北条 投了

Game Journal

4~9人
60分

謀略級三国志 -ゲームジャーナル25号付録-

場所は中国、時は三国時代。
中原の覇者たらんと各地に群雄が割拠した。
魏の曹操、呉の孫策、蜀の劉備。
彼ら群雄を救うのは軍師の存在。
謀略の数々を尽くし、彼らの天下統一の助けをすべし。





プレイ感

ゲームジャーナルという雑誌の付録で、評判が高かったので購入したはいいが、昔ながらのシミュレーションチックな駒の多さと、ルール分量の多さに読む気が起きなかった。タナカマが面白いのでやりましょう、説明もします、というのでこれ幸いとゲーム大会を開いた。タナカマ夫妻、OEC、miaと、前日にドタキャンしたオビ湾をほっといての5人プレイ。


このゲームでは群雄になるのではなく、軍師になる。各自、軍師カードを秘かにみて書いてある勝利条件を達成するというもの。おもろいところは、どの国に仕えてもよく、簡単に辞めたりできるというところ。また他のプレイヤーがすでに軍師となっているところに一緒に軍師として使えてもいい。これは三国時代というより、食客をたくさん抱えた諸子百家の時代ともいえるルールやな。おもしろい!

なんせ潜り込んで、その国を動かすことで勝利したり、或いは逆に獅子身中の虫としてその国が滅ぶようにゲームを進めて、本命の国に仕えなおして勝利といったことが出来る。


最初の準備が結構めんどくさくて、陣営ごとにストックマスに駒を置いてから、初期の配置を行う。

自分がなる軍師カードには、諸葛亮や周瑜をはじめ、龐統、田豊など三国志ファンならたまらん面々がいる。当然、これらは特殊能力が違っているのだ。納得いかんのは諸葛亮の能力がぶっちぎりで周瑜が負けているところだ。
また盤上に軍隊として置かれる駒も最強の呂布を筆頭に関羽、張飛、許褚、太史慈、甘寧など数値の違う戦闘力が描かれている。

プレイヤーはまず説客として、自分の使える群雄を探すことになる。さいころ任せで場所を移動する遊説をしてもいいし、1マス進んでもいい。同じマスに群雄の勢力があるならば、それらを引き連れて他国を攻めにいってもいいし、その勢力に2駒補充してあげることも出来る。

しかしもっと強大な権力を欲するなら、ずばり群雄に仕えることだ。軍師になれば、その勢力を全て操作出来るようになる。これらは全てアクションと呼び、手番には2アクション出来る。
ちなみに軍師を辞めることも自在で辞めるにはアクションを消費しない。その場合、再び説客となって、うろうろすることになるだろう。

※説客のうちは、同じマスにある駒のみを引き連れて移動出来る。軍師になれば、自分と同じマスという概念がなくなりその勢力全ての駒を移動させる事が出来る。

中国でいう縦横家というやつだ。口先三寸で、国家をどうこうしようとする学問だ。

戦闘は、指揮官駒の戦闘力にさいころ1つの目を足して比べるだけ。負けた方は、駒を1つ取り除き、どちらかの駒がなくなるまで繰り返すだけ。

勝利ポイントはプレイヤー人数によって違っており、5人プレイの場合は17点集めたら勝ちである。勝利点の基本は、エリア1つ1点で、黄色のエリアは2点。これに軍師カードの特殊計算が付加される。例えば周瑜なら呉の軍師の場合、得点を1.5倍(切り捨て)するとか、田豊なら袁紹が場にいなかったら-2、北平を押さえていれば得点2倍とか、そんなん。

要は史実通りに仕えれば得点になんらかのボーナスがつくと言うことだ。史実通りでなくとも勝てるというのがいい。


このように配られた軍師カードに色んな能力と勝利条件が書かれている。

わしのキャラクターは賈詡。魏呉蜀以外で得点すると1.5倍。曹操が場にいなければ+2点。
となればまずは魏呉蜀の勢力をそげばいいかな。蜀は小さいのでほっといて一番勢力のあるのは魏だ。そこで魏のそばにある強国を探すことにする。


国は道によって繋がっているが、水色は水路となっており、軍師にそういう特殊能力がないと移動は出来ない。またマスの番号はさいころを振るときの目的地の番号となっている。説客の場合、よくこれをつかってあちこちに飛ぶ。

