Reiner Knizia

Piatnik

2人(3)
10分

元老院

SPQR、元老院及びローマ市民。
ローマは元老院による統治体制がとられていた。
ローマ市民にとって、元老院議員になるのは夢であり、そのためには多くの政略が必要とされた。有能な若者を元老院議員にすべく、今日もまた駆け引きが行われている。

古代ローマの新しいゲームより

プレイ感

タカダと軽く楽しめるゲームはないかと、久しぶりに古代ローマの新しいゲームを持ち出してきた。二人専用でやっていないのは元老院だけだったので、やってみることにした。


1から10までのカードを、横からスライドさせるように入れて、中央の3×3のマス(元老院)にカードの数値をたくさん入れたらいいゲームである。外側の階段のマスから入れていくのだが、列がいっぱいになるともう入れる事が出来なくなる。二人合わせてカードは20枚+旗カード1枚。マス目は元老院は9、階段は12で合計21マス。つまり全てのカードがこのボード上に埋まった時ゲームは終了する。

最初、手探りでやってみたところ、びびりが入って、1とか2の小さい数を最初に入れたが、これは失敗。奥にいけば向こうの階段に押し出されると勘違いしていた。逆側からカードを入れれば、そこでストップがかかるのだ。つまり最初に強力なカードを入れるべきなのだ。

2回目、それに気づいたので、強力カードを最初に階段にセットする。ある程度強力なカードが階段にセットされた頃、ゲームは動き出す。数値の低いカードを使って、ぐいぐいと押し込み強力カードを元老院にしていくのだ。


手札はオープン情報。石階段のところにカードを置くだけ。で、どんどんと滑り込ませて中央9マスにある元老院の座に上手く留まらせればいいのだ。初期配置では中央に邪魔カードとして旗のカードが置かれる。

もちろんタカダも同じく、でかい数字カードを押し込んでは元老院にしていく。

タカダ「これ、結構考えますね。これやって10を確定させたらええんか」

そうして10のカードのある列をいっぱいにした。

わし「ほな、こうやな」

わしは横から別カードを押し込み、タカダの10のカードを階段に押し出してやった。

タカダ「わー、そうかあ。一列いっぱいになっても、横がいっぱいじゃないから押し出されたりするんか」

わし「これがこのゲームの肝やな。考えないと横からやられてしまうという」

ま、10のカードを押し出した時点でわしの圧勝になってしまうので、もっかいチャンスをあげた。


最終。旗のカードは動かなかった。タイルの多いラビリンスのようにめまぐるしく動く訳ではなく、全てのカードはこの盤上に乗るので、勝負の綾は一瞬である。元老院の場所のカードの数字を足して多い方が勝ち。

一列のみならず、全体的な視野でもって動きを見据えなければならない。一列が固定されると、カードはもう押し込めないというルールなので、ドラマチックに盤面が変化するというのではないが、こういう一瞬の判断ミスで命取りになったりもする。

結局、1回目と同じく、2回目もわしの勝ちでゲーム終了。

所要時間10分

タカダのコメント

思ったよりも難しいですね。あんな風に押し出されるとは。

ソマーリオ

ルールは非常に単純でプレイ時間も短いながら、ゲームの面白い部分だけを見事に抽出している。ハンニバル対ローマでも感じた事が、そのままこの元老院にも見られた。

おそるべし、クニッツィア。

この時代のクニッツィアは、すさまじく切れるとしか言いようがない。完全情報公開のアブストラクトゲームで、マス目もそれほど多くない事から簡単に最適解が見つかりそうだが、それでもこのプレイ感はに値する。基本ルールでは、旗カードはただの飾りだが、応用ルールもあり、そういった不安も解消出来るだろう。思わず何度でもやりたくなってしまう魅力がこのゲームにはたっぷりとある。

この手の横からスライドさせて盤面を変化させるゲームといえば、ラベンスバーガーのヒット作ラビリンスとドイツゲーム賞になったマスターラビリンスが有名であるが、ああいった迷宮ものにありがちな余計な装飾やルールといった要素を一切省き、ゲームの綾となる部分だけを恐るべき精密さで描き切っている。

古代ローマの新しいゲームは世間によくあるたくさんの物が詰まってまとめてなんぼみたいなイメージを覆した唯一のゲームであると思う。日本でも昔からゲーム11とかでたくさんのゲームが詰まっているのがあるが、あの手のゲームで楽しく遊べるのは少ない。ところがこいつは全作、ボードゲーム界最高のデザイナークニッツィア作品であるのだ。どこかのブログで読んだ。どいつもこいつもクニッツィア作なんだから面白くない訳はないと。確かにその通りだ。

このゲームもトランプ一組あれば出来るので、是非暇つぶしに遊んでみて欲しい。クニッツィアの凄さを実感出来ると思う。またパズル的要素があるので、女性にも受けるように思われる。和訳は公開されている。

また後日、TAMとやったのだが、10とかのカードを押し出してしてやったりと思っても、何故か負けてしまったりするから不思議でしょうがない。TAMは「勝負に負けてゲームに勝った感じですわ」と言ってた。わしも負けた感じがしないのに、強いカードを押しだしただけでは勝てないのだ。まったくもって素晴しい。

アドバンスルールにすれば3人プレイも可能である。

gioco del mondo