Reiner Knizia

Fantasy Flights Games

2人
20分

スカラベロード

ファラオが堕落し、ヘクメト国の秩序が失われた。
上流にある滝から低地のデルタ地帯までを流れるグレートリバーに沿って、偉大なる一族(グレートハウス)は支配を得ようと戦っている。
どの一族(ハウス)がヘクメトすべての繁栄を手にするだろうか?

プレイ感

ミノタウロスロードが非常におもろかったので、流通在庫が切れる前に慌ててその前編であるスカラベロードを購入した。ルールはまったく同じなので混ぜて遊ぶ事が出来るとあるのでデッキを4つにしたかったのだ。着て早々すぐに和訳シールを貼ってmiaと対戦。TAMからテメット(赤)の方が強いという話を聞いてたのでわしがアンカー(青)を担当した。

※本来なら先にスカラベロードをレビューしてからミノタウロスロードとなるのだが、買うた順番がそうなので逆になってしまった。


ルールはミノタウロスロードと同じなのではしょる。ただし、支配フェイズに使うSカードってのがある。Sカードは、ミノタウロスロードでは煩雑なので廃止されフェイズ2に統合された感じがする。それはやってみて解ったが大正解だと思う。Geekのフォーラムでも上がっていたが、Sカードは支配権決定の時に使うのか、支配権の駆使の時に使うのかのタイミングがかなり曖昧でなんとも不味い。ちなみに公式FAQによるとSフェイズは(カードがあれば)何アクションやってもいいとの事。


支配駒のピラミッドは肌色をしてるのでちょっと見難いが、ミノタウロスロードと違って手前に置くと支配をしている状態。ハウスアンカーは、感覚的にどうにも1が多くて困る。バランスよくこないと、効率よく出せないのだ。

テメット(赤)のデッキの特徴は、なんつってもエンフー神の一言に尽きる。フェイズ2でアクションを消費すれば、相手プレイヤーは手札からカードを2枚捨て札にしないといけないという凶悪なもの。miaにこの神にぼこぼこにやられた。なんせ毎ラウンド2枚捨ては、カード補充が厳しいこのゲームにあっては致命的ともいえる。シリーズ通じて最強はこのエンフー神であるのは間違いない。強いのなんのって! あのミノタウロスロードの凶悪神ジャラールを遙かにしのぐ。バランスを崩すくらいの暴力的な強さといっていい。
そしてもう一体のケーマ神もなかなかのカードである。フェイズ2毎に好きなカード(フェイズ1のカードでも)のスカラベカウンターを取り除けるので、恐ろしく使い勝手がいい。ターの砦(スカラベカウンター1個付き)を一発で活性化させる事が出来るまさに神デッキ。軍事拠点にカードが多いのだが、それを補佐するように報復(抑えた軍事拠点の数だけ場のカードを捨て札に出来る)なんてふざけたカードがある。やりたい放題やって更に報復かい!


凶悪なエンフーの降臨。まじで、ええ加減にせえやっつう強さ。アンカーの最強カードは軍事拠点に置いている輝けるシオン=ラーである。どこにも置けて、スカラベカウンターなしでパワー6ときたもんだ。その隣にあるセブンスフィンクスってのが4枚入ってデッキを特徴づけてるくせにパワー4でスカラベカウンター1個付きってのが腹立たしい。

経済拠点を抑えても、どんどんとほかされるんやからたまったもんじゃない。

わし「早よ、神こいや、ボケ!」

神カードを引くのを期待して、何度か引くが、全然きやがらん。

※神カードはどちらかの陣営にしか存在出来ないので、こちらが神を出せばエンフーは去るという寸法だ。神は呪う事も出来ないので、こうやって去って貰うしか方法がない。

mia「じゃ、2枚すてて」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

阿呆なんは、手札が1枚しかないのに、経済拠点を抑えて1枚引いて喜んだところだ。

mia「じゃ、2枚すてて」

(|| ゜Д゜)ガーン!!


しかもケーマまで出てきやがった(|| ゜Д゜)ガーン!!

