Elizabeth Hargrave

Stonemaier Games
アークライト

1〜5人
90分

ウイングスパン

駿河屋
プレイヤーは研究者、野鳥観察者、鳥類学者といった鳥類愛好家です。
自身の管理する鳥獣保護区に鳥を呼び寄せ、多くの種を見つけましょう。
生息する種が増えるほど、生態系は複雑になり、強力な能力が連鎖していくことになります。
森林、草原、湿地の3つの生息地は、それぞれの保護区の拡大にとって重要な役割を果たします。

ゲームの見どころ
・餌箱型ダイスタワー、専用ダイス、餌トークンなど、ゲームを盛り上げる内容物
・やさしい色合いのかわいらしい卵コマ
・1枚として同じカードがない、美しいイラストの170種類の鳥カード

カードには翼長(ウイングスパン)や生息地、そして一言解説が記載されており、その鳥への理解を深めることもできます。
より多くの鳥を集めて、ゲームの勝利を目指しましょう。

プレイ感

久々に我が家に友人を招いてのボードゲーム大会を開いた。大阪で毎年やってた正月ゲーム大会は開催不可となって10年ほどになるので、今回は東京でタナカマ夫妻とCOQを招いて正月ゲーム大会をやってみた。
当初、タナカマ夫妻、COQ、コタ9歳と5人でやろうとしてたが、タナカマの読みあげインスト時にルールが分からないと拗ねてしまい部屋に引きこもってしまったので4人プレイとなった。
なんで正月にやったのが今のレビューとなったかは、日本語版が転売ヤーの餌食となって、とんでもない価格となって取引されてるのをみて嫌気がさしたからである。そろそろ日本語版の増販がされそうなのでレビューしてみた。


手番に手札からカードを1枚出す、餌集めをする(森)、卵を産む(草原)、手札を増やす(水辺)のどれかのアクションを行う。

手札からカードを出す場合、書いてある餌を支払って、その鳥が置ける場所、森、草原、水辺に左詰めで置く。鳥カードにプレイ時にと書かれてあれば、そのアクションを行う。
鳥カードには、他に起動時、カウンター時と3つの効果発動タイミングがあり色分けされている。


次は魚トークン2を支払ってアメリカヘビウを出す。
個人ボードは4列ある。一番上は鳥カードを場に出すアクションで、物凄くスペースが狭い。それから餌ゲット、産卵、カード獲得なっている。手番にはアクション駒を置いてそのアクションを行う。例えば鳥カードを1枚プレイしたので一番上のカードプレイに駒が1個置かれている。

それ以外の3つのアクションは、最後に置かれた鳥カードの右から始める。鳥カードを並べるにしたがって効果は強くなる。
餌集めは、巣箱から餌サイコロを選んで、そのトークンを貰う。
卵を産むは、卵を取って、どれかの鳥カードの上に置く。
手札を増やすは、場に出ている鳥カードか、ブラインド引きを行う。


巣箱を模したサイコロマシン。後ろからサイコロを入れるようになっている。餌アクションでは基本的にここからサイコロを1個とり、そのトークンを貰う。サイコロがなくなるか、全て同一種(サイコロ1個も含む)となったら全てのサイコロの振り直しができる。

その後、アクション駒は左に移動し、そこにある鳥カードの起動時のアクションを実行する。そしてまた左へと動くので、鳥カードを並べれば並べるほど1アクションでたくさんのことが出来るわけだ。

こうして第1ラウンドは7アクション駒を使い、次のラウンドの前にボーナス点を計算して、アクション駒を1つ減らして次のラウンドへいく。合計3ラウンドで、鳥の勝利点、卵の数、鳥に置かれたトークン、カード数、ボーナス点、ボーナスカードの合計で勝敗を決める。

わし「この卵の色はどうしたらええん?」

タナカマ「なんか色関係ないっぽいです」

雰囲気を楽しめつうことか。


鳥カードの補充は3枚オープンのところから選んで取ってもいいし、ブラインド引きしても良い。

タナカマ「ちなみにアッキーは野鳥の会に入ってますw」

まじ?

初期セットアップとして手札5枚と餌トークン5枚が配られるが、手札を1枚残すごとに餌トークン1枚を返さなければならない。つまり手札5枚スタートにしたければ餌は無しだ。

わしの手札には水辺の鳥が2枚あり、餌として魚をたくさん必要としている。どちらもコストが高く強そうなので残したいが、ここは1枚にしとくか。実はこれが後々失敗となるのだが、それは神様にしか分からないことだ。

結局、手札3枚と餌2枚にした。まずはそのまま鳥を出せるようにする。

そこで餌がなくなるので、餌集めを行うが、それを見越して森に棲む鳥を出しておくのだ。そうすると餌集めにかこつけてその鳥の能力も発動させることができる。

わしの出したランチョウはカウンター能力で、誰かが何かをしたときに発動する能力だ。カウンター能力はアクションとは関係なく使える。

そして次に水辺にウを出す。こいつの能力は、巣箱以外にある餌サイコロを振って、魚マークがでたら1個魚トークンを上に乗せることができる。これは通常の餌として使えないが勝利点1となる。


