Thorsten Gimmler

Amigo

2〜5人
90分

ギャングスター

「お前はなんだ。さっきから聞いてりゃ泣き言ばかり。お前は昔っからそうだ」
「ドン、でも…」
「お前はただ、助けてください、ドンとだけ言えばいいんだ。わしが一度でもお前の頼みを断った事があったか」
「頼みます。ドン」
「よし、もう帰っていい」




プレイ感

テーマ・コンポーネントから、これは買わなくてはならないゲームだとすぐに思った。何故ならわしはゴッドファーザーの大ファンだからだ。原作ももちろん読んだ。ここでゴッドファーザーの凄さ、おもろさを語ってしまえば、それだけでページが埋まってしまうので割愛するが、観てない人は是非観て欲しい。ルールブックにゴッドファーザーを一番たくさん観た人が開始プレイヤーとなりますと書いてやがる! で、これほどのゲームは、やはりTAMとやりたくて、正月、大阪に持って帰った。TAM夫妻、ムゲン、miaとの5人プレイにて。


わし「お、キャラクター全員ちゃうやん。ほな、ムゲンは、ザ・ビッグな」

ムゲン「TAMさん、これ頭はげ上がってるから、こいつですね」

TAM「なんでやねん。はげてないって。あ、でもそり込みは結構似てるかも」

と、まあ、色選びからなかなかたのしませてくれる。キャラクターの絵が全員違うのだ。本来なら青色を選択するところだが、緑色のファントムがかっちょいいので、こいつにした。


昔のシカゴっぽい雰囲気たっぷりのボード。車を移動させてエリアに部下を置いていく。移動カードは1,2,3があって、全て使うまで同じ数字は使えない。右には波止場があり、ここにくると車の特殊装備を手に入れたり、敵の部下を沈めたり出来るのだ。

基本はエルグランデ方式の陣取りゲームであるが、ちょっとひねっているのは数が多ければ必ずたくさんの勝利点が手に入るという訳ではないというところ。エルグランデならば、1位5点、2位3点という風にエリア毎に駒の多い方が必ず高得点だが、ギャングスターでは例えば1位3点、2位5点、3位1点なんてケースがよくあるのだ。


エリアカードを見て欲しい。上から順番に点数が高い訳じゃない。真ん中下のエリアなら4/6/?/2だ。?は、後で得点が決まるもので1〜6となる。部下は左上から順番に置いておき、同数ならより左上が上位となる。中間が抜かれても、そのままにしておく。配置する時は、隙間ではなく、一番右下のゾーンに順次置いていく。

まあ、なんともひねくれたデザインだろう。

そのおかげで、マフィアの抗争となる。相手の駒をトランクに詰め込み、他のエリアに移動させたり、波止場に沈めたりして、エリアの得点をうまく稼ぐ事となる。

エリアの移動は、1,2,3と書かれたカードで自分の車を移動させるが、全部使い切らなければ同じ数字カードを使えないというのはよくある形式。

エリアに到着したら、駒1つを載せるか、降ろすか、出来る。自分の駒や他人の駒を乗降させる事で、エリアで上手く得点を稼げるように、エリア毎の駒を調整していくのだ。


波止場には、大量の死体が沈んでいる。おーこわ! ここは皆が捨てにくるので大混雑だw
特殊タイルは、常に3つ置いてあり、ここに来るたびに必ずどれか1枚取るのだが、手元には2種類しか置いておけないので、3枚目以上はほかすことになる。

やってみると解るが、非常にアブストラクトチックなゲームだ。なんといってもほとんど全ての情報は公開されている。公開されていない情報といえば、カジノくらいである。?マークのカジノの得点は、ラウンドが終了してから得点が書いてあるあがりカードをめくることで決まる。もうひとつは、誰かが1,2,3のカードを使い切ったら、カードを引き2倍となるエリアが決まる。それくらいしか運の要素はない。多人数ならでは展開の綾というのはあるので、それほど大きな影響はないかも知れない。

TAM嫁「ブブーン、ガン」

わし「な、なにする!」

TAM嫁の車のバンパーに当てられてわしの車が隣のエリアに吹っ飛ばされた。


波止場となりのエリアを注目。現在、1位はザ・ビッグである。この後、ここのシマは非常に荒れる事となる。

ムゲン「うちの手荒い奴らをここに置きます」

素早くザ・ビッグの扉が開くと、一気に子分を2個おく。

わし「この時期、海の底はさぶいだろうな」

トランクに詰めた二人に対して話しかけるわし。

実は、このゲームは自分の車に特殊能力を持たせる事が出来るのだ。上記は全て特殊タイルによって可能となる。波止場に行く事で特殊タイルを手に入れる事が出来るが、2枚までしか装備出来ず、それ以上になると古い装備から外していかなければならないのだ。