阿呆かっちゅうねん! 引いたらほかさせられるやんけ。
手札0枚。とほほ

…ん? ちょう待てよ。

わし「ほな、プレイする」

mia「え?」

手札0枚でもプレイする事は可能だ。要は支配フェイズを迎えたいのだ。

わし「ほな、こいつにスカラベカウンターを載せて、軍事効果でカードを2枚ほかせや」

mia「あー」

そう、場に並べられたカード如何によっては手札0枚でも意外と勝負出来るのだ。わしゃ宗教拠点を抑えてるのが大きく、スカラベカウンターを載っけてパワーバランスを崩す作戦に出る。

mia「むむ」

神を発動するにはフェイズ2のアクションを行わなければならない。つまりフェイズ2の他のカードに対してスカラベカウンターを載せると、そのカードのスカラベカウンターを取り除くか神を発動するかのどちらかしか出来なくなる。

そこで

わし「よし、手札を6枚に補充する」

満を持して手札を貰う。miaはスカラベカウンターをのけるのにフェイズ2を使用した。

よっしゃ、神きた!

わし「エンフーを葬り去って、反撃開始じゃ!」


ようやく神を出してエンフーに退散して頂いた。ほんまかなん。

mia「じゃ、2枚目のエンフー出すからそっちの神を捨てて」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

わし「ほんまこの神むかつくわぁ!」

しかし、エンフーの強力な捨てさせ攻撃も、輝けるシオン=ラーとセブンスフィンクスを使って、0枚プレイを行ってmiaのデッキをゴリゴリ削り取り、見事勝利!

所要時間20分

わし「あれ? これって…」

つう訳で再戦。今度はエンフーの強力な捨てさせ攻撃をこちらの神カードで封殺しつつ、拠点を4箇所抑えてまたしても勝利。

所要時間10分


つうわけで上下それぞれ2カ所の拠点を抑えてまたしてもわしの勝利。

mia「このデッキきついよ。前よりも出せる拠点マークが少ない」

わし「えー、でもエンフー強烈やで」

デッキを入れ替えてやってみた。

アンカー(青)のデッキの特徴は、なんつっても輝けるシオン=ラーだろう。軍事、宗教、経済のどの拠点に置けるにもかかわらずスカラベカウンター無しでパワーが6もある。特殊能力はないが恐ろしく強い。神カードもそれなりに強いと思うが、エンフーに散々やられまくったおかげで、影が薄い。

セブンスフィンクスというフェイズ1のカードが4枚も入っているが、これが微妙に使えないところが腹立たしい。パワー4なのにスカラベカウンター1個付だ。フェイズ1のカードには他に使いたいカードが多いので、2回やった限りでは、出すタイミングが難しかった。なんで4枚も入っとんねんと言いたい。普通同じカードは2枚。しかし後にこれがフェイズ2の大浄化(どちらかの領土のスカラベカウンターをすべて取り除く)というカードとコンボを組めば一気に活性化させる事が出来ると解った。まあ、それでもケーマほどの効果は期待出来ない。

なんでかというとアンカー(青)デッキは、宗教拠点にカードが多いので、あまりスカラベカウンターが載る事がないので一気に浄化するってケースは稀だ。アンカー(青)のデッキで最も使えないのは灰の疫病(スカラベカウンター2個載ってるカードを捨て札にする)。これはマジで要らん。何に使うねんと言いたい。シリーズ最弱決定。あまりにも使えんので白のカードと最初から交換した方がバランスが取れていいだろう。使えるとしたらミノタウロスロードのミロン(赤)のデッキ相手なら使えるカードとなるが、せめてS(支配)フェイズに使えるカードにせんとあかんと思う。

そして今回の戦いでもエンフー神旋風がまたしても吹き荒れる事になる。よせばいいのに、miaは経済拠点を抑えてカードを補充する。


いきなりエンフー降臨。そして2枚目のエンフーも我が手中に。エンフー切られてもまたエンフーじゃあ!

わし「ほな、捨てて」

mia「えー、これどうしたらいいの?」

わし「さっきわしがやったみたいに、手札無しで戦うしかないで」

しかし場の状況を見る限り、アンカー(青)が優位に進めているとはいえず。手札なしで戦うには、それなりのカードが場に出ていなければならず、更に宗教拠点を抑えている必要があるのだ。