カードにはたくさんの情報が描かれている。ゲームとして特に重要なのは色付きで描かれているテキストで、茶色は起動時、ピンクはカウンター(他のプレイヤーのアクションによって)時と色付けされている。

2列目以降は追加コストで卵が必要となってくるが、まだそこまで手が回らないので、まずは餌とカードの補充に力を入れる。

そしてボーナス点を考えて、最後に卵を産むことにした。卵はどこにおいてもいいので、適当に森と草原と水辺の鳥カードの上に1個ずつ置いた。


下の3つのアクションは一番左に駒が寄っているのは全て完了させた状態。1ラウンド目はカードプレイ3、餌1、産卵1、カード獲得2をやった。アクション駒は最初、例えば餌の獲得なら餌のアクションに置かれた鳥カードの一番右の空きマスに駒を置く。そしてそこに描かれているアクションをおこなったら、隣の鳥カードに駒を移動させ、その鳥の能力を発動させたのち、さらに隣の鳥カードに移動させ鳥能力を発動させと進めていくので、鳥カードを同じ列に置けば置くほどアクション数が増えることになる。

そして第1ラウンド終了。

ボーナス点を示すボーナスタイルは裏表あり、ルールブックによると、お勧めはエリア支配による競合とあったので、そっちの面を使い、タイルを並べた。1ラウンド目のボーナスは上に書いたように草原に棲む鳥の卵の数だ。

草原!?

間違うたあ!!

第1ラウンドのボーナス、どべ。


ボーナスボード。ラウンドごとに何で競うかを示している。

そして第2ラウンド。
ここにくると、卵がないと鳥を配置できなくなってくる。

わしは勝利点は0だが、一番右にいたら、他のエリアに移動できるスズメを使って草原に移動させた。こいつめっちゃ便利。

鳥カードを並べれば並べるほど、効果が強くなるので、次にやりたいアクションの場所に移動させればいいのだ。

アッキー「ネズミが欲しい」

わしもネズミが欲しい。

カードが偏っており、同じような鳥が固まって出てくるので、欲しい餌がなかなか手に入らないのだ。他にも、全員、水辺の鳥が少なくて困っている。枚数多くてもきちんとシャッフルしよう。

わしの場合は、移動できる鳥を2枚ゲットしたので、こいつらを水辺に配置することができた。

タナカマ「魚トークンを捨てて、カードを下にキープ」

なんかさっきからしょっちゅうタナカマがペリカンの能力を使ってカードをうずめている。

山になってんすけど?

わし「何、その能力? えぐない?」

COQ「壊れてますよね? まあ、僕もカウンター能力でカードゲットします」

わしのウなんか、サイコロ振って、出たらようやく1トークンキープできるのに、なんかずるい。


アメリカヘビウで魚トークンを集めている。基本的にこういったトークンはすでに餌ではなく終了時の得点となる。

COQのカラスの能力も、誰かが餌ゲットしたら、ついでにゲットするという能力でこれが強い。

アッキー「じゃあ、カードめくって・・・やった。ゲット」

猛禽類は、めくったカードの大きさで指定の大きさより小さければ、カードを埋めることができる。
なんか格好いいので、わしも出したいのだが、なんせネズミトークンがなくて出せないでいる。