わし「董卓は居らんの?」

タナカマ「董卓は既に討伐された時代からなんです」

董卓居らんのんやったら、呂布しかないな。居っても董卓より呂布やねんけど、勢力を確認したかっただけ。ここは呂布の軍師になることにした。

皆が遊説によって軍略カードを手に入れてる中、わしはたまたまの配置が呂布の隣。普通に移動して、呂布の軍師になる。これで2アクション消費。

※軍略カードは三顧の礼や連環の計、泣いて馬謖を斬るなど三国志にでた有名なエピソードを特殊効果として表しているスペシャルカードで、普通に手に入れることも出来るが、遊説によって中立地帯に移動すれば貰うことも出来る。

次のターンには、軍備増強するために2駒ストックから配備。よし、これで整った。


呂布軍を使ってボコボコにしたろうと思った矢先…

タナ嫁「新時代の幕開けです」

タナカマ「この軍略カードは引いたら即座に公開して処理を行うんです。これが4回出てもゲーム終了です。内容は、今現在ストックにある群雄駒と孫策駒を死亡ボックスに移動させるのと、呂布駒をストックに戻すことです」

な、な、なんじゃそりゃあ!

呂布駒いきなりストックへ。

わし「孫策なんもしてへんのに死亡したで」

タナカマ「まあ、今回は早く出ちゃいましたね。そういうこともあります」

まあ、このカードが引かれる度に呂布がこうやってストックに戻るのはある意味リアルではある。ストックに戻された駒は配備アクションすれば簡単に戻すことが出来るので実はそんなに痛くはないのだ。

で、次のターンに呂布を再配備して、魏に出陣じゃ。

そのころ、タナ嫁はちょうどわしが攻めた魏の許昌エリアに遊説にきてたので、タナ嫁が魏の軍隊を動かすことになった。

お互いに指揮官を決めるが、群雄がいる場合、必ず群雄を指揮官にせねばならない。わしは呂布なんで問題なし。タナ嫁も曹操なので問題なし。どちらも最強駒だ。さらに戦闘力を加算する軍師駒もいる。

わしは呂布(4)+軍師(+1)+自分の軍師能力(+1)で戦闘力は6だ。タナ嫁は曹操(3)+軍師(+1)で戦闘力は4だ。これにさいころ1個をお互いに振って勝敗を決める。同じ数字なら攻撃側の負けだが、さいころを振る度ことごとく撃破につぐ撃破で、どんどんと魏の駒が減っていく。

最後に残った曹操もストック送りにして、呂布があっという間に許昌を制服した。

さらに奥地に進む。向かうは洛陽、そこには夏侯淵(3)がいる。さすがに魏軍は揃ってるのう。しかしそこでも呂布旋風が吹き荒れ、魏軍再び壊滅。


呂布、洛陽を落とし、さらに進撃をする。まさに乱世の英雄。

OEC「呂布つえええ!」

わし「いやあ、史実通りでしたな」

そこからもあちこちから反撃を受けるも撃退しまくる呂布。まさに鬼。

OEC「このままいくとやばそうなんでこのカードを使います」

軍略カードを出される。

そこに攻めに行け。無理なら解雇みたいなカードだ。
納得いかんのは、どこにでも攻めるエリアを指定出来るみたいで、遠くの場所を指定されたら、物理的に無理ってところ。だって2アクションしかないから最大でも2マス先しか進められへん。タナカマに確認取って貰ったけど、そうっぽいですという返事。これは絶対に間違ってると思うけどなあ。

OECはさすがに物理的に無理なところを指定してもおもしろくないやろということで、2マス先を指定してきた。

でも、別に呂布で魏の勢力を削ぐのが目的やったから別にかまへん。あっさり軍師を降りて、説客に戻ることにした。

OEC「えー、辞めるんですか?」

わし「それなりに目的は達したからな」

ここがこのゲームのおもろいところ。別にその勢力は自分のものではないのだ。単に間借りしてただけ。


呂布の軍師をやめるわし。これにて呂布の進撃は終わりを告げる。まあ、元々駒が少ないので大きく版図を広げる事は無理な勢力やったけど。

ところがこれが失敗やった。わしはさいころで西方にとばされて馬騰の付近をうろうろする羽目に陥った。馬騰は馬超がいるんで強いんやけど、あまりにも辺境すぎる。

※説客の移動方法の遊説は、さいころを2回振って、それぞれ一桁目と二桁目とみなしその数字エリアに移動する事が出来る。運次第って奴だが、これが辺境ばかりに飛んでえらい目にあった。