結局、エンフーの雪隠責めで、勝利。

所要時間10分


アンカー何も出来ないままエンフーにより、負け。

miaのコメント

つまらない。ミノタウロスロードでもあまり楽しくないのに、出せる場所が凄く限られてるから益々つまらない。

ソマーリオ

スカラベロードをやって驚いた事がいくつかある。ミノタウロスロードと比べて、恐ろしく荒削りだった。先に書いたようなエンフーやシオン=ラーなんてあり得ない。異常に強いので展開がかなり大味になるのだ。ゲーム時間が総じて短いのはそういう事だ。かといえば、他のカードが全然弱かったりと、バランスがなんとも変である。ミノタウロスロードでは、非常に接戦となるようにカードは推敲されてたように思うが、スカラベロードは「同じゲーム??」と思わず首をひねってしまうようなカードバランスなのだ。

おそらく、先にこちらを買うていれば、ミノタウロスロードは買わなかったと思う。これこそクニッツィアが様々なものを盛り込もうとした過渡期という表現が相応しい。ミノタウロスロードは、完全にこのシステムを磨き上げて作られたってのがよく解った。

強力なカードだけでは、このプレイ感の違いを語れない。スカラベロードの弱点として、出せる拠点に制限が多すぎる感がある。これでプレイヤーの戦術的思惑よりも、その場所に出すしかないという状況が多くなってしまうのがよろしくない。やらされてる感じだ。

さすがに2年間かけて出ただけあってミノタウロスロードではこのような弱点が完全に修正されて、非常に面白いゲームとなっている。プレイ時間も荒削りなこちらはあっちゅう間に決まってしまう事や、強力なカードのおかげでかなり短い。ミノタウロスロードはがっぷり四つで戦えるから満足度は非常に高い。実のところミノタウロスロードをきちんとしたルールでやると「どこが荒削りなんやろ?」と疑問ばかりがわいてきた。その謎がようやく解けた。この2つは推敲レベルが違っている。ミノタウロスロードのレビューを若干変更した。

ただしスカラベロードが勝っている点もある。それはコンポーネントの質。カードの紙質がミノタウロスロードよりも圧倒的に良いのだ。封を開けてみて驚いた。凸凹のある加工がされており、アドルングのカード品質だ。それに比べてミノタウロスロードは、ざらざらした安っぽい紙でほんまに酷かった。
さらに説明書がカラーで美しい。ミノタウロスロードなんて安物の白黒である。比べるとほんまに笑けてくる。
カードの絵もスカラベロードの方が可愛くセンスがある。ミノタウロスロードの神なんて蛇ばかりでなんだかなあと思ってしまう。


GEEKから拝借。このルールブックの違いをみよ。


左がスカラベロード、右がミノタウロスロードのカード。解りにくいが、質が全然違う。

この違いを見ると、メーカーが凄く力を入れてTCGもどきを作ろうとしたが、失敗したってのが目に見えて解って、おかしくなってくる。完成された面白さを持つミノタウロスロードの方が品質が極めて低い。笑ってる場合じゃない。メーカーはこのシリーズは打ち切りと発表してるので、もう続編が遊べないと思うと非常に残念だ。

そうそう、他の違いとしてはミノタウロスロードではヴェス(青)とミロン(赤)のデッキは全て違うカードで構成されていたが、スカラベロードでは、共通のカードが結構入っている。影の従者などは非常に使い勝手の良いカードだが両方に入っているので紹介しなかった。そういった意味でもこのシステムに慣れたクニッツィアが2年間かけてこのシステムに慣れて色々とカードを生み出したのだろう。


この影の従者てのが使い勝手がいい。出したら、同じ領土にあるMinionカードをほかす事が出来るのだ。パワーが1しかないが、あなどれない。ミノタウロスロードと違い、共通のカードが多くて、この影の従者は相手側にもいる。

間違いやすいルールなどはミノタウロスロードのレビューを参照して貰うとして、スカラベロードこそ、ブルームーンの過渡期で、システムが荒削りで、クニッツィアの試行錯誤が伺える習作といえる。決してゲームバランスは良くはないが、それなりに楽しめるバランスは最低限保っているように思う。

面白いかと聞かれたら、まあまあ、と答える。カードバランスが悪く大味で楽しみにくいところがある。それがミノタウロスロードとの評価の差だ。ただミノタウロスロードの楽しさにまったく及ばないが、組み合わせて戦ってみたいという衝動は、ファンならば誰もが持つように思う。4つあるので色んな組み合わせで戦って、また強さの違いなど書く気が起きれば追記してみたい。

