Manfred Ludwigt

Selecta

2〜4人
10分

ねことねずみの大レース

チーズが食べたいな。
ネズミたちが相談しています。
小さなチーズのかけらは近くにあります。
でも、ちょっと大きなチーズのかけらは少し遠いです。
チーズ丸ごとは一番遠くにあります。
でも気をつけてください。
猫が狙っているんですよ。



プレイ感

ドイツ子供ゲーム大賞を受賞し、2012年現在、子供ゲームから撤退したセレクタ社も、このゲームは継続して販売しているロングセラータイトルである。あちこちで評価も高かったが、miaと2人プレイしたところ、それほど面白みを感じる事が出来なかった。内容的に、多人数でこそと思い、レビューは避けてたが、帰省のおり、TAM、アマバ、miaと4人プレイする事が出来た。


手番にサイコロを振り、出た目の数だけ、好きな自分のネズミ駒を進める。サイコロには猫の目が2つあり、これが出ると猫駒を次の猫マークのマスに進める。猫に追いつかれたり抜かれたりするとそのネズミは捕まった事になり取り除かれる。その前に、チーズ駒があるマスにたどり着けば、そこにあるチーズ駒を1個貰う。最終的に、一番チーズをたくさん集めたプレイヤーが勝ちである。


この木製の駒は出色の出来。ネコ駒は結構でかい。ただひとつ難点は、ネズミの接地面が小さくころころと転がってしまうところ。

序盤は猫はゆっくり動くので、結構余裕でネズミを前へ前へと進める事が出来る。
猫のマスは1週目と2週目では速度が違うように出来ているのだ。

途中、猫を追い越しても良いが、そうすると猫が動いたら簡単に捕まってしまうので、猫のケツにぴったりと張り付いて動くのが良いのだ。


1週目、ぞろぞろとネズミが巣穴から出てくる。見ての通り遠くへ行けば行くほどチーズの大きさはでかくなる。ネコは見ての通りネコのマークのあるマスだけを進んでいく。

もうひとつ重要なルールがあって、猫が1週を廻るまでに、安全地帯であるスタートから駒を進めていないネズミはビビりすぎという事で取り除かれる。

このルールと同じマスに止まれるネズミは4個までというルールが重なり、密集体系のまま前半を過ぎる。


というルールを忘れてたので言うた途端、これである。ネズミの大渋滞発生w

わし「これ猫出たら、大量殺戮なるんちゃうの?」

ここでジレンマが発生する。
後ろのネズミを底上げして、全体的に小さなチーズをコツコツ集めていくか、それとも後ろのネズミは犠牲にして、1つか2つを突出させて巨大なチーズを狙うかである。


2週目に入ろうとするネコ。ここから一気に加速する。一旦逃げ込んでチーズを入手した駒は二度と使えない。

以前、2人プレイしたときでは、こういったジレンマが薄かった。何故なら、自分の手番が廻ってくるのがすぐなので、余裕で全体的に巨大チーズを狙う事が出来たからだ。

猫駒が段々と1週目を廻りきり、2週目に入ろうとする。

こうなったら阿鼻叫喚である。
2週目の猫は恐ろしいスピードで迫ってくるのだ。

我先に逃げようとするネズミ。

しかしそれより速く猫が動き、一網打尽にされる。

ああ、無情


大量殺戮後、ネコにやられた駒はスタート駒に戻しておいた。

わしは、底上げパターンと一気パターンの中途半端な対応しか出来ずに、小さなチーズを少しだけでゲームを終える。

miaは、最後のマスにたどり着いたネズミがあり、残すところアマバのネズミのみ。

アマバ「うわあ、やばい」

自分の動かす駒がなくなった場合でも、猫が出る可能性があるので、サイコロは振るのだ。

しかし、ここで猫が全然出ず、なんとアマバのネズミは逃げ切ってしまった。

アマバ「やった」

この結果、アマバがmiaを1個上回り逆転勝利。

所要時間10分


最後はmiaとアマバの駒だけが最終ゴールに到着。

ソマーリオ

やはりこのゲームは多人数でこそ活きるシステムであった。2人プレイではその良さがまったく活かしきれないのだ。このゲームを読んでて、あれ? と思った人も多いだろう。そう、このゲームのシステムはミッドナイトパーティにそっくりなのだ。

ミッドナイトパーティはマイナスの要素を出来る限り防ぐというゲームだったが、ねことねずみの大レースでは、チーズ駒を手に入れるというプラス要素に変換している。これはポジティブシンキング出来る子供に育って欲しい親には嬉しい変更だ。これによってゲームのイメージがずいぶん違って見える。

また単純に逃げ込むだけのミッドナイトパーティとは違い、遠くに行けば行くほど得点が高くなるが、リスクもまた一段と高くなるという見事なジレンマがよく効いている。ただのサイコロ転がしだけではなく、十分に考える余地があるのだ。子供の性格によっては、ちびちびと得点を稼ぐかも知れないし、リスクを好む子供もいるだろう。そのバランスは良くできている。

1週目の猫は要らんのとちゃうかとふと思ってしまうが、のんびりと進む1週目がある事で2週目の体感速度があがりパニックに陥れる効果があるのだ。また空間の使い方がボードゲームの基本でもあるが、このゲームでは、猫とネズミの絶妙な距離感を2週目システムで見事に演出している。

ただしこのような長所もあくまで4人、最低でも3人でやった場合だけである。2人プレイはあかん。どうしても2人の場合、ノンプレイヤーキャラクターとして猫だけ進めるサイコロを振り、またスタート直後のごちゃつきを再現するために1マスに入れる数をプレイヤー人数分までにするといいかも。

コンポーネントは、見ての通り文句なし。猫もネズミも木製で無茶苦茶可愛い。サイコロはでかくて猫のマークも可愛らしい。

ドイツ子供ゲーム大賞受賞作品の中でもトップクラスの出来映えで、ロングセラーもうなずけるゲームである。

gioco del mondo