Herbert Schuetzdeller

ASS

3〜6人
45分

ニューオリンズ・ビッグバンド

ようこそジャズの町、ニューオリンズへ!
ここではたくさんのミュージシャンが成功を夢見ています。
あなたはプロデューサーとなって、バンドメンバーを集め、彼らをスターダムにのし上げましょう。
バンドはちょっとしたメンバーのいざこざが原因で解散してしまうこともあります。
上手くマネージメント出来るのはあなたの腕に掛かっています。

プレイ感

ヤフオクで出てたのを衝動買いして、かなり眠らせてた。ようやく和訳シールも貼り付け、おもろないんやろなあと思いつつやってみることにした。mia、OEC、タメラ、ローの5人プレイにて。

わし「まず最初に一言。おもろなくても文句は言うな」

ルールは簡単。準備としてミュージシャンカードをボードに裏向けに配置する。
この時点で、皆から「えー!」というブーイング。
並べ終わると、なんか気持ち悪くなってきた。これは駄目そうな予感。


ミシシッピーの横のニューオリンズの町にずらーっとカードを並べるだけ。システムに意味あるんかいな。なんか気持ち悪い。そして意味不明の衝立。途中でこれ要らんやんと気づいて仕舞った。

それから自分の駒を適当にカードの上に置く。手番に、0〜2マス動かしてそのカードをめくる。カードにはミュージシャンカードとイベントカードがあり、ミュージシャンカードならそのまま手札に、イベントカードなら読み上げて効果を適用する。

ミュージシャンカードには能力が数値化されており、最終的にこの合計値が高いバンドが勝利する。ただしバンドとして成立するためには、Aドラム、Bリズム楽器、C管楽器、Dその他、E歌手、を最低1枚ずつはそろえておかなければならない。

ところがバンドをやったことのある人なら知ってると思う。皆、とても我が儘で、こいつとは組めんとか、恋に落ちてつぶれてしまうとか、そういう相性で駄目になる事がよくある。そういったミュージシャンの個性がそれぞれテキストで書かれているのだ。総勢70人のミュージシャンがいるが、そういったテキストがないのは僅か1人という個性の塊である。


自分の駒を動かしてそこにあるカードを手札に集めるだけ。ミュージシャンには演奏出来る楽器と能力と個性が描かれている。

8ラウンド目までは、これを繰り返す。9ラウンド目以降は、手番の最後にトレードをしても良い。その場合、嘘さえつかなければ、どんな情報を公開してもいい。今回は5人プレイなので18ラウンドで勝敗を決める。

