Alan R. Moon

FX Schmid
U.S. Games Systems, Inc.

2〜5人
60分

ぼろ儲けカンパニー

石油の利権を握って大もうけだ。
わははははー、これだから商売はやめられない。
いや、待て待て。ここで美術品を転売したり、リゾートホテル経営なんてのも面白い。
なんせ、これらを扱ってる企業はまったくない。
独占もいいところ。ぼろ儲けとはまさにこの事だ。

プレイ感

まあ、なんて品のないタイトルだろう。しかしこれでもれっきとしたムーンの名作エアラインズ(ユニオンパシフィック)のカードゲーム版なのだ。ムーンは、ボードゲームを作った後、そのカードゲーム版をよく作る。昔、TAMと二人でやったのだが、もうちょっと多人数でないとおもろくないだろう。スノボに行った時に、ムゲン、Kei、オキと4人でやってみた。


手番になると3アクションポイントを使って色んな事をする。カードを自分の場に出す。場に出ているカードを手札に加える。山札から手札に加える。このうち山札から手札に加えるだけは2ポイント消費するが、その他は1ポイントだ。

10種類あるビジネスを始める為には、まずどんなカードでもいいから、裏向きにして起業しなくてはならない。この起業カードの上に同種類のビジネスカードを重ねて置いていくのだ。このビジネスの相対的な評価で、決算時に儲けが貰える。絶対的な枚数で儲けが決まる訳ではないので、常に同じビジネスを行っている他プレイヤーの動向は大事だ。極端な例をいえば、カードが1枚でもトップなら、最高枚数のカード9枚でトップを取っているプレイヤーと同じだけ儲けが出るのだ。

序盤、多角経営を乗り出したわしに対して、一点豪華主義を貫くムゲンとKei。このゲームの決算は合計3回、突然やってくる。最初の決算は、多角経営により、独占を狙うのがわしの作戦だ。誰も起業していないビジネスは、独占となり4ミリオンエウロ手に入る。通常のトップだと3ミリオンだ。2位は僅か1ミリオンしか入らない。このゲームはこの3回の決算の儲けだけで勝敗を決める。誰も起業していないビジネスを狙えば、1枚だけで4ミリオンも手に入るのだ。


ワイルドカードをどのように使うかがポイント。序盤はすぐに決算カードが3枚出てしまい後1枚で決算となるので展開は早そうだ。商売を始めるには、好きなカードを裏向きに出す。そこからはカードを表向きに配置していくだけ。わしゃ、宝石をいっぱい持ってたので、この商売を手始めにスタートした。

これに対して、一点豪華主義のカジノ経営を行うのはムゲン。数枚のカジノを出した後、決算時期が近いとみると(決算カードは最初は4枚出ると決算。以後3枚出る毎に決算)儲けが2倍となるリスクカードを出した。リスクカードの欠点は、それ以上カードをそこに出す事が出来なくなるというもので、同じ種類のビジネスを別途起業する事は出来ないというルールもある。そしてまた最終決算の時に、手札1枚につき1ミリオンマイナスとなるのだ。つまり、リスクカードを出してから同じビジネスを引くと必ず手札に残りマイナスとなってしまうのだ。それだけに出す頃合いは難しい。


最期の1枚が出ないうちに、なるべく多角経営を心がけるわし。正面のKei、右のムゲンは2種類のビジネスに厚みをおく。カードは山札補充が2アクション、表向きの3枚から1枚手札にするのが1アクション、手札から1枚出す(起業でも、ビジネスでも)1アクションかかる。自手番には3アクション貰えるのでこれを組み合わせて行う。ちなみに決算カードは山札に入っているので、カード補充をしない限り決算は起きないのがポイント。決算を早く起こしたければひたすらカードを引けばいい。

多角経営が強いかと言うとそうではなく、決算時には虻蜂取らずな内容で、2位になる事が多かった。それでも第一回目の決算時には、ほぼ4人横並びの儲けを出した。

ポイントとなるのは、起業する時に裏向きに出すカードだ。わしゃ、当初これを秘密裏に出すのかなと思ったが、ルールを読むと出す前に皆に公表するらしい。要はこれを秘密裏に出す事で、要らないビジネスカードを闇に葬る事をしようと思ったのだが、そうではないらしい。こっちの方が俄然面白くなると思うのだが、ムーンのルールに従うとしよう。

あちこちで、ビジネスウォーが勃発。Keiが石油事業の乗り出せば、独占を防ごうとわしも石油事業を始める。カジノ経営にオキも参加。相手との相対数で上回ろうと躍起になるが、カードがそんな簡単にはさせてくれない。3アクションもありながら、やりたい事が多いのだ。


