Nicolas Oury

YSTARI

2〜4人
70分

ミケリノス王

エジプトの遺跡発掘は5人のパトロンの手に委ねられていた。
かれらは、多くの優秀な発掘家を探し求めていた。
発掘されたものはすぐに本国に送られ、精査され、博物館に展示されていく。

プレイ感

遺跡発掘、博物館というだけでわしの琴線に触れる。全然テーマと関係ないという噂やったけど、値段も安かったのでつい購入。TAM夫妻と3人プレイにて。


手番にすることは、遺跡現場に隊員駒を配置していき、エリア全体で多数を占めるようにする。この駒の置き方があのルイ14世ぽくてかなりいやーんな感じ。しかもエリアで多数を占めるとパトロンカード(エリアカードの裏がそうなっている)が手に入る。これは遺跡の裏側なのだが、これをタップする(横にする)事で特殊能力が発動するのだ。まさにルイ14世そのもの。


上にタイルを8枚並べる。互いのエリア同士は隣あってて移動可能なのだが、2個1でエリアの支配権を計算する。色マークはパトロンマーク。この裏面にパトロンが描かれている。

基本はそうやってパトロンカードを集めつつ、博物館にもコマをおくことである。博物館の場所はパトロンが勢力を伸ばしている区画があり、そこにコマを配置していると最後パトロンカードの価値がその書いてある最高得点(2,3,5がある)と同じになる。抑えておかないと1点にしかならないので、自分がたくさん持っているパトロンは是が非でも抑えておかなければならないのだが、タイミングが非常に難しい。というのは、多数を占めたとき、パトロンカードを取るか博物館にコマを置くかというシビアな選択になっているからだ。


左下のエリア支配なら、数が多い青がまずバイオレット嬢かブラウン教授を取るか博物館にコマをおける権利を有する。その後、緑が残ったものから同様に選択する。パトロンの能力はアイコンで描かれている。

運の要素まったくなし。完全にアブストラクトである。全てにおいて勝つことは出来ないので、どのエリアを捨てて、どのエリアを取るか、その計算が出来ないとまったく駄目である。また点数の計算も非常にシビアなので、どうすれば効率よく点数を取ることが出来るか考えなくてはならない。

パトロンは5人しかおらず、能力は手番に行う作業によく似ているので、ルイのようにうっとおしくはない。非常にドライなゲームである。

序盤、黄色のレモン卿を唯一持っているTAMが、ピラミッドに配置できる能力(ピラミッドはただの障害物で普通はコマをおけない)を使って、ところどころ嫌がらせをするが、わしはバイオレット嬢のコマを増やす能力を使って、隊員コマを少しずつ確実に増やす。

博物館にいつ配置するのかが、非常に悩ましく、ブラウン教授の能力がものをいうようになる。この教授は、博物館にコマを配置できる能力を持つのだ。バイオレット嬢の5の場所を取られたら身もふたもないので、3のところにおくが、これは後々失敗やったと解る。


博物館の支配権。2は両方に影響を及ぼせるので、抑えるならまず2からである。3は5が取れなかった場合に抑えた方が良さそう。人物の上のタイルは、手番を抜けたプレイヤーから順番に置いていく。同点の場合の優先順位となるので、手番をいつ辞めるかは重要である。

※5のところにいきなりコマはおけない。まずはそこに隣接する2か3のマスに置かなければならない。2のマスは両方に影響を持っているが、3はひとりのパトロンにしか影響をもたないように出来ている。図参照。

バイオレット嬢のカードを取るか、TAMの邪魔をするかという悩みが出てくる。バイオレット嬢をとれば5点、しかし、TAMも同じくレモン卿を取れば5点である。わしがレモン卿を取っても1点で、TAMが残りのバイオレット嬢(エリア1位は最初に選択でき、2位は残りのパトロンカードを貰える)をとれば2点である。結果、バイオレット嬢を取ったほうが得である。と、こんな感じで終始計算ずくのゲームだ。


最終。能力はこのタイルを横にすることで毎ラウンド仕様可能である。

最終ラウンドは、1.5倍のエリアが生まれるので、コマは持ち越した方が有利である。わしはバイオレット嬢パワーでこつこつコマを集めたおかげで終始、有利に展開できた。

結果、TAM嫁と同点であったが、コマを残したおかげでわしの勝利。本来ならわしがそのまま勝利点で勝てたのだろうが、バイオレット嬢の3という無駄な一手をうったおかげでこうなった。3のマスは、5が取れなかった場合に打つのが正しいだろう。

所要時間70分

TAMのコメント

物凄く不思議な感覚のゲームですわ。悪くないです。

ソマーリオ

確かに、テーマと内容がまったく合っていない。やってることは計算がほとんど全てのアブストラクトゲームなのに、発掘とは。発掘や展示している気分にまったくならない。

パトロンカードは、ルイ14世ほど煩雑ではなく、普通に楽しめるゲームに仕上がっている。問題点をあげるとすればやっぱりアブストラクトゆえのドライさであろう。今回は時間が掛かってるが、慣れるともっとさくさく進めることが出来る。

ここからもっとブラッシュアップして製品にしていくのだろう、という奇妙な感覚をもった。まずはアイデアだけの未完成ゲームという感じがするのだ。と、いっても確かにつまらなくはない。何かひとサジ加えてあげれば、物凄く面白くなりそうなそんな不思議なゲームだ。

gioco del mondo