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Michael Rieneck
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KOSMOS
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2〜4人用
70分
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ゴッドファーザー
ヴィトー「ボナセーラ、ボナセーラ。どうしてそんなに失礼なのだ?友人としてやって来たのなら、君の娘を痛めつけたクズどもを、今日のこの日にでも痛めつけてやろう。君のような正直者の敵であれば、私にとっても敵だ。クズどもは君を恐れることになるだろう」
ボナセーラ「友人としてお願いします。ゴッドファーザー」
プレイ感
タイトルをみて、中身がどうであろうと買おうと思った人はいるだろう。かくいうわしもそうだ。ただ買うただけで満足してしまい、あまり好きなデザイナーでないのもあってそのまま眠らせてしまった。前に掲示板で要望を受けたのだが、すっかり失念してしまった。
再度要望を受け、コロナのせいで家族時間が増えたのとコタが大人ゲームも対応できるようになったので、すぐにゲームすることができた。
コタ9歳、miaとの3人プレイにて。
スタートプレイヤーからの逆周りの順に、一つのシマすべての店に駒を置く。最後のプレイヤーが、好きなマスに車駒を置く。この車のシマは保護され店から駒を取り除いたり、店に駒を置いたりできない。車は時計回りに移動する。
全部で4つのシマがあり、各シマには3つの店がある。また店はサイコロの目(後述する1列目の収入とイコール)によって区別されている。ボードが狭いため、すぐに抗争になるように出来ている。そういった意味では4人プレイが最適だろう。
各フェイズは以下のように進み、7フェイズでゲーム終了。
ボーナス収入(白のチャート)を貰う。といっても最初は全員なしだ。
イベントカードをめくり、KOチャートの名声(灰)か影響(赤)の駒を1マス上にすすめて、車を時計回りに移動させる。
イベントカードは映画の名シーンを描いている。これはルカのシーンだが、この場合、車駒を2マス時計回りにすすめる。それから影響(赤)のチャートを1マス上にあげる。
ここからスタートプレイヤーから順にメインフェイズを行う。
手番プレイヤーは、サイコロを4個振り、そのうちの1個を個人ボードの1列目に置き、効果を得る。
1列目は収入の列で、プレイヤーが置いたサイコロの目の店を持っているプレイヤーは全員、その売上を貰える。
残った3個のサイコロを振り直して、そのうちの1個を個人ボードの2列目に置き、効果を得る。
2列目は内政的な列で自分のチャート、名声(灰)か影響(赤)の駒を進めたり、車を動かしたりする列だ。
残った2個のサイコロを振り直して、個人ボードの3列目と4列目に置き、効果を得る。
3列目は攻撃的な列で相手を襲撃したり、刑務所送りにしたり、和解金をせしめたりする。
4列目は調整的な列で刑務所から出したり、誰もいない店に自分の駒を置いたり、ボーナス収入や友人の効果(白)のチャートを進めたりする。
勝利条件は、一番お金持ちというドイツゲームでは非常に珍しい。
ただし7ラウンド終了後、KOチャートの名声(灰)か影響(赤)のどっちかがKOマークまでたどり着いているが、そのたどり着いた方が自分のチャートで最大まで達していないと脱落するのだ。どっちがKOまでたどり着くかわからないので、一点勝負で自分のチャートをあげないほうが良い。
いきなり、5000ドル(5の目)の店にいる駒が刑務所送りになるイベントで、わしの駒だけが刑務所送りになる。
mia「車で保護されてて助かった」
腹立つなー。
右下が刑務所、左上がハドソン川である。車駒はそのシマをガードするので、非常に有効だ。
とりあえず、金があれば勝ちなので最初の目は大事なのだが、わしの店とまったく関係のない2、4、5が出てしまった。これでは相手を儲けさすだけだ。しょうがないので1個だけ出た黒マリオネットの目を使い、灰色と赤色のチャートを1マスずつ進める。
残った3個を振る。ここはゲームの勝利条件である灰色と赤色のマスを大幅に進める事ができる列で、赤を4マス進める。
残った2個を振る。白と灰をどっちに配置するかだが、3列目の灰色は報復マーカーを金で解決する場所で、誰もまだ襲撃していないので関係なし。4列目の灰はコンシリオーリにて、空いている店に自分の駒をおけるので、刑務所送りにされた空白場所に再び自分の駒を置く事を選択。必然的に3列目は白となり、3000ドル(サイコロの目で、唯一小さい目の方が得する)支払って友人タイルをゲットして手番終わりだ。
個人ボードを使って、サイコロを配置してアクションを行う。どのマスがどういったアクションかを掴むのが最初わかりにくいのだ。ただこれをある程度覚えておかないとゲームは面白くならない。
またボードの四隅にプレイヤーのチャート表がある。灰色と赤色は勝利条件に関係するので、様子を見てあげていかなければならない。それが関係するのは2列目の灰と赤のサイコロで今回は、赤サイコロの4を使ってチャートを4マス進めた状態となっている。
miaは5の目が出たので、5000ドルを選択した。わしも復活させたので5000ドルゲットだ。
わし「やった」
実のところ一番重要なのは、4列目に白を残すことだ。
