Matt Leacock

Gamewright
Schmidt Spiele
White Goblin Games

2〜4人
30分

禁断の島

禁断の島は、超古代文明のとある秘境でした。
伝説によると、彼らは世界の四大エレメンタル(火、大気、水、大地)を制御する4 つの神器「炎のクリスタル」「風の彫像」「海の聖杯」「大地の石」を持っていました。
それらが持つ恐るべきパワーが敵の手に渡ることがないよう、秘かにそれらをこの島に隠し、もし何者かが侵した場合、島体が沈む仕掛けを作り神器を守っていました。その後文明が滅び数世紀、現代に至るまでこの島は未知のまま残されていました。みなさんはこの島に足を踏みいれ、財宝を獲得して脱出できるでしょうか?
    BGG Tomitaさん訳より

プレイ感

これは協力ゲームの傑作パンデミックを簡易化したゲームで、ちょこっと前にやったのだが、なんとなくレビューする気もなくてほったらかしにしてた。今回2011年度のドイツゲーム大賞にノミネートされた事により、レビューする事にした。miaとの二人プレイにて。


手番は3アクション使える。手札に4枚の神器を集めて、その神器のマークが描かれているタイルでカードを捨てる事で、神器を手に入れられる。4種類の神器を集めて全員がヘリポートから脱出出来たら勝ちである。タイルは水没していく(裏返す)ので、それを元に戻す事にもアクションは使える。水没するタイル数は、水位マーカーの度合いによって、数が多くなる。この水位マーカーは、『浸水だ!』カードを引いたら(パンデミックでいうエピデミックカード)があがるのだ。


基本ではタイルをこのように並べる。それぞれ役割の違うキャラクターを選択。周りにあるのは4種の神器だ。
キャラクターは全てフィギュアとなっており、全員造形が違うのは凄い。

基本的な構造はパンデミックとほぼ同じで、大きな違いは連鎖しない事(ただし一度出たタイルは出やすくなるのは同じシステム)と、水没したタイルをほったらかしにすると(つまり2段階水没すると)完全にマップから除外されてしまう事くらいかな。

パンデミックを知ってる人に要約すると…
4種の神器=4種のウイルス
浸水だ!カード=エピデミックカード
タイルの神器マーク=研究所
タイルの水没=ウイルス駒の蔓延


カードを4枚集めて、そのマークのあるタイル上で捨てれば神器が手に入る。


海の聖杯をゲット!

さて、実際に始めてみると、かなりぬるい感じ。パンデミックで辛かったのはカードの受け渡しにも制限があったこと。都市カードはその都市でないと渡す事が出来なかった。しかし禁断の島では同じマスに止まっていれば好きなカードを手渡す事が出来るのだ。

また研究所は数が少なかったが、禁断の島では各2カ所ずつあるので、1カ所だけでも完全水没していなければなんとかなる。ただ、途上が完全水没によって、その場所に移動する事が出来なくなったら終わりなのが、少し違うところだ。

とにかく、水没面(裏返し)になったタイルを注意しながら、神器を集めていく。なんとなく妙な感覚があるのは、この水没面を元に戻す補強アクションだ。なんで水浸しになってるタイルが元に戻るのかのイメージがいまいちよく解らない。


1度浸水したタイルは裏返しになり青い面になり、さらに浸水すると完全に取り除かれる。常にヘリポートへの退路を気にしながらゲームをしなければならない。

ゲームはかなり速いテンポで展開する。無駄なアクションをしてるとあっという間に終わってしまうので、二人で協力しながら、進める。

mia「次にどうしよう」

わし「とりあえず、ヘリポートが沈んだら完全にゲームオーバーなんで、その道だけ確保しとけや」

mia「OK」

つってもmiaはパイロットの役割だったので、道がアウトであっても飛ぶことが出来る。わしが注意しとかんとあかんのだ。

大事なのはヘリポート。これが沈んだら何があっても負けなので、ここへの退路は常に意識しなくてはならない。そこはちょっと変わってて面白い。

3種の神器が集まった頃、水没面になってもほったらかしにするタイルや完全に水没してしまう場所がでてきた。何故ならもう守る必要がないタイルがほとんどになってきており、またそこまで手が回らなくなったからだ。あと必要なのは風の彫像マークのタイルだけ。そう、まさに島が沈みかけようとしている。


ぐおお!! ここで痛恨の浸水だ!カード2連発。

最後の風の彫像を手に入れたのだが、ヘリポートが水没面になっており、カードめくりに勝負はかかった。もしヘリポートが出たら負けである。出なければ次のラウンドの移動により、脱出成功だ。

わし「やった!」

二人はこうして禁断の島を脱出することに成功した。
ヘリコプターから、島が沈んでいくのが見える。

所要時間30分


最後はmiaの待つヘリポートへ、ヘリコプターカードを使って移動して勝利。ほとんどの島が沈んでるのが解る。右にあるのが浸水マーカーでゲージが上にあがれば、浸水するタイル数が増える。

miaのコメント

うーん。まあ、普通かな。あまりハラハラしなかった。

ソマーリオ

もしあなたが大人で、パンデミックを持ってれば、これは必要ない。最初に書いてるようにパンデミックを簡易化した物以外何者でもない。難易度調整次第ではパンデミックくらいに勝利することを難しく出来るだろうが、それだけでは何か物足りない。プレイヤーが考えるところがパンデミックと比べてかなり少ないのだ。

だから単純に難易度をあげても、あっという間に沈んで終わりなんてことになる。そうなるとドラマが生まれにくい。

もうひとつ大きな欠点は、文中にも書いたとおり、沈みかけの土地を元に戻すという行為だ。これがどうにもイメージ出来ずしっくりこない。このゲーム最大の欠点はここかも知れない。
補強する。
どうやって? アクションカードにあるように土嚢を積むんやろか?
えー! そんなん無理やろ。
むしろ場所毎に秘密のスイッチがあって、それを押せば土地が戻るとかの方がしっくりくる。
おお、この設定ええな。これにしよう。

さてそういった欠点を抜きにすれば、タイルにはそれぞれ地名が書かれており、絵柄も全て違う。わしのはドイツ語版だが駒はそれぞれ違ったフィギュアを使っており、4種の神器フィギュアは材質まで変えており、まさに禁断の島という雰囲気なのだ。

※英語版ではフィギュアではなく木製のポーン駒となってるようだ。

そしてやるべき事を見通しよくしたおかげで、子供と一緒に楽しくゲームが出来るようになった。テーマもパンデミックと比べて子供にとっては大好物なものがちりばめられている。造形の素晴らしい神器を手に持つだけでワクワクしてくることだろう。そしてコンポーネントの割に値段はかなり安い。子供と行う本格的なゲームの第一歩としては最適かもしれない。

ただ本音を言えばパンデミックと発表年が逆なら、と何かちぐはぐなものを感じてしまった。悪くはない。でも今更ダウングレードしたものをノミネートされてもと思った。
あなたがパンデミックをやった事がない、もしくはパンデミックを子どもと一緒に楽しみたいならば、買うといいだろう。そういう人には是非勧めたい。

gioco del mondo