Bruno Cathala
&
Ludovic Maublanc

Hurrican

2人
45分

ミスタージャック

駿河屋で購入

切り裂きジャック。
この名を知らぬ者はいない。
19世紀のイギリスで、娼婦を次々に殺した凶悪犯である。
今、ここにかれを捕まえようと名探偵が集った。
果たして、かの有名なジャックザリッパーを捕まえる事が出来るだろうか?

プレイ感

二人用としてかなりの秀作だという事で買うてみた。逃げるジャックと、捕まえる警官と二手に分かれてゲームを行うというと、スコットランドヤードを思い出す。miaとの二人プレイにて。


このゲームの面白いのは、ジャックも警官も全員の駒を動かすという事。8人の容疑者と7人の警官(とジャック)は同じなのだ。途中でどの駒がジャックと解ったら、ジャック以外の駒を使って重ねると御用となる。逆にジャックは、8ラウンド捕まらずにいるか、暗闇に紛れて逃げ出せれば勝ちだ。

ジャック役はわしである。ジャック役はあらかじめ無実カードというのをめくって、誰がジャックかを覚えておく。無実カードというのは、シャーロックホームズの特殊能力で、1枚引けるのだ。その人は無実となる。つまり無実カードのないのがジャックという訳だ。

1ラウンドはジャック役と警官役は二人ずつ動かす。キャラクターは全部で8人いるので、2ラウンドで、全キャラクターが動く事になる。ラウンドで動かせるキャラクターは、最初に4人カードをめくる。その中から順番に選んでは行動を起こしていく。つまりジャックのキャラクターを警官役が動かすという事もよく起きる。

キャラクター8人は先に書いたシャーロックホームズのように、それぞれ特殊能力があって、自分の位置を入れ替える者、全員を呼び寄せる者、マンホールの位置を変える者など、いる。

わしのキャラクターは、シャーロックホームズだ。こいつがジャックとなる。


ジャック役は最初にこのように無実カードを1枚引く。これがミスタージャックとなる。


シャーロックホームズの特殊能力は無実カードを1枚引くこと。これで相手の捜査を攪乱出来る。キャラクターはそれぞれ移動と特殊能力を発動する。

8枚のうち4枚をめくる。ラウンドによって、キャラクターを選んで、行動させていくのだが、シャーロックホームズが最初に出た。シャーロックホームズの能力は非常に強く、こっそりと誰が犯人かを解らなくする事が出来るし、警官側であっても、無罪のキャラクターを自分だけこっそり知る事によるメリットはかなり大きい。何より、こういう強力なキャラクターが出たら、すぐに選択しても違和感がないという事だ。

※今回のジャックはシャーロックホームズなので、自分のキャラクターを疑われる事なく動かせるのは大きい。

ポイントは、ラウンド終了時に、目撃者ありか、なしか、である。街灯に接しているキャラクターや他のキャラクターに接しているキャラクターは目撃者あり、それ以外はなしと判定する。で、ジャック側がどっちに属しているか、ラウンド終了時に伝えるのだ。こうして、逆側の人らの無実が証明され、駒を無実側にする。


最初は皆容疑者側に向けておくが、ミスタージャックがどういった状態になっているかをラウンド最期に行う事で、無実が解る。そういったキャラクターは白向けの無実側にするのだ。これらが、ミスタージャックを捕まえる警官にもなる。例えば犯人のシャーロックホームズは目撃者なし側にいる。つまり明かりの隣や駒の隣にいるのは全てシロとなるので無実側に向けるのだ。これを利用すればミスタージャックがどちら側にいるかで、他の駒も出来るかぎりそっちにするように動かせばいい。

警官の捜査を遅らせるのは、ここである。ジャックが目撃者あり側に存在していると、なるべく他のキャラクターもそういう風になるように動かしてラウンドを終了させるのだ。そうすれば、無実の駒が増えずに逃げ切りやすくなる。

ただ、たった8人で、しかも半分は警官が動かすので、そんなに上手くいかない。最初の手番で3人ほどは確実に無実である事がばれる。

ラウンドの進行ごとに街灯が消えていく事でジャックは逃げやすくなる。というのは、街灯はボード4カ所しかない逃げ口に必ずあり、ジャックは目撃者なし状態でないと逃げ出す事が出来ないのだ。一人を除いて3マスしか動けないので、これが消えない事には、逃げ切れない。

なんとかmiaの包囲網をくぐりつつ、時間を稼いで逃げ出すタイミングを計るわし。

(むー、なかなか逃げ出せん。。)

徐々に無実が増えていく。7ラウンド目ともなると、容疑者は二人しかいない。


もう限界。最終ラウンド。完全にシャーロックホームズが犯人とばれてしまった。駒は3マスしか進めないので、逃げ切る事は不可能。右上にある黒っぽいカードが目撃者カードで、こっちが目撃者なし側である。裏返せば目撃者有り側になり、ラウンドの最期にミスタージャック担当者が示す事になっている。