TAM嫁「ヴォーン、ガン」

わし「またか! そのバンパー、腹立つわあ」

あちこちでTAM嫁のバンパー炸裂。


miaの子分がよく沈んでいるのが解る。ドアが開けばビッグの子分が波止場横のエリアを占めてるのが解る。ここはトップの得点が高いので最も荒れたシマとなった。

何故かは解らないが、波止場ではmiaの子分ばかり沈んでいる。

わし「じゃ、こいつをトランクに詰めてと」

mia「えー、なんでわたしばっかり」

2カ所以外のエリアに2倍マーカーが全て置かれたら決算である。わしは子分を車にたくさん乗せたままラウンドを終了してしまった。子分はラウンド毎に補充されるが、ムゲンはドアを付けているおかげで毎ラウンド2個の駒を置くことでやたらと子分がエリアに散らばっている。それでも先に述べた得点方式により、わしがおいしいところを抑えて終始トップ。

それに気づいたかわしの、子分があちこちで消えていくこととなった。

TAM嫁「ブブーン、ガン」

わし「くそー!! それやられると計画狂うんよなあ」


最終。子分を置けずに終えてしまったのが敗因。ところどころ置いてる×2という丸いタイルは得点が2倍になるエリアで、これが10カ所あるエリアの8カ所に置かれるとラウンド終了。これを3回繰り返してゲーム終了。

最終ラウンド、人的パワーが少なくなってしまったわしは、なんとか数少ない子分を使って高得点ゾーンを抑えるが、ムゲンの人海戦術に破れて2位。

所要時間90分

TAM嫁のコメント

けっこう気に入っているが、10段階で言うと6(笑)。

TAMのコメント

ゲーム進行がテーマに合っているし面白いのですが特殊カード(ドアとか)がちょっと強力なのかな…って感じがしました。是非もう一度プレイしたいゲーム。

ソマーリオ

非常にひねくれた陣取りゲームで驚いた。エルグランデをこねくり回したらこんなデザインになったという感じがする。また思ったよりも無味乾燥とした雰囲気があって、ミケリノスとなんとなく似ている。

個人的には、こういったアブストラクトチックなデザインよりも、もう少し運の要素を加えた方が好みだが、ギャングの車が特殊パーツによって強化されるところなどは個性が出てくるところはマニアにはうれしい。コンポーネントのデザインは、1920年代のアメリカを思わせ、ギャング一人一人に名前と顔があるところや、ギャングの車の形をした木製駒などけちの付けようがない出来である。このデザインを見ると、ドイツゲームのデザインの素晴らしさというのを実感出来る。ゴッドファーザー、アンタッチャブルの世界観が好きな人なら絶対にこのゲームは外せないだろう。
最近、リドリースコットが、アメリカンギャングスターというニューヨークを舞台にした黒人マフィアの映画を作ったが、このゲームの時代は当然ながら1920年、禁酒法の時代だ。

惜しむらくはやはりアブストラクトチックな動きで、トランクに詰めて波止場に敵の子分を沈めるなどのどきっとしたルールがあるくせに、どうにもやることがチマチマしててギャングらしくない。もっと豪快な動きがあった方がよりマフィアに近くて、楽しかったように思う。そういった意味で個人的評価は普通なのだが、なんせこういったゲームが少ないのと、コンポーネントの素晴らしさで、つい手元に置いておきたくなるゲームだった。一にも二にもゴッドファーザーの大ファンだからであるが。これと同じテーマであるパレルモやファミリービジネスっていうゲームもあるが、デザインの秀逸さではこのギャングスターの足下にも及ばないだろう。この2つはやったことがないので、内容のコメントは控える。

まあ、なんせゴッドファーザーを観た事がない人がおったら是非観て欲しい。ドンコルリオーネが超しぶいのよ! 映画は1だけね。2以降は元々原作にない話。そして、映画も素晴らしいが、それ以上に原作は、もっとしびれる。内容は同じやねんけど、マフィアの世界観がより詳しく載っているので怖いくらいにおもろい。マイベスト映画です。

gioco del mondo