1度目の決算が終わり、2度目の決算前(合計7枚で2度目、10枚引かれると最終決算)。わしの多角経営はさらにきわまった。Kei,ムゲンは3つのビジネスで勝負である。2度目の決算あたりになると独占するのが難しいので多角経営が弱くなってくるのだ。

わしは多角経営ゆえに段々とじり貧になっていく一方、ビジネスの根幹を作ったまま新しい経営に乗り出していくムゲンに遅れ気味。誰も手つかずのビジネスを持つKeiも、十分に射程圏内にいる。

決算カードが出るたびに、段々と決算が近い事を知って、ビジネス競争は過熱していく。

ムゲン「あきおさん、ショックな事しましょか? 宝石とワイルドカード」

わし「わちゃあ! やられたぁ」

わしの基幹ビジネスは、宝石商である。ずっとこれで1位を確保し、さらにリスクカードを重ねたのだが、ムゲンが2枚追加した事により同点になってしまった。同点だと2ミリオン(とリスクによる×2)しか入らない。手元に温存していたワイルドカードがあったが、リスクカードを出してる為に重ねる事は出来ない。

ちきしょう!

しかし、ここでめげてはいけない。起業カードをだして、新たな経営に乗り出す事にした。

と、思った矢先、

Kei「決算ですわ」

ま、まぁじい!!

最終決算である。何が痛いって、起業カードだけしかない場合、それもマイナスとなるのだ。幽霊会社は駄目って事だ。


最終決算。わしの宝石のリスクカードが破れてしまった。起業カードだけを残してしまうとは不覚。さらに手札に残ったカードもカード数だけマイナスとなる。

結局、あのムゲンの攻撃が効いて一気に敗退。

勝利はぶっちぎりでムゲン。

所要時間60分

ムゲンのコメント

やったー! なんかこれむっちゃ勝った感があって嬉しい。リスクカードがすばっとはまった瞬間、もらったぁって感じで会心の勝利や。おもろいですねえ!

Keiのコメント

これはほんまよう出来てますねえ。おもろいですわ。

ソマーリオ

前にTAMと二人でやった時は、リスクカードが非常にきつかった。なんせリスクを出した後、同じカードを手元に残してしまう確率50%と高かったので、なかなか出せずにいたのだ。ところが4人だとそれほどきついカードでもなく、むしろ積極的にリスクカードを出したムゲンのやり方が正しかった。やばい場合は、起業カードとして出して埋めてしまえばいいのだ。

カードゲームだが、プレイ時間もプレイ感も非常に濃厚で、ボードゲームに近いものがある。特に作戦の立て方はボードゲームに比する。

ここでユニオンパシフィックとの対比を書いてみる。ユニオンパシフィックの決算が、たった1枚で一瞬で決まるのに対してぼろ儲けカンパニーは、徐々に高まり、決算時期がある程度解るようになっている。ルールを読んだ当初はぼろ儲けカンパニーの決算システムの方がよく出来ていると思っていたが、実際にやってみるとユニオンパシフィックの一発決算の方が遙かに恐ろしく、もどかしいジレンマを与えた。それはユニオンパシフィックが、カードを引くか、カードを出すかのどちらか一方しか出来ないという強烈な選択肢の少なさにもよるだろうが、ぼろ儲けカンパニーはもう少しゆったりしたプレイ感である。実際ユニオンパシフィックをやった後は、激しく体力を消耗するが、ぼろ儲けカンパニーはそういった感じではない。

カウンティングの好きな数学的プレイヤーは、ぼろ儲けカンパニーの方が面白いと聞くが、わしゃ、圧倒的にユニオンパシフィックの方が面白い。ここらへんは人によって様々なので、自分の好みに合わせて買えばいいと思う。

ゲームはなんせ非常に完成されている。けちのつけようがない。元々、ドイツ語版のReibach & Co.というのがあったが、アメリカでリメイクされ、Get the goodsとなった。こちらはまだ手に入り易いと思うが、さらにZochがピクトリアの栄光というニワトリを題材にしたものにリメイクした。これがただのリメイクではなく、狐駒が登場し、付けられたビジネスの決算を無効にするという恐ろしい効果を持つが、爆弾ゲームみたいに手番に相手に押しつける事が出来るらしい。これがかなり面白いらしく、おそらくこれによって、ユニオンパシフィックのような猛烈なジレンマを生じさせたのだろう。ただニワトリという妙なテーマなので、ぼろ儲けカンパニーに、産業スパイ駒を作ってやってみるのが一番いいのかも知れない。

 

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