Inka Brand
Markus Brand

Huch!

2〜4人用
90分

ガンジスの藩王


16世紀のインド……ムガル帝国の頂点に立つは数多の属領を従えるアクバル大帝。
しかし、その地方領の多くはイスラム教徒ではなく地元のヒンズー教徒の藩王たち 「ラージャ」によって政が行われていた。
そしてラージャたちはお互いにその力と威光を競い合っていた。
人々の生活は、ヒンズー教とカースト制が大きく影響を与えていた。
プレイヤーはラージャの一人として、地方領の運命をかじ取りし、
カースト制を使い、交易を行い、ガンジスを行き交うことで領土を開発していくことになる。
しかし、神々の意向も大きく運命を左右する。
良き業を積むことも必要だが、一方で悪しき行いも富と名声に繋がっていることになる。

プレイ感

なんでこれを買おうと思ったのか覚えてないが、手元にある。評価をみると上々だが、ワーカープレースメントは基本的にルールが覚えにくい。こういうのはやってみないときっと覚えられない。ちゅうわけで、コタ8歳、miaと3人プレイしてみた。


駒が非常に多いが、最近のルールによくある、順番にこうセットアップしていけという解説が冒頭にあるので、そのとおりに並べていく。
困ったのが、2人用マップと3,4人用マップがどっちがどっちか分かりにくかったところと、拡張用の駒がどれか解らなかったところだ。


全景。サイコロを持つシヴァ神が特徴。また通常ある得点マスに人駒が横に重ねられているのも特徴のひとつ。ボード右下の船のスタート位置の象に2人用、3,4人用の表記がある。

ルールは、順番に読み下していくと簡単である。このゲームではお金と、資源としてサイコロを使う。サイコロを得るときは、サイコロを振ってその出目を変えずに持つ。

手番にワーカー(駒)を置いて、そのマスにあるアクションを実行する。最初は3駒しかないが5駒まで増やす事ができる。
置けるマスは大きく分けて5つある。自分の領土を広げる石切場、お金を稼ぐ市場、マスのアクションを行える川、サイコロを増やすテラス、様々なアクションを行える宮殿だ。


個人ボード。中央上の宮殿から領土タイルの道をつないでいけば、名誉点をもらえたり、市場でお金を稼いだりできる。また端につなげばボーナスが貰える。


領土タイルは12のグループに分かれており、一番上だけを買うことができる。左上のサイコロの目がコストだ。ここに描かれた生産物や建物が重要となる。


大量のサイコロがどっちゃり。

基本的な流れとして、サイコロ資源を使って領土タイルを自ボードに配置し、名声値やお金を手に入れていく。
お金はタイルではなく外周にあるマスで表示される。これには意味があって、お金は反時計回り、名声点は時計回りに動き、誰かがこれを交差させたらゲーム終了なのだ。お金だけあげてもいいし、名声だけあげてもいいというなんとも面白いシステムである。勝つためには満遍なくする必要があるんやけど。
最終的に交差させて、どれだけ離れさせたかで勝利を競う。

いちいち、マスの説明をしてたら1時間近くかかってしまった。まあ、でも一応軽くは説明する必要はある。


4種類ある建物を建てたとき(領土タイルに描かれている)に手に入る名誉点。最初は2点だが改良すれば最大4点入るようになる。ちなみに外側がお金マス、内側が名誉点マスで、それぞれ逆方向に動く。

ワーカープレースメントは先手番が絶対有利。サイコロの目の合計が少ないコタがスタートプレイヤーだ。ただしその分お金が少なくなる。

最初にみるべきところは、自分の欲しい(買えそうな)領土タイルをみて、そのサイコロの出目を増やすことだ。テラスに向かい、狙った色のサイコロを貰う。

コロコロ…5

コタ「あ、良かった」

サイコロは基本的に大きな目の方が強い。なぜなら、領土タイルを買うときにサイコロの出目の合計以上を支払う必要があるからだ。ただし、さすがにドイツゲーム、そこらへんはよく考えられてて、1から3の小さい目しか使えない川や、宮殿アクションは指定した目でしか使えなかったりしている。


カマボコみたいな駒が名誉点駒で、人がそれぞれ立っているところが青サイコロ、紫サイコロを貰うアクションを選択したテラスエリア。上の方に3人たってるのが領土タイルを貰う石切り場エリアだ。川は最初、人気がなく誰もいない。

そして何より、素晴らしいのは、カルマルールだ。サイコロの出目が確定した直後にカルマを1個使うと、サイコロをひっくり返す事ができる。つまり1の目は6に、2の目は5になる。サイコロをこんな風に使ったのはわしのやったゲームでは初である。
まあ実際やってみると分かるが、小さい目が欲しい時がよくあるのだ。

mia「これ、どうやってお金手に入れるの?」

わし「分からん」

名誉点はともかく、お金がなかなか手に入らない。マスの力を利用してもせいぜい2とか3金入る程度である。


わしは終始サイコロを多く持ってたのが良かったようだ。みての通り最大10個持てる。

逆に名誉点については、領土タイルに描かれた建物マークのたびにちょこちょこ点が入ってくる。

最初は2点しか入らないが、拡張することで3点、4点となる。
というわけで、宮殿アクションで拡張をすることにした。

わし「どれをあげようかのう」

建物は4種類ある。買える領土タイルは見えているので、たくさん出ている建物をあげれば良い。これで1マークにつき3点入るようになった。


宮殿に1個使っているところが建物改良マス(名誉点が伸びる)だ。宮殿はサイコロの色ではなく出目の固定である。基本的に周りを囲まれたところに駒を置いてアクションを行うが、そこに何か絵が書かれていれば、それはコストとして支払うものだ。例えば青サイコロ1個支払ってオレンジサイコロ2個貰うマスとかが分かるだろう。