スカラベロード対ミノタウロスロード

というわけで、一段落ついたので、ミノタウロスロードと対決をしてみた。
miaがスカラベロードのテメット(赤)、わしがミノタウロスロードのヴェス(青)である。

テメットに軍事を抑えられると、エンフーと組まれて非常にやっかいとなるので、最初から軍事拠点をねらい打ちする事にする。
こうすれば、エンフーを捨て札にさせる事が出来るかも知れない。

なんせ、エンフーシフト。奴は強すぎる。


とうとう夢の対決が始まった。わしの群衆デッキにエンフーの魔の手が忍び寄る。

わしの手元にエンフーの弱い版ロゴスがあったので、これを使って苦しめる作戦だ。
対してmiaも、同様に軍事拠点を抑えようと躍起になってくる。何度かやった対戦で、山札が尽きて負けるというケースがかなり多い事が解り、初心者の頃のように序盤、経済拠点を抑える動きはかなり少なくなってきた。

わしの群衆たちは、軍事拠点における者は軍事拠点におき、その他は補佐的な形で展開させる。

miaは、フェイズ1でターの砦(スカラベカウンター1個付)を出してくる。そして続くフェイズ2で、ケーマを出してきて、いきなりターの砦を活性化させてきた。

わし「むう、そのコンボ強力やな。6か!」

わしの群衆もその圧倒的パワーに負けてしまう。しかしながら、たった1人の力を弱くとも、皆が集まれば強大な力となる。3枚目の群衆カードを出して、合計値9とする。

mia「何、それ!」


むちゃくちゃいい勝負。お互いに一歩も引かない。わしは手札を0にされながらも、例の0枚プレイでなんとか凌ぐ。

並み居る群衆パワーにやぶれたのか、ここにきて宗教拠点を抑えに来る。
そして、わしの群衆をスカラベカウンターにて役に立たさないようにしてきた。

さらには、ターの砦をバンバンと出してきて、出すたびにケーマのパワーによってスカラベカウンターを取り除いていく。

わし「くう、やべえ。しかしまだ負けへん。ここでさらに群衆じゃ!」

既に群衆は4枚となり、パワー合計は16!

とうとう、奴が降臨してきた。

エンフー

エンフー、ケーマというタッグに一度は崩れかけた群衆だが、エンフー用に、神を1枚手元に残していた。

わし「再び、ロゴス降臨!」

このように一進一退の非常に熱い戦いとなった。

結局、ゲームはお互いに山札2枚と1枚残すところになった。わしは最後の軍事拠点を抑えれば勝てる。ところが、miaもその時、再びエンフーを出してきて非常に苦しめられる事になる。手元のカードでは軍事拠点を抑える事が出来ない。もしここで軍事を抑えられなければ、miaのターンでわしの山札が削られて負けてしまうだろう。

ここでわしが逆転の一打を放つ。一度はエンフーによって捨てた抹消(場のカードを1枚取り除く)を大法官によって取り戻し、ターの砦を粉砕。これによりパワーバランスが崩れ軍事拠点はわしのものに。

わし「勝った!」

所要時間25分


最後はわしの山札が2枚、miaが0枚で勝利。アツい!

非常に濃密な熱い戦いであった。どちらに勝敗が転んでもおかしくない好勝負である。

更に後日、スカラベロードのアンカー(青)対ミノタウロスロードのミロン(赤)と対決した。これまた良い勝負で、どちらも1勝1敗のタイ。先に書いた灰の疫病がミロンにかなり強いかと思われたが、まあタイミングが合わなければたいした事はなかった。最弱カードてのはやっぱり覆らず。

思ったのは、カードバランスの良いミノタウロスロードを混ぜる事で、スカラベロードのバランスの悪さが軽減され、非常に楽しい緊迫した戦いとなる事であった。この2つを買えばかなり楽しめる事請け合いである。わしの評価では既にブルームーンに匹敵する評価となっている。スカラベロード単独では無印だが、ミノタウロスロードを1つでも使えばとなる。

ひとつ欠点なのは(これはブルームーンにも言える事だが)最後、山札が切れて負ける時ってのは「あれ? これで負け?」みたいな妙なあっさり感がある事かな。山札が切れる時ってのは、厳密には自分の手番開始まで待つ必要はなく、相手の山札が切れた時点で自分の勝ち判定していい。それ以外にどうする事も出来ないからだ。もちろん、自分の手番の最後に相手側に拠点支配による勝利条件が確定していない場合である。

gioco del mondo