Reiner Knizia

KOSMOS

1〜4人用
45分

数独

知識を持たずに出来るクロスワードパズルなんてあるのだろうか?

その発明は18世紀、スイス人の数学者によるという。
かつてアメリカのパズル雑誌でナンバープレイスという名称で掲載されていたものを日本のパズル雑誌ニコリが数独と命名して使い、それをたまたま見たニュージーランド人がイギリスのタイムズ誌で紹介した。

まさに世界を回るパズルである。そして2006年、それが世界中で大ブレークしている。

プレイ感

本来は一人でしこしこやるパズルなのだが、この大ブームにのっとって、エレクトロニックゲーム、雑誌、さらにたくさんのボードゲーム会社から数独が発売された。

数学者といえば、この人、ライナークニッツィアである。イメージとしては、カフェインターナショナルみたいでなんとなく楽しめるかなという感じだったので、このKOSMOS版を購入してみた。他の数独が、そのまま一人用パズルなのに対して、こっちはくにちーが味付けして、多人数で遊べるようにしているのだ。届いた翌日、BBと二人プレイにて。


最初に初期タイルを置く。で、手番にタイルを1枚配置して得点計算する。配置後、また1枚引いておく。念のため、数独のルールを説明。

1〜9まで数字があり、列、行、グループ全てで、同じ数字は1つだけという状態にするというパズルである。


金色のが初期配置用タイル。適当に置いてゲームスタート。ランダムに1枚手札にしておくだけ。

で、今回のくに独は、タイルを置いたら、列、行、グループの他のタイル数(ダブりなし)が得点となる。

最初はタイルが少ないので得点も低い。

が、なるべく得点しようと、場所は集中しておく。

後になればなるほど得点は高くなるので、当然ポイントは抜きつ抜かれつである。


序盤はこんな感じで点数を稼ぐために偏る。周りは得点ボードとなっている。駒は木製である。

中盤になると、得点が飛躍的に高くなってくる。13点とか入ってきだすと、、、

「おら、4引け4!」

とかなってくる。また、久々に出た数字を引いたりすると嬉しかったりする。

「7って最近出てへんよなあ。らっきー」

高得点のポイントは、グループよりも、列、行でどれだけ稼げるかである。二人とも、それを狙ってひたすら、10点台を連発する。

しかし、そんな恐竜が巨大化したような白亜な時間は少ない。


中盤は最も得点を稼げる場面である。右上にあるグループの空白は8しか置けない。しばらくして8を引いたBBはもっと得点の稼げる場所においた。


下のグループにある8がそれである。この結果、数独のパズルとしては上の空白は置けなくなってしまったが、これは得点を競うものなので、これでいい。これを嫌う人は埋まるようにプレイしてもいいだろう。

終盤になると、「もうココしかおけねえ!!」となって、得点も伸びがなくなってくるのだ。


そして後半へ。ココまで来ると選択肢が非常に少なくなってくる。

一度、高得点タイムのときに、タコ助を引いて、5点とかやっちまったビハインドは大きい。

そして最後に、どこにも置けないタイルを引いてしまい、ゲーム終了。

BBの勝利。

所要時間 45分


最終局面。ここで6を引いてしまった。どこにも置けないのが分かるだろう。

そして、実はこの数独もっと素晴らしい仕掛けがある。

BB「何なに?」

それは!

BB「まさか!?」

じゃじゃーん!


リバーシブルになってて、裏は動物を使う子供用になるのだ!

BB「わ! 可愛い!!」

当然、子供用なので数を使わず、動物の絵柄になっている。マス目も少ない。

で、ゲーム開始。

子供用は、タイル数が少ないので得点の伸びはそれほどなく、すぐにゲームは中盤に入る。

BB「このキリン、変やわ。なんかやる気なさそうやしさ」

わし「お、ここ引いたらむっさ凄いんちゃう?」

BB「わ、ほんまや。何やろ」

わし「キリンや。お前、馬鹿にしたから引けへんで」

BB「わわ、キリンさんごめんなさい。きてきて…ライオンかあ」

わし「じゃじゃーん! キリン引いた!」

BB「わー!!」


すぐに中盤である。キリン引いたー!! どこに置くかは分かるでしょ?