最初はさくさくと進む。ただしイベントカードによって色々起きるので、手に入れたメンバーがそのまま居座れるかどうかは解らない。

タメラ「イベントです。全員、歌手がいれば左のプレイヤーに渡す」

わし「ちぇ。じゃ、この歌手をタメラに。うお! miaから86の歌手がきた。ラッキー」

メンバーの数値は1〜100まである。

わし「イベント。歌手が喉を痛めた。歌手が居ればカードを捨てる」

わし「…とほほ」

皆、それぞれ順調にミュージシャンを手に入れてるかと思いきや、想像以上にイベントカードが多い。

さらに

わし「ドラマーが一人脱退した。ドラマーが居れば捨て札にする」

わし「阿呆かあああ!!」

メンバーが足りん。全然、足りん。

さらには

タメラ「ここでプレイされてるのは音楽ではなく、カードゲームでした。このカードを元に戻す」

しばらくして

わし「ここでプレイされてるのは音楽ではなく、カードゲームでしたって、これさっきタメラが引いた奴やんけ!」

という罠もあるので、ある程度場所を覚えておかないといけない。


良い感じで集まってた。このときまでは。

そして例の大物が出てくる。
このゲームはむしろこの大物の為にあるようなものだ。

その名はブラック・キャシー・バーンズ。バンジョー奏者だ。

ロー「じゃ、バンジョー出すから、ドラマーと交換して」

mia「いいよ」

ロー「ぷっ」

mia「ちょっと、何この能力ぅぅ!!」

彼女はとても魅力的な為、男のミュージシャンの能力を半分にする。これは彼女を捨てても有効となる。

恐ろしい。ほとんどが男性ミュージシャンなので、価値を半分にしてしまうのだ。
交換するしかないが、既にこの悪名はOEC、ローと明らかにされてしまった。

それからトレードのたびにmiaが「良いバンジョーあるよ。交換しない?」と持ちかける事になる。

ロー「誰かウォッシュボード、交換して」

わし「ウォッシュボードはあかん」

ロー「あれ、ちょっと待てよ。これ、この名前の人物でないと駄目なのか。えー、兄弟?」

もう一人いる兄弟の奏者がいないと演奏しないカードのようだ。
それからことある毎にウォッシュボード奏者を探すロー

わし「誰ももってへんて。このニューオリンズの町から探し出したらええやんけ」

ただし最初に何枚かカードが抜かれてるから居るとか限らんけどなw


だいぶ、ニューオリンズの町が開けてきた。人材を探しつくした感あり。

ゲームも残すところ3ラウンドになり、Dのカードがなくて非常に困ってた。

わし「誰か、Dのカード頂戴」

mia「いいよ。バンジョーと交換しよう」

※バンジョーはDである。

わし「要らんわ、ボケ!」

ロー「じゃ、これと交換しよう。金のトランペットもつけたげよう」

金のトランペットはトランペッターの能力を倍にする手に持っておくイベントカードで、このようにトレードに使ってもいいのだ。

わし「やった!」

ミッキーマウス・モリトン、9人以上でないと演奏しない。

カードの効果で、同じマスに止まったらプレイヤー同士1枚ずつトレードしなければならないというのが出てきた。

mia「やった」

同じマスにいたタメラ「ぎゃー! すぐに逃げます」

※このとき、ルールでは0〜2マス移動するとなっていたが、0マスだと押し付け合いの泥仕合になるので最低1マスは進む事にした。

そこから皆、蜘蛛の子を散らしたかのようにmiaの周辺からひたすら逃げる。ぎっちょやぎっちょ! 東京ではえんがちょか。


駒はプラッチックのピアノ駒。マス目が重要になる日がくるとは……

ラスト手前17ラウンド目

わしの手札は8枚。あと1枚どうしても探す必要がある。

ロー「やった! 見つけ出した!」

わし「まじ!?」

タメラ「やばい。歌手がいない。誰か歌手くださいー」

mia「歌手あげてもいいけど、バンジョー付きだよ」

タメラ「結構です」

そして最終ラウンド。

わし「頼む、あと1枚ミュージシャンが居れば、頼むなんでもええからミュージシャン出てくれ…『ここでプレイされてるのは音楽ではなくカードゲームでした』って阿呆か!! 何回引いとんねん! 頼む、誰か、この歌手と別の歌手を交換してくれええ!」

OEC「いいっすよ」

わし「助かった。例え能力が1でもええわ」

タメラ「誰かぁ、歌手をぉぉ」

mia「だから、バンジョー付きなら代えてあげるって」

タメラ「くうう、背に腹は代えられない。0点よりマシか。解りました」

mia「やった!」

こうしてゲーム終了。

ここでバンド成立してるか確認。

タメラ「あ! 駄目だ。不成立だった」

OEC「あ! 僕も駄目でした」

わし「あれ、こいつ最もサックスが上手いプレイヤーに行く。そしてこいつが居なくなったら他にトランペッターがいないと演奏しないこいつが駄目になり、Cが居らんようになってもた(|| ゜Д゜)ガーン!!

なんと5人中バンドを組めたのが僅か2人。

それぞれの得点を足すとローが700点オーバーで、500点オーバーのmiaを圧倒して勝利。

所要時間50分


最後は左上のローと右のmiaとの対決だけで、後は全てバンド不成立でした。

miaのコメント

これ楽しい! シールを貼った甲斐があったわ。意外とニューオリンズの町で人を集めてる感じがでてた。

OECのコメント

やってることは多分スカウトなのに、方々で「こんなやついらん!」「またバンジョー弾きだ!」って悲鳴がw
そしてトレードされるバンドメンバーたちはワガママな有能者ばかりで、皆のバンドをたらいまわしwww

タメラのコメント

古いゲームですが、楽しかったです。あまりお目にかかれないのでプレイできて良かった。

ソマーリオ

ニューオリンズの町にはドラマが溢れている。中には「こいつかあ!」とある界隈でトレードされまくって、有名になるキャラクターなどもいた。
システム的には古くさい見所のないゲームだが、やってみると意外にもおもろいのだ。ひとつはジョーカーの役割を果たすブラック・キャシー・バーンズがいることだ。カードには絵が付いていないが濃密な個性が描かれており、なんとも愉快な気持ちにさせてくれる。

システムというものでもなく、はっきり言うてただのめくり運だけなのだが、テーマ性もあっててゲームの楽しさはまた別物というのを考えさせてくれた。同じようなテーマできちんとシステムまで作り上げてたショーマネージャーとは対照的だ。

コンポーネントに果たしてこのでかいボードは必要なのかというところはあるが、OECはこのボード絵がやたら気に入ったようで、写真を撮ってた。確かに最初は否定的だったが、こうしてみるとニューオリンズの町並みが描かれていて悪くないと思うようになった。

プレイ感は非常に軽く、勝っても負けても楽しめるパーティゲームの良さがある。プレイ時間も40分程度で終わる。これはドイツゲーム大賞にノミネートされているが、この時代はおおらかだった事もあって、ノミネートはアリなんじゃないかと思った。なんせこれほどのミュージシャンの個性を作り上げた作者に感服する。

中にはカスみたいなイベントカードもあるが、元々そんなに勝敗を一生懸命やるタイプのゲームではないので、笑って済ませられる。カツカツのゲームの合間にキャラクター重視のパーティゲームがあってもいいだろう。

そういう馬鹿げたところが全て上手くかみ合っており皆の高評価になったようだ。ゲームとは楽しくやるもんだと再認識させてくれた。絶版だがおそらくゲームのシステム内容から再販はされないと思う。ゲーム会などで誰か持ってる人を探して一緒にやるといいだろう。

gioco del mondo