Stefan Feld

alea

2〜4人用
120分

マカオ

1513年に、当時世界有数の海洋大国として世界各地にその覇権を誇っていたポルトガル人がマカオに初渡来し、明王朝との交易を開始した。
「マカオ自由港」の成立を宣言して清の税関官吏を追い出し、ポルトガル軍がタイパ島とコロアネ島を占領し、最終的に1887年にはポルトガルが統治権を獲得し正式に同国の植民地とした。
マカオの繁栄はやがて香港に奪われる事になる。






プレイ感

下馬評は芳しくなかったがフェルドという事で買うてみた。まずは、日本語のシール貼りから始めるが、これがもうびっくりするくらい大量にある。100枚を超えるカードは、日本語シールの順番がバラバラで、探しつつやると二人がかりで2時間弱掛かる。せっかく苦労して貼ったので翌日miaと二人プレイした。


このゲーム、フェルドらしくアクションの方法が非常に変わっている。5色あるさいころを代表がひとり振る。各プレイヤーはそのうち2個のさいころを選択し、出た目の数だけそのさいころ色のアクション駒を自分の羅針盤ボードに置く。例えば緑の3と茶色の5を選べば、緑の駒3個を3の羅針盤ボードに、茶色の駒5個を5の羅針盤ボードに置くわけだ。それから羅針盤は時計回りに60度回転する。で、矢印を示しているところのアクション駒が今回、手番で使えるアクション駒となる。


これがこのゲームの大きな特徴の羅針盤。各自これを持っていて、サイコロを振った後、2個ずつ選ぶのだ。早くに使える駒は数が少なく、6の目なんかは6個貰える代わりに使えるのは6ターン後だ。毎ラウンド60度ずつ回転して使える駒が解るようになっている。例えば今回は黒駒1個が使えるが、次ターンは灰色が2個使える。非常に面白い試みだが、これらはそのターンに使わなければ失われるので、使いこなすのはかなり難しい。

アクション駒を使って、カードを活性化したり、貿易品を買うたり、航海に出たりする。その際、色が何色か指定されているので、数色集まるように羅針盤に置くのが秘訣だ。基本は、アクション駒が多い方が当然出来るアクションは多くなるのだが、上に書いてある通り、時計回りに60度回転していくので、6の目なんか取ったら駒は6個貰えるかも知れないが、6ターン後まで使えないというジレンマとなっている。


ボードの回りに順番に出てくるカードがずらりと並ぶ。また個人ボードもあり、ここに活性化させるべきカードが並ぶ。活性化させるにはカードに描かれているアクション駒の色と数が必要なのだ。ボード右はマカオの街、左が航海ゾーンだ。

これがやってみると非常に難しい。

mia「何を取ったらいいのか解らない」

わし「ほんまやな。出来る限り数色持った方がいいんやけど、なかなか上手いこといかんわ」

いっちゃん簡単なんは、ぞろ目のさいころを取ることだ。そしたら、その色は間違いなく数ターン後には、同じタイミングで使える。なんせ同じ羅針盤の場所にアクション駒を集めないとタイミングがずれて、狙っていたカードが手に入らなくなるのだ。2色、3色を必要とするのが結構ある。

なんとも不思議なゲーム。

それに増して辛いのが…

mia「あ、羅針盤の場所に駒がない」

わし「それやってもたら、罰則でマイナス3点な」

そう、60度回転させたところに駒が1つもないと、当然、今回アクションは出来ないばかりか、マイナス3点も食らうという恐ろしいシステム。まさにフェルドならではの罰則システムだ。

mia「もう、この人のデザインは、息苦しいわあ」

ゲームとしては、2009年の流行となった貿易のゲームらしいが、ほとんど貿易はしません!(きっぱり)
手番に行う事は、貿易品を買うことで得られる土地の支配(各土地に置かれている貿易品を買うと自分のエリアと出来る)と、カードを活性化させて特権を得る事である。特にこのカードの活性化が大変なんだわ。

毎手番、必ずカードを1枚取る。で、これを自分のボードに表向けに置いておくんやけど、キープ出来る枚数が限られてる。これをオーバーしてしまうとまたしてもマイナス3点である。さらにゲーム終了時に残っててもマイナスを食らう。活性化させたらそれなりに特殊能力が発動するのだが、もう、これが毎手番どうしようと不安で不安で。頼んでないのに、次から次へとやってくるのよ。まじで凄い負担。


これが常にプレイヤーを脅迫し続けてくる個人ボードに置かれた『活性化させろー』というカード。あふれるとマイナス点だ。かといって羅針盤の駒が思うように置けないのだ。右下のタイルは貿易タイルで、マカオの街にあるところからアクション駒を使って持ってくる。この人らは、負担にならない。航海させて必要な国にいけば勝利点をもたらしてくれるのだ。

