北条投了

チキンダイスゲームズ

4〜6人
10分

カツカレー喰ってる場合か!?


世はまさにデフレ時代。この国では庶民感覚のわかる政治家が求められています。
プレイヤーは責任野党の党首となり、さまざまな物品の『庶民的な』適正価格を模索していきます。
もっとも名誉点を多く集めたプレイヤーが勝者です。

プレイ感


ゲームマーケット2014春にオビ湾が買うた方がいいですよと絶賛したのがコレ。デザイナーの北条投了って人は他にも佐村ァ後ろ後ろ!!やツキサスホールデム、ステステマーケティングなど時事問題をパロディ化した同人ゲームをよく作っている。
このカツカレー喰ってる場合か!? も安倍総理が食べた3500円もするカツカレー問題と麻生のカップラーメンの値段当てクイズといったお偉方の庶民感覚とかけ離れた事を風刺してる。

まあ、ここまでくると、しょうもない同人ゲームかと思ってた、わしも。たまたまゲームマーケット前に佐村河内を題材にした佐村ァ後ろ後ろ!!のルールを読んだら、それが凄くおもろそうだったのだ。そして今回、オビ湾の発言である。テーマ的にすっげぇおもんなさそうやし、別に庶民とかけ離れてても全然問題ないと思ってた話題だったが、そこまでオビーが言うのならとわしも購入することにした。

それからタナカマ夫妻、COQが来たときにやろうという事になった。

お金カードを全員に配りきる。お金は120円から1000万円まで、様々に(そして絶妙に)分布されている。
で、順番に場にあるカツカレーやゴルフの会員権など物品カードの適正価格を皆で決めていくのだ。


お金カードは4人だとちょっと枚数が多いのが難点。

基本は競りで、一斉に場のカードの価格カードを出す。一番高い値を付けたプレイヤーがその物品カードを貰えるのだが、2番目に高い値を付けたプレイヤーの2倍以下の値段でないとあかん。つまり2倍を超える金額を付けた場合「庶民感覚に乏しい!」として却下されるのだ。その場合、2番目の値をつけたプレイヤーが権利を手にするが、これまた同様に3番目の値の2倍以下かをチェックするのだ。これを繰り返していくのだが、4人の場合は4人目のプレイヤーに落札権利は発生せず捨て札となる特別ルールがある。


一発目はお題通りのカツカレーである。これを一斉に値付けする。タナカマ、35万円って! 2位のCOQが8000円で、倍を超えるのでアウト。3位のわしが3500円なので、これまたCOQはアウトという風に落札者を決めていく。

落札に使ったお金はその物品カードの値段として自分の場に置いておき、落札失敗したお金カードを時計回りのプレイヤーが手札に補充する。落札者は補充なし。
こうやって繰り返して、物品カードの勝利点を一番獲得したプレイヤーが勝利。ただしカップラーメンだけは逆競りになってる。


落札したカードはこのようにお金カードとセットにしておき、なんぼで落としたか解るようになっている。これはシステム的にも感想戦にも意味を成す。

これ、ルールを読んだだけでかなりしびれる内容だ。
で、実際にやってみると、これが実によく機能する。

2倍以下というのが絶妙で、ちょっとだけ2倍を上回る事がよくあり、場に出るたびに一喜一憂する。
価格カードの分布がとても見事なのだ。


わしの落札した(値付け成功した)カード。価格が全て残るので感想戦で盛り上がれるのだ。

まるでジェットコースターのように次々に価格が決まっていき、最後は清き一票を3万2千円の価格を付けたCOQがぶっちぎりの勝利をかっさらった。

所要時間10分

COQのコメント

タナカマさんがカツカレーに35万円をつけたのには驚きました。三鷹ではぼったくったお金で35万円のカツカレーを食べてるんですね。

タナカマのコメント

システムとしてはクイズイイせんいきまSHOWに少し似てますね。でもしっかりとしたシステムで面白かった。

ソマーリオ

オビ湾が絶賛しただけあって、非常におもろかった。プレイヤー全員が物品カードの相場をある程度共用していないと値付けが上手く出来ないが、別にそんなに特殊な内容はなく子供以外なら問題なく出来るだろう。
このシステムの凄いところは、安倍総理や麻生副総理などとこのゲームをやったら、ほんまに庶民感覚との差が出てくるところである。
つまりゲームなのに、マジでテーマ通りの内容となっているのだ。

ゲームではなく、ゲーミフィケーションとも呼べる存在かも知れない。純粋にゲームのシステムを楽しんでいるのか、お互いの感覚の違いを楽しんでいるのか、もはや解らない。

プレイは非常にテンポよく、次から次へと価格が決まっていく。
このゲームの唯一の弱点はそのコンポーネントだろう。恐ろしくカードがぺらい。収納している箱も弱弱である。テーマやタイトルはキャッチ能力が低いので、別名を考えてリメイクした方がいいとも思うが、このテーマやタイトルだからこそ、面白みがある。あまりにもテーマがばっちり過ぎるのだ。

北条投了氏の他のゲームのルールを読むと、この人は完全に和製チーパスなデザイナーなんだと思う。こういったふざけたチープなゲームを作ってるからこそ面白みがある。
この人のゲームを集めてみたいと思った。素晴らしいセンスである。

と、ちょっと待て。どっかでこの名前を見たことがあると思って調べてみたら、謀略級三国志の作者であった。なるほど! 通りでしっかりしたシステムやわ。簡単なこのゲームからこんな複雑なものをまとめるあたり、チーパスというよりもフリーゼのような毒のあるデザイナーなのかも知れない。もう少し他のゲームをやってみなくては解らないが、天才的な煌めきをみた気がする。

gioco del mondo