わしは出目も良かったのと、前半はひたすら建物で点数を稼いだので、ワーカーが一人増えた。

ワーカーを増やすのは子作りマスみたいなところに置いたりするのが多いが、このゲームでは、名誉点、お金、川を進めると一定のところでワーカーが増えるようになっている。最初のセットアップ時にマス目にワーカーを寝かせておくのだが、その意味がこれだ。最初意味分からんかった。

ワーカーが増えるとアクション数が増えるので当然強くなる。miaも即座に追随して名誉のワーカーをゲットした。


後半は川が人気する。うまく進めて、狙った効果を得るためだ。川は1〜3の出目しか使えずその数だけ進む。また同じマスには止まれない。

途中から、市場をようやく開くことにした。市場を開くとお金がわんさかと手に入る。序盤は、お金はそれほどたまらず、どうやって貯めるのかという話にすらなった。答えは市場である。

市場は2種類あって、1種類しか売れない専門市場と、全種類(といっても3つやけど)売れる総合市場がある。総合市場は、自分の持っている領土タイルの中で各1つずつのお金が手に入る。見たところ、3金が最大のようなので9金が最大だ。専門市場は、1個サイコロを支払う必要があるが、そのサイコロの目の数だけ選んだ種類のモノが売れる。うまくいけば18金となるのかな?

わしは、茶を3つ持っていたので、茶の専門市場を開こうとした、ら

コタ「じゃ、お茶の市場」

くっそー、先に取られた。コタもお茶が多いのか。
専門市場は1種類につき1マスしかないのだ。

次のラウンドでもお茶を取られてしまった。このままでは競合してしまうと考えたわしは、他の品物も扱うことにした。

わし「じゃあ、総合市場」

総合市場は2マスあるが、一人で2マス使えないように規定されている。強いからだ。


最終局面。お金と名誉を交差させる。ちなみにお金のマスに備忘録駒を使うのだが、最初使い方が解らなかった。お金の特定マスでボーナスを得られるのだが、これは1回限りだ。お金は使うと下がるので貰ったことを表すために使う。

それからは市場合戦と化す。
お金がわんさかと手に入るのだ。名誉点を進めるより楽だが、評価としては半分にしかならない。それでも毎回8,9金入るのはデカイ。

序盤から中盤では、このゲーム終わるのかという感覚すらあったが、後半になると凄い速度で終息に向かっていく。

コタ「じゃあ、川を6マス進める」

そこでワーカーをゲット。

コタ「作戦どおり」

コタなりにいろいろ作戦を練ってやってるようだ。

結局、わしが名誉とお金を交差させてゲームを終わらせる。

最終的にわしだけが交差させたので勝利。

所要時間120分


最後のわしのボード。

コタ&miaのコメント

村の人生の方が楽しかったかな。

ソマーリオ

ワーカープレースメントはハズレがないシステムだが、そのせいで飽き飽きしてた。このゲームは、サイコロの要素を加えることでよくあるシステムを新鮮に感じさせる事に成功した。

サイコロの使い方は上にも書いているが非常によくできている。小さい目も欲しい時があるが、パワーの源である領土タイルは常に大きい目の方が良い。そういった運不運を最小にするためにカルマシステムをつけた。

ドイツゲームの基本的アプローチとしては、絶対的に弱いカードや強いカードを作らないことだ。このゲームでもそれはきちんと考えられているが、サイコロを入れる事でランダム性が大きくなってしまう。まさかのひっくり返しシステムである。

サイコロの持てる数を制限するのにシヴァ神を使ったのも面白い。最大で10個まで持てるが、その量だと気づかずにオーバーしてしまうこともあるだろう。残り何個持てるかをビジュアル的に読み取れるのだ。

ボードは細かい色とりどりの絵でかなりごちゃついて見にくく、ルールの理解を邪魔するのだが、一旦動かしてしまえばそんなに難しくない。ただ、視認性はやはり悪い。これは村の人生でも同じなので、ブラント夫妻の特徴なのだろう。

確認しながらやったので120分と時間が掛かってしまったが、次にやるときなら60分オーバーくらいでプレイできそうだ。

駒やタイルの種類がやたらと多くて、ちょっと戸惑うところもあるが、細かいやつのうち白以外は拡張タイルだ。

大量のサイコロを資源とするゲームといえば、北条投了の大建築時代だが、サイコロの使い方に関していえば、こちらの方が上だと思う。
また非常に念入りに調整されているので、サイコロの出目については無駄なく使えるし不満はまったくない。サイコロの出目のせいで手番を損したと感じさせないのは、凄い。

二人の意見では村の人生のようだが、わしは断然こちらの方が面白かった。サイコロの使い方が心地よい。

gioco del mondo