Asger Harding Granerud
Daniel Skjold Pedersen

Days of Wonder

1〜6人
60分

ヒート

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レース場は熱波に覆われ、第1コーナーも陽炎にゆらめいている。太陽がレースカーの金属の車体に反射し、君はゴーグルの位置を直す。周囲のレースカーもゆっくりとポジションにつく。
観客のざわめき、風にはためくフラッグ、エンジンの静かなうなり。夏の青空の下、ポールポジションの君は静かに時を待つ。
カウントダウン。
突然の轟音が空気を切り裂き、すべてのレースカーがコントロールラインを飛ぶように走り抜ける。
グランプリの開始だ。第1コーナーに入る君のヘルメットを埃と風が吹き抜けていく。エンジンを限界まで吹かし、がっちり 握ったハンドルでスピン寸前の車体を操ると、コーナーをすべり抜けたレースカーはまだ先頭だ。
もらったぜ!

プレイ感

レースゲームなのにやたらと発売前から人気がでた。わしはF1が好きだったのと、映画グラン・プリが好きだったので同じ古きF1をテーマにしているというので予約してた。
基本的なルールは思ったより簡単だったので、コタ12歳、そーじろ8歳、miaで4人プレイした。

このゲームやたらとステップ数が多いが、やることはそれほど難しくないので一つ一つやっていけばいい。が、ルールの不備が多いみたいで、この場合どうすんの? みたいなのがあって、BGGでも話題になってるので、FAQは見ておいた方が良い。
わしもルールの間違いがあるかもしれんが、とりあえずわしの認識でやってみる。


各自、同じデッキを使う。スピードカード(0〜5)に、ヒートカード1枚の構成となっているが、これにボードで決められたストレスカードを混ぜてデッキとして個人ボードの一番左に置く。そこから手札は7枚だ。
またボードにはもうひとつヒートカードの枚数指示があって、この枚数を個人ボードの真ん中に表向きに置いておく。
今回やったアメリカマップでは、ストレス3枚、ヒート6枚なので、ストレス3枚を自分のデッキに混ぜてシャッフル、ヒート6枚を個人ボードの真ん中に表向きに置いた。


個人ボード。左にデッキ、真ん中にヒートカードをおく。ヒートカードを使うようなリスキーな走りをしたときに、捨て札に置き、次回シャッフル時に手札に入ってくるというデッキ構築型のシステムだ。このゲームでは、デッキ圧縮するのは、このヒートカードを取り除いて、再びこの真ん中に戻す行為となる。

駒をグリッドを適当に決めて配置。通常レースゲームは先頭ほど有利だが、このゲームではスリップストリームとアドレナリンとブロック不可のルールなので、まったく気にしないで良い。


アメリカマップのスターティンググリッド。コマの出来はかなり良い。

以下、1と2だけは同時に行う。
1.全員、ギアを1段階上下まで移動させて良い。2段階変える場合は、自分のヒートカードを1枚捨て札置き場に置く。
2.今のギアの数だけ手札を選ぶ。ヒートカードは選べない。
3.これ以降(3から9まで)は先頭から順番(同じ位置ならレーンマス側)に手番を行う。カード公開する。ストレスカードの場合、デッキからスピードカード(上部にスピードメーター記載)のカードが出るまでめくっていく。それ意外は捨て札に置く。出したカードの合計値が移動力となり、空いていれば可能な限りレーンマス(内側?)で移動を終える。基本ブロックされないが、同じマスの場合、1個後ろのマスに置く。
4.一番後ろのマスにいるプレイヤーはアドレナリンとして、1マス移動させたり、手持ちのヒートカードを真ん中のヒートカード置き場に戻しても良い。
5.ギアなどによって得られるヒートカード戻しアイコンや、+アイコンのストレスを利用してもよい。
6.真後ろにつけたり、横につけたりした車はスリップストリームとして、できる限り2マス進めても良い。これでコーナーラインを超えた場合は、数に入れられる(FAQ)。
7.コーナーラインを超えた車で、移動力がコーナーラインに書かれた数字を上回った場合、その数だけヒートカードを自分の捨て札置き場に置く。それでも足りない場合は車はスピンして、コーナー手前で、1速からのスタートとなる。
8.要らないカードを捨てるが、ヒートとストレスは捨てれない。
9.手札が7枚になるようにデッキから補充する。

こうして、ボードの書かれた周回数を周りゴールしたタイミングで一番先に進んでいるプレヤーが勝利だ。ゴール以降のマスではスリップストリームの効果はない。


手札。役に立たないヒートカードが1枚入っているが、最高でも4枚出しなので実はあまり影響がない。
0のカードは一体なんの役に立つのかと思うだろうが、コーナーで変速を落とすことなく曲がるために使えたりする。このゲームではコーナーの進入速度が判定基準となっているからだ。

このゲームはフォーミュラ・デのようにできる限りリスキー、つまりヒートカードをガンガン放り込んで走ることが大事である。

つうわけで、わしは序盤からヒートカードを放り込むような2段階ギア上げなどを行っていく。かたやそーじろはビビりつつしっかりとコーナーでギアを落とした安全運転だ。


ここまでテールツーノーズで進んでくる。

わしは最初のコーナーをそのように抜けて、次の一番長いバックストレートにかけて、一気にギアを4にあげて加速する。

離したか!?