白のチャートを進めることは序盤とても意味がある。ボーナス収入をあげてきた。毎ラウンドに渡って固定収入が入るので、早ければ早いほど得をするのだ。わしも刑務所に送り込まれてなければ、白を残したかった。
コタも同様に白を残して収入をあげてきた。
ここが最重要となる白チャートである。上が収入、下が友人効果である。友人タイルはこのチャートが進んでいる効果以下のアクションを行える。友人タイルは結構強力なので是非手に入れたいところ。
それからは中盤にかけて割と温和に、灰と赤をあげるのに夢中になり、平和な時代が続いた。
一度、やったのだが、収入のところで間違いがあって、今回は二度目のプレイだ。その時は、血の雨が降るくらい抗争が激しかった。
唯一、miaの駒がイベントカードの襲撃によってハドソン川に沈められたくらいだ。
mia「じゃあ、3の目の店襲撃して奪う」
わしのファミリーが殺されてハドソン川へ沈められた。
報復タイルを貰う。
そこでわしはこの報復タイルを3列目の灰ボスの集会で、5を出して5000ドルの和解金を引き出す。
mia「何それぇ」
マフィアといっても金だ。それは日本のヤクザでも同じだろう。
これでウォーは避けられた。といってもウォーの概念はないのだが。
終盤に差し掛かると、襲撃で店を奪うことが多くなってくる。
コタ「ここを襲撃」
mia「やられた」
わし「ここを襲撃」
mia「なんでわたしばっかり!」
ハドソン川はmiaのファミリーでいっぱいである。
次々にハドソン川に沈められるmiaファミリー。今回は影響(赤)のチャートが一番上にまでいったので、各自赤チャートを最終マスにたどり着けないと勝利することはできないということだ。
何故かというと、5000ドルパターンでやたらと目立った儲けをしてたから狙われたのだ。
mia「まあ、いいや。報復タイルでがっぽり示談金を取ってやる」
わし「じゃあ、友人タイル使って、わしの報復タイルを返して貰う」
コタ「ぼくも」
mia「ちょ、なにそれ!」
友人タイルの効果は、白チャートで進めるのだが、2マス進めると報復タイルを回収できる効果を選択できるようになる。
友人が仲を取り持ってくれるというイメージである。
コタ「そういうもんなの?」
わし「マフィアとか任侠の世界では、この人に言われたらしょうがない。手打ちしようというのがある。そんかわり、物凄い世話になってる人とか、でないと取り持てない」
このゲームで一番痛いのは刑務所送りだろう。死んでも最後はそれっきりだが、刑務所にいると保釈金を積んで出す必要があるのだ。中途半端に生きてるより、死んだ方がマシという恐ろしい世界であるが、ある意味真でもある。
ただmiaのように殺されまくると、困ったことになる。
mia「店が奪えないじゃないのよ」
わし「友人タイル使って、仲間にしたらええんちゃう?」
友人タイルの1マス目はハドソン川に沈んだ駒を1個復活させることができる効果である。
別にゾンビではなく、駒に限りがあるので、友人が仲間になったというイメージのようだ。
とまあ、こんな感じでゲームは進み、7ラウンド終了となった。
お金を数えるとコタがぶっちぎりの勝利だった。
わし「え、まじ?」
mia「だから情けをかけたらだめなんだって!!」
所要時間70分
最終。赤のチャートが最終マスにたどり着いている事を確認。この前提の上でお金の多いプレイヤーで勝敗をきめる。
コタのコメント
面白かった。なんか、勝ち方が解った気がする。
miaのコメント
だから、あのボーナス収入は大事なんだって。安いからといってバカにしてはいけない。
ソマーリオ
リーネックといえば一昔前、原作モノばかりを手掛けてたデザイナーだ。そしてどうにもわしが好きになれないデザイナーでもある。盛り上がりにかけたゲームデザインなのだ。
ゴッドファーザーもまったく同じタイプのゲームなのだが、サイコロの使い方が思ったよりも面白く、機能している。一見では効果が多岐に渡っており、すごくわかりにくいが、まとめると各列には先に書いたような特徴がある。その特徴がわからないと戦略的にプレイできず、ただのサイコロ振って選択するだけのゲームとなってしまう。つまり2度目以降から、ようやくおぼろげな姿が見えてくるのだ。
やってることは過激で、ゴッドファーザーの名シーンなどもふんだんに取り入れられているが、2回やった程度ではあんまりゴッドファーザーぽいムードには浸れなかった。手順に追われるような感じだ。車の使い方や襲撃、刑務所へのルールが変化するのでそこが理解しにくい。時にはサイコロの目だったり、任意に選べたりとややこしい。
ただサイコロの使い方の面白さ、それがゴッドファーザーであった出来事を網羅しているところなんかは評価できる。リーネックの中では一番好きなゲームかもしれない。少なくとも終わった後、なんだかなあってのはない。
バカにしてたボーナス収入も、積立の強さがあり、きちんと機能している。
テーマからかもしれないが、妙にくせになるところのあるゲームだ。
ひと目みて分かるアイコンでないのと、言語依存が少しあるので、ゲームを中断しないためにも日本語シールは作成しておいた方がいいだろう。
プレイ時間は60分をオーバーするので、そこが少し残念だった。
コンポーネントは非常に頑張っている。似顔絵もそっくりだし、ドンの名前はそのままだ。
ギャングの駒も特製だし、車駒もとても良い。
各プレイヤーボードには映画にそっくりな似顔絵と名前が描かれている。素晴らしい。
ゴッドファーザーが好きなら買うてみて損はないだろう。以前にギャングスターってのもあったが、アブストラクト臭の強いあっちより、こっちのほうが好みだ。