Bruno Cathala
&
Ludovic Maublanc

Hurrican

2人
15分

ミスタージャック・ポケット

駿河屋で購入
切り裂きジャック。
この名を知らぬ者はいない。
19世紀のイギリスで、娼婦を次々に殺した凶悪犯である。
今、ここにかれを捕まえようと名探偵が集った。
果たして、かの有名なジャックザリッパーを捕まえる事が出来るだろうか?

プレイ感

二人用として秀作だという噂なので買うてみた。逃げるジャックと、捕まえる警官と二手に分かれてゲームを行うというと、スコットランドヤードを思い出す。miaとの二人プレイにて。


ゲームマーケットに行ったときに安売りしてたから買うてみた。あんまりミスタージャックは好みのゲームじゃないんやけど、コンパクトになったらどんな感じなんやろと。miaとプレイ。

適当に容疑者の絵が描かれた面を上にして3×3のマスに並べてマップを作る。ホームズ、ワトソン、犬の駒タイルを指定した位置に配置する。その横にラウンドマーカーを1から順番に並べる。ミスタージャック役は、容疑者タイルを1枚貰う。それがミスタージャックである。残りは裏向けにして山積みにしておく。これで準備完了。

各ラウンドの開始時に4枚あるタイルを放り投げる。先手、後手、後手、先手の順にタイルを取ってはそのアクションを実行していく。先手はラウンド毎に決まっており、それはラウンドマーカーに描かれている方だ。例えば1ラウンド目は刑事側である。

4つのアクションが終了した時点で、目撃証言を行う。3つの駒からまっすぐ壁にぶち当たらずに直線でみて、ミスタージャックが目撃出来るかどうかのチェックを行うのだ。
ジャック役は、もし見えているなら『目撃証言あり』、見えていないなら『目撃証言なし』と正直に申告する。この部分がこのゲームのキモである。


ボードはこのように通路に容疑者の顔が描かれている。3つの駒はそれぞれ一直線上に視界があり、通路の壁によって阻まれる。下に並べてるのがラウンドマーカーで、表面にはどちらが先攻かが描かれ、裏面には砂時計が描かれている。ジャック役は出来る限り砂時計を集めればよい。左にある4つのタイルがアクションタイルでこれを選んでアクションを実行していく。

何故ならそれに応じて目撃証言ありなら、今3つの駒が見えていないマップは容疑がはれたとして裏返しになる。逆なら、見えているマップをひっくり返す事になる。残った中にジャックがいるという訳だ。

刑事側はこうして容疑者を一人に特定出来たら勝ちだ。ジャックは規定時間逃げ切ったら勝ちだ。
規定時間というのは、ラウンドマーカーと容疑者タイルに砂時計として描かれている。

目撃証言なしなら、ジャックがしてやったりという事でそのラウンドのラウンドマーカーを受け取る。裏に砂時計が描かれている。目撃証言ありなら、刑事がしてやったりとして、ジャックの砂時計マーカーを1つ捨てさせる。また容疑者カードを貰うというアクションがあり、これには砂時計が描かれている場合があり、これら砂時計を合計6つ集めればジャックの勝利である。

このようにルールは一見するとゴテゴテしているが、実際にはかなりシンプルになっている。

ジャックがやはり不利という事でmiaが刑事でわしがジャックを担当した。

1ラウンド目、miaが一番強いであろう容疑者タイルを受け取るアクションを選ばず、わしがそのアクションを選択した。1つ砂時計が得られたものの、目撃証言チェックでいきなり5枚のタイルをひっくり返させられる。ただし目撃証言なしなので、わしが砂時計を1つ獲得。

2ラウンド目、わしが先攻だ。アクションのほとんどは3つの駒タイルを動かすというもので、これらをマップの外周を動かす事で、なんとか自分の有利になるようにするのだ。一番良いのはジャックを見られないようにして、他の容疑者もあまり見られないようにすることだ。もちろん難しいけど。
ここでも容疑者タイルを受け取るタイルを選択。残念ながら砂時計は描かれていなかった。
目撃証言もありで、1枚ひっくり返された。得るものはなし。現在、ジャックの容疑者タイルと合わせて砂時計3つ。


2ラウンド目で5人の容疑者が消された。ボードの裏面はこのように容疑者がなくなった通路だけの絵となっている。

3ラウンド目、1枚ひっくり返されたが目撃証言なしにすることで4つ目の砂時計を確保。
しかし、ここで痛恨のミス。なんと目撃証言なしといいながら、目撃証言ありのタイルをひっくり返してしまい、ジャックがばれてしまった。

mia「えー、もう解った」

わし「解ったから勝ちではない。最終的に1枚だけタイルを残さんとあかんのや」

mia「そうなの?」

わし「そらそうやら。当てずっぽうで勝ち負け決まったらおもろないやんけ」

という訳で続行。


容疑者二人に絞られたのだが、失敗してしまって完全にばれてしまった。しかしゲームとしては1枚だけにしなければ刑事の勝ちではないのだ。

4ラウンド目。わしは、ここで容疑者カードをめくり砂時計を6つ集める。

わし「勝った!」

mia「え、どのタイミングでも6つ集めたら勝ち?」

ルールを確認。

わし「いや、間違い。目撃証言の最後までそのラウンドをやってからやった。すまん」

このラウンドでmiaは、1枚にしなければ負けると解ってしまったので、アクション選択時に長考をする。
なんやかんややりながら、阻止出来そうな感じがしてきた。

mia「じゃ、これとこれをする」

わし「ほな、こうして終わり。両方とも見られてないのでわしの勝利」

mia「あ! ちょっとまった」

わし「もうあかんで」

mia「悔しいなあ。どうしたら良かったのかな」

とあれこれ考え出す。
わしも頭の中であれこれ考えを張り巡らした結果、どう動いてもわしが勝ちという事が解った。

mia「ちっ」

所要時間15分


というわけでようやくの勝利。砂時計の描かれているキャラクターがジャックやと少し有利なのだ。

ソマーリオ

ミスタージャックの推理の要素を見事にコンパクトに落とし込んだという印象である。
正直、これがあればミスタージャックは要らんのとちゃうかとさえ思った。

ミスタージャックにあったキャラクターの特殊能力というものは無くなったが、雰囲気やシステムのキモとなる部分はそのまま再現されていると思う。むしろコンパクトになっており、洗練されたイメージだ。

わしがミスタージャックでめんどくさいなあと思った、マス目の細かい勘定がおおざっぱなタイルとなったところが良い。1マスの勘定で勝ったり負けたりするところがあるので、油断出来なかったのだ。

また運の要素として、容疑者カードの砂時計の数が違うというのがある。このカードを得られるアクションがやたらと強いのが気になるところだが、1ゲームが僅か15分で終わるので、何度でも勝負すればいいだろう。

特に伝統的にミスタージャックが非常に不利なゲームなので、攻守交代してやるのがいいと思うし、ルールにもそう書かれている。

ミスタージャックのおもろさのエッセンスを上手く詰め込み、短時間で何度も出来るところから本家より評価は高い。結局、本家ミスタージャックでやりたかったことはコレなんじゃない? と思うのだ。その濃縮度合いが気に入ったのでジョーコデルモンドでは評価だ。
コンパクトゆえに旅行とかに持って行けるのも良い。そもそも言語依存はないが、他言語版がもうすぐ出るようだ。

ただし気をつけて欲しい。そもそも本家のミスタージャックの人気の秘密は、キャラクターや雰囲気がとても良いところだ。その部分ではポケットは完全に見劣りする。本家が好きな人は素直に拡張を買うべきだと思う。

gioco del mondo