ゲームはむしろこのカード活性化処理に追われる事になる。

mia「あ、オーバーした」

わし「ほな、マイナス3点な」

mia「ちょっと、これ息苦し過ぎない?」


フェルドらしく先手に大きなアドバンテージがあるので○の駒で先手を争う事になる。マカオの街で交易タイルを手に入れるには、描かれたアクション駒を支払えばいい。タイルを取り、代わりに自分のマーカーを置く。後に街も得点となるので陣取り要素もあるのだ。船は、アクション駒を1個つかえば1マス進める事が出来るが、こいつらが本格的に動き出すのはゲームの終盤も終盤だ。まずはカードの活性化に目処が立たないとそれどころではないからだ。

強いカードは数色のアクション駒が必要な事もあり、怖くて取れない。しょぼいのんを取って次々に活性化させる方法をとる事にした。


なるべく達成しやすい単色のカードを選んで次々に活性化させるのに成功。活性化させたカードは書いてある特殊効果を使う事が出来る。

特にこのゲームはお金に非常に困る。よってお金を生み出すカードを優先するのが最初の目標となるだろう。

お金は何に使うかって?

それはですな、

わし「今手番は7ゴールド払えば、勝利点9点得られます」

と、カードに描かれたお金を払えば、決まった勝利点を得られるフェイズがあるのだ。この勝利点の割合はゲームの中でも恐ろしくでかくて、これで勝敗が決まるんじゃないかといってもいいくらい。数手番に1度しか買えるお金を持てないもんだから、もし、他のプレイヤーと買うタイミングがずれてしまうと致命傷となる事もありうる。安く、より多くの勝利点が入るタイミングってのがあるのだ。

な?

まったく貿易してへんやろ?


たっぷりお金を集めて、一気に勝利点を得る。もし良い機会の時に、他のプレイヤーに追随することが出来なければ、負ける。それくらい強力な勝利点がこのラウンドに使うお金で、他のプレイヤーと同条件で手に入ってしまう。遅れないように気をつけねばならない。

実際に自分の船が動き出すのはほとんど終盤にさしかかった頃である。

各貿易港には求める貿易品があって、そこに土地から購入した貿易品をお届けするのだ。出来る限り船を動かす負担を減らすためにまとめて同じ貿易品を届けたいものだ。といっても、出航してから貿易品を手に入れてもきちんと届く不思議なシステムなので、出航待ちはする必要はないのだが、なんせ手番に出来る事は毎回カツカツなので、船を動かす為にアクション駒を消費する事が出来ないのだ。


かなり上手いこといったわし。船で、必要な貿易タイルを届け終えた頃がゲームの終わり。マカオの土地開発はmiaの方が上手くいったようだが…

このゲームでは3箇所も回れば上々の貿易野郎だ。この部分をもっと活発に行えるようにしないとテーマからはかなり外れてる気がするんやけど。

例のアクション駒獲得の妙により余力が増えてくる後半に船が動き出す事になる。手に入れる貿易品も、各エリアの一番大きな面積が勝利点となるので、考えて入手せねばならない。
重要な役割を果たすのが、ジョーカーの貿易品である。これはアクション駒1個の代わりになったりと使い勝手が良いので、1つは持っておいて損はないだろう。


miaはマイナスを5回も食らってた。カードの活性化が上手く出来なかったのだ。

結局、カードを全て活性化させたわしが、残しまくったmiaにぶっちぎりで勝利した。

所要時間120分

miaのコメント

この人のゲームはどうしてこんなに苦しいの? 爽快感がない。

ソマーリオ

複雑な特殊効果処理を得意とするフェルドだが、これはあまりにもテーマとはかけ離れている気がした。アクションポイント駒の取得方法が非常に変わっており、今まで使った事のない脳を使う感じがして非常に脳がむずむずする。

なんとも自分の思うようにいかない歯がゆいシステムで、どのように組み合わせればいいかのパズルをやっているようだ。翌日、もう一度やってみたが、やはり感想は同じだった。
そして一番肝心の貿易というのがおざなりにされて、一体どこを強調したいのかさっぱり解らない迷走したシステムとなっている。ひょっとして本来は別のテーマだったものが、バスコダガマ、エンデバーをみた感じ、今は大航海時代が流行だ、なんてメーカーの販売理由で変更されたのかも知れないとつい考えてしまう。

またお金で買う勝利ポイントが、なんともボケた感じがしてしまう。どんなけお金があろうと、支払い額が決まっており、それだけ払えば勝利点が同じだけ皆に入る。これがプレイヤーに充足感をまったくもたらさないのだ。やってみると解る。
このゲームで強調したいのはここだろうか? 他の部分が仰々し過ぎるところからそれはない。その割に、得点が大きすぎる。

aleaのコンプリートを目指している人か、フェルドのファンか、システムフェチくらいにしか勧める事は出来ないかな。
もう少し煩雑な部分をしっかりとまとめあげて、シンプルにすればフェルドらしい名作となりそうだったのに残念だ。船の部分を抜いてしまった方がいいのでは? 貿易部分はプレイヤーがやるのではなく、例えば貿易ボックスみたいにブラックボックス化させればもっと上手くまとまったように思う。あまりに要素が多すぎるのだ。

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