本家と比べて、構造が非常に解りやすく、「キリン引け、キリン!」とすぐにわかり、本家よりもある意味楽しいところもある。この後、BBは再び、、

BB「ワニって二本足で立ってたっけ?」

となり、また高得点ゾーンがワニやったりすると、、

BB「わー、ワニさん、ごめんなさい。きてきて…ゾウかあ」

となり、

わし「じゃーん! ワニ引いた!」

となる。


ワニー!! ワニー!! あそこにワニ置いたらごっついでえ!!

結局、BBが置けないタイルを引いてゲーム終了。

わしの勝利。

所要時間 20分


最後はBBがサルを引いてゲーム終了。

BBのコメント

これって一人でやっても全然おもろくないけど、皆でやるとおもろいなあ。

「いや、これはゲームとして作ってるから厳密には数独ではないぞ」

そか。でも、楽しかったわあ。特に子供用が良かった。すぐにレビュー書いてや。

ソマーリオ

あちこちで書かれている通り「期待してなかったけど、意外とおもろかった」という評価。まさにそんな感じ。

確かに引き運だけのゲームかも知れないが、二人で「ココのほうがいいのでは?」と相談しながらまったりやるには最適。

先に書いたように厳密には数独ではない。数独は完成させなければ意味がないのだが、こいつは得点するのが目的となっている。だから、ここに置いたら、もう絶対に全て埋まらなくなるといったところでも得点が高ければ置くのだ。自然、ゲーム終了時に歯抜け状態となる。これを許せるか許せないかといったところだろう。わしゃ、まったく意に介さないので、全然OKである。

ゲームとしてみると、前半、中盤、後半の得点の伸び率、降下率が非常に美しい軌跡を描いていて、ゲーム得点の手本といっても過言じゃない。(子供用は数が少ないので急上昇、急降下)

また、この得点方法にはもうひとつの隠された利点がある。それは、間違いを確認させるということだ。得点方法は、イコールそのまま数独のルールなのだ。つまり、集計中「あ、ここに3は既にあったわ」と再確認させてくれる。

コンポーネントをみても、しっかりした厚めのタイル、木製の駒、収納を考えられた窪み、可愛らしい動物の絵、全てがドイツゲームの見本となるような作りである。そしてその作りの割りに値段も安い。おそらく数独は各社から出てるので、より魅力的な商品になるように奮発したのだろう。

ほとんど引き運だけのゲームなので、手札を2枚にするとかも考えられるが、わしゃ反対である。意外とゲーム時間がかかるので、選択肢を増やすデメリット(プレイヤーによる長考)は計り知れない。これはまったりと家族や恋人たちと楽しむ、そんなゲームだ。どうしてもというなら、例えば、最初に1枚だけ余分に引いておき、一度だけ2枚一気におけるといったルールなどどうだろう?
交換するのではなく、余分に置けるだけなので、終盤、置けなくなったタイルの代わりに置いてはいけない。これならちょっとだけ思考時間が増えるだけで済むだろう。

また一人で楽しむことが出来るのも素晴らしい。自分で、何点取れるかを楽しむというルールだ。

これに普通の数独の問題集まで付いてたらマジでゆうことなしやったけど、そこまで求めてはバチが当たるというもの。(ちなみにデジタルゲームで数独はいくつもあるが、アナログタイプのよさは、皆で答えを考えることが出来るといったところ)

値段もお手ごろ、遊びはとってもファミリーテイストで、皆が相談しながら楽しむ、キングオブファミリーゲームとわしゃ命名したい。実際ジョーコデルモンドでもありとあらゆるところに当てはまった。

これをきっかけに、ドイツゲームが広まってくれたらなんて期待を寄せてしまう。と思ったら、メビウス! もう売り切れとんかい! 早く仕入れて仕入れて!

gioco del mondo