中原ではタナカマが呉に仕官して、ぐんぐんと勢力を伸張していく。

わし「えー、これやばいんちゃう?」

タナ嫁も呉にいき、軍隊を動かそうとするが

※軍師以外のプレイヤーは同じマスの軍隊を動かしたり、配備したり出来る。

タナカマ「その動きストップ。行っちゃ駄目」

軍師には拒否権があり、移動に関してだけストップをかけることが出来る。
ストップをかけられてもアクションは消費しないので、タナ嫁は別の行軍をおこなった。

もうこうなると呉が強力すぎた。わしはなんとか中央に復帰したくて遊説さいころを振るが、延々と馬騰の付近をうろうろしてるだけ。
なんとか呂布もしくは魏か蜀に戻らんと。焦りが募る。

しかし時は遅かった。暴れ回った結果、タナカマが高らかに勝利宣言。

タナカマ「勝ちました。僕は周瑜です」

呉の勢力ならば1.5倍で、確かに17点に達していた。

所要時間60分


タナカマの周瑜が勝利。

1回だけでは異常にめんどくさかったセットアップがもったいないというので、2回目をすぐに始めることにした。

わしの引いたのは周瑜。なかなか呉の近くに遊説出来ず手間取ってる間に、miaとタナ嫁が袁紹の勢力を伸張して、一気に北部を制圧する。

タナカマ「やばい、あれ田豊じゃないですか? 北平を取ったら2倍になるんですよ」

その通り、miaは勝利宣言。

mia「田豊でした」

ふーむ、あの田豊が袁紹に重宝されるとは、ゲームとはいえ良かったのう。

所要時間60分

miaのコメント

三国志知ってたら面白いと思うんだけど、三国志は知らないわ、ルールはややこしいわで、よく分からなかった。

タナ嫁のコメント

三国志知らないとどうしようもないかな。

ソマーリオ

久々に本格的なシミュレーションゲームをやったけど、やっぱりルールがややこしい。アクションのルールが煩雑やし、軍略カード、軍師カードの特殊効果も多すぎる。なんせ色々とテキストが多すぎるのだ。特にドイツゲーム慣れした今となっては強く思う。

三国志ファン、もしくはシミュレーションになれた人ならば、すっと入って楽しむことが出来るやろうけど、このメンバーではちょっと難しかったみたい。

ゲームとしてはプレイヤーの立ち位置が非常におもろいと思う。この立ち位置で今までやったことのあるゲームといえば、ルネッサンスの君主がそうかな。

もうちょっとシステムを美しく、簡素化出来たら非常におもろいゲームになると思うんやけど、そうなると三国志マニアからは物足りなくなってしまうだろう。マニアにとって武将の能力を数値化して名前を印字するというのは、必要不可欠だからだ。

また軍略カードには、三国志の名シーンが描かれており、これまた変更することなど出来ない。知ってる人にはそれを読んでるだけで楽しいのだ。

ただし、ひとつだけ修正できるところがある。こんなけ大きな風呂敷を広げて色々出来そうなのに、動かすところがちょっとだけということだ。盤面がダイナミックに動かず、プレイヤー同士が戦うというより、それぞれがソロプレイをやってる感があるのだ。中国大陸が広すぎるのか、5人でやるにはちょっとボードが広すぎるように思う。そこを改善すれば、このままでも相当なレベルのゲームになるだろう。

そう、プレイ感は同じ日にやったサマルカンドにそっくりなのだ。勢力は自分のものでなく、中央勢力とはそんなに関係なく、端っこでこちょこちょやってたらゲームが終わるといったところなんかそっくりだった。サマルカンドの方が完成度は高いが、三国志ファンというのはそういうもんでもないだろう。

一昔前のシミュレーションゲームと違い、1時間で収束するところは特筆すべき美点だと思う。そしてまた、一見すると煩雑なようだが、非常にプレイアブルだ。昔、実際にやってみるとプレイ出来ないなんってゲームが多々あったが、このゲームはしっかりとゲームすることが可能なのだ。

※ドイツゲームから入った人には信じられないかも知れないが、シミュレーションゲームには到底プレイ出来ないようなものが平気で売られていたのだ。

個人的には三国志のムードがしっかりとあり、メンバーがメンバーやったら一日やりこんでみたいなと思う。かなり気に入った。三国志好きなら絶対に持っておいて損はないと思う。ゲームジャーナルの付録なのでまだ手に入る。しょうがないので、miaに天地を喰らうあたりでも読まそうかなんて考えてる。

視認性をよくするために、自分の駒は、木製のポーン駒を推奨したい。どこにおるのか分からんようになる。また、説客、軍師と駒が分かれているが、分かれている必要はまったくなく、各色のポーン駒さえ用意すればプレイアビリティは格段にあがるだろう。

gioco del mondo