わしの特筆すべき能力は勝利点0の鳩だ。

ぽこぽこ卵産むよ。

タナカマ「鳩、そんなんですよね」

かつて室外機の場所で巣作りされ、エアガンで卵に穴を空けた日々を思い出す。
まじうぜぇ。

思い出したらムカついてきたが、能力的には悪くない。


ボーナスボードはラウンドごとに順位が分かるようになっている。

タナカマ「くっそ、しくったなあ。もっかいやりたいなあ」

なんかしきりにそのセリフを吐くタナカマ。

COQ「あーー!! しまった! これ鳥によって配置できる場所が書いてあるんですね」

めっちゃバランスよく配置してたと思われたCOQのボードだが、森にしか配置できない鳥をあちこちに配置してたのがここで発覚。

COQ「うーん、どうしよ。とりあえず、コスト支払って森に移動させます。。。」

ここまでくると巻き戻しもできず、終了も勿体ないので、緊急対応とした。

タナカマ「もっかいやり直したいなあ」

まだ言うてるw

そして第2ラウンドが終了した。

ボーナスは水辺の鳥カードの数だ。これはわしが移動する鳥を2枚使ってトップとなった。

第3ラウンド。

同じ餌を3枚で好きな餌に変えることが出来るので、ようやく猛禽類のフクロウを出すことができた。

フクロウは75センチ以下の鳥を捕食できる。

わし「よし、フクロウアクション・・・110センチって!」

捕食失敗

わし「よし、フクロウアクション・・・80センチって!」

と何度やってもでかいのが出てくる。

アッキー「あ、失敗した」

そこからでかい鳥ゾーンに差し掛かってしまったようだ。

シャッフルはきちんとしよう。


草原1列目に置かれている鳥の下にたくさんのカードがある。これも1枚につき1点だ。捕食をイメージしている。

そんなこんなで第3ラウンドも終了。
タナカマ「このボーナスって何? 巣の種類でもらうの? これは否定する人がおるのもわかる。まったく戦略的にプレイできない」

わし「つーか、巣の★マークって何?」

タナカマ「ルールによるとワイルドカードだそうです」

なんか巣に恵まれてたのか、わしがボーナストップを取る。

最後の第4ラウンドは、四の五の言わずに、今まで溜めた鳥にバンバン卵を産ませていった方がよいと気づく。


最終ラウンドここからひたすら産卵ばっかりである。卵は得点となるからだ。

というわけで第4ラウンドはかなり早く終わる。皆、発情期に入ったようで卵を産む産む。愛の季節やね。

ここで卵をどれだけ溜めて置けるかが勝負となる。

最後のボーナス点を計算して、手元のボーナスカードを計算して、勝敗はわしの3点差でCOQだった。タナカマ夫妻はどちらも点が伸びず。

COQ「まあ、僕は応急対応だったんで、実質は抜けですね」

所要時間90分

タナカマのコメント

もっかいやりたいなあ。面白い。賛否あるのもわかるけど、賛成のほう。

COQのコメント

タナカマさんのカードが壊れてると思ってましたが、全然そうじゃなかったですね。

ソマーリオ

たくさんの鳥を配置して野鳥を楽しみたい、そういう意図が伝わってくる。鳥カードをきちんと精査して、枚数をプレイヤーが把握できるくらいにして、アクションや種類を絞ってと、ボードゲーム制作の推敲を重ねればきっと洗練されたゲームとして完成するだろう。しかし、これは作者の意図ではなく、そのまま残した。

鳥の能力や、ボーナス点の取り方、ボーナスカード、はたまた第4ラウンドは卵ばっかりなど、もうなんかすべてにおいて緩い。なんもかんもシステム全体を考えずめっちゃ適当に作ったように見受けられる。これはけなしているのではなく、そういうアプローチで完成させるのもありと思わせる何かがある。

洗練されたゲームよりも洗練されていないゲームの良さが出た好例だと思う。ドイツゲームのシステムイメージからは離れたものであることは間違いない。当時、アグリコラも同じイメージを受けたな、そういや。そして低い評価にしていた。

で、ゲームとしてどうなのかと言うと、評価にしたように面白かった。わしもタナカマと同じくアリだ。何度もやってみたい衝動に駆られる。

コンポーネントは、それを支えるべく、完璧。鳥の餌箱に扮したサイコロタワーなんかは、めちゃ雰囲気抜群で、サイコロを振りなおすときに入れるのも上からではなく、後ろから入れるという凝りようで、ほんまに餌箱に餌を突っ込んでいる気持ちになる。

卵の形や材質は文句なし、色も様々な色があって、並ぶととても楽しい。
鳥カードは美麗で、まさに作者の描いた通りの内容だと思う。
残念なのはアクション駒がただの立方体駒でしょぼいことくらいかな。

ソロプレイ用のオートマ君も存在しているので至れり尽くせり。こういうのを一人でやるのってどうなんと思うんやけど、ニーズはあるんやろな。

意味わからないのは、透明な箱。形が違うのが2種類あって、4個ずつ入ってる。餌トークンは5種類あるし、卵も5種類ある。なんだ、これ? 何に使うの? 数量間違いかと思ったが、タナカマ曰く、僕の持ってる英語版もこんな感じでしたとのこと。

ルールは難しくないが、鳥の能力の確認と、カウンター能力のチェックなどでちと時間がかかる事がネック。ただし中だるみはまったくしない。
システマチックなドイツゲームファンにはお勧めしないが、その他のプレイヤーにはお勧めできる。ドイツゲーム賞も取っているのだが、なんかエキスパート賞って受賞基準がいまいち分からんな。

言語依存バリバリで、先に書いたように日本語版が転売ヤーのターゲットとされているので、正規の価格7150円(税込)で手に入れられるようになって欲しい。なんだかボードゲーム界隈も発売前の状態から転売価格というのも珍しくなくなってきて面倒なことになってきた。販社としてはせめて一人1個制限をやって欲しい。
わしはこの本体を手に入れるのに1年掛かった。ヨーロッパ拡張セットは運良く手に入れられたが、ふうかさんやローさんが難民となってしまった。ちなみにヨーロッパ拡張の定価は3980円(税込)である。

一応、これで800レビューとなった。後発でももっとたくさんのレビューをしているサイトもありますが、途中で色々ありつつもなんとかここまでやってきました。子供に代替わりするまで頑張ってみるかね。

gioco del mondo