Wolfgang Riedesser

Ravensburger

2〜6人
20分

アベカエサルBuono!

元老院及びローマ市民の諸君! チルクスマキシムスにようこそ!
ユダヤのベンハー、そして我がローマからは5戦無敗の王者メッサーラが出場します!!
……ご存知の通り当チャリオットレースは5頭の馬を操り、3周で勝負を決めます。
そして、今日、正面スタンド前にはメッサーラの勝利を疑わない皇帝がご観覧されております。
カエサル、カエサル、カエサル!




プレイ感

かつて10万円で取引されてた伝説のレースゲーム。そのゲームもメビウスがQ-JETでリメイクしてから誰にでも手に入れることが出来るようになった。

1レースが20分と短いので何度かやったが、今回はMIRU、ぴの、TAM、兄、わしの5人プレイにて。

序盤、スタートダッシュを決めたぴのが、執拗に要の1マスゾーンを占拠。

※自分の山札から手札3枚引いて使うのだが、1〜6のカードがある。出したら必ずその数だけ進めなければならないルール(駒を越えての追い越しは出来ない)になっているので、出せなければパスしなければならない。


コース全景。Q-JETと同じ配置である。人数によって表裏のリバーシブルとなっており、さらに白ルート青ルートの2種類のコースが使用可能。写真は前にやった時のなので文面とずれる。

兄「むかつくな、これ。どうやったらええねん」

後方に2という小さいカードを出して張り付く。

わし「我慢じゃ、我慢しかない、メッサーラよ」

その後方に2を出して同じように張り付く。

兄「なんでわしがメッサーラなんじゃい!」

※ メッサーラは映画ベンハーの敵役でごっつ悪い奴なのだ。

わし「お前、兄貴やからメッサーラやんけ」

さすがに5人プレイともなると、混雑この上ないな、しかし。。。


ポイントは1マスしかないマス。ここを抑えるのが先行するプレイヤーの秘訣。更に内と外では距離が違うところがミソ。

そこで、外を回って一気にでる馬鹿、もとい勇敢なMIRUがいた。

MIRU「おらおらおらー!」

外から一気に6を出してまくりだす。

わし「これギリギリの数しかないからあまり外回ってるとゴールできんようになんで」

MIRU「そうなん? だってカードないねんもん。5で」

相変わらず外回り敢行するMIRU。

阿呆や、こいつ。

※ゴールするのにぎりぎりの数しかカードはないので、あまり何度も遠回りするとゴールできないという厳しさがある。(落車したとされる)また出せるなら絶対に出さないといけないので、この場合しょうがない。

MIRUが外回りを敢行する(無駄なマス数進んでいた)も、ぴったりと前をブロックするぴのだったが、最終コーナー直前、とうとう、こらえきれずに前が開いた!

わし「おらー、ここじゃ、いけー!! 6」

もう手札でかい数ばっかりになってかなり苦しくなってきたので、めっちゃ助かったー。

ここで一気に先頭に踊り出るも、無理して前を抜けたから、カエサルに敬礼出来んコース取りをしてしまった。


ここに皇帝がおわす。コインをピンと弾いて敬礼するのだ! そうでないと不敬罪に問われ死刑(つまり失格)。

次々に、皇帝ロードを通る戦車。

ぴの「あべ…あれ? アベカエサル…あれ?」

コインをピンと弾いて、ローマ式敬礼(ヒトラーのやってる奴ね。これはナチが真似したのだ)で「アベカエサル!」と叫ぶのだが、コインをはじけず、ころころとテーブルに転がる。

TAM&兄&わし「えぇえ〜?」

ぴの「だって上手いことできひんで」

ぴの、何度も指に乗せるが、親指で弾けず、手首をあげるだけなので、バランスを失ったコインがころころと転がるだけ。

ぴの「もう、ええやん! アベカエサル!」

無理矢理、敬礼だけをするぴの。

こいつ、不敬罪で処罰やな。。

※このゲーム、3周する間に皇帝ロードを通って、皇帝に敬礼せねば不敬罪に問われて死刑となるのだ。これが結構緊張する。

兄「アベカエサル!」
ビシッッ!

TAM「決まりましたね! じゃ僕も、アベカエサル!」
ビシッ!

