅アップするので隙を見てクラスチェンジを行いたい。

わし「じゃ、これ」

mia「その盗賊って、資材持ってないんじゃないの?」

わし「いや、キャラクターは好きな順番に解決していいので、まずこいつを解決して名誉を手に入れて、それをコストとして盗賊を働かせる」

mia「えー!! そんなんあり?」

わし「ありあり。ルールに書いてる」

mia「そうなったら選択肢もっと増えるなあ」

※重要なのはまず攻撃失敗したキャラクターカードから解決するという事である。ここで資材を使い切ってしまっては、せっかく攻撃成功したキャラクターのコストを支払えなくなるという事だ。それさえ守れば、成功したキャラクターは好きな順番に解決していいので、今手元にない資材を使うキャラクターでも、先に別のキャラクターの攻撃を解決する事で使う事が出来るようになる。

サポートカードは手番の最初に追加で資材を受け取れるものってのがほとんどで、これにより有利に展開させるというもの。

ただし、買うのにコストがかかるので、そのコストが回収できるようなものを買わないと結局は損をしてしまうのだ。

わし「じゃあ、上級職にクラスチェンジするわ」

mia「あ、わたしもやればよかった」

上級職ってのは、キャラクターカードをもっと強力にクラスチェンジするものだ。何がクラスアップするかは解らないが、好きな資材を二個捨てることで、山札から引いてこれるのだ。クラスチェンジ前のキャラクターを脇によける。

上級職は、基本職業にプラスアルファで資材を手にすることができるのだ。8枚しかないので、これは早いもの勝ちなのだ。よく出来ているのは、上級職はあくまで元の職に絡んだ能力しか持っていないところで、攻防のときにプレイヤーが解りやすく出来ている。

mia「どうにも買うタイミングが解らないなあ」


ずらりと並んだサポートカード。あとはどちらが先に王宮を手に入れるかだ。

気がつけばすでに終盤やったりする。
選択肢が思ったより広いので、やろうと思えば序盤から宮殿を買うことも可能なのだが、その分、宮殿を買うタイミングってのがはかりにくい。

密かにこれって、速攻、終われるのでは? と思い、宮殿をまず一枚買う。

そして資材がどっちゃりあることから、名誉が3枚も入る王様で攻撃。

まさかと思うが王様でブロックされるなんてことはないやろう。それ、されたらかなりつらい。

というのはコストは成功しても不成功でも支払わなくてはならず、王様のコストは金3食料3という膨大なコストなのだ。ブロックされたら被害は甚大だ。

まさに山が動いた時、勝敗を決する。

mia「あ、王様?」

わし「そう、そして名誉を手に入れて、二枚目の宮殿を購入。わしの勝ち」

mia「あー、なるほどねえ」

所用時間30分


最後はどっちゃりと上級キャラクターで勝負を決めた! 2枚目の王宮を手に入れ勝利!

それから3度ほどやったが、一度なんかはわしが1枚でも名誉を取れば勝ち、さもなければ負けというすさまじい接戦となった。5枚中3枚ある中で1枚でも通せば勝ちなのだから、わしの方に分があるが、勝負は下駄を履くまで解らない。結局2枚止められたものの、1枚通してわしが勝った。

miaのコメント

面白い。良くできてる。クラスアップや資材を集めるのについ夢中になって肝心の宮殿を手に入れるのが疎かになってしまう…結構早く勝敗が決まる。で毎回負ける…。

ソマーリオ

む? これって、魔法にかかったみたいの二人用じゃ? と思ったのが第一印象。8枚のうち相手の読みをはずして3枚選ぶところといい、資材を使って、カードを買うところといいそっくりだ。

プレイ感は似ているのだが、上級キャラクターや、サポートカードの登場により、このゲーム独特の味付けがなされており、非常に好感がもてる作りをしている。

完全に商業ベースに耐えうる出来のゲームだろう。最初から世界で売れるようにと、キャラクターカードには英文まで載せており、英語ルールまで添付されている。

ただ、その分キャラクターカードの文字が小さくなって解りにくくなっている。特殊効果なんてほどの効果はないので、テキストじゃなく大きくアイコン化してしまった方が良かったように思う。あまりにも字や資材アイコンが小さくて見難い。

去年、この会社の少人数でできる人狼、がむしゃらギャング団が好評だったようで、それで今年、一緒に買うてみたが、間違いではなかった。

カードの作りも日本メーカーのレベルに達しており、全く問題なし。同梱されているチップは厚みといい、印刷の美しさといい、表面加工の滑らかさといい、内容物に自信のあるドイツでもこれほど出来映えのチップはないであろう代物だ。カワサキファクトリーの賭博英雄セブンにも同質のものが入っており、どこかの印刷メーカーがどうやら素晴らしいものを作ってくれたようだ。素晴らしい!

これはあくまで個人的な意見だが、タイトルがどうにも同人ぽくて頂けない。そこだけ直せば非常に素晴らしい製品だと思う。

実のところがむしゃらギャング団を去年買わなかった理由は、この手の同人カードゲームがいくつもあって、どれも特徴が感じられなくて記憶に残らなかったことによる。
今回もよくばりキングダムというタイトルを聞いただけでは、同人ゲーム好きには訴えるものがあるかもしれないが、一般ゲーマーに訴えるものがない。

せっかくこれほどの完成度を持ったゲームなのだからもっと一般流通に耐えうるタイトルの方がいいように思う。

2セット買えば3〜4人プレイできるとの拡張性を持っているのも素晴らしい。また追加カードをたせるところも文句なし。今回は、プロモカードとして雑貨屋をもらったが、そのまま放り込んでプレイしている。

二人ならよくばりキングダム、それ以上なら、魔法にかかったみたいをすればいい。(といっても正確には魔法に掛かったみたいは3人ではいまいちおもろない)
これはドイツに持ち込んで是非、売ってきてほしい。一定の評価を得られる事は疑いない。
読み合いに重点がおかれ、ゲーム後感があっさりした印象なので、はつけなかったが、つけてもまったくおかしくない出来である。

今年は同人ゲームを買うていくつかルールを読んだりやってみたが、そのどれもが完成度が高くて驚いた。

日本のメーカーはこういった在野の同人ゲーム作者と契約してみるとおもしろいと思うが、どうだろうか?
いつかドイツゲーム大賞を穫れる日本人が現れるような気がしてきたな。

gioco del mondo