一気に引き離したァァ!

しかし、アドレナリンやスリップストリームの効果を使って、あっという間に追いつかれてしまう。
ブロックできないので、スルーしまくりだ。

次のヘアピンもあえてヒートカードを浴びながら曲がっていくが、これまた追いつかれる。そーじろの安全運転であってもまったく差がでないのだ。

常に4台は見事なまでに団子状態。ただし順位はコロコロと変わるが。

mia「これ、どうやっら勝ち?」

わし「本来なら2周やけど、1周でええかな」

そう、これ、何周やろうとも同じ展開なのが見えてきてしまった。
ギアやヒートカードの駆け引きも、アドレナリンとスリップストリームの絶大な効果を見れば、微々たるものなのだ。

最後に、どのようにカードを集めるかだけが勝負に思えた。

そういうわけで、最後のコーナーはヒートカードをぶっこんで、一気に進めることにした。

コタ「あ、そゆこと。じゃあ、僕も3速にするね」

思った以上にパワーをかけて、ヒートカードを思いっきりぶっこんで、コタはとうとう先頭にたった。


簡単に追いつかれて再び団子状態どころか、コタに抜かれてしまった。

やべぇ。この差を埋めれるか?

最後、わしの手元は5と4のカードが2枚ある。もう1枚4のカードがデッキに埋まってるが、0もまだ出ていないので、ストレスカードによるリスクは犯せない。

4速にして、5,4,4,3を出すことにした。

コタはなんと3速で行こうという。

これは勝てるのでは?


ほぼマックスのカードで勝負を決める。

カードをオープンするとmiaはストレスカードによるギャンブルを賭けた。

mia「やった! 5だ」

わし「いや、5はスピードカードじゃなくて捨てよ」

mia「えええ!!」

結局、わしのスピードがそのまま炸裂して一気にゴールをかけた。

うぉぉぉん

引き直したもののmiaは4速を使ったおかげで2着に。

うぉぉぉん

コタ「しまった。4速で良かったのか」

うぉぉぉん

コタ3着


結局この順位で決まる。思いっきり接戦であるが・・

所要時間45分

確認しながらやったので時間が掛かったが2周でも1時間で終わると思う。

miaのコメント

なんか妙な感じのレースゲームだった。

ソマーリオ

デッキ構築型でレースをするというシステムは新しい。しかもそのデッキの構築の仕方がマイナス方向への構築なのだ。
ヒートカードを出し入れすることで、不思議な感じのハンドマネージメントを行う。リスクを取ることで、スピードを上げて、そのリスク(ヒートカード)をどのタイミングで戻して、また利用するか? ルールを読む限りそういう風に感じた。
ちなみにストレスカードは何かというと、コントロール不能な事を表している。

システム的に目新しい感じがするのだが、残念ながらまったくエキサイティングなゲームではなかった。
再三書いているように、アドレナリンとスリップストリームの効果が強すぎて、かつ、毎ラウンド起きるもんやから、カードハンドリングもクソもない。またブロックできないってのもそれに拍車をかける。

そもそもコーナーにインアウトの有利不利がなく、とりあえず、同じ順位の場合、どちらを先に優先させるかだけの判断にしか使われていない。よって、最初は優先度の高いマスに移動させることというルールになっている。

なんかだだっ広い道を好きなカードを出して進めるだけの印象でしかなかった。

上級ルールでは天候やカスタムチューンなども加わるようだが、基本がこれではレースゲームの醍醐味を感じられない。。
レースゲームなら名作は多いし、車の制御ということであれば、ラリーマンシリーズが秀逸である。
フォーミュラ・デは面白いが、最初のスタート位置で順位がほぼ決まってしまうという欠点がある。
アヴェカエサルも先行圧倒的有利なところもあるが、駆け引きがめちゃめちゃ熱い。

それに反してヒートは、システムは変わっているが、なんせプレイ感がぬるすぎる。

コンポーネントは、驚異の2面ボードが2枚入り、カードの収納も考えられており、車のフィギュアも出来が良くて、いかにも拡張出しますよと言わんばかりの仕切りになってて、メーカーの気合の入りっぷりは凄い。これについては文句なし。

デッキ構築に馴染みがある若いプレイヤーには、そういう層には受けるのかもしれんな。
BGGでやたらと評判が高いのだが、わしのルール解釈が間違うてるんかね?
あまりに気になったので調べてみるとこのデザイナーコンビはフラムルージュという自転車レースで高評価を得ており、そのシステムを自動車レースに持ってきたのが本作だそうだ。

フラムルージュは気になったので輸入してみたので、またレビューすることにするが、ルールを読んだ限りだと、このシステムはロードレースには合うがカーレースには合わないんじゃないかと思う。ただカーレースであってもNASCARなどは、このシステムには合いそうだ。

もうあのスリップストリームとアドレナリンがすべてを台無しにしてるような気がする。
なんで評判が良いのかまじでさっぱり分からん。
かつてのセリフ、教えてPer favore.

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