MIRU「じゃ、うちも。アベ…あれ? アベ…、アベ…あれ??」

お前ら、姉妹やな。。。

MIRU「もうええやん。はい、アベカエサルと」

わし「敬礼なってへんやんけ!」

MIRU「なんでやねん! 叫ばんとあかんのか?」

わし「ルールに、ちゃんとShoutしろって書いてるんじゃ!」

MIRU「うそお! ほな、アベカエサル!」
ビシッ

わし「コインは?」

……ころころ

ほんまヘタやな、この二人。。。

つう訳で、わしだけがカエサルに敬礼をせぬまま2週目突入。


激しい攻防。質感たっぷりの駒がゲームの楽しさに拍車をかける。

これ、まじで緊張すんねんて。最終コーナーでブロックされたらどうしよとか、入れるカードがそのとき手元にあるんかなとか。

とかいいながら、とりあえず、先頭をひた走る。今度はわしがブロックする番である。ここで前に出られて、皇帝の敬礼の時にブロックされたらかなわん。

何度か皆にパスさせるのを見計らって、、

わし「アベカエサル!」
ビシィィ!!

予定通りここで皆に抜かせて、6を出して追いつくのだ。

※ 先頭を走ってるものは6を出せないルールとなっているので、ずっと先頭を走るのは不可能なのだ。

後は、予定通り、何度か皆パスさせたおかげで、軽くちぎってそのままゴールイン!

所要時間20分

TAMのコメント

うわぁ、Q-JETよりこっちの方がいいなあ。

ぴののコメント

ブロックするのがおもろかった。

ソマーリオ

このルールのイメージに、高速で疾走する無機質なマシンは合わない。ちょっと泥臭い人間ぽいガツガツしたレースというのが合う。つまりこのローマの5頭立てチャリオットレースこそがシステムにマッチしていると個人的には思う。

なぜQ-JETにわざわざ高価な鉄製の駒を入れたのか? こうでもしないとアベカエサルの駒と釣り合いがとれないのだ。写真で見ると幅が細くてちゃっちく見える駒だが、実際に手に持ってみると樹脂製で出来ている為、でかく、重く、ずっと触っていたい気にさせる出来栄えである。

また皇帝への敬礼に関するルールもわざわざ樹脂製のコインを用意して、それを指で弾き「アベカエサル!」と叫ばせるところも馬鹿馬鹿しいがアナログゲームではとても必要なルールである。こういった無駄なことの楽しさが、アナログゲームの良さのひとつであるからだ。

個人的にQ-JETと寸分違わないルールであるにも関わらず、そのコンポーネンツの違い、雰囲気の違いで、違うゲームをやっているような感じがした。つまり2つ持っていてもいいという事である。うちではアベカエサルがやたらとでかいのでQ-JETの出番の方が多い。

なんと敬礼の楽しいことか! ローマおたくのわしとしてはそれだけで十分レベルである。かといって、今更このゲームを手に入れるのは難しくなってるので、Q-JETでそのシステムの素晴らしさを味わって欲しい。ただのレースゲームなのに、深いのだ。サイコロで進めるなんてしょぼい双六とはまったく違う。

豆知識 皇帝はエンペラーであるが、これは皇帝を意味するラテン語インペラトールから来ている。カエサルというのはユリウス・カエサル(人物名)の事で、ローマの皇帝統治制度を始めた人物(正しくはアウグストゥスだが、皇帝統治制を作ったのは疑いなくカエサルである)である。代々その偉大なるカエサルという名称が皇帝に与えられる事が許され、それが皇帝という意味にもなった。Caesarはゲルマン民族に伝わりカイザーと呼ばれ、ロシア民族ではツァーリと呼んだ。ちなみにシーザーというのは、シェイクスピアがカエサルを題材にした劇を作った時に、シーザーと読んだからである。

塩野七生の言葉を借りればカエサルこそは世界で唯一英雄と呼んで差し支えない人物である。カエサルの凄さは、塩野七生著のローマ人の物語を読んで貰うしかない。その中でもし現在にカエサルがいれば、すぐにカエサルの元にはせ参じて喜んで部下になった事だろうと評した人物がいるが、わしもまったく同じ気持ちである。おっさんになってから英雄になったってかっこよすぎる。

せっかくなので、Geekで公開されているヴァリアントルールを訳してみました。ラム(衝角板)のルールがおもろそう! もちろんQ-JETでも使えます。

あと、このチャリオットレースの元ネタとなった映画ベンハーを紹介。
古い映画やけどむっちゃおもろいので、是非見てみて。このゲームにより深く感情移入出来る。

gioco del mondo