もし、シャーロックホームズの特殊能力でmiaがもう一人のキャラクターを引いていたら、一発で御用だ。といってもこのあたりでは明らかに怪しい動きをしてるので誰がジャックがもろばれではあるw

ただ、誤認逮捕すれば即座に警官側の負けなので、慎重にmiaは包囲をせばめてくる。

逃げ切れると思っても、駒を交換する能力のある奴で、一気に包囲網の中に戻されたりするのだから、これはもうたまったもんじゃない。はたまたマンホールはあちこちにあるので、遠いなと思っても一瞬でたどり着かれたりもする。

mia「捕まえた!」

わし「これ、ジャック逃げ切れんわ」

所要時間45分


捕まりました。捕まえるにはこのように駒を重ねればいいが、誤認逮捕だとそれでミスタージャックの勝利になるので捕まえる時はしっかりと確認を。ラウンドは右の時計マーカーが8ラウンドで終わりとなるが、ラウンド毎にどちらか先にキャラクターを選ぶか決まっているので、運の巡りは非常に重要だ。手元にカードを置いてるのは、そのキャラクターを動かしたという意味である。

実は、前にmiaがジャックをやって5ラウンド目で捕まえた。その後、何度かやったが、なんせジャックがかなり不利である。これを書いてる時点で6回くらいやったが、一度だけわしがジャックで逃げただけだ。


これはmiaがミスタージャックをやった時で、僅か4ラウンド目でこれだけ無実が発覚してしまった。こういう風になってしまってはミスタージャックの勝利はおぼつかない。数字の書いてる街の灯はそのラウンドで消えていき、ミスタージャックが逃げやすくなる(ミスタージャックは、目撃者なしの時にしかボード4隅からしか逃げられない)が、これを灯もすキャラクターもいてるのでこんな格好となる。ボード4隅のうち2カ所は警官の警備網が張ってあり、ミスタージャックは非常に逃げるのがむずくなっている。

※ルール間違い。このキャラクターは消えた街灯を灯すのではなく、今灯ってる奴を移動させるらしい。hiroceanさん指摘ありがとうございます。


僅か5ラウンドで捕まえた。今回の犯人はステルシー女史(緑)。

miaのコメント

うーん、もうちょっとやってみないと解らないかな。でもジャック明らかに不利だよね。それと最初のセットアップがあまりにもめんどくさいのはどうにかして欲しい。

ソマーリオ

ヘクスボードというと、ウォーゲームを思い出すが、昔やった暗闇のフロアを思いだした。マスの勘定が大切で、ギリギリ逃げ切れるところとかをいちいち探し出さなければならないのは、ちょっとなあと思った。ゆったりと逃げたり出来るゲームじゃなく、1マスの差で逃げられたり捕まったりするのだから、無茶苦茶マスの勘定は大切なのだ。

またmiaも言う通り、最初のセットアップが非常にめんどくさい。おそらくこれを作った当初は、色んなランダム配置からスタート出来るようにデザインしたと思うのだが、実際にはルールブックに書いてあるように駒や街灯の配置をきちんとしないと、まったくゲームにならないのだ。ボードに印でもあれば、セットアップし易いのだろうが、おそらく前記の理由から描かれていない。

ゲームは、明らかにジャック不利だ。次々に無実駒が増えていくわ、マンホールを使われたらどこからでも捕まえられるわ、街灯を付けられるわ、駒の位置を交換させられるわ、と話にならない。

まあ、その分、ジャックで逃げ切れたら嬉しい事この上ないのだろうが、ゲームとしてみたら、ちょっとなあと思う。やってみた感じ、若干不利程度ではない。拡張を加えるとちょうどいい感じになると聞いているので、単体でやるなら五分五分のゲームではなく、ジャックで逃げ切れるかどうかのゲームとして楽しめばいい。

まあ、元々スイスのメーカーという変わった出所であるので、これからもっと良いゲームを作ってくる何かを感じる事は出来る。こういう追っかけっこが好きな人なら十分楽しめる内容だ。少なくともスコットランドヤードよりは確実におもろい。こういった推理しつつ追っかけっこのゲームってあまりないので、貴重なゲームでもある。

コンポーネントは、シールを貼る作業ってのが古い感じはするが、タイルはドイツ以上にしっかりとした厚さで、絵柄も特徴が出ていて悪くない。もう少し、ジャックに有利になるように改訂すれば、なかなかのゲームになると思う。そういった意味では、拡張が出るらしいので期待したいところだ。

ルールが荒削りでよく解らんところがあるので整備は必要だろう。例えば閉じてても開けててもマンホールに駒を置けるらしい。問題はルールにも書いてるマンホールを開けたり閉じたり出来るってヤツ。こんなん特殊能力にそんなキャラクターがおるのに、まったく意味ないやん。

gioco del mondo